ノンボイス比率の向上を早期に実現、部署横断で顧客体験の向上に取り組むSOMPOひまわり生命のRightSupport活用事例

SOMPOひまわり生命コンタクトサービス部はRightSupport by KARTEを導入し、導入の背景や具体的な活用方法、プロダクトによって生まれた変化、今後の展望を伺いました。

SOMPOひまわり生命は、SOMPOグループのウェルビーイング事業の一員として国内生命保険事業を展開する会社です。

同社では日々多くの問い合わせを受けるなかで、「電話による問い合わせの比率が高く、問い合わせチャネルが最適化されていない」という課題がありました。

本記事では、RightSupport by KARTE(以下、RightSupport)の導入を通じてどう課題解決をしていくのか、導入の背景や具体的な活用方法、プロダクトによって生まれた変化について、コンタクトサービス部 企画グループ/DX推進部 企画グループ 課長代理の小松 知子さん、DX推進部 企画グループ 課長代理の小山貴子さん、コンタクトサービス部 企画グループの二宮 麻里さんにお話を伺いました。

※本記事は2024年5月時点のインタビューに基づいており、記載内容およびご所属はインタビュー当時のものです。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご留意ください。

2つの部署の協働によって、顧客体験の向上に挑む

SOMPOひまわり生命が提供しているサービスについて教えてください。

小松:「あなたらしい健康が、咲き誇る。」をスローガンに掲げ、保険と健康を組み合わせた新しい価値を提供しています。前身であるアイ・エヌ・エイ生命保険株式会社の創業は1981年です。以来約40年にわたり、私たちは医療保険やがん保険、死亡保険などの商品を提供してきました。

保険の伝統的な役割は、お客さまに「『万が一』への備え」を提供することです。しかし、私たちは「『万が一』を減らすこと」も、保険を提供する企業の役割だと考え、2018年から保険本来の役割 (Insurance)と健康をサポートする機能(Healthcare)を組み合わせた、「Insurhealth®(インシュアヘルス)」という新たな価値を持った商品を提供しています。

また、2021年度に発表した中期経営計画において、私たちの商品やサービスをご利用いただいているお客さまを「ひまわりファン」と定義し、ひまわりファンの皆さまの健康をサポートしていくことを目標に掲げました。2024年に発表された中期経営計画では、ひまわりファンの皆さまの「健康行動数」、つまりは健康に資する活動の回数や時間を事業上のKPIの一つに定め、具体的な取り組みを各部署で進めています。

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SOMPOひまわり生命保険株式会社 コンタクトサービス部 企画グループ/DX推進部 企画グループ 課長代理 小松知子氏

皆さまが所属している部署は、どのようなミッションを担っていますか?

小山:私が所属しているDX推進部では、「唯一無二の顧客体験を提供し、お客さまの行動を変容させることによって、健康をサポートすること」を目標に掲げています。行動変容に導くための一つの手段が、「MYひまわり」というお客さま向けサービスです。「MYひまわり」は、保険契約をしていただいた方が任意で加入するマイページのようなもので、このサービスを通じて健康行動を喚起するご案内などをしています。

ご登録いただくことでお客さまとの接点が増え、より多くの方に健康行動を喚起する情報をお届けできるようになります。

※2024年9月より、「MYひまわり」のアプリもリリースしています。

二宮:私はコンタクトサービス部に所属しており、主にお客さまからの問い合わせ対応を担っています。部署としては「お客さまのニーズに合わせたお手続き・お問い合わせ窓口を用意すること」がミッションです。現在は、具体的な目標として「ボイス比率(電話問い合わせ比率)を下げ、ノンボイス比率(電話以外のコミュニケーション手段による問い合わせ比率)を上げること」を掲げています。

ノンボイスには、「MYひまわり」からのお手続きも含まれます。そのため、DX推進部と共に「MYひまわり」の登録数増加を推進しながら、LINEやチャットボットなど他のお客さまとの窓口も整備しています。

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SOMPOひまわり生命保険株式会社 コンタクトサービス部 企画グループ 二宮麻里氏

「チャネル間の連携不足」により、施策の効果がわからない状態に

なぜ、「ボイス比率を下げる」ことが重要なのでしょうか?

小松:もちろん、単に「電話の数を減らせばよい」と考えているわけではありません。私たちが目指しているのは、「すべてのお客さまが希望するタイミングや方法で手続きや問い合わせをし、ニーズを満たせる状態をつくること」です。

以前は電話での問い合わせが多くを占めていました。お客さまによっては直接話して確認したい場合や、お電話での対応が安心だと感じられる場面もあります。

一方で、手続きや問い合わせ内容によっては、「MYひまわり」などデジタルの窓口の方が早く要望にお応えできることもあります。たとえば、生命保険料控除証明書の再発行もその一つです。再発行の手続きは、「MYひまわり」から簡単に済ませられるのですが、そのことを知らず、お電話で再発行の依頼をくださる方が多くいらっしゃいました。

そうすると、本来であればWebからすぐに済ませられる控除証明書の再発行手続きに、かなりの時間を要してしまいますし、加えてお電話でしか満たせないニーズを持っている方からのお電話がつながりにくくなってしまいます。そういった事態を防ぎ、すべてのお客さまが迅速にニーズを満たせる状態をつくるため、「ボイス比率を下げ、ノンボイス比率を上げること」が重要なのです。

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チャネル最適化を目指すなかで、具体的にどのような壁があったのでしょうか?

