KARTE STAR 2026 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社QVCジャパン

KARTE Friendsのチャレンジを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR」の受賞企業が2026年も決定しました。KARTE STAR 2026の「GOLD STAR」を受賞したのは、テレビショッピングを中心としたマルチプラットフォーム通販企業、株式会社QVCジャパンのみなさまです。

KARTE STARは、顧客の体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)に取り組むKARTE活用企業(KARTE Friends)のチャレンジを表彰する年に一度のアワードです。KARTEとともにチャレンジを続け、輝きを放つKARTE Friendsに進呈する賞であることから「KARTE STAR」と命名しています。

KARTE STARの詳細に関しては下記のプレスリリースをご覧ください。

今回のQVCジャパン様の「GOLD STAR」選出において特に高く評価されたのは、顧客のインサイトを起点とした「お気に入りブランド機能」の開発、組織を横断した「クーポン体験」の抜本的改善、そして若手メンバーの挑戦を後押しする文化の醸成という3つの大きな変革を推進した点です。

PLAID ALPHAとの協業もあって実現した変革と事業成長と人材成長を同時に実現した道のりについて、プロジェクトを推進したみなさまにお話を伺いました。

プレイド、KARTE活用企業のチャレンジを表彰する「KARTE STAR 2026」を発表

「ここまでKARTEを使い倒している企業はいない」という自信を胸に応募

この度は「GOLD STAR」の受賞、誠におめでとうございます。今回、KARTE STARへ応募された背景や想いについてお聞かせください。

津隈:きっかけは、プレイドさんのプロフェッショナルサービスである「PLAID ALPHA」のメンバーからのお声がけでした。「QVCジャパンさんもGOLD STARを狙えますよ」と背中を押してくださったことが後押しになりました。

私たち自身も「ここまでKARTEを活用して、ここまで多角的に成果を創出できている企業は、他になかなかないのではないか」という自信があったので、エントリーを決意しました。その自信の源泉となったのが、この2〜3年で拡充してきた「お気に入りブランド機能」です。この機能が育ってきたことで、QVCジャパンに今までなかったデータが生まれ、KARTEのデータベースの中に活用できる形で蓄積されていきました。

お客様が欲しいと思っている情報を滞りなくお届けできる新しいサービスを生み出せたという実感、そしてそれを弊社だけで作り上げたのではなく、プレイドのみなさんとディスカッションしながら作り上げたという経験が、大きな自信につながりました。

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株式会社QVCジャパン 津隈 真歩氏

今回のエントリーでは「3つの大きな変革」をテーマに掲げられています。どのような変革を進めていったのでしょうか。

津隈:施策の具体的な内容については各担当者から説明させていただきますが、大きく分けて3つの変革を進めました。

  1. お気に入りブランド機能の開発とMAツールのKARTE Messageへの移行
  2. お客様の「困った」を起点とした、KARTE Craftを用いたクーポン体験の改善
  3. 若手メンバー主体のAI要約レビュー機能の実装

これらが私たちの取り組んだ主な変革です。

チームとして特に大切にしていたことは何でしょうか?

津隈:私たちのチーム、そして会社全体としても、常に『お客様目線』を何より大切にしています。Webサイトの情報はどうしても、企業側が見せたいものや伝えたいことが優先されがちです。

しかし私たちは、KARTEを活用してお客様一人ひとりの状況を深く理解し、サイト内だけでなく、メールやアプリのプッシュ通知といったチャネルを横断して、その方に最適な情報を一貫してお届けすること。これを自分たちのミッションとして掲げています。

このミッションを達成するためには、お客様が何を欲しているかを正確に把握する必要があります。その点において、2018年に導入したKARTE Datahubは大きな転機でした。ここでWeb上の行動データと社内の売上などのデータの連携が進められ、その後KARTEの利用が加速したことで、Web・アプリ・メールといったチャネルをまたいでお客様を一人の方として認識できる、いわゆる"100%ID一致"の状態に近づくことができました。お客様のニーズが可視化できるようになったことが、今回の3つの取り組みを実現できた根本にあると考えています。

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検索キーワードの発見から生まれた「お気に入りブランド機能」

「お気に入りブランド機能」はどのような背景で開発されたのでしょうか。

田部:この機能が生まれたきっかけは、お客様のサイト内検索キーワードを分析したことでした。調べてみると、検索キーワードの大部分が「ブランド名」だったんです。QVCはテレビショッピングの会社ですので、お客様がテレビで見て気に入ったブランドをサイトで探しに来てくださっている。にもかかわらず、その「好き」を起点にした情報のお届けの仕組みがなかった。そこで、お気に入りのブランドを登録していただき、そのブランドに関する情報をプッシュ通知やメールでお届けする機能を開発しました。

