「ユーザーを知ることが楽しい」ユアマイスターがKARTE導入から半年間で得られた成果と気付き

ハウスクリーニングやカバン・靴・ジュエリー等の修理・リメイクなどを提供する事業者とユーザーをつなぐECプラットフォームであるユアマイスター。エンジニアの手を借りず素早くPDCAを回す、データをより有効的に活用するためにKARTEを導入しました。導入から半年未満で、複数の施策で成果を出すなど、活用を軌道に乗せられています。活用の工夫や、得られた成果や気付きについてお話しいただきました。

ユアマイスターは、ハウスクリーニングやカバン・靴・ジュエリー等の修理・リメイクなどを提供する事業者とユーザーをつなぐECプラットフォームや、大切なモノのお手入れ方法を紹介するオウンドメディアを運営しています。同社は2021年1月にKARTEを導入し、半年にも満たない期間で、複数の施策で成果を出したり工数を削減できたりなど、活用を軌道に乗せられています。

加えてKARTEでユーザーの行動や属性のデータを見ながら掘り下げることで、より深い顧客理解と仮説構築につながっているそうです。同社が大切にする顧客体験に関する取り組みや、楽しみながらKARTEを活用して成果につなげていく考え方を、マーケティング部リーダーの影本俊介様とKARTE主担当の森寛人様、導入に携わった社長室兼プロダクトマネージャーの久保拓也様と開発責任者の星永亮様に伺います。

エンドユーザーに良い体験を届けるためにパートナー事業者との関係を大切にする

はじめに、ユアマイスターの事業内容について教えてください。

影本:エアコンや水回りなどのハウスクリーニングや、カバンや靴・ジュエリーなどの修理のプロとユーザーをつなぐ「ユアマイスター」と、プラットフォーム上での店舗運営をサポートするツール/アプリ「ユアマイスター パートナー」、大切なモノのお手入れの方法を紹介するオウンドメディア「ユアマイスタースタイル」を運営しています。

私たちはミッションに「人々の大事なものがより大切にされる社会へ」を掲げています。近年だと、モノを売ったり、買ったり、捨てたりするサイクルがどんどん早くなっていますよね。ただ、思い出が詰まったモノは簡単には捨てられないはず。大切なモノを長く使っていきたいと考える人と、それらをきれいに保ったり、リペアしたりするプロフェッショナルをつないでいきたいという思いから、サービスを運営しています。

「人々の大事なものがより大切にされる社会へ」を実現するために、どのような点に注力しているのでしょうか?

影本:「ユアマイスター」はマッチングプラットフォームであり、私たちが直接ユーザーにサービスを提供するモデルではありません。そのため、お客様に誠実に向き合い、安心安全なサービスを提供するために品質を磨き続けられるパートナー事業者様との関係を構築することを意識しています。 登録するパートナー様を厳選したうえで、各社にカスタマーサクセスが伴走しています。

久保:そもそもハウスクリーニングは、対応する人によって、サービスの品質が変わる領域。常に満足度の高いサービスを提供していくためには、パートナー事業者との連携が何よりも大切です。

マッチングプラットフォームの中には、登録料を無料にして多くの店舗を集めているところもありますが、私たちは「共にエンドユーザーに提供するサービスの質を向上させる」という意思表示も含めて、パートナー様から登録料を月額でいただいています。その分、数千社に絞り、支援を手厚くしています。

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社長室兼プロダクトマネージャー 久保拓也様

具体的には、どのようにサポートをしているのでしょうか?

久保:出店のサポートに加え、主にオンラインでの集客ノウハウの提供、プラットフォームでのマッチング支援などを行っています。他にも、パートナー様同士で技術を高め合えるような勉強会の開催や、ノウハウを落とし込んだパートナー様向けツール/アプリの開発、提供も強化しています。

実際に、勉強会や講習会に参加いただいたパートナー様の提供サービスの範囲が広がり売上が増えており、より多くのユーザーに品質の高いサービスを提供できているのではと思っています。

さらに、半期に一度、我々が提供するサポートに対するNPS®️調査を実施しています。有料で登録いただいていることもあり、やはりカスタマーサクセスへの期待値は高い。他のプラットフォームにはないような、ECに関する運営知識やより多くのユーザーにアプローチするためのノウハウなどを、もっと提供していく必要があるということがわかりました。

カスタマーサクセス担当者と頻繁に連絡をとっているパートナー様ほど売り上げが増えやすい傾向もわかったため、サポート組織の増強を決め、連絡頻度を向上するためのアプローチ方法なども考えています。

影本:パートナー様とほぼ同じタイミングで、ユーザーへのNPS®️調査も実施したのですが、その結果を見ても、やはりパートナーとの関係構築が重要だと感じました。

ユーザー側のNPS®️は、作業が無事完了すると高くつけられる方が多いのですが、例えば修理中に家の備品を壊してしまうなどのトラブルが起きると一気にNPS®️も下がってしまう。

トラブルがあった際に私たちができるアフターフォローには限りがあり、現場でお客様と接するパートナー様に委ねる部分が大きい。トラブル時のケアなども含めてユアマイスターの顧客体験を向上させていくためには、パートナー様の協力が必要不可欠なんだとNPS®️からも実感しましたね。

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マーケティング部リーダー 影本俊介様

今後パートナーとの関係をより強化するために実施されたいと考えられていることはありますか?

