オープンハウスがプレイドと共に実現した1st Party データ活用による広告効果改善とは?
ファースト・パーティ・カスタマー・データ活用により広告配信最適化を実現する「KARTE Signals」を提供する株式会社プレイドは、3月14日、広告関係者向けのイベント「アドタイ・デイズ2023 Spring」に登壇し、不動産事業を展開するオープンハウス社によるファーストパーティデータの活用事例についての発表を行った。
ファースト・パーティ・カスタマー・データ活用により広告配信最適化を実現する「KARTE Signals」を提供する株式会社プレイドは、3月14日、広告関係者向けのイベント「アドタイ・デイズ2023 Spring」に登壇し、不動産事業を展開するオープンハウス社によるファーストパーティデータの活用事例についての発表を行った。
この記事は、「ExchangeWire」で2023年4月26日に公開されました。
ファーストパーティデータ活用の課題とは
プレイド社のプロダクトマーケティングマネージャーを務める武石啓二朗氏は、EU一般データ保護規制や日本の改正個人情報保護法といった法令等での規制強化や、GoogleやAppleといった大手プラットフォームによるCookieの利用制限といった環境変化について言及。その結果として、オンライン広告配信におけるコンバージョン計測の欠損、ターゲティング広告の制限、入札における機械学習の精度低下などが起きていると伝えた。
その上で、Cookieに代わり、メールアドレス、電話番号、自社サイトの行動履歴などを始めとするファーストパーティデータの需要が高まっていると説明。しかしながら、ファーストパーティデータの活用にあたっては、ユーザーからのデータ利用許諾の取得、データ分析環境の構築、広告媒体との連携など様々な固有の課題が生じ得るとの認識を示した。
KARTE Signalsで課題解決に係る作業工数を削減
武石氏は、こうしたファーストパーティデータ活用に伴う様々な課題を一気に解決するソリューションとして、「KARTE Signals」を提示。コンテンツやページ自体のパーソナライズ及びチャット機能などを有するCXプラットフォームの「KARTE」と連動した本ツールであれば、環境構築や外部媒体との連携に必要となる作業工数を大幅に削減できると述べた。
KARTE Signalsでは、KARTEに蓄積されたオンライン行動履歴やユーザー情報などを加工及びセグメント化した上で、外部広告媒体に連携。Cookieの利用制限により欠損したコンバージョンデータの補完や、セグメントデータをそのままターゲティングリストとして広告媒体へと連携できる。加えて、コンバージョン属性や顧客属性に応じて、コンバージョン価値を変動させた上で入札価格の最適化を行う「VBB(Value- Based-Bidding)」の機能も実装している。
同様の仕組みを用いてコンバージョンデータの補完の仕組みを実現したMeta社の事例としては、セゾン自動車火災保険株式会社がCPAを14%改善、広告媒体へのコンバージョン件数送付数が16%増加。また、それまで最低限の情報を利用してコンバージョン補完を行っていた株式会社ボディアーキジャパンは、精度の高いデータを追加することでCPAを45%改善、予約コンバージョン数が82%増加、コンバージョン数が95%増加するなどの成果を出したと事例を紹介した。
オープンハウスの事例
セミナーの後半では、株式会社オープンハウスのマーケティング本部主任を務める渡辺智成氏と同部の多田翔氏が、KARTE Signalsの活用事例を紹介。同社では、KARTE Signals導入以前から、KARTE本体の機能を利用していたという。
KARTEは、サイトやアプリの訪問者の行動や感情をリアルタイムに解析し、一人ひとりに合わせた体験の提供を可能にするCXプラットフォーム。オープンハウス社では以下を始めとする機能を利用していた。
・ユーザーストーリー:一人ひとりのユーザーのイベントを時系列で閲覧
・LINE連携:ユーザーのオンライン行動を起点にメッセージを出し分け
・KARTE Live:ユーザーのオンライン行動を動画で観察
・KARTE Datahub:CDP機能
これらの機能を利用することでKARTE上に蓄積したデータを、KARTE Signalsを通じて外部広告媒体と連携したところ、コンバージョン補完で媒体CPAが最大37%改善。また優良顧客リストから類似拡張配信を行ったことで、コンバージョン数を増加させた。さらにはVBBの一環として、元々のコンバージョンファネルの前後に新たな複数のコンバージョン地点を設定。この独自の算出ロジックにより、当初のtCPA(Target Cost-Per-Acquisition)と比較して、ROASが従来比で29%改善したという。
渡辺氏は、コンバージョン補完に必要なデータ連携にかかる作業を社内で行うとなると、相当な負担になると指摘。またコンバージョン補完の設定トラブルへの対応にも時間を要し、また各広告媒体が公表するAPI連携の仕様の把握に時間がかかるなどの課題を挙げた。
一方で、KARTE Signalsのような既存ツールであれば、即座に実装が可能であると強調。KARTEサポート担当者から詳細な説明を受けたために、KARTE Signalsを円滑に導入できたと振り返った。
さらに多田氏は、類似拡張配信における利便性を説明。従来はデータ抽出をするにも他事業部を巻き込む必要などがあり、一施策を実施するのに1カ月程度の準備期間を必要としていたが、KARTE Signalsを通じてウェブ上の行動データを利用することで即座に実施できるようになり、PDCAを高速で回すことができるようになったと述べた。