「クラシルリワード」の成長を牽引する高速PDCA。「まず試す」文化とデータ活用の実践
dely株式会社が運営する「クラシルリワード」では、KARTEを活用することで、開発とビジネスが一体となった高速PDCAサイクルを実現。一人ひとりのユーザーに最適化されたコミュニケーションと、データドリブンな意思決定により、事業成長を加速させています。KARTE活用の実態と成果についてお話を伺いました。
dely株式会社が運営する「クラシルリワード」は、2022年7月にリリースされた買い物サポートアプリです。レシピ動画サービス「クラシル」で培ったノウハウを活かし、日常の買い物をお得にする新たなサービスとして、240万MAUを超える規模へと成長しました。
同サービスでは、KARTEを活用することで、開発とビジネスが一体となった高速PDCAサイクルを実現。一人ひとりのユーザーに最適化されたコミュニケーションと、データドリブンな意思決定により、事業成長を加速させています。
今回は、クラシルリワード アフィリエイト事業部 部長 栗原 聖さん、開発ビジネスユニット PM Team リーダー 小川 徹也さん、クラシルリワード アフィリエイト事業部 ディレクターチーム リーダー 土屋 友紀恵さんに、KARTE活用の実態と成果についてお話を伺いました。
クラシルリワードが目指す顧客体験とKARTE導入の決め手
クラシルリワードのサービス概要やミッションについて教えてください。
栗原:クラシルリワードは「Every Step、 Every Reward」をサービスミッションに掲げ、お買い物をまるごとお得に変えるアプリです。移動距離や電子チラシ(クラシルチラシ)の閲覧数、お買い物後のレシートの送信数に応じてポイントを獲得し、さまざまな特典と交換することができます。
このクラシルリワードには複数のビジネスモデルがありますが、その一つが「アフィリエイト」です。アプリ内に掲載された商品やサービスの広告をユーザーが閲覧し、実際に購入や申し込みを行うと、その成果に応じてクラシルリワードに報酬が支払われる仕組みです。
アフィリエイト事業部は、クラシルリワードが提供する「お得な購買体験」の中でも、特にオンラインでの購買支援を担っています。広告主からの報酬単価(仕入れ単価)の向上や、コンバージョン率の改善による売上最大化に加え、ユーザーごとの嗜好や行動に合わせた最適な広告配信によって、使いやすく満足度の高い購買体験の実現を目指しています。
KARTEの導入を決定した決め手は何でしたか?
栗原:クラシルリワードのMAUは240万人超と非常に多く、他のポイント還元サービスと比べても規模の大きなサービスです。このような大規模なユーザー基盤に対して良質な体験を提供していくためには、ユーザーの属性や行動に応じて適切なアフィリエイト案件を届けることが不可欠だと考えました。 その実現には、ユーザーセグメントの設計・管理における「柔軟さ」と、施策実行・改善の「スピード」が重要になります。そうした中で、KARTEはユーザーの行動データをもとに柔軟なセグメントを設計でき、リアルタイムな施策実行や改善にも強みがあると感じたため、導入を決めました。 やりたいことの実現に向けて、導入前からプレイドのご担当の方が親身に相談に乗ってくださった点も、KARTEを選ぶ大きな決め手のひとつでした。

クラシルリワード アフィリエイト事業部 部長 栗原 聖氏
小川:開発観点では、アプリのアップデートを行わずに外観や動作を変更できる「設定値配信(※)」を活用することで、ユーザーごとの出し分けが可能になる点が大きなメリットでした。さらに、アプリ内配信用の管理画面を新たに開発する必要がなく、その工数をほぼゼロに抑えられる点も魅力的でした。 また、事業を成長させていくうえで重要なのは、開発力だけでなく、現場の運用力も活かせる構造になっていることです。そのためには、現場主導でPDCAを高速に回せる環境づくりが欠かせません。KARTEの導入によって、まさにそのような環境を実現することができました。
※設定値配信:アプリのアップデートをユーザーが行わなくても、アプリのネイティブの要素であるバナーや文言をKARTE上から変更できる機能
KARTEが柔軟にターゲティングを行うための基盤に
KARTEをどのように活用しているかを教えてください。
栗原:導入直後は、まずポップアップ、プッシュ通知、メルマガなどでユーザーへの価値提供を目指し、多くの施策を展開しました。施策に慣れていく中で、徐々にユーザーごとの体験を最適化する方向にシフトし、現在はアプリのUIもKARTEで出し分ける施策を実施しています。
小川:広告配信のターゲティングにもKARTEを活用しています。クラシルリワードではGAM(Google Ad Manager)を使って広告を配信していますが、GAM側にクラシルリワードの詳細なユーザーデータを直接連携するのは難しく、柔軟なターゲティングが課題でした。
KARTEであれば、自分たちでクエリを書いてきめ細かくターゲティングを行うことが可能です。たとえば、特定の画面をタップしたユーザーに対して設定値配信を行い、その設定値に基づいて広告リクエストを送り、特定の広告を表示させるといった形で、アドネットワークとKARTEの連携による高度な配信を実現しています。
開発の立場としては、KARTEはもはや単なるCRMツールというよりも、他のツールと組み合わせて柔軟なターゲティングを行うための基盤として活用している、というのが今のフェーズです。

