いい物さえ作れば売れる時代は終わりを迎え、既存顧客との関係構築やより良い顧客体験の提供が求められるようになりました。

しかし、顧客ニーズが多様化するなかで、サービスに対する顧客の満足度合いも測りにくくなっているのが現状です。

顧客満足度(CS)の指標や測定方法を改めて理解することで、顧客体験の評価や改善にいかしていきましょう。

「顧客満足(CS=Customer Satisfaction)」は、企業が提供する商品やサービスに対して満足してもらうことを目的とした概念です。

顧客満足の度合をアンケートなどの調査によって可視化したものを「顧客満足度」といいます。顧客満足度は、顧客との長期的な関係を通じて収益の向上を目指すCRM(顧客関係管理)では非常に重要視されている指標で、満足度が高いほど売上やリピート率の向上につながるといわれています。

「買ってよかった」「使いやすかった」といった主観的な意見ではなく、購入前の期待値と実際の満足度の差をはかることで、自社が提供したサービスに対して顧客がどれほど満足したのかをを知ることができます。



顧客満足度調査の方法

顧客満足度を測る方法は様々ありますが、代表的なものを3つご紹介します。自社の顧客満足度調査で明らかにしたい内容に合わせて方法を選んでいきましょう。

1.アンケート形式の定量調査

アンケートの回答を数値化し顧客の満足度を統計的に把握する方法です。統計上は400以上のサンプル数が有効だといわれており、紙やメール、アンケートツールを利用してアンケートを実施します。

2.インタビュー形式の定性調査

インタビューは数値以外の情報を可視化する調査方法です。商品やサービスに対して顧客が感じることをより詳細に知りたい場合に実施します。

多数の調査を行うのは難しいため顧客全体の傾向を把握する場合には向いていません。

3.調査機関を利用した覆面調査

専門のリサーチ会社を利用する方法もあります。調査機関には店舗での接客態度や店内環境を評価するミステリーショッパー(覆面調査員)などの依頼を行うこともできます。

訓練された調査員が調査することで同じ基準で店舗の評価を行えますが、調査員の訪問した時点での評価といった偏りも出ざるを得ません。



顧客満足度を高めるための3つのポイント

顧客満足を実現するためには、どのようなことに心がければ良いのでしょうか。3つのポイントをご紹介します。

1.自社にとっての「顧客」を明確にする

自社にとっての顧客は誰なのかを明確にします。顧客の購買履歴やSNS上での行動履歴などから顧客を細分化し、ターゲットにすべき顧客層を明らかにしていきましょう。

その上で顧客満足度向上のためのアプローチを設計します。顧客対応にかけられるリソースのなかで最大の効果をあげることが重要です。

2.顧客の心情を可視化する

ターゲットとする顧客が、どのようなサービスや体験に対して満足感を感じるのか可視化することも大切です。

顧客の性別・年齢・職業といった属性情報や、購買履歴、オンラインでの活動、アンケートへの回答結果といった情報をもとに、顧客像を細かく設定しましょう。

3.「顧客接点」に応じた対応を心がける

顧客接点とは、「顧客が企業や製品・サービスと接触する場所や機会」のことです。

顧客が企業の望むシチュエーションで製品やサービスに出会うとは限りません。オフライン、オンライン問わず全ての顧客接点において適切な対応を模索していきましょう。



ただ顧客満足度を高めれば良いわけではない

顧客満足度に向き合う上で注意しなければならないのは、顧客満足度が高いからといって最高の顧客体験を提供できているとは限らない点です。調査した数値に一喜一憂するのではなく、常にその先にいる顧客の声に耳をかたむけることが大切です。そこで顧客満足度調査を行う際に、気を付けたい4つのポイントをご紹介します。

1.口コミにつながるようなサービスを提供できているか

「満足」という言葉の定義は幅広く、とても曖昧な表現です。たとえアンケートで「満足」と評価した顧客であっても、実際には不満をもっているケースも存在します。

経営戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニー社の発表によると、「大変満足」と回答した顧客の中の半数以上が、サービスを「推奨しない」と答えたといいます。一般的に顧客満足度が高いほど顧客は口コミによって自社の評判を拡散してくれるといわれていますが、この調査からは「大変満足」と答えるような顧客を増やしても、新規顧客の獲得にはつながらない可能性もあることがわかります。

