CX Clipでは、アプリ内マーケティングでおさえておくべき用語や施策のヒントを、連載でお届けします。今回のテーマは「アプリ内マーケティングの施策立案」です。

KPIツリー」や「カスタマージャーニー」など、アプリ内マーケティングのフレームワークは世の中に多くあります。しかしマーケティング施策を立案するには、顧客行動や顧客心理の根底にある考え方から理解することが大切です。

「型」を重視したアプリ運営は、生産性向上のために重要ですが、その運用自体に時間が取られてしまい、本来第一に考えるべき「顧客体験の向上」をないがしろにしてしまうケースもあるためです。

この記事では、アプリ内マーケティングの施策出しに困っている方に向けて、施策に落とし込む際に役立つ「4つの質問」をご紹介します。

質問は次の通りです。

1. ユーザーのどんな課題や欲求に共感していますか?

2. ユーザーがあなたのアプリを使わなければいけない理由と目的はなんですか?

3. ゴールまでの課題点と、一番の価値はなんですか?

4. 起動時の体験のビジネスゴール、ユーザーゴールを設定しましたか?



1. ユーザーのどんな課題に共感していますか?

顧客体験を最適化するためには、顧客の潜在的な感情を知り、コンテクスト(ユーザーの置かれている状況や前後の行動など)を読み解くことが大切です。「顧客はどんなシーンで何を求めているのか」「何が不要なのか」を仮説立てしてみましょう。

顧客のニーズは表面化しにくいので、それを乗り越えた人にヒアリングをすることで見えてきやすくなります。例えば、自分自身が、別サービスで嬉しかった体験などを考えてみるのも良いでしょう。

ここでは、ゴルフサービスの提供者の立場に立ってみて、ゴルフをしている人を例に気持ちやニーズを考えていきます。

例1:ゴルフ初心者の気持ちは?

【気持ち】何が自分に合っているのかわからない

→ 【求めていること】自分のレベルに合ったステップを踏み、練習をしたいから

→ 【求めていること】道具であれば、具体的な商品名ではなく、「ゴルフ 初心者 クラブ」で情報を知りたいから

【気持ち】どんなに下手でもファッションや道具の「形」から入りたい

→ 【求めていること】ゴルフを嗜んでいることでセルフイメージをあげたいから

例2:スコア100前後の人の気持ちは?

【気持ち】独学で勉強し、打ちっぱなしの練習もしているが、上達しない。でもお金を払ってコーチをつけるには障壁がある

→ 【求めていること】スコア100を切るためのコツが知りたい



2. ユーザーがあなたのアプリを使わなければいけない理由と目的はなんですか?

リワード広告経由でない限り、顧客は目的を持ってアプリをダウンロードしているはずです。彼らが何を期待してダウンロードしたのかを仮説立ててみましょう。

前述のゴルフサービスを例に、顧客の目的とゴールを考えてみます。ゴルフサービスのアプリをダウンロードした人は、何を期待しているのでしょうか。

目的

  • ゴルフ用品を他より安く買いたい
  • 商品の解説がわかりやすいので、どんなシーンで使えるかをイメージしながら買い物をしたい
  • ゴルファーによるレビューが秀逸なので、それを読みながら買い物をしたい

ゴール

  • 自分にあったゴルフ用品を見つけること
  • ゴルフ用品を安く買うこと

このように顧客の期待値が見えたら、その期待を超えるような体験を用意することが大切です。



3. ゴールまでの課題点と、一番の価値はなんですか?

この問いでは、顧客がゴールに至るまでにある課題は何かと、最大の価値が享受できる仕組みを考えます。具体的に考える際は、実際にアプリで顧客が体験する画面を俯瞰的に見てみましょう。方法は次の通りです。

  • アプリ起動からゴールまでの画面をスクリーンショットで撮る
  • 各ステップに数字を入れる(画像の例ではUU)
  • ステップごとに課題点や良い点を書き出す
  • ステップを短縮化できないかを考える

※数字はアパレル系アプリの例です。実数とは異なります。

実はこれはファネル分析に繋がるのですが、このようにシンプルに考えると課題点や施策案が出しやすいです。また、画面を見るときはPCではなく、必ずスマートフォンで見るようにしてください。PCでみてしまうとユーザーと環境が変わってしまい、顧客目線や顧客心理がつかめなくなってしまいます。



4. 体験のビジネスゴール、ユーザーゴールを設定しましたか?