小松:チャネル同士の連携ができていなかったことです。ホームページ上のFAQやチャットボット、LINEでの有人チャットなど、「MYひまわり」以外にもノンボイスの接点を設けてはいたのですが、お客さまの行動を横断的に把握できていませんでした。

そのため、それぞれの施策がどれくらい「ボイス比率を下げること」に寄与しているかがわかっていなかった。

そのような中で出会ったのが、RightSupportでした。きっかけは、「KARTE」を提供しているプレイドの方からの紹介です。もともと、「KARTE」を利用していたこともあり、お話をする中で課題を伝えたところ、RightSupportを紹介していただきました。

RightSupportの導入後、3ヶ月のオンボーディング期間で感じた確かな手応え

RightSupportの導入はどのように進んだのでしょうか?

二宮:まずはコンタクトサービス部単体で導入し、2022年11月からオンボーディングをスタートしました。少し触れてみただけで、Web上でのお客さまの行動や、つまずきやすいポイントが可視化されていたので、さまざまなことに活用するイメージが湧きましたね。

また、RightTouchの皆さまとの定例ミーティングでは、「こういう機能が欲しい」と相談すると、すぐに課題解決に向けて対応していただける場面も多く、導入初期から心強いサポートを受けることができました。手厚いサポートもあり、導入直後から成果に結び付けることができました。

具体的にどのような成果が得られましたか?

二宮:ノンボイス比率が上がりました。2022年時点では約40%だったノンボイス比率を、2023年度は50%まで引き上げることを目標にしていました。

RightSupportでお客さまがつまずきを特定し、適切な案内へと誘導するサポートウィジェットを提示する施策を実施したところ、7月にはノンボイス比率が50%を超え、以来50%以上をキープしています。

特に効果を実感したのは、お電話での問い合わせ数がピークを迎える11月ですね。先ほどお伝えしていた生命保険料控除証明書を送付するのが10月のため、例年であれば、11月は生命保険料控除証明書の内容に関する問い合わせや、再発行の依頼のお電話がひっきりなしにかかってきます。

そこで、ホームページ上のお問い合わせページに、「生命保険料控除証明書の再発行は「MYひまわり」でも可能であること」と、「MYひまわり」のリンクを記したサポートウィジェットを表示しました。するとお電話での問い合わせが減り、結果的には11月のノンボイス比率を68%まで伸ばすことができました。

小松:その結果を見て、これは他部署でも活用すべきだと考えました。そうして、DX推進部でもオンボーディングを実施することにしたんです。

DX推進部ではどのように活用したのでしょうか?

小山:「MYひまわり」の登録数を増やす上で、課題となっていたのは「登録方法の煩雑さ」でした。お客さまからも「登録をしたいが、どこから登録をすればいいのかわからない」といった声があがっており、登録の途中で離脱してしまうお客さまがいることもわかっていました。

そこで、RightSupportでウィジェットを表示することによって、「MYひまわり」への登録を進めているお客さまをサポートすることに。その効果はすぐに表れました。前年度はお客さまにはがきをお送りし、「MYひまわり」への登録を促していました。2021年に実施した際には、380件ほどの新規登録を獲得したのですが、RightSupportを導入したことによって、同じ期間で500件以上のご登録をいただいたんです。

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SOMPOひまわり生命株式会社 DX推進部 企画グループ 課長代理 小山貴子氏

RightSupportの導入で生まれた「経由問い合わせ率」という定量データの共通言語

お取り組みのキックオフから比較的短い期間で、両部署でいきなり大きな成果が上がったのですね。

二宮:そうですね。RightSupportを導入したことによって、各種チャネルでのお客さまの動きや、問い合わせに至るまでの行動などのさまざまなデータが見られるようになり、多角的な分析が可能になりました。一方で、情報量が多い分、どこから手を付けるべきなのかが判断できませんでした。

そんなときにサポートしてくれたのが、RightTouchの皆さまです。定期的にコミュニケーションを取る中で「ホームページの中で、お客さまはこう動いていて、ここでつまずいている様子が見受けられるので、こんなウィジェットを出すことから始めてはどうか」と具体的なアドバイスを随時いただきました。

そのアドバイスを参考に、さまざまな施策を実施するうちに成果が上がるようになりました。次第に「こんな情報を得るためには、ここの設定をこんな風に変えたらよいのではないか」と、自分たちで細かな設定もできるようになりました。

