CMSは「守りの管理」から「攻めの活用」へ。メンバーズが自社メディアを「Craft Cross CMS」へ移行した理由

株式会社メンバーズは、エンジニア向けオウンドメディア「BEMA」のCMSを国産ヘッドレスCMSとして国内最大級のシェアを持つツールからプレイドが提供する「Craft Cross CMS」へと移行しました。プロジェクトメンバーに、導入の背景と運用の感想をお聞きしました。

Webサイトやアプリ、SNSなど、企業と顧客の接点が複雑化する現代。コンテンツ管理システム(CMS)にも、単にページを作成・公開するだけでなく、データを活用してCX(顧客体験)を向上させる役割が求められています。

株式会社メンバーズ(以下、メンバーズ)は、同社が運営するエンジニア向けオウンドメディア「BEMA」のCMSを、国産ヘッドレスCMSとして国内最大級のシェアを持つツールからプレイドが提供する「Craft Cross CMS」へと移行しました。

なぜ、運用が安定していた他社CMSから乗り換えを決めたのか。移行はスムーズに実施できたのか。同社の メンバーズルーツカンパニー カンパニー社長の武田 潤平さん、フロントエンドエンジニアの岸本 彬さん・荒井 宥希さん、デジタルサービス開発本部の橋本 由菜さん・菅野 芳樹さん・濱松 みのりさんの6名のプロジェクトメンバーに、導入の背景と運用の感想をお聞きしました。

エンジニアの「顔」が見えるメディア「BEMA」

はじめに、今回「Craft Cross CMS」を導入されたメディア「BEMA」について教えてください。

橋本: 「BEMA」は、メンバーズのデジタルサービス開発本部に所属するエンジニアたちがメインに発信するオウンドメディアです。技術的な知見の共有に留まらず、読者から「これが知りたかった」と共感を生む場にすることを目的としています。

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Web制作の現場で感じた「CMSへのニーズ変化」

これまで他社製の国産ヘッドレスCMSを利用されていたとのことですが、なぜ今回「Craft Cross CMS」に注目されたのでしょうか?

武田: 私たちがクライアント企業のWebサイト構築を支援する中で、「CMS」に対するニーズの変化を感じていたことが大きな理由です。
以前は、「サイトを安全に管理する」「更新を効率化する」といった、いわば“守り”の要件が中心でした。一方で最近は、「A/Bテストを実施したい」「顧客に合わせてコンテンツを出し分けたい」といった、マーケティング成果に直結する“攻め”の要望が増えています。

そうした要望に応えるためには、CMS単体で完結するというより、データや他ツールとの連携を前提に考える必要があるのではないか、と感じ始めていました。ページ単位で更新するという従来の前提だけでは、少し考え方を広げる必要があるかもしれない。そんな感覚がありました。

そこで、KARTEシリーズと連携できるCraft Cross CMSに注目されたのですね。

武田: はい。「Craft Cross CMS」は、コンテンツをページとしてではなく、構造化されたデータとして扱う思想があるように見えました。KARTEとの連携も前提に設計されている点は、顧客データとコンテンツを分断せずに考えたいという方向性と重なる部分がありました。

例えば、KARTEと連携して、サイト来訪者の属性に合わせてコンテンツを出し分けたり、生成AIを活用して制作効率を高めたりといったことが可能です。もちろん、この時点で「これが正解だ」と思っていたわけではありません。ただ、自分たちの提案の幅を広げる可能性があるなら、一度自分たちでも触ってみる必要があると考え、自社メディアである「BEMA」で導入してみようと決断しました。

ヘッドレスからヘッドレスへ。移行のハードルは「思ったより低い」

システム移行と聞くと大変なイメージがありますが、実際のプロセスはいかがでしたか?

