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未経験からKARTEを使いこなすには?新卒・知識ゼロから2年間でKARTE運用の成果を出した道のり|KARTE Friends Meetup vol.22

サイト運用未経験で、突然KARTE担当に任命されたエン・ジャパン株式会社 デジタルプロダクト開発本部 三島貴志さん。約2年の運用を通してどのようにスキルをつけ、さらに社内でのKARTE活用を推進してきたのか、お話しいただきました。

「KARTEは、個人を成長させてくれるツールです。Webに関する知識や経験がほとんどなかった私がサイト運用で成果を出し、社内で表彰されたのも、KARTEの活用に励んできたおかげだと思っています」

エン・ジャパン株式会社でKARTEを利用いただいている三島貴志さんは、2020年2月に開催したKARTE Friends Meetup vol.22にて、こんな言葉を残してくださいました。

三島さんは、普段から頻繁にKARTEのミートアップへ参加。個人のSNSでもKARTEの活用方法や魅力について発信してくださっています。社内ではKARTEの活用を推進する“KARTEエバンジェリスト”に任命されるなど、その運用に関して社内外から一目置かれる存在。

今回のミートアップでは、新卒で入社してから2年間KARTEを運用するなかで、どのようにKARTEを使いこなすスキルを身につけ、社内での活用を促進したのかお話いただきました。

KARTE活用の5つのスキル、まず磨くべきは施策の「立案力」

エン・ジャパンは、日本最大級の転職サイト「エン転職」や「エン エージェント 」「AMBI」など複数の人材系サービスを運営。そのうち、複数のサイトでKARTEを導入しています。

複数サイトへのKARTE導入のきっかけを作ったのが、“KARTEエバンジェリスト”として社内でのツール活用を推進する三島さんです。当初、KARTEはおろかWebについてもほぼ知識のない初心者だった三島さんですが、2018年7月のKARTE導入と同時に担当者に任命。今では「KARTEでやりたいと思ったことは、たいてい実現できる」までになっています。

三島さん「UXやCXが何の略語かも分からず、HTMLやCSSの知識もゼロ。とりあえず操作するうちに、やたらポップアップが出るサイトにしてしまうことも…。たくさん失敗しながら、とにかく手を動かし、使いこなせるようになっていきました」

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エン・ジャパン株式会社 デジタルプロダクト開発本部 Webディレクター 三島貴志さん

三島さんは、2年間の実践を振り返り、KARTEを使いこなすためのスキルをまとめて発表しました。

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三島さん「KARTEを使いこなすためには、以下の5つのスキルを鍛えるべきだと考えています。

  1. CXやUXの知識
  2. 自社サイトの理解
  3. KARTEの知識
  4. スクリプト作成
  5. デザイン作成

このうち、CXやUXの知識と自社サイトの理解は施策の「立案力」、その他は施策の「実行力」に分類できます。どれも重要なスキルですが、まず身につけるべきは立案力です。立案力が不十分では、どれだけ実行力に長けていても、そのスキルを活かせません」

三島さんはどのように立案力を伸ばしていったのでしょうか?三島さんはご自身の学習方法もシェアしてくれました。

三島さん「まずはUXに関する書籍を読み、理論を学ぶのがおすすめです。プレイドさんが運営する『XD』など、CXやUXの事例を紹介するメディアを見て事例を知ることも大切ですが、それだけを知っても知識としては定着しません。私も事例だけを読んでいたときは、『この企業は成功してすごいな』と感心して終わっていました。CXやUXの理論を学んでから事例を知ると『ああ、これはあの原理を活用しているのか』と納得し、理解を深められるんです」

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立案力を高めるためには、自社サイトの理解も必要です。これに関して、三島さんは「ユーザーとプロダクトの両方からアプローチする必要がある」と話します。

三島さん「ユーザーのことを知りたいときに活用できるのが、KARTEのアンケート機能です。しっかりとしたアンケートフォームをメールで送って回答をもらうよりも、サイト上で『サイトに求めていることは何ですか?』、『サイトを使う理由を教えてください』といったラフな質問を投げたほうが回答率も高く、結果として多くのデータを得られます。ユーザーが答えやすい場所でライトに質問していき、理解を深めていくのがいいと思います」

プロダクト(サイト)がどのように使われているかを理解するために三島さんが活用したのが、サイト全体の行動データと、リアルタイム解析です。

三島さん「KARTEの管理画面にある『リアルタイム解析』からセグメントを分けて見ると、サイトがどのように使われているのかがわかります。

アンケートによってユーザーを把握し、行動データからサイトの使われ方を知る。両方の理解を深めることで、ユーザーのニーズに合った施策を考えやすくなります」

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加えて三島さんが強調したのが、「手を動かす」ことの大切さ。施策の立案と実行。両方のスキルを伸ばすよう、三島さんは知識を学びつつ、実践機会をつくっていったそうです。

三島さん「社内で『KARTEなら何でもできます!』と言い回り、他の社員から『サイトでこんな接客がしたい』と相談されたら必ず実現する。後に引けない状況を作ることでインプットと実践を繰り返した結果、KARTE活用のスキルを伸ばせました」

活用事例の発信が、他サイトへの導入につながった

試行錯誤の中で自身のスキルを伸ばしていった三島さんですが、その時点でKARTEを導入していたのは、三島さんが運用を担当するサイトだけ。そこからどのような経緯で社内にKARTEが浸透し、複数サイトへの導入に至ったのでしょうか。そのきっかけになったのは、日報での地道な情報発信でした。

