問い合わせが減り、サービス継続率も上がった!エン・ジャパンの「顧客のつまずきを先回りし自己解決を促す」Webサポート事例
2022年11月10日に行われた「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス in 東京」のセミナー「サイレントカスタマーの行動を把握し、問い合わせ前に課題解決したエン・ジャパンの取り組み」では、エン・ジャパン株式会社が運営する採用支援ツール「engage」でのKARTE RightSupportを活用した取り組みが紹介されました。
「問い合わせ前の顧客行動がわからない」「充実したFAQやチャットボットがあるにも関わらず、問い合わせ数が減らない」――こういったWebサポートにまつわる悩みを解決するプロダクトが、株式会社RightTouchが2022年3月にリリースした「KARTE RightSupport」です。顧客行動を収集・解析し、顧客のつまずきを発見、自己解決に導く施策の実行までを実現できます。
2022年11月10日に行われた「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス in 東京」のセミナー「サイレントカスタマーの行動を把握し、問い合わせ前に課題解決したエン・ジャパンの取り組み」では、エン・ジャパン株式会社が運営する採用支援ツール「engage」でのKARTE RightSupportを活用した取り組みが紹介されました。
セッションの前半では、RightTouch代表取締役の野村修平が、KARTE RightSupportの特徴を紹介。後半では、エン・ジャパン デジタルプロダクト開発本部デジタルマーケティング部チームリーダー/BtoBマーケティング責任者の内山裕英氏が、KARTE RightSupportをengageに導入した背景や顧客のつまずきの見つけ方、具体的な改善方法について語られました。
顧客のつまずきを先回りし、自己解決を促進
KARTE RightSupportは、問い合わせ前の顧客のつまずきを収集・解析し、顧客一人ひとりに合ったFAQや問い合わせ方法を提示して自己解決に導くWebサポートに特化したプロダクトです。2022年3月にローンチし、金融、通信、インフラ、人材、小売など様々な業種・業態で活用いただいています。
KARTE RightSupportを開発した背景には「多くの企業がFAQやチャットボットに力をいれているにも関わらず、適切な顧客に届いていないのではないか」という課題感がありました。
野村「FAQやチャットボットの中から必要な情報を自ら探し出せる方は、ごく一部です。多くの顧客は、そもそも情報を探す気がなかったり、情報を探し出せずに問い合わせをしています。中には、問い合わせ自体を諦めて、サービスから離脱してしまうケースもあります。
Webサイト上の顧客行動を把握し、つまずきに合わせたFAQや案内を提示できれば、問い合わせをせずに去ってしまうサイレントカスタマーも自己解決に導けるのではないか。そういった思いから、KARTE RightSupportを開発しました」
KARTE RightSupportはKARTEの解析基盤を活用しており、導入することで顧客一人ひとりの行動をリアルタイムに計測できるようになります。どのページでつまずいているのか、どこで問い合わせに至っているのかなどが可視化されることで、顧客一人ひとりのつまずきが見えるのです。
そういった顧客の行動から自己解決できそうなポイントを抽出、FAQやチャットボット、チャットサポートへの案内など、お困りごとにあったサポートが提供できるサポートウィジェットを表示し、自己解決に導きます。
野村「顧客のつまずきに合わせたサポートを実施しようとする際、ログインエラーが表示されているなどお困りごとや原因が明らかなケースもありますが、そうではないケースも多いです。例えば特定のページを何度も上下にスクロールしていたり、マウスをカチカチしていたりなど、その行動だけでは、なぜ、どのようにつまずいているかはわかりません。
KARTE RightSupportがあれば、そのような行動を取っている顧客がどのような経緯で特定のページに辿り着いているのかといった行動の流れがわかります。さらにページごとのレポートを見ることで、どれだけ多くの顧客が同じ箇所でつまずいているのか、そこからどのようなカテゴリーで問い合わせにつながっているのかなども把握できます。
問い合わせに至るまでの行動をより詳しく分析するのであれば、動画で顧客行動を見ることができるKARTE Liveも活用できます。一人ひとりの行動を動画で確認していくことで、つまずきの解像度をかなり高められます」
エン・ジャパンではKARTE RightSupportを活用し、Webサイトから問い合わせ数を減らすことに取り組んでいます。続いて、engageでの取り組みについて語られました。
受動的な自己解決で、問い合わせや離脱を減らす
エン・ジャパンが提供する「engage」は、無料で自社採用ページの作成、応募者管理などができる採用ツールで、全国40万以上の企業が利用しています。利用企業数が順調に拡大する中で問い合わせ数も増加し、サポート対応の遅れによって顧客体験が損なわれる懸念がありました。
そこで、顧客の自己解決を促し、そもそも問い合わせをせずに済むような改善をしていくためにKARTE RightSupportの導入を検討しました。2022年6月から本格的に活用し始めた結果、問い合わせ数と問い合わせ率が共に減少傾向にあります。
