
店舗の接客をウェブで再現。「人間らしい」サイトを追求する花キューピット
23th Jan, 2018
インターネット花キューピットが、顧客体験をいま重視する理由とは。
花キューピット株式会社では、「インターネット花キューピット」においてKARTEをご利用いただいています。
今回は、「インターネット花キューピット」が重視する顧客体験について、マーケティング&デベロップメント事業部の大橋様、酒井様にお話を伺いました。
満足してもらえるサイト体験を提供したい
— インターネット花キューピットについて教えてください
酒井:インターネット花キューピットは、インターネットで花の注文をすると、お届け先に近い花キューピット会員店から新鮮な状態でお花をご指定の場所までお届けするサービスです。
北海道から沖縄まで日本全国約4,000店からなる花店の配達ネットワークがあるので、お届けは昼12時までのご注文なら、最短で当日配達も可能です。
メッセージを入れたり、季節のセットをご注文いただくこともできます。
花キューピット公式サイト。
— お二人が担当されている業務の範囲を教えてください。
酒井:マーケティングの顧客分析やGoogle Analyticsを使ったアクセス解析、また、各モールのショップチャンネルの運営を担当しています。
大橋:私は、そういった業務を統括する立場で、インターネット花キューピットのEC事業の責任者をしています。
私たちのマーケティングチームは、Webマーケティング専門でやっていますが、我々が解析したウェブサイトの各種の指標を商品開発のチームにフィードバックし、次に作る商品のアイディア出し、ディスカッションをして、それを元に商品が作られます。
— サイトの改善はどのような体制でおこなっていますか
酒井:サイト改善は、ほとんど内部でおこなっています。マーケティング&デベロップメントという部署名なのですが、うちのチームメンバーはデベロップメントも兼ねているので、全員が多少のコーディングはできます。
大橋:その中で、ページ制作、データ分析、広告集客に関することを、各担当に割り当てており、KARTEの施策に関しては私と酒井の二人で専門に見ています。
— サイトに訪問されるお客様はどのようなお客様が多いのでしょうか
酒井:花を贈る場面というのはギフト向けが圧倒的に多く、個人のお客様が思いついた時、必要な時に検索してサイトに来てくれることが多いですね。
通常のECサイトに比べたら、リピート率はやや低めかもしれませんが、ギフト市場という意味ではそこが大きな問題とも捉えていません。
それよりも、花を贈ろうと思いつき、検索して来てくれたお客様にちゃんと満足してもらえるサイト体験を提供できるかどうかという点を重視しています。
ECサイトは10年前と変わっていない
— KARTE導入前、課題に感じていたことを教えてください
酒井:お客様との関係が1対1ではないという特殊な状況でのサイト運営には頭を悩ませていました。
普通のECサイト上の商売は、サイト運営者とお客様が1対1ですが、我々の場合は、サイト運営者とお客様と、お客様が花を届ける先の人との、1対2です。
さらに言えば、花を届けてくれるお花屋さんがいるので、当事者間だけではない流れもあります。
— 色々な人のことを考えたサイト作りが必要になるのですね
大橋:一番大きいポイントは、届ける先の人で、届ける先に人がいなければ、お客様は注文して購入しないわけです。
届ける先の人のことを視野に入れて、この人には贈らなければいけない、贈ってほしいというタイミングで、サイトには何を用意しておくべきかを考えておくことが、非常に大切です。
例えば、母の日の当日に「母の日、今日中に間に合わせます」という告知があることは、必要条件です。その日だけは、必ずサイト上でもその告知が分かるようにします。
過去にサイト内でそのような告知を実施した時には、母の日当日の時間帯別のコンバージョンは通常の4倍以上になりました。
— すごい数字ですね
大橋:そういった改善を、いろいろとやってきました。それでも、母の日の朝というタイミングでもまだまだです。
裏を返すと、母の日の当日の朝にサイトに来ても買わない人が半数以上います。
イベントに合わせた最適なウェブサイト作りを追求しても半数は逃しているので、イベントに合わせるだけでなく、個のユーザーに合わせる何かが必要だと考えていました。
— ちょうどその時に、KARTEのことを紹介してもらったのですね
大橋:我々が作れるページは1枚ですし、お客様の状況も分からないので、個別にメッセージを出すことはできず、とにかく広告による集客に力を入れていました。
来る母数が増えても、離脱する人はやはり一定数います。その課題については悩んでいました。
— その課題を解決できそうというのが導入の決め手だったのですね
大橋:常日頃からサイトなどを見ていると、一方通行なサイトばかりでした。
EC業界に関わり始めて結構な時間が経ちますが、10年前と変わらないことをやっています。
スマホが主流になった、メールを使わなくなったという変化はありますが、画面(ページ)を見ている人に対するアプローチには、何ら変化はありません。
お客様は欲しいものを検索して、能動的に来てくれるからコンバージョンが発生する。しかしながら、来てもらった人に対して、「接客」という行為はやはりできていない。
KARTEは『今サイトにいるお客様へのアプローチに使える』という部分に共感し、導入に至りました。
お客様も『人間らしさ』を求めている
