チャットで顧客理解を深め、“ココロオドル”出会いを共創する。ウォンテッドリーのめざすtoBカスタマーサポート
「シゴトでココロオドルひとをふやす」をミッションに掲げ、企業と個人、として個人同士が出会い、つながり、つながりを深めるビジネスSNSを運営する、ウォンテッドリー株式会社では、2020年にKARTEのウェブチャット機能を使い、チャットサポートを立ち上げました。KARTEを活用し、どのように顧客の理解を深め、状況や課題に合わせたサポートを行なっているのかをお伺いしました。
「シゴトでココロオドルひとをふやす」をミッションに掲げ、企業と個人、として個人同士が出会い、つながり、つながりを深めるビジネスSNSを運営する、ウォンテッドリー株式会社。
2018年、「より顧客に寄り添うコミュニケーションを図る」ため、企業ユーザー向けの管理画面にKARTEを導入。2020年には、KARTEのウェブチャット機能を使い、チャットサポートを立ち上げました。
KARTEを活用し、どのように顧客の理解を深め、状況や課題に合わせたサポートを行なっているのか。その先に実現したい顧客体験の姿とは。サポートチームのリーダー副島さつき様に伺いました。
“共感”を軸に個人と企業が出会い、つながる世界へ
まずはウォンテッドリーの事業内容について教えてください。
副島:私たちは「シゴトでココロオドル」状態を、「ビジョンや想いに共感できる企業と出会い没頭し、成果を重ねて、継続的にやりがいを感じられること」と定義しています。その状態にある人を増やすため、個人と企業が共感によって「であい」「つながり」「つながりを深める」ためのプロダクトを展開しています。
今は主に二つのプロダクトを提供しており、一つ目は会社訪問アプリの「Wantedly Visit」。給料や福利厚生などの条件だけではなく、ビジョンなど思想への共感を軸にした求職、採用を支援しています。
個人ユーザー様は、興味のあるキーワードや職種で、企業や仕事を検索し、気軽に話を聞きに行くことができます。企業ユーザー様は、自社のビジョンや思想、やりがいなどを発信し、それらに共感してくれる個人を探せます。直接個人にスカウトを送ることのできる有料プランも提供しています。
二つ目が名刺をきっかけにつながりを構築するつながり管理アプリの「Wantedly People」です。これは、仕事で名刺を交換した人とつながり、肩書き以外の情報を通して、関係を深めるためのプロダクトです。また現在Wantedlyの基盤であるプロフィールの大幅刷新を進めております。年内にはほぼ全てのユーザー様のプロフィールが全く新しいものになり、職務経歴的な情報に加え、これまで取ってきた行動やその時の想い、そしてこの先やりたいことを豊かに表現することができるようになります。
一部の人の為のものと捉えられがちだった仕事のポートフォリオを全ての職種の人が持てるようにすることで、リモートワークが普及した社会においてもよりスムーズなつながりを作っていきたいと思っています。
プロダクトを育てていくうえで、サポートチームとして、副島さんご自身としては、どのような業務を担っているのでしょうか。
サポートチームは、ウォンテッドリーの展開する全プロダクトの問い合わせに対応しています。私自身は、チャットでの問い合わせ対応に加え、サポートチームの業務改善や仕組みづくりなどを担っています。
仮説検証を重ね、顧客の困りごとへの理解を深める
Wantedlyの企業ユーザー向けの管理画面にKARTEを導入したのは、どのような理由からだったのでしょうか?
KARTEを導入したのは、元々サポートチームではなく、企業のカスタマーサクセスを担うチームだったんです。ちょうど同じタイミングで、私もカスタマーサクセスを担うチームにジョインし、KARTEを利用した施策を行ってきました。
導入理由としては、企業ユーザー様に対し、Wantedlyの機能や活用方法を伝えるコミュニケーションを強化したかった背景だったようです。 特に当時は、管理画面でのアクションが少なく、募集公開などにいたっていないお客様が多いことを懸念していました。そういった方も、スムーズかつ活発にWantedlyを活用できるよう、ポップアップやプッシュ通知などで話しかけたいな、と。
KARTEは他のツールに比べてスピーディーに導入できる点と、お客様の状況や行動を理解し、それに応じたタイミングや内容でコミュニケーションを柔軟にできる点に惹かれました。
企業ユーザー向けの管理画面でKARTEを活用していて、特に手応えを感じた施策はありますか?