KARTE RightSupportを導入した背景には「顧客がFAQを能動的に検索するのではなく、受動的に求めている情報をキャッチできるようにしたい」という思いがありました。
内山氏「例えば、ログインエラーを解消しようと思ったら、FAQ一覧の中から自分で回答を探さなければならない。他にも、チャットボットで問い合わせをしても必要な情報にたどり着けず、そのまま離脱してしまうという課題もありました。
KARTE RightSupportを導入すれば、FAQも適切な情報に絞って表示できるようになります。顧客を受動的に自己解決に導けるところが魅力的だと感じました」
KARTE RightSupportを機能させるためには、まずどのようなつまずきが存在し、どのようなサポートウィジェットを表示させていくのかなど、設計を考える必要があります。そこで、engageでは2ヶ月間にわたって顧客がつまずいているポイントを可視化。施策内容を検討していきました。
内山氏「実際に問い合わせが来ているものについては課題が明確で、解決策が見えていました。ですが、サービスに対して不満を持ちながらも問い合わせをしないサイレントカスタマーについては、なぜ離脱しているのかを理解するのが非常に難しかったんです。そこでKARTE Liveで顧客の行動を徹底的に見ることにしました。
入社1年目のメンバー3人を中心に、毎週5社分のKARTE Liveを見て、週次の会議で顧客の行動やつまずいているポイントを共有。そうすると、徐々に顧客がどこでつまずきやすいのか見当がつくようになってきたんです。そこから仮説を立てて、実際にどの場面でどのようなサポートウィジェットの表示が必要かを設計していきました」
具体的な施策として、ログインエラーと求人作成の編集画面における取り組みが紹介されました。
内山氏「ログインエラーが表示されたら、サポートウィジェットで『パスワードを忘れた』『メールアドレスを忘れた』など、顧客のつまずきを分けてお聞きできるようにしました。これまでは『ログインできないので、どうしたら良いですか?』と、漠然とした問い合わせをいただくことが多かったのですが、サポートウィジェットの活用により、問い合わせ率を25%ほど削減できました。
また、求人ページを作成するための編集画面にサポートウィジェットを表示し、入力を支援した結果、求人作成完了率が120%向上しました。
求人作成にあたっては勤務地や給料、雇用形態など項目ごとに注意事項があるのですが、顧客は何に気をつけて書いたら良いかわからず、結果として作業を完了せずに離脱していることが事前の分析で判明。注意事項の説明はFAQページに掲載していたものの、多くの方がその情報を見つけられていませんでした。そこで、編集画面の左側にサポートウィジェットを表示、各項目のFAQを確認しながら求人を書けるよう改善しました」
問い合わせ数の削減が、サービス体験全体の改善に
KARTE RightSupportを活用したengageでのWebサポートを振り返り、内山氏は実感している効果を3つ挙げました。
1つ目は、顧客のつまずきやお困りごとを先回りして解決できるようになったこと。顧客に問い合わせの手間を取らせずに済み、企業側としては顧客対応コストを抑えられています。
2つ目は、入社して間もないメンバーでも顧客目線でWebサポートを実行できたこと。今回、施策を実行したのは主に入社1年目のメンバー。KARTE RightSupportがあれば、専門知識がなくとも顧客行動の分析から仮説立て、施策の立案、実行までしやすいのが大きな特徴だと語ります。
そして3つ目に挙げたのが、カスタマーサポートに限らずサービス体験全体の改善につながっていることです。
内山氏「問い合わせ数を減らすことが元々の目的でしたが、顧客の自己解決に取り組んだ結果、サービスの利用継続率などビジネス指標の改善にもつながりました。やはりengageは、企業が求人を掲載し、実際に応募がくることで顧客満足につながります。KARTE RightSupportを導入した結果、顧客のつまずきを減らし求人作成から採用につなげる一連のサイクルが整えられ、サービス体験の改善につながりました」
KARTE RightSupportで実現する「カスタマーサクセスの民主化」
KARTE RightSupportの導入により、問い合わせ数の削減だけでなく、サービス体験の向上まで実現している同社。今後は、問い合わせ情報を集積してるカスタマーサポートプラットフォーム「Zendesk」とKARTE RightSupportを連携し、より顧客対応の精度を高めていくことを考えています。
内山氏「Zendeskにあるお問い合わせ情報と、KARTE RightSupportの行動情報を紐付けることで、より顧客の行動とつまずきの解像度を上げられると考えています。どのような行動をしている顧客がどのような問い合わせをするかを見ながら、より適切なサポートをしていきたいです」
最後に、内山氏は「カスタマーサクセスの民主化」を目指し、部署の中でKARTE RightSupportを使う人を増やしていきたいと語りました。
内山氏「KARTE RightSupportは、誰でも使いやすいサービスです。始めはマーケティングチーム中心に活用していましたが、そこから顧客対応にあたるカスタマーサクセスチームにも活用の幅を広げました。今後は、プロダクト開発チームにも使ってもらい、プロダクトやサービス設計にフィードバックしていきたいと考えています。
マーケター、カスタマーサクセス、プロダクト開発の3チームが横串でKARTE RightSupportを使うことによって、みんなでより良いサービス体験を作っていきたいです」