パーソナライズドマーケティングとは?一人ひとりの顧客に合わせたマーケティング手法
パーソナライズとは、全ての人に同じ内容を提供するのではなく、一人ひとりの顧客の属性や行動履歴に基づき、適切な体験を提供することです。
パーソナライズとは?
パーソナライズとは、全ての人に同じ内容を提供するのではなく、一人ひとりの顧客の属性や行動履歴に基づき、適切な体験を提供することです。
例えば、スターバックスでバリスタが常連客の好みを覚えてくれたり、紙コップに名前を書いてくれる接客も、個人に最適化されたパーソナライズの一例です。
このように、パーソナライズは、オフライン・オンラインの場面を問わず、個々のニーズに合わせて適切なものを提供することで、顧客ロイヤリティを高める狙いがあります。
現代では、インターネットやスマートフォンの利用、ソーシャルメディアの行動データ、ECサイトの購買データなど、様々なデータが蓄積されるようになったことで、一人ひとりのニーズに合わせて情報や商品を提供しやすくなりました。
さらに、AIやloTの浸透、ビッグデータの活用により、様々な場面でデータの取得が可能となり、データ分析の精度が向上したことで、オンラインマーケティングを中心にパーソナライズが活躍する場面が広がっています。
本日は、パーソナライズドマーケティングについてオンラインの事例を中心に解説していきます。
パーソナライズとカスタマイズとの違い
パーソナライズと似た用語に「カスタマイズ」がありますが、両者の意味合いは異なります。
カスタマイズはユーザー自ら自分が欲しいものを選択し、その選択に合わせて商品や情報を受け取ります。Twitterなどのミュート機能やFacebookの特定のページや人物の投稿だけを通知する設定などがカスタマイズとなります。
一方、パーソナライズではユーザーが欲するコンテンツや機能を蓄積されたデータから予測し、「ユーザーに作業させることなく」提供します。
パーソナライズが利用されている場面
顧客接点によって、「パーソナライズ」がどのように個人に最適化されているかは変わります。わたしたちの生活に身近な例を挙げて、どのようにパーソナライズが行われているのか、その一部を見てみましょう。
パーソナライズドな広告配信(リマーケティング)
わたしたちの生活において、最も身近なパーソナライズ戦略が「パーソナライズド広告」でしょう。ユーザーの属性情報や行動に連動して、一人ひとりに異なった広告を配信します。
パーソナライズド検索
Googleで導入されている検索機能の一つで、過去の検索履歴や位置情報、SNSのログイン情報などをもとに、一人ひとりに最適化された検索結果を表示する機能である「パーソナライズド検索」。このような機能が備わっていると知らずにGoogle検索を行なっている方も多いのではないでしょうか。
例えば、大阪と東京で「ランチ イタリアン」と検索した場合の検索結果は同一ではありません。位置情報を元にそれぞれの地域に近しいお店が優先で検索順位に上がってきます。
ECサイトでのユーザー行動に合わせたレコメンド
ECサイトなどのWebサイトにおいて、顧客が欲している情報や好きかもしれない情報を自動で表示する機能のことを指します。このようなリコメンド機能はパーソナライズの一部と言えるでしょう。そして、この代表的な例がAmazonです。
Amazonは独自のパーソナライズ機能により、ユーザーがほしいと思う商品を示します。売れている商品をただランキング表示するのではなく、ユーザーの閲覧履歴購や購入履歴、同じ商品を買ったユーザーの履歴などからユーザーニーズに合いそうなものを「あなたの購入品に基づくおすすめの商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」として表示させています。
顧客データに合わせたメール配信
顧客データなどの情報を活用して、顧客ごとにパーソナライズしたメールを送信します。パーソナライズといってもそのレベルは様々で、宛名に顧客の名前を入れるものから、過去に購入した商品に関連のあるトピックを送る、顧客のWeb閲覧履歴をもとに関心の高そうな情報を届けるものなどがあります。
SNSでのつながりや関心に合わせた通知
SNSでもパーソナライズ機能は使われています。主にユーザーや広告表示です。
例えば、Twitterでは誰をフォローしているかなどの情報から「おすすめユーザー」の表示がパーソナライズ化されています。2018年6月から北米のTwitterでは、タイムライン上部に表示されるイベントやニュースもパーソナライズされ、それに合わせてプッシュ通知もされる機能もリリースされています。Facebookでも共通の「知り合いかも」も、共通の友人や登録された個人情報により一人ひとりに最適化され、表示されています。
自分にあったコンテンツ配信
グノシーやニュースピックス、その他多くの「キュレーションメディア」においても、ユーザーに最適化された情報を優先して表示させるパーソナライズが実装されています。登録したユーザー情報や興味のあるジャンルを選択することで、興味度合いが高いものから配信され、ユーザーが求めているものが得やすい特徴があります。