初回利用のお客さまへのポップアップを通じて、募集公開までの案内をおこなったコミュニケーションですね。
求人募集の公開にいたっていないお客様のなかには、「Wantedlyを使い始めたばかりで、次に何をすべきかわからない」という方がいるだろうと仮説がありました。そこで、管理画面に初めてログインしたかつ募集を公開していない方に「募集公開までの3ステップをまとめた記事」へのリンクを、ポップアップで表示しました。
結果的に、リンクをクリックして、記事を閲覧した方の数がとても多かったです。お客様が初めの一歩を踏み出すハードルを、少しは取り除けたのではと思っています。
一方で、募集公開の数がものすごく伸びたわけではなかったので、「求人募集にいたるまでには別のハードルがあるのかもしれない」あるいは「管理画面のコミュニケーションだけでなく人力でのサポートも必要かもしれない」など、次の仮説検証につながる気づきが得られました。
実際に顧客の反応を確かめることで、次の施策へのヒントが得られたんですね。
そうですね。KARTEは、お客様一人ひとりのサイト内での行動の遷移やログが詳細にわかります。この施策以外にも、実際の行動をもとに「ここに対してやはり困っている方が多かったのか」と気づき、改善につなげられるようになりました。
より柔軟かつ的確なサポートへ、2日でチャットに移行
その後、2020年にKARTEのウェブチャット機能を活用し企業ユーザー向けにチャットサポートを立ち上げています。どのような理由からだったのでしょうか?
以前は、企業ユーザー様からの問い合わせは、基本的に会社の固定電話から対応していたんです。ただ、春先から全社的に在宅勤務へ移行した結果、対応が難しくなってしまい、チームのメンバーがリモートでも対応できるよう、チャットへの切り替えを決めました。
環境変化というやむを得ない理由が先にあったのですが、チャットによってより柔軟かつ最適なサポートを提供できるのではという期待もありました。
電話でのコミュニケーションはお互いのタイミングを合わせなければなりません。チャットであれば、問い合わせ対応時間外でも、いつでもお客様は質問を送り、営業時間内に回答を確認して返信ができます。
また、KARTEのウェブチャット機能では、お客様が「今どの画面の、どこを見て問い合わせているか」も把握できます。それによって、より素早く的確に課題や困りごとを把握し、対応したいと思っていました。
顧客の状況や困りごとを素早く特定できる以外に、KARTEのウェブチャット機能を選んだ決め手はありますか?
セットアップから活用まで迅速に行える点とサポートメンバーにとっての使いやすさも重視しました。素早く正確に操作できるUIになっているかという点でも、KARTEのウェブチャットが優れていると感じました。
実際、ウェブチャット機能のセットアップはスピーディーに行えましたか。
すでに、企業ユーザー様向けの管理画面にKARTEのタグを埋め込んであったため、動作チェックを含めて2日で完了しました。デザイナーやエンジニアと連携を取りながら、実装はたった半日で完了しています。
同時に、過去にチャットサポートの経験があるチームメンバーに、返答ポリシーやマニュアルを作成してもらいました。返信する際にこれだけは押さえてほしいというスタンスや、返答の手順を明文化しています。
実装部分がスピーディーに進んだので、「チャットを通じてお客様とどのように向き合うか」といった議論や擦りあわせに、より多くの時間と労力を割くことができました。
顧客満足と効率化を実現するチャットサポート
セットアップ後、チャットサポートはどのように運用しているのでしょうか。
セットアップ後の2週間は、チャットの使い勝手やフローを確認する期間と決め、特に改善の動きなどはせず、お客様からのお問い合わせを集めていきました。
1ヶ月ほどでお問い合わせが予想以上に集まり、チームメンバーからのフィードバックも溜まってきたので、そこから改善を回してきました。改善に向けた施策の企画や運用は、今は全員で分担して行っています。導入初期は、一人のメンバーを「チャット大臣」に任命し、施策の運用や振り返りをリードしてもらいましたね。
これまでどのような改善を行ってきたのでしょうか?
