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提供したい体験価値からアプリ活用を考える。新たな食のかたちとスシロー・Chompyの実践

提供したい体験価値からアプリ活用を考える。新たな食のかたちとスシロー・Chompyの実践

25th Aug, 2020

佐々 直紀

佐々 直紀

adjust株式会社 ゼネラルマネージャー

2000年4月からデジタルマーケティングに携わり、オンラインモールのキュリオシティ、Yahoo!ショッピング、ショッピングサーチビカム、リターゲティング・DMPのVizuryにてAE、AM、マーケティング業務を経験。2016年からTUNEの日本法人の立ち上げメンバーとして、本格的にアプリ計測分野に参入、同年11月よりAdjustに参画。数々のスタートアップの立ち上げから軌道に乗せた経験を生かし、ゼネラルマネージャーとしてAdjustの日本オフィスを統括。
大見 周平

大見 周平

株式会社シン CEO

東大法学部を卒業後、2012年4月にDeNA新卒入社。入社後2年間は韓国ゲーム事業に従事し、ソウルオフィスのマーケティングチームの立ち上げ・新規ゲーム開発を担当。2014年4月から新規事業部署に異動となり、自動車領域への投資決定を推進し、Anyca(エニカ)の事業責任者を務める。2017年9月、子会社の株式会社DeNAトラベル代表取締役社長に就任し、2018年に売却を実施。2019年5月にDeNAを退職し、2019年6月に SYN, Inc. を創業。
竹中 浩司

竹中 浩司

株式会社あきんどスシロー 営業企画部 企画課 主任

OA機器販売商社、大手総合通販、建築資材メーカーを経て2015年に株式会社あきんどスシローに入社。アプリやネット注文、QRコード決済やポイントプログラム等幅広い領域で業務に携わる傍ら、常に新しい取り組みを導入するべく各方面からの情報収集に余念がなく、趣味はスポーツ(やるのも観るのも)。夜な夜な足繁くジムに通い身体を鍛える。
高柳 慶太郎

高柳 慶太郎

たかやなぎ・けいたろう

株式会社プレイド 取締役

2005年に新卒で楽天株式会社入社。広告営業、アドネットワーク事業の立ち上げなどを経験。2008年にアジャイルメディア・ネットワーク株式会社に入社し、アンバサダーマーケティング事業の立ち上げ、取締役副社長COOとして東証マザーズへのIPOなどを経験後、2018年12月に退任。株式会社プレイドには2011年の会社設立時から社外取締役として参画し、2019年1月から現職。現在はビジネスサイド全般を管掌している

2020年7月16日に株式会社プレイドが開催したオンラインセミナー「変わる顧客体験。スシロー・Chompyのアプリ活用の最前線 〜 ファンとのエンゲージを深めるアプリ活用術〜」では、回転寿司業界の雄・株式会社あきんどスシロー竹中氏とChompy(チョンピー)を運営している株式会社シンの大見氏にご登壇いただき、ファンを増やすために実践されているアプリ活用術についておうかがいしました。

スシローのアプリには、店舗の利用がより便利になる、受付や予約、ポイントなどの機能が備わっています。国産のフードデリバリーサービスChompyは、先日正式ローンチをし、1時間前に注文するだけで送料無料となる「らくらく便」を開始しました。外食だけではない、さまざまな楽しみ方が広がる飲食業界において、顧客の体験価値向上を実現するためには何を考える必要があるのでしょうか。

セミナーの進行は、adjust株式会社佐々氏とプレイドの高柳が務めました。

「気軽に家でお店の味を」「接触なしにテイクアウトを」拡がる新たな食のかたち

最初のトークテーマは「新型コロナウイルスの状況下でこの数ヶ月アプリユーザーに見られた変化」についてです。

最初に業界全体の変化を確認しました。グローバル全体におけるフードデリバリーアプリのインストール数は、1月から3月にかけて徐々に伸びてきており、4月以降は、インストール数が高止まり状態で落ち着いています。そこでセッション数のデータを見てみると、セッション数に関しては4月以降も上昇傾向にあり、インストールしたユーザーが定着し、継続して利用されていることがわかります。

