「あの店員さんがいるから、あのお店で買いたい」と言われるECへ。チャットでお客様との心地よい距離感を生み出すJAM HOME MADEの顧客体験

20年以上にわたり、ジュエリーやアクセサリーを展開しているブランド「JAM HOME MADE」。2015年、ECサイトでポップアップやバナーを利用するためにKARTEを導入。「お客様のことをもっと知りたい」との思いから、現在はKARTEのウェブチャット機能を積極的に活用しています。

20年以上にわたり、ジュエリーやアクセサリーを展開しているブランド「JAM HOME MADE」。

2015年、ECサイトでポップアップやバナーを利用するためにKARTEを導入。「お客様のことをもっと知りたい」との思いから、現在はKARTEのウェブチャット機能を積極的に活用しています。

CX(顧客体験)の向上を追求する過程で、どのように現在のチャット活用術に辿り着いたのか。チャットでのコミュニケーションの先に何を目指しているのか。

EC事業部でWEB PR・EC統括マネージャーを務める古屋修様にお話を伺いました。

実店舗を一つ増やすように、オンラインショップを開設

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「JAM HOME MADE」はどのようなブランドなのでしょうか?

1998年に創業し、オリジナルのブライダルリングやジュエリー、アクセサリーなどをユニセックスブランドとしてご提案しています。私たちは「お客様一人ひとりを大切にしたい」という想いを持って運営しています。

実店舗とオンラインショップの展開について教えていただけますか?

現在は千駄ヶ谷にある東京店と、自社のECサイト、ZOZOTOWN、楽天といったオンラインショップがあります。ECサイトが増えていた頃に「とりあえずオンラインをやっておこう」と実店舗を一つ増やすような感覚でスタートしました。

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株式会社JAM HOME MADE EC事業部 WEB PR・EC統括マネージャー 古屋修様

古屋様はどのような業務を担当されているのでしょうか?

私を含め、5名が在籍するWebチームでオンラインショップの管理をしていて、KARTEとウェブチャットの運用は私が担当しています。もともと、ECサイトの立ち上げのタイミングで私が担当者になったのですが、そもそも店舗販売員として入社していたのでWebの知識がなく、かなり試行錯誤しながら運営していました。

ECでも、お客様の体温を感じて接したい

実店舗での販売や接客と比較して、ECサイト運営にはどのような難しさがあったのでしょうか?

やはりECサイトではお客様が“見えない”点が気になったのです。

実店舗では、お客様が入り口から入ってきて、どの商品をご覧になっているか、どんなポイントを気にされているかが見えます。こちらも能動的にお客様に接してご提案ができます。

一方で、ECサイトではリアルタイムでお客様の様子を把握するのは難しい。来客数などのデータが集積され確認できるようになるのもタイムラグがあります。それに、数字を見たとしても「このお客様がどういう人なのか」まではわからない。

ECでは何か「制限されている」ような感覚を持っていた時に、こちらから能動的にアクションができるツールとしてKARTEを知り、導入を決めました。

KARTEを選んだ決め手はあったのでしょうか?

はい。他のツールと比較もしましたが、KARTEには「人間らしさ」を強く感じました。やわらかい雰囲気と色もかわいくて。KARTEの管理画面を開くと、お客様のアイコンが表示されます。お客様の感情や行動が可視化されていて、“体温”を感じられたのが嬉しかったです。

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KARTEの管理画面。ログインすると、いまサイトに来訪しているお客様の一覧が表示される

導入後は、KARTEをどのように活用されていたんですか?

ポップアップやバナーでおすすめ商品をご紹介したり、ブランド設立のアニバーサリーのタイミングではクーポンを配布したりしていました。施策を思いついたとき、すぐに自分で仕掛けられる点が良かったですね。

ただ、こちらからお客様にコンタクトできるようになった一方で、まだまだお客様を知りきれていないもどかしさも感じていました。

知りきれていない、ですか。

はい。サイトの訪問頻度や一人ひとりのお客様の行動が分かるKARTEの「ユーザーストーリー」とGoogleアナリティクスを1日中見て、「この方はどうしてこの行動をとっているのだろう」「何度も来訪しているということは何かに悩んでいるのかな」と、もはや恋のように考えていましたが、答えはわからない。

想像しても分からないなら、お客様と直接お話しするしかないと考え、KARTE の「ウェブチャット」の導入を決めたんです。

始めてみて気づいたチャットだから生まれる、お客様との心地よい距離感

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ウェブチャットはどのように運用されているのでしょうか。

ポップアップやバナーでお知らせしていた情報をウェブチャットでお伝えしています。お客様が閲覧されている商品のカテゴリーに合わせて、新作やおすすめをご紹介しています。

問い合わせが多い内容は100種類以上のシナリオを作り、自動化しました。シナリオ化できない部分は、私が手動で対応しています。手動で対応するときは、ユーザーストーリーの画面を見ながら、お客様の悩みについてお尋ねしたり、ページでは伝えきれない商品の魅力をお伝えしたりしています。

ウェブチャットを導入してみて、どのような気づきがありましたか?