三島さん「社員同士がチェックする日報で、KARTEで実施したことやその成果、失敗も成功もひたすら書き続けていました。日報を見た他の事業部から『他サイトでこんなにも成果が出ているから、うちのサイトでもKARTEを試さないか?』と意見が上がってきて。社内全体でKARTEの認知度が上がり、導入するサイトも増えていきました」

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KARTEを導入するサイトが段々と増え、やがてエン・ジャパンでは、多くのサイトでKARTEの利用が始まりました。三島さんの行動が契機になり、社内でのKARTE活用の機運が高まった結果、各サイトのKARTE運用担当者が集まって「施策共有会」が開かれるように。発表担当者を順次回すことにより、共有会までに良い事例を報告できるよう、各担当者の運用のモチベーションが高まったそうです。

三島さんはここからさらに輪を広げ、サイトに携わっているKARTEの運用担当者以外のメンバーにも声をかけ、施策の案を出し合うミーティングを開催。自分とは異なる視点での施策案が多く出てきた経験から「施策立案はチームで取り組むべきだ」と確信を得ました。

三島さん「施策実行の部分をチームで回せるかは、会社の組織体制によると思います。デザインやスクリプト作成は専門的な知識が必要なので、誰彼構わず協力をお願いするのは難しい。

一方、施策立案に関しては、Webサイトに関わっている人であれば多少なりともできるはず。KARTEの運用を一人で担当している人も、施策のアイデア出しなら周りにもお願いしやすいでしょう。施策立案に多くの人を巻き込むことで視点や考え方の引き出しが増え、チーム全体の立案力が上がります」

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同時に、組織で運用するからこその課題が新たに発生することも。エン・ジャパンでは、KARTEの関係者が増えたことによりサイト上の施策数も増え、運用側も「何の接客が、どのページで、どんな条件で走っているのか」が分からない状況に陥ったことがありました。

これが仇となり、サイトでエラーが発生したときに、その原因がサイトとKARTEのどちらにあるのかを調査するのに相当な時間を費やすことに……。以降、KARTEの施策の全体像を誰でも把握できるよう、スプレッドシートで一元管理しています。

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三島さん「シートには、各接客の内容や実施の条件を記入しています。シートの右側にある黒丸(●)の有無により、該当施策がどのページで走っているかが分かるようにしています。KARTEの管理画面でラベルをつけて施策を管理することもできますが、管理画面の見方を教えるコストが発生し、その分手間になってしまう。サイトのエラー発生など不測の事態が起こるリスクを考えても、誰でもすぐに施策の全体像が分かるように整備しておくと安心です」

ここで参加者から、「KARTEの施策管理表をエクセルで作っていますが、各担当者の記入もれが多く発生してしまいます。何を工夫すればいいでしょうか?」といった質問が寄せられました。

それに対して三島さんは、「自分も同じような課題を抱えていた」と明かし、現在トライ中の改善案を紹介。

三島さん「施策提案表と管理表を用意し、担当者に『新たな施策を提案する際は、その内容を提案表に記入してください』と呼びかけています。施策開始後は、提案表の内容を管理表にコピーするだけ。

以前は、施策開始時に管理表へ記入するルールでしたが、それだと『記入しなければならない理由』が薄く、面倒になってつい忘れてしまうんです。現運用では、『自分が考えた施策を実行したい』というモチベーションで自然に施策提案表に記入してくれるので、管理表の運用も上手くいくようになりました」

この回答を受け、質問をした方は「明日から社内で試してみます!」と高らかに宣言。周りの参加者からも納得の声が漏れていました。

Webの知識もほとんどない状態から、KARTEを活用して個人のスキルを磨き、社内での利用浸透を推し進めた三島さん。2年間の学びを糧に、今後の抱負を語ってくださいました。

三島さん「より多くの人が社内でKARTEを使えるようにしたいです。私自身、新卒から約2年間KARTEの運用を任せてもらい、そのなかで自分のスキルを磨けたからこそ、社内でも表彰され、新規事業の担当にも抜擢してもらえました。KARTEを通じて得た思考力や行動力、組織の巻き込み力などを、これからは後輩にも受け継いでいきたいです」

悩みを共有し、お互いにアドバイスを送るーーグループワーク

その後のグループワークでは、個人レベルでの学びを共有するAチーム、組織レベルでの学びを共有するBチームに分かれ、当日の学びや気づきを話し合いました。

AチームにはKARTEの運用を一人で担当する方も多く、「社内でKARTEを浸透させることに苦戦している」という声もちらほら。中には、三島さんの発表を受けて「担当者以外の社員を集めて、施策出しのミーティングを企画します」と意気込みを語る参加者もいました。

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一方、Bチームでは「組織でKARTEを運用する中での悩み」を相談する方も。お互いに初対面とは思えないほど、相手の話にじっくりと耳を傾け、「うちではこんな風にしていますよ!」と具体的なアドバイスを送り合う姿が印象的でした。

イベントの終盤には、KARTEの新機能やアップデートの発表が行われ、懇親会へと突入。お酒が大好きだという三島さんを囲んで、談笑を楽しむひとときとなりました。

今後も定期的にこうしたミートアップを企画する予定です。興味のある方は気軽にご参加ください!

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登壇資料

今回も資料の公開にご協力いただきました。当日参加できなかった方はぜひご覧ください。

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