久保:「サービスを受けるにあたって、ユーザーがどのような点を重視しているか」といった趣味嗜好まで捉えて、可能な範囲でパートナーと共有していきたいと思っています。

サービス内容がニーズと合致していることが最重要なのは当然です。一方で、提供されたサービスは同じでも接客の雰囲気がユーザーの好みに合っているかどうかなどの要素で、満足度が大きく変わるのも事実です。

そういった「接客の好み」などのデータも取得できれば、より精度の高いマッチングや、気持ちのいい利用体験につながる。サービス提供の現場で気持ちいいコミュニケーションが取れたらお客様もパートナー様もうれしいでしょうし、結果としてリピート率も向上するのではと考えています。

パートナー様への支援と、より深いニーズまで汲み取った高精度のマッチングを実現したいと考え、KARTEを導入することにしました。

KARTEによって、「ユーザーを知る楽しみ」が増えた

パートナーとの連携を強化する以外に、顧客体験の向上に取り組むなかで、KARTEの導入を検討した理由を教えてください。

:大きく2つ理由がありました。まずは、エンジニアがいなくても、スピード感を持ってサイトを改善できる体制を整えたかったこと。もともとはエンジニアの手を借りてABテストをしながら、サイト改善に取り組んでいたんです。しかし、サイトの規模が拡大し、トライしてみたい施策が増えるにつれて、エンジニアの工数をかけずに、スピーディで柔軟な実験ができる環境が必要だと考えるようになりました。

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開発責任者 星永亮様

次に、データ活用の観点からです。創業から4年が経ち、パートナー様やユーザーのデータが徐々に集まっているものの、あまり活用できていないという課題がありました。データ分析の基盤を構築し、将来的にマーケティングやプロダクト開発にも活用する必要があると考えたんです。

2021年の1月に導入して、5カ月が経ちました。感触はいかがでしょうか?

影本:サイト改善のPDCAサイクルを速く回せるようになりました。以前は、エンジニアに依頼し調整するところでも時間や作業のリソースを使っていたのですが、KARTEを使うとそれらが全てチーム内で完結するので、工数が10分の1程度に減りました。特にちょっとしたテストは素早く実施して、どのような施策が効果的なのかを探る流れができています。

:合わせて、「ユーザーを知る楽しみ」が増えました。以前使っていたツールだと数字から全体の傾向しか知ることができなかったのですが、KARTEは一人ひとりの動きが見えるんですよね。新しいアクションを実行したときにどんな人が反応してくれたのか、決済画面まで来たのに購入に至らなかった人はどんな人なのかなどを、行動や属性のデータを見ながら掘り下げることで、より深い顧客理解と仮説構築につながっています。

最近はKARTE Liveで顧客のサイト上の動きを見ることで、色々な気付きを得られました。例えば決済方法の選択画面で離脱してしまうユーザーの動きを動画で見ると、決済方法を確認した上で悩んでいる様子を見ることができました。基本的にクレジットカードでの支払いになるのですが、数万円単位のサービスもあるため限度額に不安がある、クレジットカードの利用履歴を残したくないなどのインサイトがあるのかもしれません。こんな風に、ユーザーを観察しながら仮説を立てています。

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KARTE主担当 森寛人様

:データ活用の面では、ビッグクエリに顧客データを貯めているので、そのデータをKARTEの行動データとつなぎ、Webディレクターやマーケターでもアクセスできるようにして、アクションに活用していきたいと考えています。

例えば、ユーザーの画面上の操作やご希望項目のデータを蓄積しながら、それぞれに合わせたコミュニケーションをとれるようにしたいと思っています。

今まさに、オンライン上でユーザーとの様々なコミュニケーションにトライしているところだと思います。具体的にはどのようなアクションをとっていますか?

:ユーザーグループに応じてLPのコンテンツやポップアップを出し分けたりしています。KARTEにはテキストや色を簡単に変えられてほぼそのまま使えるテンプレートが用意されているので、スピーディーに色々なアクションを試すことができていますね。その中で、特に効果が上がったコミュニケーションが2つあります。

1つ目は、サービスの閲覧人数を表示すること。具体的には、「現在このサービスを○人が見てます」というお知らせをページの下部に出しています。

「ユアマイスター」は、まだそこまで知名度が高くありません。その状況でも、他の人も閲覧していることを示せば、ユーザーの信頼感や安心感につながるはずだと考えました。結果、閲覧人数を表示した場合は、しなかった場合に比べて、申し込みされる方が増えました。

2つ目が、「今予約すべき理由」をお伝えすること。CX Clipで取り上げられていたdivさんの事例を参考にしました。

例えば、エアコンクリーニングは毎年5月以降に予約が殺到します。繁忙期が近づくにつれて予約数が増え、パートナーが対応しきれなくなる事象が毎年起きていました。それを解消するために、「5月以降は予約が殺到するので、4月に予約をしたほうが安心ですよ」というポップアップを、エアコンクリーニングのページに表示。すると、4月の予約率が改善し、お待たせしてしまうお客様が減りました。このアクションをエアコン以外の他のサービスでも転用させることも検討しています。

導入から半年間で活用を軌道に乗せられた、KARTE活用のコツ

導入から半年未満でここまでたくさんの試行ができているのは、素晴らしいなと感じています。KARTEを運用する際に、どのようなことを心がけているのでしょうか?

