先生の負担を減らし、保護者の笑顔を増やす。データを活用して、適切かつ効率良い販促を実現する「ルクミーフォト」
ユニファ株式会社が運営する、保育施設が撮影したお子様の写真を保護者が購入できるサービス 「ルクミーフォト」。KARTEの導入背景や活用方法、導入後の変化、今後の展望についてお話を伺いました。
ユニファ株式会社は、保育総合ICTサービス「ルクミー」を開発し、保育園・幼稚園・こども園などの保育施設と保護者に向けて、サービスを提供しています。ルクミーは、保育施設や保護者のさまざまな課題の解決や理想の実現をサポートするために幅広いサービスを展開。そのうちのひとつが、保育施設が撮影したお子様の写真を保護者が購入できるサービス 「ルクミーフォト」です。
同社は、このルクミーフォトにてKARTE、KARTE Message、KARTE Datahubなどを導入し、売り上げの増加につなげているといいます。今回、ユニファ ビジネス本部 事業開発部 松島 広将さん、門岡 愛子さんのお2人に、KARTEの導入背景や活用方法、導入後の変化、今後の展望についてお話を伺いました。
保育施設の先生たちの業務負担を減らし、家族の豊かなコミュニケーションを創造する
まず、事業のミッションについて教えてください。
松島:ユニファは「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」というパーパスを掲げています。そのために、テクノロジーを通じて保育施設の先生たちの業務負荷を軽減し、お子様に向き合える環境の実現に取り組んでいます。
保育総合ICTサービス「ルクミー」のサービスである、「ルクミーフォト」は創業時から提供しています。「こどもたちの写真を通じて、家族の豊かなコミュニケーションを創造したい」という弊社代表の強い想いから生まれたサービスであり、この事業のミッションにもなっています。
サービスの基本的な仕組みとしては、専用アプリを使って先生たちが撮影したお子様たちの日常写真が集約され、写真の確認・整理をしたうえで、販売期間を設定いただければ、保護者の方々に写真を販売できます。現在、ルクミーフォトは日本全国の保育施設で利用され、多くの保護者にご利用いただいています。
サービスを提供するうえで大切にしていることはありますか?
松島:サービスを開発・提供する際は「こどもともっと向き合える豊かな環境を整え保育の質の確保・向上に貢献できるよう、先生たちの業務の負荷軽減、こどもたちの情報がわかりやすくなるにはどうしたらいいか?」という、こどもと先生が向き合える環境の提供・改善を軸に議論が進みます。サービスによって、先生の負担が増えてしまうようでは本末転倒ですから。
当社には子育て世代の社員も多く、普段から保育施設の先生にお世話になっていることを強く実感していることもあって、先生の負担を下げるための議論は活発に行われています。なかには元保育士のメンバーもいて、保育施設の先生方のハードな状況をなんとか改善することで、こどもを中心としたより良い社会にしていきたいという想いを持ってサービスを提供しています。
お2人のこれまでの経歴と、現在の役割について簡単に教えてください。
松島:前職は小売業で新規事業開発などを担当していました。ユニファは社会に残していきたい企業だと感じて、昨年4月にルクミーフォトを中心に担当する役割としてジョイン。現在は、商品企画部に関わり、ブランディングや提携も含めた、プロダクトの中長期的な成長にも取り組んでいます。
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ユニファ株式会社 ビジネス本部 事業開発部 松島 広将氏
門岡:私はずっとEC領域で仕事をしてきました。いくつかの会社で販促や機能改善、CRMやSEMなどさまざまな業務を経験した後、出産を経てより社会に貢献したいという想いからユニファに転職しました。