導入初月から着実にファンを増やし、プッシュ通知などの機能を拡充したことで、1年半で登録者数は導入時からは考えられない規模へと急成長しました。

施策の精度にもこだわり、実施したA/Bテストの過半数で有意な改善を確認。全社的な売上底上げに寄与する大幅なアップリフトを継続的に創出できています。

また、お気に入り登録者の購買単価は非登録者と比較して明らかに高く、LTV向上への寄与も明確です。この取り組みはQVCのグローバルネットワークの中でも高く評価され、ヨーロッパチームからは「Japan had been the most advanced(日本が最も進んでいる)」というフィードバックをもらいました。

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田部:この一連の開発ではPLAID ALPHAのチームに大変お世話になりました。やりたいことの中で、「これをプレイドさんにお願いして、これは社内でやろう」といった仕分けをしながら進めるのですが、どんどん成果物の質が上がっていき、「次はこれもできるんじゃないか」とワクワクしながら進められました。

この機能を最大限に活かすため、MA(マーケティングオートメーション)ツールをKARTE Messageへ移行するプロジェクトも並行して進められたそうですね。こちらは大変なご苦労があったとか。

長内:正直、当初は以前のMAで行っていたことを単純にリプレイスすればいい、という考えでした。しかし実際に着手してみると、ツールの仕様の違いや社内データの持ち方など、想定外の課題が次々と発生しました。

第一目標としていたスケジュールまでにリリースを完了できなかったことは残念でしたし、反省点も多くあります。ですが、その過程でプレイドのメンバーの方々が本当に親身に対応してくださったことが印象に残っています。

結果的に、以前はブラックボックス化していて手が出せなかった部分が明確になり、新しい施策が可能になるなど、プラスの面も多くありました。移行後はメール開封率が向上し、配信にかかる時間もそれまでの1時間半から20分へと大幅に短縮されました。また、副次的な効果として、メール受信者数も前年比で想定以上に増加しました。仮説とはなりますが、以前の配信ツールではハードバウンスでエラーとなっていた送付先にも送れるようになったことや、KARTE Messageの利用によってメールの信頼性が向上したことでメールの解除数が減ったことが要因だと考えています。

リプレイスの期間は非常に苦しかったですが、この経験を通じて私たちも一緒に成長できる素晴らしいチームだと実感できました。

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株式会社QVCジャパン 長内 禅氏

お客様の「困った」を起点に、クーポン体験の改善を推進

お客様の「困った」を起点にしたクーポン体験の改善では、ITチームなど他部署を巻き込んだ大きな改革になったそうですね。

笠井: まず前提として、QVCにはクーポンの種類が複数あります。QVC側のシステムで事前にお客様に付与するクーポンは購入導線に自動で表示されるのですが、KARTEを通じて配布するくじ引きクーポンやルーレットクーポンなどは、該当の商品ページかキャンペーンページでしか確認できませんでした。お客様からは「さっき見たクーポン、どこで確認すればいいの?」という声が寄せられていて、これを解決するために、まずマイページでクーポンを一覧で確認できる仕組みをITチーム・UXチームと連携して構築しました。

私が担当したのは、その運用を効率化する部分です。他のツールとKARTE Craftを連携させ、元データ側を更新するだけでクーポン施策などが自動的に実装される仕組みを構築しました。この取り組みを始めた当初は、そもそも「KARTE Craftで何ができるのか」というところからのスタートでした。社内の課題とどう結びつけるかを考えるのに苦労しましたが、プレイドさんのソリューションブログに掲載されている事例が大きなヒントになりました。

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株式会社QVCジャパン 笠井 大輔氏

そこにコードまで掲載されていたので、ほとんど問い合わせをすることなく、ソリューションブログを頼りに実現できました。この仕組みにより、従来1時間かかっていたクーポン登録作業が約30分に短縮され、工数を50%削減できました。さらに「あの連携の仕組みを使いたい」という声が他チームからもあがり、2026年の最重要戦略「Kirei Mirai」プロジェクトでも活用が決まっています。Kirei Miraiは、50代から60代の女性のお客様に向けて、従来のカテゴリ別ではなく、お肌や生活のお悩みといったライフスタイル軸で商品や情報を提案する新しい取り組みです。この経験を通じて、KARTE Craft活用の大きな可能性が見えたのは良かったと思います。

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クーポン体験の改善を通じて、ITチームとの関係にも変化があったと伺いました。

笠井: はい。以前はITチーム側にKARTEへの馴染みが薄い部分もあったのですが、お気に入りブランド機能やクーポン改善の成果を見て、ITチームから「このデータもKARTEに連携すれば、自社側のクーポン表示の課題もプレイドさんとの協業で解決できるのでは」という言葉が出てきました。