購入の際に、お客様が気になるポイントがいくつもわかりました。試着ができないのでサイズや重さをイメージしにくいといった予想ができるポイントもありましたが、プレゼント需要での購入が多く「インターネットで購入したと相手に知られたくない」という声もありました。

ウェブチャットが、そういった悩みを相談できる場所になればいいなと思っています。お客様が話しかけやすい存在になるために、こちらから頻繁に話しかけていますが、通知は送っていません。お客様が気になったタイミングでチャットを見ていただければ十分だと思っています。

通知はないので、私としても「話しかけすぎかな?」と気にせずに、「私もその商品を持っているんです」「この商品のここがおすすめで」と、気づいたタイミングでどんどん話しかけています。

右上の「相談してみる」をクリックすると、ウェブチャットの画面に飛ぶ。開いてみると、いつの間にかたくさん話しかけられていることが分かる

実店舗のように、お客様が何か疑問に思ったら話しかけてもらえる状態をECサイトでも実現したいので、どの業務よりも優先度を高く設定して対応しています。

チャットでの質問にすぐに対応していくのは大変そうですね……!

チャットでメッセージを受け取ったらすぐに対応しなくてはいけないと思っていましたが、運用してみて考えが変わりました。チャットをメールに近い感覚でご利用されている方が多いんです。

こちらとしても営業時間中しか対応できないので、深夜のお問い合わせに翌朝対応することもよくあります。急ぎの方はお電話をくださるので、チャットはお客様と私とのインターネット掲示板のようなイメージですね。

そのほかに、ウェブチャットの利点などはありましたか?

ECの会員情報と紐づけてお客様の情報を見ることができます。お名前を呼んで話しかけたり、過去の購入履歴などから「今回はクリスマスプレゼントを選んでいるのかな」とか「昨年と同じで、お相手の誕生日のタイミングで商品を探しにきていただいてるな」といった想像ができるので、チャットでの細かい接客に活かすことができます。

ただ、情報を知られていることを怖いと感じる場合もあると思います。できるだけ安心していただけるように、書き方には気をつけていて、絵文字の謝っているマーク(🙇‍♂️)と笑っているマーク(😊)はたくさん使いますね。

実店舗と同様に、販売員の基本として「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」も必ずお伝えしています。

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商品ごと、商品カテゴリーごとに、対面で接している時と同様のシナリオが用意されている

ECか実店舗かは関係ない。“一人のお客様”への接客を実現したい

お客様を大切にされていることが伝わってきましたが、そのほかにチャットの導入で売上に関する影響や変化はありましたか?

新しいお客様による購入が増えました。以前はECサイトで商品を見つけても購入まで至らなかったお客様が、チャットによって商品や購入時に抱く不安や悩みが解消され、納得してお買い物できるようになったのだと考えています。

社内への影響は何かありましたか?

チャットでのお問い合わせを社内に共有しているので、新商品の開発にも活きるようになってきました。フリーサイズの指輪や、サイズ調整ができるアジャスター付きのネックレスなど、ECサイトでも購入しやすい商品を増やしています。

今後は、チャットでお客様とのコミュニケーションを担当するスタッフも増やしていきたいと考えています。ECサイトであっても、お客様にご満足いただけたか、不安のない買い物ができたか、という点を大事にしていきたいですね。私自身も担当者として「この前買った商品、相手にすごく喜んでもらえました」と言っていただけることが何よりも嬉しいですから。

ECサイトの成果指標はどのように捉えていますか?

もちろん成果は大事ですし、無視することはできません。でも、目先の数字を作りたくて一方的に施策を打ち出しても、お客様から反応が返ってこないのは当然です。日々の接客の積み重ねでお客様との信頼関係を築ければ、チャットへの反応が増え、新作を買ってくださる方が増え、数字が後からついてくると考えて、着実にお客様とのコミュニケーションを重ねています。

今後はどのような接客をしていきたいと考えていらっしゃいますか?

ECサイトでの接客に関しては、実店舗と同じような体験が提供できる状態にしたいですね。

カメラを使い動画で商品のご案内もしたいと思っています。「この部分が魅力なんです」や「長年使っていくと、この箇所が傷んでいくので声をかけてくださいね」というように、隠れた魅力や説明しがいのある商品が多いんです。

2017年からは、ウェブ上のお客様をまるで実店舗に来訪しているように映像で映し出す「K∀RT3 GARDEN」も導入し、お客様をより身近に感じられるようになりました。姿が見えると「こう対応できたらいいな」とまたアイデアを思いつきやすくなるんです。

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参考:「リアルもウェブも一人の客としてみるべきことに変わりはない」JAM HOME MADEが新店舗で体現した想い

私たちとしては、ブライダルリングという商品の存在を重視しており、お客様と一生のお付き合いができることを理想としています。それはECサイトの運営でも同じで、担当させていただいたからにはずっとお付き合いしたいと思っています。

「ちょっと遠くても、あの店員さんがいるからあのお店で買い物をしよう」という実店舗で生まれる感覚を、ECサイトでも実現していきたいですね。

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