最後はゴール設定です。ビジネスゴール(KPI)とユーザーゴールをそれぞれ定義し、計測可能な状態にしましょう。ビジネスゴールとユーザーゴールを、それぞれ先ほどのゴルフアプリの例で考えてみます。

ビジネスゴール

  • アプリ起動時の商品マッチング率
  • お気に入り登録数/UU
  • Push配信率、開封率
  • iOSのPush通知ON率

ユーザーゴール

  • 初心者である自分のレベルに合った商品がおすすめされている状態
  • アプリを起動するたびに気になる商品がある状態

ここまでが、施策案を出す際に役立つ4つの質問でした。フレームワークの応用に時間を割く前に、まずはこの4つの問いを思い描いて、アプリを見直してみてはいかがでしょうか。

最後に、さらにアプリの精度を上げるための2つの質問も紹介します。



補足1:アプリを起動したときの体験を5W1Hで言えますか?

アプリが提供する顧客体験を5W1Hで考えると、施策に落とし込みやすくなります。

WHY

「顧客はなぜそのアプリを利用しなければならないのか?」「そこに競合優位性の高い価値はあるのか?」を考えましょう。

HOW

アプリはダウンロード直後の1週間が大事です。なぜならほとんどの人々の生活習慣は1週間タームで回っているため、新しい習慣として認知されなければ記憶に残らないと考えていいでしょう。ここでユーザーの共感や感動を得られなければ継続利用は期待しにくいため、モチベーションコントロールが最も大切になるタイミングです。初回起動時に、どのようにアプリの価値(WHY)を伝えるかを考えましょう。

WHAT

HOWで考えたアプリの価値の伝え方を、具体的な施策レベルに落とし込みます。

WHO

どんな人にその施策をするのか、できる限り具体的な人物を思い浮かべましょう。また、共感できる課題や欲求も書き出しましょう。

WHEN

どのタイミングでユーザーが体験するか次第で、効果は変わります。顧客の心理変化を思い浮かべ、タイミングも見計らってより良い体験を提供できるように検討しましょう。

WHERE

顧客体験のどのステップ、または画面のどの部分に施策を行うのかを考えましょう。



補足2:あなたのアプリを使ったユーザーは、友達になんと言って伝えていますか

アプリを体験したときに印象に残っている場合、友人に「このアプリは便利、このアプリはうざいからアンインストール」「このアプリは可愛く撮れる」等言ってると思います。それはユーザーが感じた価値となります。

つまりその価値を本当に与えられているか自分たちに問いかける質問です。

また、UGC(SNSや口コミなどのユーザー生成コンテンツ)を生み出すための顧客体験を考えることで、具体的な施策案に落とし込むことができます。

「レビューが多くて商品が選びやすい」

「チャットサポートが簡単で、手厚かった」

「プッシュ通知の文章がいつも面白いから、アプリをつい開いてしまう」

など、顧客がそのアプリを人におすすめする際、どのようなコメントを添えてほしいか?を考え、そこから逆算して施策を考えてみると良いでしょう。



アプリの顧客体験を最適化するために

アプリの運営で重要なのは次の3点です。

  • プロダクトの価値:その価値は市場が必要とするものか
  • 価値を感じるアハ体験※:その体験は簡単で直感的なものか。途切れない体験か
  • 価値や体験の伝え方:顧客にどのような伝え方をするか

※アハ体験とは、「あっ!わかったぞ!」という直感的なひらめきを感じる体験のこと。

この記事で挙げた4つ(+補足)の質問を活用し、実際に顧客の反応を見ながら改善を繰り返していきましょう。

ウェブとアプリを横断してユーザーを知る・ユーザーに合わせることができるKARTE for App施策シナリオのサンプルをご紹介しています。

ご興味いただける場合は、こちらよりダウンロード、またはお問い合わせください。

関連記事:アプリのプロダクトマネジメントにおける重要な5つの考え方