— KARTEを使い始めて、変化はありましたか
酒井:KARTEを使い始めて、管理画面を定期的に見ていますが、数字が良くなくて施策を止めることはよくあります。悪い施策には、すぐに反応します。
このように、悪い施策が悪いとすぐに分かることは理想的です。良い施策は、数をこなさないとわからないものなので、10個やって、1個正しいと分かればいいかなという感覚を持っています。
数打った中で、だめだった施策をすぐに止められることは、大きなメリットだと思います。
— 実施した施策で、良い施策はどのようなものがありますか
酒井:現在ページを閲覧している人数を出す施策があります。これぐらいのことで、こんなに数字が上がるの?と笑ってしまうくらい効果がありました。予想以上の効果だったので、出す対象ページも一気に広げました。
現在商品を閲覧しているユーザーの数を伝える接客例。
— サイトに店感が出るのがいいのかもしれないですね。
酒井:そうかもしれないですね。実際の店舗でも、お客様は、がらんとしたお店で人が立っていて花を作っているよりも、何人か先に人がいたほうが安心して入れますよね。それと同じ効果をサイトでも出せているのかもしれないです。
— 昨年は、母の日の施策も行っていただきました
酒井:母の日に、どの花をプレゼントしようか迷っている方向けに質問に答えてもらい、おすすめの候補を提案する施策をおこないました。
選択した答えによっておすすめ候補が変わる接客例。
このような取り組みは初めてで、社内でも面白かった、よかったというフィードバックが多くありました。
例年、売上1位の商品を、今年は2位の商品が売上で逆転しました。その商品は、KARTEの施策の中でオススメをしており、売上への寄与もしっかりありました。
— 入力フォームでの施策もテストされていますね
酒井:EFO(エントリーフォーム最適化)はいろいろなツールを使ったり、自社開発して、かなり改善を進めてきましたが、まだできることがあると思い、テストをしています。
商品カート画面は、非常に繊細で、ここを一気に変えて売上を落とすわけにはいかないので、慎重に配信率をコントロールして進めています。
最小のターゲットでテストをしてみようということで、5%の割合だけ配信するという設定をしていたのですが、この設定もKARTEだからこそできたことなので、テストとしても非常に助かっています。
フォーム入力の間違いやすいミスを伝える接客例。
KARTEじゃないとできなかったものが、もう一つあります。
「いらっしゃいませ」、「こんにちは」という挨拶を、新規とリピートを分けて出したことです。
この挨拶をするだけでも接客要素を十分満たしています。
コンバージョンが直接上がるわけではないにしろ、お客さんの満足感は絶対にどこかにあると思います。お客様もそういう『人間らしさ』みたいな部分を求めているのですね。
顧客体験は重要なキーになる
— 店舗のような接客ができるというのは、接客を受けるお客様の体験も変えますよね
大橋:やはり画一的な商品じゃなくて、オーダーメードに近い物を提供したいです。
実際に店舗では「どこに持って行くのですか」とか、「どういう人に渡すのですか」みたいなやり取りをして、花を作りますよね。それさえも断ってお任せでと言うと、さすがにお花屋さんに限らず、お客様の満足するものはご提供しにくいと思うのです。
もしも画一化した商品だけだと、欲しかった物が手に入るだけで、本物の満足感は少ないでしょう。
ギフトをやっている以上、我々のお届けする価値は、単に商品を届けるだけではいけないと思います。ただ、当社のサービスの場合は不思議なもので、当社の商品のほとんどは注文している人のところに行かないです。贈られる人のところに行くことになります。
だからこそ、こういうKARTEのようなサービスを通じて、買っている人に少しでも満足してもらわないといけないと思います。
「あれは贈ったし、これも贈ったし、これでいいか」となって選ばれてしまうことが、現状ではきっと多いです。「この花を贈ったら、きっと喜んでもらえる!」というように、積極的に選ばれるギフトになっていくべきと考えています。
そのためにも、やはり顧客体験は重要なキーです。
— 今後実現したいことを教えてください
酒井:あえて今さらなのですが、今だからこそ、消費者の行動パターンについて、今までのO2O(Online to Offline)と違うステージにいかないと、消費者の豊かさにはつながらないと思っています。
実際の店頭で接客して、こういう情報でこういうオーダーをされたというのが、ウェブにもシンクされていて、ウェブに訪れるときにはその情報に紐付いてまた提案される。
ウェブが店舗の情報に紐づく、次は店舗にフィードバックされるというような体験を目指したいです。
そうしないと、サイトはカタログの商品を並べているサイトにすぎず、その商品の提供価値が、早く届くことと安いことぐらいしかなくなってしまいます。
大橋:お届けすることにしか価値を提供できないECサイトは、やはり淘汰されると思います。
そこにヒューマニズムや、かゆいところに手が届くという仕組みがないと、この先EC事業としても成立していかないだろうなと考えています。
画一的なカタログ商品だけのECの時代は、もうすぐ終わると思うので、色々と試行錯誤して、消費者の豊かさのための体験が提供できるサービスを目指したいと考えています。
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