保護者に向けた販促を適切かつ効率よく実行するためにKARTEを導入
KARTEを導入した理由を教えてください。
門岡:当時、ルクミーフォトはログインする保護者の方々も多く、そのうちの一定の割合の方が写真を購入していました。一方、写真の販売期間が限られているため、お子様の写真を買い逃してしまうという保護者からの声をもらっており、機会損失が生じていました。
保育施設側への販促は実施していたのですが、保護者向けには行っていなかったので、保護者に向けての販促にトライすることになりました。ただ、当時のルクミーフォトはWeb接客などのサービスは使っておらず、実施していたメール配信にも課題がありました。
どのような課題だったのでしょうか。
門岡:主に操作性や利便性ですね。当時、メールでは写真の販売開始などをお知らせしていました。ただ、導入していたツールでは「送信先リストを都度CSVでアップロードする必要がある」「操作画面が英語で使いづらい」「テキスト形式でしか送ることができない」といった課題があり、不便さを感じていました。
本当はHTML形式で画像なども使ったメール配信をしたいと考えていたのですが、上記のような理由もあってうまく使いこなせていませんでした。メール配信のツールを使いやすいものに変更したいという思いは強かったですね。加えて、社内の開発リソースは保育施設向けの管理画面の開発に集約する必要があり、なにか販促の施策を行うにしても開発なしで対応できる状況にしなければなりませんでした。そこで新たなツールの導入を検討し始めました。
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ユニファ株式会社 ビジネス本部 事業開発部 門岡 愛子氏
検討はどのように進んでいったのでしょうか?
門岡:社内システムとの連携も視野に入れて、動かせるツールという条件はクリアしなければなりません。操作がしやすいインターフェースであるかどうかも選定のポイントでした。
いくつか検討した結果、KARTEシリーズは社内システムとの連携やインターフェースの使いやすさなどの条件を満たしていると考え、導入を決定しました。まずKARTEとKARTE Datahubを導入し、続いて当時リリースされたばかりのKARTE Messageを導入しました。
KARTE Messageは、KARTE Datahubと合わせて活用することで、顧客リストを活かして配信もできます。そうすると、各保育施設の販売期間や保護者の方々の購入ステータスに合わせたメール配信なども可能になると考えました。加えて「このツールなら直感的にビジュアルも充実させたメールを配信できるようになりそうだ」と大きな期待を寄せていました。
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KARTE Messageを活用して送信したメールのサンプル。写真を中心とした訴求が容易にできるようになった
KARTE Messageがあったから実現できたROIの高い施策
KARTEを導入してみていかがでしたか?
門岡:最初は、KARTEの「イベント」と「セグメント」の概念を理解するのに少し時間がかかりました。ユーザーの行動・属性をすべて「イベント」として捉え、ユーザー単位で整理、閲覧、分析できるイベントの考え方に慣れることからでした。
不明な点は、その都度チャットで質問し解決しました。もちろんサポートサイトも参照しますが、必要な情報が見つからないこともあります。また、マニュアルを見て考え方がわかったとしても、具体的な対応策はわからないままなこともあります。
直接聞けるのであれば、そのほうが素早く解決できますし、実際にチャットサポートやカスタマーサクセスの方に質問した際はすぐに答えてもらえていたので、どんどん質問して疑問を解決していきました。
最初はどのような施策を実行したのでしょうか?