実は、自社システム側のクーポン表示にも改善したい課題があったものの、リソース不足で手が出せなかったそうです。KARTEとの連携に可能性を感じてもらえた瞬間で、来期は自社側のクーポンデータもKARTEに連携し、お客様のクーポン体験全体を改善していく計画が動き始めています。

KARTEを活用した活動の歴史については、こちらの記事でも紹介しています。

利用歴9年のQVCジャパンが語る、伴走支援を受けながら戦略的にKARTEを活用する方法|KARTE Friends Meetup vol.40

「やってみたい」を後押しする文化と若手の挑戦

QVCジャパンのチームには、個々のメンバーが自発的に課題を見つけ、挑戦できる文化があるように感じます。

:そうですね。チームメンバーから自発的に「こういうことをやってみたほうがいいんじゃないか」と湧き上がってきたものを、みんなで精査して実行していくスタイルが今の時代に合っていると考えています。たとえば昨年は「AIを活用した施策は何かできるだろうか」というチャレンジングなテーマを掲げていました。そうした中で、水野がKARTE Craftを活用した新しい施策に自主的に取り組んでくれました。

AIレビュー要約機能の開発ですね。技術的なバックグラウンドがない中での挑戦だったと伺いました。

水野:はい。私たちの部署はエンジニア組織ではなく、あくまでマーケティング組織なので、領域をまたいだ挑戦でした。特にKARTE Craftは社内に前例や知見がなく、大変な部分も多かったです。モチベーションを維持できた理由の一つは、周りにテクノロジーに詳しいメンバーがいたこと、そして「これができたら自分の武器になる」と思えたことです。

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株式会社QVCジャパン 水野 稔氏

正直、コードを1から100まで理解していたわけではなく、AIに頼りながら、デプロイを80回前後繰り返して対話するように作り上げました。大量のレビューを要約する大規模処理に挑戦する中で、タイムアウト問題、並列実行の概念、トークン管理という3つの技術的ハードルを乗り越える必要がありました。

KARTE Liveでお客様がレビューを読むのに苦労している姿を確認できていたので、その課題を解決しつつ、自身の成長にもつなげられたのは、とても良い経験でした。この機能は、2025年12月から、対象ユーザーの半数にのみ表示するA/Bテストを開始しています。

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新卒1年目の足立さんも、A/Bテストで売上の大幅リフトアップという素晴らしい成果を出されています。

足立:昨年このチームに配属され、KARTEをはじめさまざまなツールに触れる機会に恵まれました。売上の大幅リフトアップを達成したA/Bテストについても、他のチームメンバーにサポートしてもらったおかげです。

カート画面でプライスタイプ情報(当日限定価格や期間限定価格などの価格区分)が表示できていないことに気づき、声を上げたところから始まりました。KARTEがあったおかげで、現状の把握から施策の開始まで通常2〜3ヶ月かかる施策を1ヶ月で実現できました。結果、プライスタイプ情報の帯を追加したことで購入率が大幅にアップしました。今後は、自分自身で実装までできるようになることが目標です。

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株式会社QVCジャパン 足立 優奈氏

顧客の関心を起点に、さらなる顧客体験の向上を目指して

PLAID ALPHAをはじめ、多くのメンバーがプロジェクトに関わらせていただいています。多くの関係者と協業するうえで重視したポイントがあれば教えてください。

:大きく3つのことを重視しました。まずは「認識合わせ」です。当社はテレビショッピングも行う物販ECという特殊な事業形態なので、サービスの特性、顧客層、抱えている課題、重視している指標、さらには社内用語の意味まで、徹底的に共有しました。

次に「目線合わせ」です。昨年は毎週、今年は隔週で定例ミーティングを実施し、多岐にわたる取り組みの全体像を把握し、優先順位付けや交通整理を行っています。

そして最後は、発注元と受注先という関係性を超えた「一体感の醸成」です。長く一緒に取り組んでいくうえでは、社員も社外の方も垣根なく、自分のことのように喜び、悔しがれる関係性が重要だと考えています。時には雑談も交えながら、一緒に取り組んでいるメンバーという意識でコミュニケーションを取ることを心がけていました。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

:昨年リリースしたお気に入りブランドやお気に入りゲストといった機能は、お客様の関心を起点に情報をお届けするものです。これらが多機能になるほど、お客様には複雑に見えてしまう可能性があるので、いかにわかりやすく、使いやすくしていくかが一つの大きなテーマです。また、Webやアプリだけでなく、お電話でしか購入されないお客様へどうアプローチしていくかという課題にも取り組んでいきたいと考えています。

そして今後の大きなテーマとして、お客様の行動をより活性化させるための新しい仕組みづくりも進めています。Webサイトやアプリでのさまざまな行動が、お客様にとってのメリットにつながっていくような体験を、これからもみなさんと一緒に作っていきたいですね。

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