例えば、導入初期はお客様からの質問の抽象度が高かったり、情報が不足していたりして、こちらから意図を聞き直してしまうことが3回に1度くらいあったんです。その結果、連絡の回数が増え、お客様に手間をかけてしまいました。
そこで、なるべく少ないやり取りで最適解を提示できるよう、お客様がチャットを開いた際、事前ヒアリング用の質問を表示するよう設定しました。
問い合わせをする顧客側も、把握して回答するサポート側も、負担が減らせそうですね。
そうですね。問い合わせ内容が明瞭になり、困りごとを聞き直す回数は圧倒的に減りました。状況理解をスピーディーに行えるため、課題をどう解決するかに、よりリソースを割き、対応できるようになりました。
「お客様の負担を減らす」改善でいうと、問い合わせをいただく時間によって、チャットに表示するメッセージを出し分ける施策も行っています。
例えば、営業時間の終了間際なら「返答は明日になる可能性があります」、休日には「返答までお時間をいただきます」など、対応のタイミングを事前にお知らせしています。お客様が何度もチャットを開いて、返信の有無を確認する手間を省けるようになりました。
KARTEが後押しする顧客起点のプロダクト改善
チャットに切り替えてから顧客の反応に変化はありましたか。
困りごとや課題だけでなく、「こんな機能があればより便利だと思います」といった、プロダクトへの要望や意見をいただけることが増えました。
恐らくチャットに移行したことで、お客様も要望や意見を気軽に伝えやすくなったのではと考えています。すぐに改善できないときもあるのですが、「こういう機能を求めているのだな」と具体的にわかるので、大変ありがたいです。
そうした要望や意見をサポートチーム外へ共有することもあるのでしょうか?
ありますね。サポートチームでプロダクトの改善に活かせそうな意見を選び、プロダクトチームに定期的に共有しています。
また、KARTEと社内用チャットツールのSlackを連携していて、ほぼ全員が参加するチャンネルに、問い合わせ内容を自動で流しています。
それに対して「こんな内容で困ってる方が多いんだ」「ここは改善したほうがいいよね」という意見も出てきています。日頃からお客様の声が目に入るからか、社内でもよりお客様と向き合う姿勢が強まったように感じます。
最近では、問い合わせを種類ごとにタグ付けする方法もプレイドの担当の方に教えてもらいました。問い合わせ内容だけでなく、どのような種類の問い合わせが増えたのかなど、定量的なデータも社内へ共有し、改善に活かしていけたらと思っています。
共感を軸にした出会いを、お客様と共創したい
さらに社内での顧客理解が進みそうですね!他に、今後サポートチームでどのような施策を行なっていきたいですか?
チャットにいたる導線や滞在しているページに応じて、表示されるメッセージをカスタマイズするなどの施策は検討しています。お客様がストレスなく、最適な答えを得られるよう、改善を重ねていきたいです。
そのためにも、今はお客様について、もっともっと知る必要があると考えています。問い合わせを減らす施策ではなく、チャットを活用してもらい、継続的に意見をいただける関係を築く施策に注力していきたいです。
そうした施策も含め、ウォンテッドリー全体として、どのような顧客体験を実現していきたいか教えてください。
個人と企業の“共感”を通した出会いを創出していきたいですね。個人は、ビジョンや思いを軸に探すことで、これまで知らなかった会社や、想像もしなかった仕事と出会える。企業も、共感してくれる個人と出会えるだけでなく、自分たちの会社の魅力も再発見できる。そんな体験を目指しています。
これからもお客様からの大切な意見に寄り添いながら、一つでも多くの「シゴトでココロオドル」出会いを、一緒に創っていきたいです。