門岡:いくつかの施策を試してみて最初に成果が出たのは、キャンペーンをエントリー制にした施策です。作成したキャンペーンページの中にエントリーボタンを設置。そのボタンをクリックすると保護者のエントリーがイベントとして記録されるようにして、エントリーの有無を判別できるようにしました。
エントリーの判別を実施した理由は、キャンペーンにおける特典の付与対象を選定するためです。以前は、キャンペーンにおいてエントリーをしていない保護者の方が写真を購入した際にも特典を付与することがあり、コストが多くかかってしまう状況となっていたのです。キャンペーンにおけるエントリーの有無を判別可能にしたことで、売り上げの増加につながっただけでなく、コスト削減にもつながり、施策のROIは良好な結果となりました。
KARTE Messageの導入後は、メールを配信してキャンペーンページに集客する施策をA/Bテストしました。KARTE Messageを使えば、配信の自動化もできますし、まだキャンペーンページを訪問していない保護者の方を対象として重点的にメールを配信できます。この施策により、キャンペーンページへの訪問率が上げられただけでなく、購入の促進もでき、キャンペーンの効率をさらに向上させることができました。
各保育施設の邪魔にならないように、Webサイトでのメッセージの出し方を工夫
KARTEが役立っている点や、効果を感じている点があれば教えてください。
門岡:保育施設の保護者が写真を購入しようと考えていたとしても、つい忘れてしまうことがあります。そういうときは、販売期間内にリマインドをお送りすることで販売促進につながります。以前はシステム的にメールを配信していたのですが、一律の対応では効果につながらないこともありました。
なぜなら、保育施設によって写真販売期間が異なるからです。2週間のところもあれば、1年間のところもあり、販売する商品の条件が異なっている。保育施設ごとの違いをどう把握し、どう保護者の方にご案内するかが困難でした。
KARTE Datahubを導入したことで各保育施設ごとの写真販売期間や販促対象ではないの保育施設の情報などのデータを集約し、それぞれの条件に応じて適切に保護者にご案内できるようになりましたが、KARTEがなかったら絶対に無理だったと思いますね。
他にもKARTEを活用した施策で印象に残っていることはありますか?
門岡:先ほどもお話ししたKARTE Messageに関してですと、非常にメールの開封率が高くなっています。その上で、どのようなメッセージを配信したら、保護者の方がどんな反応をしてくださるのかというテストをいろいろと実施しています。
購入までのフェーズごとに保護者の行動も異なるので、Webサイトを訪問して商品をカートに入れたものの、購入に至っていない保護者の方やサイト自体にまだ来訪していない保護者のみなさまに対して異なったメッセージのメールをお送りするなどのテストですね。
こうしたメール配信での試行錯誤と、他のKARTEでの接客を組み合わせられないか、というのは試行錯誤を重ねているところです。というのも、写真を選んで購入するWebサイトなので、選んでいる途中などにポップアップを出してしまうと、保護者の邪魔になってしまい、購入率が下がることもあるんです。
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たしかに、ポップアップを出すタイミングは難しいですね。ポップアップ以外では、どのような方法で情報を伝えているのでしょうか。
門岡:KARTEを使ってWebサイトへの埋め込みを行っています。保護者の方が写真を購入する際、印刷するか、データにするかが選択できるようになっているのですが、データでの購入を促す施策を埋め込みで実行したら効果が出ました。
私たちのWebサイトには写真が一覧で並んでいて、保護者はそれを閲覧しながら写真を選択します。なにか訴求をする場合は、写真に被って邪魔になってしまわないよう、埋め込みで対応しています。
購入後には、保護者の方々へのアンケートや広告を掲載しています。こちらもKARTEを通じて埋め込みで対応しています。
施策を行ううえで大事にしていることはなにかありますか?
門岡:私たちのサービスがめざしているのは、先生たちの業務負担を削減すること。それにもかかわらず、私たちの施策によって保護者の方々からのご指摘が先生たちに寄せられるようなことがあってはいけません。ご指摘などが発生しないようにという配慮は絶対に必要で、その点をふまえた販促活動である必要があります。
たとえば、メールの配信においても、保護者の方にとって不必要な内容をお送りしてしまわないように配慮しています。保育施設によっても特性があるので、配信しても問題のないところと、そうでないところを分けるなど、配慮して設定をしています。
その結果、メール配信の解除率は非常に低くなっています。それだけ、保護者の方にとってメールは来なくなると困るものとして認識して受け取っていただけているのだと考えています。
n1分析で社内の顧客理解を深め、認識を共有する
KARTEを活用したことで、顧客の理解が進んだ面はありますか?