一方、日本でのデリバリーアプリのインストール数は、グローバルのなだらかな増加とは違い、ある時期に一気に増加しています。この増加タイミングは、緊急事態宣言発令の直後。セッションはグローバルと同じ形で伸びており、日本でもインストール後のユーザーがしっかり定着しているようです。

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同じく株式会社シンが提供するデリバリーアプリ「Chompy」のインストール数も、日本全体でのデリバリーアプリインストール数と同様に伸びています。Chompyは現在、目黒区、渋谷区、港区でサービスを提供しています。新型コロナウイルス前後で利用率が高いエリアに変化があったそうです。

大見氏「エリアの注文数を表したヒートマップに興味深い傾向が見られました。緊急事態宣言が発令されていない3月初旬は、オフィスが集まる渋谷の中心地から注文が多いんです。一方、自粛要請が発令された4月の初旬からは、渋谷の中心地からの注文数がだんだんと減少し、住宅が多い恵比寿などからの注文が増えています。みなさんがワークフロムホームされていることがわかりました。」

市場データや大見氏のお話から、生活者の暮らしにデリバリーという選択肢が浸透してきていることを実感します。一方実店舗を展開するスシローでは、今年6月度のテイクアウトの売上は昨年対比200%を記録しています。これまでは店内飲食:テイクアウトの割合は1:9程度ですが、コロナ禍の4-5月には多く方がテイクアウトを利用したといいます。

竹中氏「スシローには『自動土産ロッカー』と呼んでいるテイクアウト専用のロッカーが設置されています。ネットで事前決済を行えばレジに並ぶ必要がなく、だれとも接触せずにお寿司のテイクアウトが可能。コロナ禍の中、だれとも顔をあわせなくてよいという利点に注目が集まり、メディアにも多数取り上げていただきました。」

顧客視点のアプリ施策が「次も使いたい!」につながる

続いて「顧客のファン化」がテーマに上がり、大見氏が飲食事業におけるヘビーユーザーの重要性を語りました。Chompyの販売総額の8割は、3回以上利用されているロイヤル顧客によるものです。

大見氏「私たちは、新規ユーザー獲得よりも、リピートの獲得に注力しています。どれだけ使い続けてもらえるか、ロイヤル顧客をどれだけ育てられるかが重要です。Chompyを1度利用したあと、1ヶ月程度の期間に4〜5回利用してくれるユーザーがロイヤル顧客になりやすい傾向があることがデータでわかっています。」

Chompyは飲食店と顧客をつなぐプラットフォーム型のデリバリーサービスです。個人経営の飲食店が多く出店されており、知る人ぞ知るお店のご飯を家で楽しめる点を強みとしています。そのためリピート獲得にはパートナーである飲食店の協力が重要だといいます。

大見氏「エンドユーザーにとって一番シンプルな利用動機は、美味しいご飯が届くからです。初回から3回までの限られた利用のなかで、いかにお気に入りのお店を見つけていただくかがポイント。アプリの画面を見て、頼んでみたいと思ってもらえるかどうかは飲食店との連携が肝ですね。」

スシローもChompyと同様に、ロイヤル顧客をどう育て、いかに継続して使ってもらうかを重視されています。

竹中氏「スシローの場合、ミドル顧客やロイヤル顧客になっていただきやすいお客様には、初回来店から40日までに次回来店される傾向があります。」

スシローでは具体的に顧客の利用頻度を高める施策として、ポイントシステムを実施しています。ポイントシステムとは、利用ごとにポイントがたまり、ポイントが貯まるごとに特典がもらえる仕組みのこと。年度ごとに分析を行い、次の特典までの必要なポイント数やポイントごとの特典を調整しながら施策のアップデートを行われています。