開発ビジネスユニット PM Team リーダー 小川 徹也氏
土屋:ディレクターチームにはデザインやマーケティングといった業務の経験者が少なく、KARTEのようなCRMツールを初めて利用する人も多いです。そんなメンバーが初めて利用する場合であっても、KARTEは何ができるかが直感的にわかりやすい。私自身も入社当初から施策を次々と実行でき、利用のハードルを感じることはありませんでした。
チームにもたらされた「速さ」がKARTEの成果
成果が出た施策や印象に残っているエピソードを教えてください。
土屋:ディレクターの立場として印象に残っているのは、アンケートでユーザーのニーズや好みを調査し、そのデータをKARTEに連携し、ユーザーIDを基にした出し分け施策です。KARTEのポップアップでアンケートを取るとUUIDも取得できるうえ、外部アンケートのデータもCSVで連携可能なため、多様な形でセグメントを作成できて非常に役立っています。

クラシルリワード アフィリエイト事業部 ディレクターチーム リーダー 土屋 友紀恵氏
栗原:セグメントを柔軟にカスタマイズできるようになったことで、コンバージョン率の向上にもつながっています。とあるECサイトの案件において、以前はすべてのユーザーに対して一律の訴求で露出を行っていましたが、現在はそのECサイトをよく利用しているユーザーをセグメントし、商品ジャンル(コスメ、日用品、食料品など)まで具体的に訴求する配信を実施しています。その結果、コンバージョン率が大きく改善された事例も生まれました。
KARTEを利用してみて、印象深い変化はありますか?
土屋:ディレクターチームでは、仮説を検証し、その結果得られたインサイトを開発チームやビジネスチームに迅速に共有しています。
「これは設定値配信で対応すべきか、開発が必要か」「このユーザー傾向を踏まえてクライアントと単価交渉できないか」といった判断をスピーディーに行えるようになりました。個別の施策成果というよりも、この“改善サイクルの速さ”こそがKARTE導入の大きな成果だと感じています。
小川:KARTEがあれば、数時間〜1日単位でも仮説検証を行うことができます。開発側としても、まずKARTEでスモールスタートし、効果が確認できたら本格的なアプリ実装に進むという流れが定着しています。KARTEの柔軟性は、スピード感をもって価値を届ける上で非常に大きな強みだと感じています。
さまざまな施策を実行されてますが、どのようにアイデアを出していますか?
栗原:アイデアの出どころは特に形式化されているわけではなく、オフィスやSlackでのカジュアルな会話の中から生まれることが多いです。
「最近、他社ではこういう動きがあるよね」「うちの場合はこう対応できるかも」といった雑談の中で、確度の高そうなアイデアがあれば、すぐに試してみるようにしています。
「後で検証しよう」と言って実行されないアイデアが積み上がってしまうことが、一番避けたい事態です。良いアイデアがあれば、できるだけ早く小さく試し、検証結果から学んで次につなげる。このサイクルを回し続けることが重要だと考えています。PDCAで言えば、「Do」を起点に考えていくイメージですね。KARTEはまさに、この「Do」のスピードと柔軟性を強力にサポートしてくれるツールだと思っています。

開発観点では「まずKARTEで」が方針。インフラのような必須ツールに
施策の結果はどのように共有したり、蓄積したりしていますか?
栗原:週に1回、「仮説・結果・考察・次のアクション」というフォーマットで施策の報告を行っています。結果はSlackに投稿する運用としており、過去の事例を振り返る際もSlackで検索することが多いです。
また、情報が可視化されていることでプロジェクトメンバー間での意見交換が活発になったり、その場で次の施策の方針が決まるなど、スピーディーな意思決定にもつながっています。ドキュメントでの整理も選択肢としてあり、必要に応じて行っていますが、現時点ではSlackを中心とした共有が、実行力の高いチーム運営につながっていると感じています。
KARTEの社内での普及状況はどうですか?
栗原:社内ではKARTEの活用がかなり浸透してきており、施策を検討する際にも「まずはKARTEで実現できるかを考える」というのが自然な流れになっています。Slackなどの業務インフラと同様に、日々の運用において欠かせないツールの一つとして定着してきていると感じています。とはいえ、すべての機能を使いこなせているわけではないため、社内では継続的なナレッジ共有にも取り組んでいます。たとえば、設定値配信の機能自体は知っていても、ユーザーごとに出し分ける具体的な方法を知らないメンバーもいるため、実際の事例とあわせて共有することで理解が深まり、活用の幅が広がっています。
今後、KARTEをどのように活用していきたいですか?
小川:「ゴール」機能をもっと活用していきたいと考えています。ECサイトでは購入がゴールになることが多いですが、クラシルリワードではチラシの閲覧やレシート提出など、複数のユーザー行動が「ゴール」として設定されます。それぞれの施策がどのゴールにどのような影響を与えているのかを、管理画面上で一目で把握できるようになれば、効果的な施策の判断に役立つと期待しています。
土屋:KARTEを通じて、現場の誰もが施策の仮説立てから検証、改善までをスピーディーに回していける環境を整えていきたいと思っています。個人が裁量を持って動けるようになることで、チーム全体の運用力も大きく向上するはずです。
栗原:私たちは、KARTEを使いこなしながら自らPDCAを回し、事業を前進させられる人材こそが「グロース人材」だと考えています。そうした人材が自然と育ち、チーム全体が自律的に動けるようになれば、アフィリエイト事業の非連続な成長も十分に実現できると信じています。これからもKARTEを最大限に活用しながら、そうしたチームづくりを目指していきたいです。