門岡:KARTEを使って実施したn1分析からは、いろいろな発見がありましたね。それまで、一人ひとりの保護者の行動を見ていくという経験はあまりなく、新鮮でした。
たとえば、写真の購入後にWebサイトにアクセスしている際、写真のダウンロードでつまずいていることがわかりました。たしかに、ダウンロードの仕組みには課題があり、いくつかの操作が必要だったんです。実際の行動を見ることで、保護者のリテラシーによっては使いやすさに違いがあることがあらためて確認できました。
ほかにも、写真をシェアするツールと連携するまでのステップにハードルがあることもわかりました。この発見は、2024年12月にリリースしたルクミーフォトで撮影された写真がMIXIが提供するサービス「家族アルバム みてね」と自動的に連携される機能の開発にもつながっています。
門岡:また、プレイドさんが実施してくださったn1分析のワークショップには各部署からセールス担当や売上向上を担うプロジェクトリーダーなどが参加しました。定量での把握に加えて、保護者のみなさま一人ひとりの行動を見ていくというのは発見が多いものでした。また、各部署から参加してもらったことで保護者の行動に対する社内の共通認識の形成も進みやすくなったと感じます。
今後は、ユーザーインタビューなども実施していく予定です。過去にもユーザーインタビューは実施していたのですが、n1分析で保護者の行動を見ているからこそ聞ける内容もあります。それらを盛り込んでインタビューして、より保護者の方々のインサイトを理解できればと考えています。
さらに保育施設の先生たちをサポートするためにKARTEの活用範囲を広げる
今後、KARTEの活用に関して予定していることはありますか?
松島:これまでKARTEは保護者の方々向けに活用していましたが、今後は保育施設側の管理画面へKARTE Blocksを導入します。保育施設といっても、運営団体の規模感や運営母体などの区分などの違いがあり、情報の出し分けは必須です。管理画面にKARTE Blocksを導入できれば、業務時間中にも情報をカスタマイズして配信可能になるため、より先生たちのサポートができるのではと考えています。
門岡:管理画面に導入できれば、どの保育施設が何回管理画面にアクセスして、どのような行動をしているのかも可視化できるようになるのではと期待していますし、管理画面はもっと改善していきたいですね。もともと、管理画面を通じて販促したいという狙いもあり、バナーを出すツールは入れていたのですが、情報の出し分けができないという課題がありました。以前使っていたツールはアカウントの追加にかかるコストも高いことに加え、使いこなせる人も限られていたのです。
KARTE Blocksであれば、ある程度のリテラシーがある人なら、自由に情報を出し分けできるようになると考えて、導入を決めました。すでに3〜4年の間、KARTEを使い続けてきてデータもノウハウも溜まっています。そのため、他のツールを導入するより、KARTEと連携できるツールを導入するほうが効率がいいと考えています。
今後、KARTEに限らずめざしていることがあれば教えてください。
門岡:既存の施策にもまだまだ改善余地があるので、より細分化して、PDCAサイクルを回していけたらと考えています。また、家族アルバム みてねとの連携など、新たな販促の動きも積極的に進めていきます。保護者の方向けの動きはこの2つの軸を想定しています。
新たに検討している保育施設向けの管理画面の改善は、普段保育施設とコミュニケーションをとっている社内の担当者との連携も必須です。社内も巻き込みながら、保育施設の先生の解像度を上げて、新しい施策をテンポよく実施していく、そうやって事業貢献につなげられたらと考えています。
松島:先生たちは日々現場業務が忙しいなかで、いろいろな情報をキャッチアップしていく必要もあります。「こども誰でも通園制度」など、これから本格化していく制度のアップデート情報などを、先生たちが通常業務に加えて情報収集していくのも負担がかかります。
私たちが専門の有識者をお招きし、セミナーなどを通して先生たちに情報をお届けできれば、その分情報収集にかかる手間を削減できます。お届けした情報は、日々の保育現場でご活用、ご検討いただけるので、保育施設向けの管理画面の改善を通じて、そういう形でも貢献していけたらと考えています。