RightSupportの導入によって生じた変化があれば教えてください。

小松:「定量的な情報を基に会話ができるようになったこと」ですね。RightSupportを導入し、ホームページ内のすべてのページに計測タグを埋め込んだことによって、「ページごとの経由問い合わせ率」がわかるようになりました。

以前は記載内容の変更など、何らかの施策を実施しても、それがどれだけの効果があったのかわかりませんでした。しかし、現在はページごとの経由問い合わせ率がはっきりとわかるので、施策の効果を定量的に把握できます。

私たちのホームページは、一つの部署がすべてのページを管理しているわけではなく、部署ごとにさまざまなページを管理しています。ですから、以前はそれぞれの部署がそれぞれに施策を行ったり、ページを改修したりしていたわけですが、その根拠となる共通言語がありませんでした。

RightSupportを導入したことによって、「ページごとの経由問い合わせ率」という計測可能な共通言語ができました。それによって、さまざまな部署に対して数字を示しながら「この施策はもっとこうしたら効果が上がるのでは?」と提案ができるようになりました。

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ご契約者向けの手続きページでインターネット手続きの導線を提示

二宮:「どのページを経由して、お電話での問い合わせに至ったか」に関するデータを把握できるようになったことは大きいですね。というのも、ホームページのお問い合わせページに「電話番号」ボタンを設置しているのですが、RightSupport導入以前は「そのお客さまがどのページを見たうえで、そのボタンを押すに至ったのか」がわからなかったんです。

RightSupportを導入したことにより、お客さまがどのページのどんな要素がお電話での問い合わせにつながっているのかについて仮説が立てられるようになり、「ボイス比率を下げ、ノンボイス比率を上げる」自己解決促進のための施策が実施しやすくなりました。
部署の垣根を越えて協働し、顧客にとって「理想の状態」実現を目指す

オンボーディング期間から大きな成果をあげ、部署横断的な取り組みも始まったとのことですが、現在はどのような形で取り組みを進めているのでしょうか?

小山:24年度は、部署の垣根を越えて、合同でRightSupport活用に関するミーティングを開催していました。先ほどあったように、DX推進部の目標である「MYひまわりの登録数を増やすこと」と、コンタクトサービス部が追いかける「ノンボイス比率」は、表裏一体の関係にあります。部は違えど目指す方向は同じですし、自部署が管轄するページで施策を行うだけでは限界がありました。

DX推進部の取り組みを「ノンボイス比率の向上」に生かし、コンタクトサービス部の取り組みを「MYひまわりの登録数増加」につなげるべく、部署の垣根を越えて施策を共に検討する体制を整えています。

今後、どのような取り組みに注力したいと考えていますか?

二宮:コンタクトサービス部としては、よりお客さまのつまずきを解消するための取り組みに力を入れたいと思っています。具体的には、「MYひまわり」内でのサポートを提供したいです。

昨年度まではノンボイス比率を高めることに注力し、その一環として「MYひまわり」で解決できる課題をお持ちのお客さまに対しては自己解決の参考になる情報を案内していました。

それによって「ノンボイス比率の向上」という成果を上げることができましたが、これまでの取り組みは「MYひまわりへの誘導」という入口の案内でとどまっていました。つまり、MYひまわり内での課題解決のサポートができていなかったんです。

そのため、お客さまの中には「MYひまわり」に入ったのに、それからどうすればいいのかわからず、結局お電話で問い合わせをせざるを得なかったという方もいます。そういった方を減らすためにも、今年度はRightSupportを活用してサポートウィジェットを表示するなど、「MYひまわり」内でのサポートにも力を入れたいですね。

小松:2024年秋には、「MYひまわり」のアプリ版がリリースされました。このアプリはさまざまな健康サポート機能を提供し、保険関連の各種お手続きも可能です。お手続き自体は「Web版MYひまわり」に遷移し、そちらで行っていただくことになるので、立ち位置としては「MYひまわり」への流入を促進するための一つのチャネルということになります。

下期からは「MYひまわり」のダウンロード数もKPIの一つになりますので、この数字もしっかり追っていって、さらにノンボイス比率の向上を加速させたいですね。

さまざまな施策を通して、どのような状態を実現したいと考えていますか?

小松:「すべてのお客さまが、最適な方法で、最適な情報にたどり着ける状態」を目指していきたいです。これまでは、ノンボイス比率を向上させるための施策の中心に「MYひまわり」を置いていました。ですが、すべてのお客さまを「MYひまわり」に誘導すれば、すべてのニーズが満たされるわけではありません。

何より重要なのは「多様なニーズを抱えるお客さまに対して、適切なタイミングで、適切なチャネルを案内すること」です。たとえば、「MYひまわり」内では保険証券(保険金・給付金額や保険期間、受取人などの契約内容が記載されたもの)の再発行は承れませんが、LINEの有人チャットであれば対応可能です。RightSupportを導入したことによって、さまざまなチャネルのさまざまなデータが取れるようになりました。今後は、そのデータも活用しながら、よりきめ細かなサポートを提供したいと考えています。

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