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▲スシローアプリの「まいどポイント」では、ポイント数に応じてカードのランクや特典が変わっていく。

特典にはスシローオリジナルキャラクターの“だっこずし”グッズの他にクーポンが含まれています。クーポンをそのまま配らず、ポイントシステムの特典として配布しているのには、理由があるそうです。

竹中氏「ポイントプログラムの利用回数に応じてクーポンを配布することで、よく来店いただくお客様に対するおもてなしの一環としてクーポンの価値を最大化することができると考えています。」

Chompyでは最初の2回分、初回キャンペーンや友人紹介キャンペーンを通してクーポンを配布しています。しかしそれ以降はクーポンを配っていません。クーポンを無闇にたくさん配る施策については大見氏もリスクがあると語ります。

大見氏「クーポンをたくさん配ってしまうと、クーポンがないと使ってくれないユーザーが増えてしまうんですよね。クーポンのユーザーが増えれば増えるほど、通常時の手数料が高くなったり配送料が高騰したり悪循環に陥ってしまいます。」

Chompyはリピート施策において、いかに良いユーザー体験を提供できるかにフォーカスを当てて検討を行っているそうです。その1例として、トップに表示する飲食店のだしわけについてうかがいました。

大見氏「出店してくださっている飲食店のなかには、利用されたお客様のほとんどが満足してくださるようなお店も存在します。初回のユーザーが訪問した際には、そういったお店が検索上位に表示されるようにしています。そのお店だけプッシュし続けると、リピーターとして繰り返し訪れているユーザーは飽きてしまうため、リピーターと若いユーザーでお店の表示を出しわけるようにしています。」

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▲Chompyに掲載されている各店舗には、店舗スタッフのコメントも合わせて記載されている。

顧客に提供したい体験価値を起点に、オンライン・オフラインの連携を

最後は「オフライン・オンラインの連携をどう強化していくか」という今後の戦略についてディスカッションが交わされました。

集客やオンボーディングに関して、Chompyではある数値を基準においているそうです。顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得単価(CAC)のバランスがこの数字に収まっていれば事業として健全であると明示されている市場データを参照し、先進国の飲食事業の基準となっている20〜25ドルを目安とされています。この費用を考える際にはSNS広告やポスティング・CMといった広告費用も含まれ、クーポンの原資も考慮しなければなりません。

大見氏はこのCACを、サービス拡大をともにするパートナーである飲食店にも還元したいと語ります。

大見氏「たとえば日頃オフラインで店舗へ来店されているお客様をChompyに誘導していただくと、最終的にはChompy経由の売り上げも増え、来店も増えるような。広告にお金を投下するよりも、Chompyに関わる配達員や飲食店の経済圏でお金を循環させながら、効率よくユーザーを獲得していく仕組みを実現したいんです。そのためには飲食店というオフラインチャネルとの連携に注力する必要があります。」

アプリがサービス提供の場であるChompy。一方スシローの場合、サービスが提供される場は実店舗であり、アプリのメイン機能は来店の予約です。オンライン、オフラインそれぞれの役割をどのように捉えられているのでしょうか。

竹中氏「お店に行って食べること自体が体験価値であり、店舗や商品、店舗での接客こそ最高のおもてなしだと考えています。実店舗での利便性をあげるためにデジタルやオンラインをいかに活用するかが、私たち本社スタッフの仕事です。」

実店舗でのサービスがメインの外食産業でも、アプリを通じて顧客のエンゲージメント向上やリピート利用につなげることが可能です。

顧客のニーズが多様化するなかでも、スマートフォンはあらゆる人が肌身離さず持っています。異なる業態の2社ですが、両社とも「美味しく食べる」体験を中心に考え、アプリを活用しています。顧客のそばに必ずあるスマートフォンを顧客との接点として活用する可能性を感じたディスカッションでした。

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