Event Report

化粧品業界が目指す、顧客に寄り添うためのAI活用とは|化粧品業界限定勉強会レポート

2025年12月、プレイドにて化粧品業界の関係者を対象とした勉強会を開催しました。当日は、化粧品業界におけるAI活用の可能性や、AIを活用したCX向上のためのソリューションが紹介されました。化粧品業界では第一回目となる業界限定勉強会の様子をお届けします。

2025年12月、プレイドにて化粧品業界の関係者を対象とした勉強会を開催しました。当日は、化粧品業界におけるAI活用の可能性や、AIを活用したCX向上のためのソリューションが紹介されました。化粧品業界では第一回目となる業界限定勉強会の様子をお届けします。

顧客の「迷い」をなくす。CX(顧客体験)を起点にしたAI活用の考え方とは

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PLAID ALPHA Data AI Unit 千菅 一真

イベントではまずプロフェッショナルサービスを提供するPLAID ALPHAでData AI Unitに所属する千菅が登壇。AIの急速な発展がCXに与える大きな影響について解説しました。千菅は、CX(顧客体験)の向上は現場の生産性と経営効率を共に引き上げる、事業成長に不可欠な要素であると強調。一人ひとりの顧客と丁寧に向き合い、理解を深めていくことが、結果としてLTV(顧客生涯価値)を最大化させる近道になると語りました。

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しかし、この1年でAI技術が急速に発展した結果、これまで「正解」とされてきたCXのアプローチが通用しなくなってきていると指摘します。

千菅「たとえば、検索の体験一つとっても、半年前はまだキーワード検索にしか対応していなかったと思います。今ではAI Overviewも実装され、自然言語で検索することも増えてきました。こうした体験がどんどんユーザーにとって当たり前になってくると、事業者側がそれに合わせていかない限り、変化に対応できていないサービスや製品はどんどん使われないものになってしまいます」

従来のキーワード検索から、AIが文脈を理解して対話形式で情報を提供する検索体験へとシフトしているように、AIネイティブな体験は顧客の「迷い」をなくし、従業員の「創造の余白」を作り出します。このような変化に対応するためには、CXを起点にAI活用を考える「CXから逆算したAI活用」が不可欠であると千菅は語りました。

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同時に、コスト削減や業務効率化だけを目的としたAI導入では、顧客対応が画一的になってしまい、かえって顧客が離れてしまうリスクがあると警鐘を鳴らしました。CXを向上させ事業成長に繋げるためには、AIをいわば「人間の拡張」ツールと捉え、顧客理解の深化やパーソナライズされた提案などで顧客の体験の質の向上に活かしていく視点が求められます。

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95%が頓挫するAIプロジェクト、その原因と乗り越え方

続いて、千菅は多くの企業がAI導入でつまずく背景について解説。MIT(マサチューセッツ工科大学)のレポート(The GenAI Divide: State of AI in Business Report 2025)を引用し、企業の生成AIプロジェクトの95%がPoC(概念実証)の段階で中断されてしまうというデータを紹介しました。

千菅「我々としては、95%が頓挫する領域として大きく3つぐらい要因があるなと思っています。1つ目が『目的の不在』、2つ目が『データの不在』、そして3つ目が『人材の不在』です」

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これらの課題に対し、プレイドは「CX領域の強い知見」「1st Party Customer Dataの活用」「実装力」という三位一体の価値提供を通じたAI活用を実現すると千菅は説明します。その中核となる新サービスが、単なるデータとしての行動履歴に留まらず、その裏側にある意図、背景、状況や文脈などの顧客コンテクストを自動で理解しようとするAI「Context Lake」です。

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「Conetext Lake」は、企業の持つ構造化・非構造化データを統合し、顧客の意図や背景、行動の文脈といった「コンテクスト」をAIが自動で理解するデータ基盤です。この基盤をもとに、顧客一人ひとりに最適化された体験を提供するAIエージェントである「Context Agent」や、データを可視化し事業トレンドの発見を支援する「Context Cube」などのソリューションを展開します。

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また、こうしたAI機能を柔軟にカスタマイズするための開発基盤として「KARTE Craft」も紹介されました。KARTE Craftを用いて、自然言語で商品を探せる機能の実装例を紹介し、千菅はプレゼンテーションを締めくくりました。

「店頭での常連客への接客」をデジタルで再現するために必要なデータ基盤

千菅の発表に続き、プレイドの化粧品業界チーム・カスタマーサクセスマネージャーの見﨑がAI活用を支えるデータ基盤の重要性についても補足しました。

見﨑「AIで何かを形にする際は、AIにどのデータをインプットして、どのようなアウトプットを出すのかの設計と、インプットするデータが重要です。ですが、そもそもデータもなく、設計もできないという課題を抱えている企業は多くいらっしゃいます。たとえば、データが部門ごとやツールごとに分断されており、AIが学習するために必要なデータが統合されていないケースが少なくありません」

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化粧品業界チーム・カスタマーサクセスマネージャー 見﨑 俊太

見﨑は、生成AIによってデータ活用のあり方が劇的に変化していると指摘。これまでの「バラバラなデータを集めて統合する」というフェーズから、リアルタイムにあらゆるデータが連携し、AIが自律的に動く「Agent Nativeなプラットフォーム Data Platform」へと活用が進む流れが加速していると語りました。

そこで重要になるのが、単なる数字などの構造化データだけでなく、チャットのログやアンケート、店舗カメラの映像といった非構造化データもまるごと管理できるデータ基盤の構築です。KARTEで取得するような顧客の行動文脈までを一元化することで、より深い顧客理解が可能になります。

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つづいて見﨑は、KARTEに新たに搭載される「ファネルレポート」と「ナラティブレポートβ」についてデモを交えて紹介しました。

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見﨑は、化粧品業界特有の商品選択の難しさなど課題に対するAIを活用したアプローチも検討中であり一人ひとりの顧客の文脈に合わせてAI活用によるさらにパーソナライズな提案の実現に向けて開発を進めていると語り、新しい顧客体験への期待を込めて発表を締めくくりました。

現場でのリアルなAI活用についてディスカッション

セッション後には、参加者によるグループディスカッションが行われました。各テーブルでは、日々の業務におけるAIの活用状況や、今後のAI活用に対する期待、そして課題について活発な意見交換がなされました。

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各テーブルのディスカッション内容のシェアパートでは、店頭での接客に強みを持つ参加企業から、今後の具体的なAI活用案が語られました。店頭でのきめ細やかな接客体験をいかにデジタル上でも再現するか、そしてノンコア業務をいかに効率化し、スタッフがより創造的な業務に集中できる環境を作るか。これらは化粧品業界に共通する大きなテーマであり、業界全体のAIへの期待の高さをうかがわせる内容でした。

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イベントの最後には交流会が催され、参加者同士やプレイドの社員が業界の課題や未来について語り合う貴重な機会となりました。

顧客一人ひとりの肌質やライフスタイルに寄り添う体験の提供が競争力の源泉となる化粧品業界。店頭で培われてきた高度な接客ノウハウをデジタル上で再現させる鍵は、顧客の「コンテクスト」を深く理解するAI技術にあります。今回の勉強会は、そのためのソリューションと、それを支えるデータ基盤の重要性を再認識させるものとなりました。

プレイドでは今後も、業界限定の勉強会を実施していく予定です。次回もお楽しみに。

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