影本:「一人のKARTE職人を育てるのではなく、みんなで楽しみながら活用すること」と「結果にこだわりすぎず、チャレンジのハードルを下げること」ですね。

KARTEやデータの活用を楽しめそうなメンバー複数人を部門横断で集めて、「野球そのものを楽しむ」ことを目的にしている「草野球」にたとえて、「草KARTEユーザー」と呼んでいます。今は、森を中心に15人のメンバーで運用し、メンバー全員が参加するSlackチャンネルを作り、取り組んでみたいアクションや、その効果を気軽に共有しています。

久保:あとは、導入してすぐに「アクションを100個実行してみる」ことにしました。初期段階では、成果が出るか熟考して進めるより試行回数を増やしたほうが、現状の課題なども明確になるのではないかと考えたんです。実際にそれらのアクションをする中で見えてきた課題に対しての次のトライも、誰か一人が主導権を握って行うのではなく、「草KARTEユーザー」で考え改善してきました。

なぜ、多くのメンバーで運用しようと考えたんですか?

影本:最初にKARTEの導入を検討した時に、私と久保と星の3人で、活用したい領域が若干違ったんですよね。それぞれ試したいことがあるならば、誰か一人に集約させるよりも、各部署で担当者を決めて運用する方が、様々な視点で施策のアイデアを出せるし、実行スピードも上がると考えたんです。今は、部署間でノウハウを横展開させながら活用しています。

:検証してユーザーからの反応が良かったことが見えると、すぐに共有してチャンネルで盛り上がるので、士気も高まりますね。

久保:楽しみながら多くのアクションにトライする空気はできてきたので、ここからは「アクションをいかに成果に結びつけるか」が重要です。引き続き、楽しみながら取り組んでいきたいと思います。

「もっと気軽にプロに頼っていいんだな」と思えるような、情緒的なコミュニケーションを探っていきたい

みなさんが楽しみながら顧客体験の向上に取り組んでいる様子が伝わってきました。今後、ユアマイスターの顧客体験をどのようにブラッシュアップしていきたいですか?

影本: 一つひとつのサービスの利用体験を、「お客様が自然と感動してしまう」レベルまで引き上げていきたいですね。それが積み重なって、「ハウスクリーニングなら、ユアマイスターだよね」と自発的に想起してもらえる状態が理想です。

:私は、機能面はもちろん、ユーザーとの情緒的なコミュニケーションを大切にしていきたいです。お客様の中には、「自分でやるべきだと思っているけれど、忙しくて時間がとれない」と悩んでいる方も多くいらっしゃいます。

そういった悩みを抱えている人に対して、「もっと気軽にプロに頼っていいんだな」と思えるようなコミュニケーションを探っていきたいです。

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よりユーザーの感情に寄り添ったコミュニケーションを追求するために、どのようなことが必要だと考えていますか?

:ユーザーが今どのような気持ちを抱えているのかをより知るためにも、データの活用は欠かせないと思います。Datahubにデータを蓄積し、これまで以上にユーザーを知ることに力を入れていきたいですね。

データの分析が進み、ユーザーの解像度が上がってくれば、各々に合わせたパートナーを探しやすくなりますし、そもそもこちらから的確に提案ができれば検索さえいらない状態が実現できるかもしれません。それぐらい、お客様一人ひとりに寄り添った提案をしていきたいと思います。

影本:施策を実行するまでのハードルを低くしたことで、この5カ月間でかなり多くのトライをすることができました。その結果、部分的なCXは向上したと思いますが、ここからは、サービスを受けた後も含めて、一連の流れでの体験価値を高めていきたいと考えています。

顧客体験を磨いた先に、どのような世界を描いているのでしょうか?

影本:純粋に、「自分の住む家や持っているモノを大切にケアしていくこと」を世の中のスタンダードにしていきたいです。

個人的な意見ですが、私自身は入社する前は、ユアマイスターのようなサービスを使おうと考えたことすらありませんでした。ですが、2月に初めてエアコンクリーニングのサービスを使ってみたところ、エアコンの使いごごちが格段に変わったんです。ケアするだけで生き返るモノはたくさんあるはずだし、自分自身の生活の質も高まるのだろうなと実感しました。

かつての私のように、そもそもプロにお願いするという選択肢すらない人も少なくないと思います。だからこそ、顧客体験を向上させてサービスを広めていくことで、個人の生活を豊かにする一歩を届けていきたいです。

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