顧客満足度を単純な数値として捉えるのではなく、目的に対してどのような状態を示しているかを知ることが大切です。

2.リピート率の向上につながっているか

同じように、アンケートによる顧客満足度が高いからといって必ずしもリピート率の向上につながるとは限りません。

顧客は購入した商品やサービスには満足していても、料金や立地など他の部分で不満があれば「また利用したい」とは思わない場合もあります。

アンケートの結果から、「顧客満足度が高い」と企業側が判断しているのにリピート率が上がらないのであれば顧客満足度調査では浮かび上がってこない潜在的な不満があるのかもしれません。

3.NPSを活用し自社への愛着や信頼を測る

アンケートの結果で顧客満足度が高い場合でも、必ずしも口コミによる拡散やリピート率の向上につながらないことがわかりました。

このような顧客満足度の課題を解決するために有効なのが、NPSの活用です。NPSは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客がサービスやブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるかを測る指標です。

NPSでは「この商品やサービスを親しい人にすすめたいと思うか?」という質問を10段階で顧客に評価してもらうことによって、自社商品のブランド力を知るための指標とします。回答結果から、顧客を「推奨者(Promoter)」「中立者(Passive)」「批判者(Detractor)」の3タイプに分類し、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値が、NPSのスコアになります。

NPSを測ることによって「他者にすすめる」という未来の顧客を増やす人の割合を知ることができます。そのため、アンケート方式で一時的な満足感を示す顧客満足度よりも、収益の改善に役立てることができ、企業への信頼度を正確に知ることができるといわれています。

4.フィードバックを反映できる体制を作る

顧客満足度の向上には、社内での協力が不可欠です。担当の部署だけではなく、社内の全員が顧客満足度の仕組みを理解し、顧客からのフィードバックを反映できる体制を築くことが大切です。日頃から顧客の声に耳をかたむけ、商品作りに活かす風土を作り出していきましょう。



顧客満足度の目標設定に重要な「SMARTの法則」

顧客満足度に向き合う上で大事な4つのポイントを紹介しました。では、顧客満足度の結果を活かしたサービス提供をするために、企業はどのように顧客満足度の目標を設定し、評価すればよいのでしょうか。顧客満足度の目標設定法として知られる「SMARTの法則」をご紹介します。

SMARTの法則

SMARTの法則は、ジョージ・T・ドラン氏が発表した目標達成の実現可能性を高める目標設定法です。この法則に基づいて目標を設定することで、目標達成までのパフォーマンスを最大限にすることができます。

・Specific(具体性のある)
・Measurable(測定可能である)
・Achievable(達成可能である)
・Relevant(関連性のある)
・Time-bound(時間制限がある)

以上、5つ単語の頭文字をとり、SMARTの法則と呼ばれています。ここで挙げられている5つの考え方を取り入れることで、目標達成・評価において必要なポイントを押さえることができます。

Specific:具体的であること

まずは、具体的な目標にすることを心がけましょう。「満足」とする基準や数値を向上させる数値をを明確に設定することで、次のアクションにつなげることができます。

Measurable:測定可能であること

目標の達成率や進捗度などは数値で「見える化」しましょう。現状の達成度や進捗を可視化することで、その後の戦略立案が行いやすくなります。

Achievable:達成可能であること

最大限の力を発揮すれば達成できる目標を設定しましょう。現実的に達成できない目標は、メンバーのモチベーション低下につながる恐れがあります。目標が達成可能かどうか、過去の事例や投入できるリソースを踏まえて判断しましょう。

Relevant:関連性があること

部署や会社全体の目標と関連性をもたせることも重要です。顧客満足度向のための取り組みにメンバーが疑問を感じないよう、部署や会社の目標達成に寄与することを示しましょう。

Time-bound:期限が明確であること

目標を達成するまでの期限を設けましょう。期限を設けることで、逆算して今何をすべきか明確になったり、現状が計画よりも進んでいるのか遅れているのかを判断できるようになります。



期待を超える「顧客満足」が顧客体験の向上につながる

顧客体験の向上には、あらゆる顧客接点で顧客の期待を超えるような体験を提供することが求められます。

一見すると顧客満足度が高いように見えても、詳細な分析をすると課題が発見されるケースも珍しくありません。

顧客満足度を計測するための適切な指標を定め測定することで、自社の提供するサービスの課題が明確になり、改善のためのプロセスをたてやすくなるはずです。

購買プロセスにおける顧客満足の向上に取り組み、より良い顧客体験を実現しましょう。