荒井: まず、移行元のCMSとCraft Cross CMSの機能対応表を作成し、実現可能性を調査するところから始めました。
特に今回は、他ツール(Slack通知など)との連携機能が重要だったため、WebhookやAPIの設定周りを重点的に確認しました。その後、移行プログラムを作成してコンテンツを移し替える流れでしたが、全体として作業はかなりスムーズに進みました。

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CMS移行に伴う主要機能の実現可否と実装方針(株式会社メンバーズ提供資料より一部抜粋・加工)

エンジニア視点で、良かったポイント、つまずくポイントはありませんでしたか?

岸本:システム連携に対する考え方が変わりました。これまでは、Slack通知などのバックエンド処理を行う際、AWS Lambdaなどの外部環境を別途用意して組み合わせる構成を考えるのが一般的でした。しかし、Craft Cross CMSはKARTEのサーバーレス機能である「Craft Functions」を利用できるため、外部環境を構築せずとも、プラットフォーム内だけで処理を完結させることが可能です。

「これまでは外部サービスとの連携が必要だった処理も、Craft Functionsを使えばシンプルに実現できる」という選択肢が増えたことで、構成を検討する際の手間が減り、よりスムーズに開発を進められるようになったと感じています。

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荒井:これまでのCMSとCraft Cross CMSではAPIのデータ構造が異なるため、その変換処理には少し工夫が必要でした。ただ、公式ドキュメントやAPIのチュートリアルが充実していたため、それらを参考にすれば問題なく実装できました。

岸本: 技術的な観点で言うと、「ヘッドレスCMSからヘッドレスCMSへの移行」だったことが、スムーズに進んだ要因だと思います。フロントエンドのコードやデザインテンプレートはそのまま活用し、CMSからデータを取得する接続部分(API)を修正するだけで済みました。今回は、Webサイト全体をリニューアルするものではなかったため、移行のハードルはそれほど高くありませんでしたね。

洗練されたUIと「AI」が、運用のストレスを軽減

実際に記事を入稿・運用している編集部の皆さんにとって、使い心地はいかがですか?

橋本: 第一印象として、管理画面のUIが非常に洗練されていて綺麗だと感じました。
これまでのCMSはエンジニア向けのモノクロでシンプルなデザインでしたが、Craft Cross CMSは色使いやアイコンが見やすく、ビジネスサイドの私たちでも直感的に操作しやすいです。

濱松: 最初は画面構成の違いに戸惑うこともありましたが、すぐに慣れることができました。毎日触る画面だからこそ、デザインが見やすく、気持ちよく使えることは重要だと感じています。

「Craft Cross CMS」ならではの機能で、便利だと感じる点はありますか?

橋本: 生成AI(Copilot)が組み込まれている点ですね。以前は、リッチテキストエディタへの貼り付け時に予期せぬ改行が入ってしまったり、見た目が崩れてしまったりして、その修正に時間がかかることがありました。Craft Cross CMSでは、AIが文章の整形などをサポートしてくれるため、こうした細かいストレスが減り、コンテンツの中身に集中できるようになりました。

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コンテンツの「届け方」まで設計できる時代へ

最後に、Craft Cross CMSはどのような企業におすすめできると思いますか?

武田: 大きく2つのパターンがあると考えています。
1つ目は、記事本数が多いメディアを運営している企業です。
生成AIがCMSに統合されているため、記事の要約作成や校正、タグ付けなどの作業を自動化・効率化でき、運用コストを下げながら質の高いコンテンツを発信し続けられます。

2つ目は、「誰にどんな文脈で届けるか」を重視したい企業です。
例えば、「男性と女性でトップページの画像を変える」「会員ランクに応じておすすめ記事を変える」といった施策を行う際、そのための複数のパターンをCMS側で効率的に管理したいというニーズです。KARTEと連携することで、出し分けのロジックと、その中身となるコンテンツ(素材)をセットで扱えるため、複雑になりがちなパーソナライズ施策も無理なく運用できるのが強みだと感じています。

橋本: 私たちも、単に記事を更新するだけでなく、今後はKARTEの機能を活用して、訪れるエンジニアの方一人ひとりに合わせた記事を届けられるようにしていきたいですね。

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