動画プラットフォーム上でも、パーソナライズドが行われています。例えば、世界中の若者に人気のショート動画のプラットフォームである「TikTok」は、ユーザーの視聴情報や投稿情報をもとに、広告も含めてすべてのコンテンツをパーソナライズ化しています。
ユーザーの好みに合わせた音楽プレイリストを生成
サブスクリプションサービスでも、パーソナライズは活用されています。その例としては、世界最大手の音楽ストリーミングサービスであるSpotifyがわかりやすいでしょう。
Spotifyには、ユーザーが日々聴いている曲や、音楽の好みが似ている他のユーザーが聴いている曲をAIが分析し、自動でプレイリストを生成してくれる「Discover Weekly」があります。
その他のパーソナライズ事例
ここまでに紹介してきた事例の他にも、パーソナライズの事例は登場してきています。具体的にどのような場面で利用されているのか、いくつか事例をご紹介します。
アプリによるジブン仕様のNIKE | ナイキジャパン
アメリカやヨーロッパなどでは約2年前から展開されていた『NIKE アプリ』(iOS, Android)が、2018年12月から日本でも配信されるようになりました。登録時にユーザーが興味のあるスポーツやアイテムを選択することで、イベントや商品情報、アイテムのレコメンドなど、パーソナライズされた情報が届きます。
また、同社のオンラインサイトの商品を購入できるだけでなく、アプリ限定プロダクトも発売されています。このように情報発信だけでなく、購買体験も一人ひとりに合わせた事例といえるでしょう。
参考:https://www.nike.com/jp/ja_jp/c/nike-plus/nike-app/
LINEと連動した情報発信もできる電子チケットサービス | LINE株式会社
2018年末にリリースされた「LINEチケット」は、音楽ライブやコンサート、スポーツなど様々なジャンルのチケットを、LINEから手軽に検索・購入・発券できる電子チケットサービスです。
LINE公式アカウントや「LINE MUSIC」「LINE LIVE」といった各サービスと連携し、ユーザー属性や興味関心データなどに基づいて、「当日券があるオススメの公演」情報を配信するなど、パーソナライズされた情報を表示します。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001264.000001594.html
コカ・コーラボトルに名前をデザイン | 日本コカ・コーラ株式会社
少し変わり種の事例としては、250種類以上の名前や名字がデザインされたコカ・コーラの「ネームボトル」があります。ユーザーデータや行動履歴を基にしたパーソナライズされたものではなく、店頭に並ぶリアルな商品に個人の名前が入るという画期的なキャンペーンです。
実際にこのキャンペーンは大成功をおさめ、期間限定でありながらも、累計で2.5億本以上を売り上げました。このようにボトルに名前を入れることにより、ギフトとしての購入など、飲料ボトルに”特別感”という新しい価値を提供することに成功しました。
また、翌年には画像認識技術を活用し、関係を象徴する記号(♥ & VS)を使ってシェアできる仕掛けを提供し、ボトルのパーソナライズを強化したデジタル施策も行いました。
参考:https://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20140522
https://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20150326
KARTEを利用したパーソナライズドマーケティング
CXプラットフォーム「KARTE」は、顧客一人ひとりを知り、顧客の体験やモチベーションの変化などに合わせて柔軟なコミュニケーションをとることを可能にします。
行動や属性に合わせたポップアップを出すだけではなく、人に合わせてページの情報を書き換えたり、店舗での購買情報など自社データベースと連携して、顧客一人ひとりをより深く理解した体験の提供を行うことができます。
パーソナライズで一人ひとりの顧客に合った体験を
このように事例が増えているパーソナライズは、顧客体験にも関係します。どれだけ一人ひとりの顧客に向き合えるかで、顧客体験に悪い影響も、良い影響も与えます。
たとえば、2008年12月1日に施行された「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」では、「営業上のサービス・商品等に関する情報を広告又は宣伝しようとするウェブサイトへ誘導することがその送信目的に含まれる電子メール」も規制の対象となりました。
このように一方的にメールが一斉送信されることを多くの人が迷惑であると捉え、政府が規制するまでに至っています。これは顧客が本当に必要としている情報を届けられなければ、顧客体験が損なわれてしまう一例です。
技術の発展により、一人ひとりに最適化されたマーケティングを行いやすくなりました。今後は、企業が一人ひとりの顧客と向き合うことがより重要になってきます。
この先、顧客のデータを集め、行動を知り、パーソナライズされた情報やサービスを届けることが必要になるでしょう。マーケティングを考える際にも、パーソナライズの観点を忘れずに取り入れるようにしましょう。