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信念を持って顧客と向き合えているか。急成長アプリChompy、DELISH KITCHEN、Classiの考えるPM像

信念を持って顧客と向き合えているか。急成長アプリChompy、DELISH KITCHEN、Classiの考えるPM像

19th Nov, 2020

大見 周平

大見 周平

株式会社シン CEO

東大法学部を卒業後、2012年4月にDeNA新卒入社。入社後2年間は韓国ゲーム事業に従事し、ソウルオフィスのマーケティングチームの立ち上げ・新規ゲーム開発を担当。2014年4月から新規事業部署に異動となり、自動車領域への投資決定を推進し、Anyca(エニカ)の事業責任者を務める。2017年9月、子会社の株式会社DeNAトラベル代表取締役社長に就任し、2018年に売却を実施。2019年5月にDeNAを退職し、2019年6月に SYN, Inc. を創業。
堀田 敏史

堀田 敏史

ほった・としふみ

株式会社エブリー DELISH KITCHENカンパニー ユーザーグロース部 副部長

1987年生まれ。2011年グリー株式会社入社。エンジニアとしてソーシャルゲームの企画/開発、新規事業領域での開発に従事。その後、起業、フリーランスを経て、2016年株式会社エブリー入社。現在はプロダクトマネージャーとしてDELISH KITCHENのユーザーグロースを担当。
竹部 陽司

竹部 陽司

たけべ・ようじ

Classi株式会社 プロダクトデザイン本部 本部長

2007年楽天にて、UX部門を立ち上げ、UXの社内文化醸成を推進。2013年DeNAにて、UI/UXデザイナーとして遺伝子検査事業の新規立ち上げに参画。2015年リクルートテクノロジーズにて複数のSaaS系開発プロジェクトや、BtoB系UX知見の体系化を推進。2018年よりClassiに参画、本年度よりプロダクトデザイン本部長として、専門性の育成やプロダクトのロードマップを描くプロジェクトに従事。

アプリのグロースやCXへの取り組みにおいて、プロダクトマネージャー(以下PM)は欠かせない役割を担っています。

2020年10月13日、プレイドはアプリのPMにフォーカスしたオンラインセミナー「あの急成長アプリのPMは何を考えどう動いたか」を開催しました。

「Chompy」「DELISH KITCHEN」「Classi」でPM的な役割を担う、あるいはPMを育成する立場の3名が登壇。成長過程でぶつかった壁やPMに求められるスキルセットを惜しみなく語りました。

モデレーターは、SNS広告運用プラットフォーム「Smartly.io」の日本代表 坂本達夫氏が務めました。

急成長アプリにおけるPMの役割とは?

冒頭では、3名がアプリの概要や、社内で担っている役割について共有してくださいました。

複数アプリやチームの交通整理をする“バランサー”

1人目に登壇したのはChompyを運営する株式会社シン CEOの大見周平氏です。

Chompyは「まいにちの暮らしを、おいしく笑顔に」を掲げるフードデリバリーサービス。ユーザー向けと飲食店向け、配達員向けと3つのアプリを開発・運営しています。

大見氏はCEOとしての業務と並行して、プロダクトにも一定のリソースを割いているそうです。自身の役割について、各アプリの間、あるいは投資家とプロダクトチームの間をつなぐ『バランサー』と形容します。

大見氏「各アプリのチームにPMはいますが、アプリを横断した取り組みにおける交通整理や優先順位付けなどは僕が行っています

例えば、ユーザー向けのアプリでは、いつ利用しても配達員がスムーズに見つかる状態をつくることが重要です。そのための施策としては、配達員の報酬を上げて、配達員を確保することが効果的です。ただ、売り上げとのバランスを取らないと、事業として赤字が増えてしまう可能性もある。でも、お客様にとって大事なことは、配達が安定稼働していることなので、こうした調整も、投資家とのコミュニケーションを行いながらリードしています」

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ユーザーに長く使ってもらうための改善を推進

続いて登壇したのは、DELISH KITCHENを運営する株式会社エブリーで、プロダクトマネージャーを務める堀田敏史氏です。

DELISH KITCHENは日本最大級のレシピ動画メディア。2016年にアプリをリリースし、総ダウンロード数は2,000万を超えています。

堀田氏は、エンドユーザー向けのプロダクトを担当する部門に所属し、アプリのUI/UX改善、グロース施策を担っています。PMとしては特に「継続的に利用してもらうための改善」を推進。日々の施策では、アクティブユーザーの短期的なKPIを追いながらも、それらが長期的な継続率につながっているのかを見ています。

堀田氏「DELISH KITCHENは、毎日料理をするユーザーが継続して使う“必需品”でありたい。そのためにどのような体験や機能が必要か、ユーザーの課題から長期的なロードマップを引き、日々施策を推進していくのが私のPMとしての役割です」

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PMのスキルセットを可視化し、育成の仕組みづくりをリード

最後に登壇したのはClassi株式会社 プロダクトデザイン本部の竹部陽司氏です。

同社の提供するClassiは、教育現場のICT化をサポートするクラウドサービス。現在全国2,500校の高校に導入されています。

竹部氏はプロダクト開発にも携わりつつPM育成の仕組みづくりを担っています。

竹部氏「ディレクターやUI/UXデザイナーが日々の仕事のなかでPMのスキルを身につけるために、必要なナレッジの整理や仕組みづくりを行っています。

PMには、仮説検証力や発想と収束、アイディエーション、運用・製品評価など、多岐にわたるスキルセットが求められます。それらを総合的に身につけるには、長期的な育成と経験が必要です。そのための取り組みを推進しています」

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成長期こそ“顧客に届けたい価値”を考え抜く

3名の役割を踏まえ、パネルディスカッションで最初に挙がったテーマは「PMとしてプロダクトの成長過程でぶつかった壁」について。

堀田氏は、成長期において「適切に情報共有できていなかった」経験を挙げました。

堀田氏「DELISH KITCHENの事業も組織もグロースし始めた頃、プロダクトの方向性や目標、それらの目標を達成するまでの時間軸など、周囲にうまく共有できていませんでした。それまでは、人数も少なく自身でプロダクト全体を見渡せていたのもあり、組織で目線を合わせる重要性を認識できていなかったんです。

その結果、プロダクト改善についての意思決定をチームに分散できず、施策のスピードが落ちてしまいました。成長期こそ同じ方向を向いていけるように、情報を共有して任せていく大切さを学びました」

続いて大見氏は、コロナ禍でぶつかった壁について自身の反省も交えて語りました。

大見氏「日本でも外出自粛を要請されていた頃、ミシュランガイドに掲載されているレストランが続々とデリバリー対応を進め、1万円を超えるような高級弁当などを販売し始めました。

Chompyとしても高級弁当のデリバリーに対応すべきかどうか。競合を含め様々な企業が外出自粛に対応した新しい取り組みに乗り出すなか、冷静かつスピーディーに意思決定するのは容易ではありませんでした。」

検討の結果、大見氏は高級弁当のデリバリーに対応し、関連する新機能も開発する道を選びます。

しかし、「高級弁当の配達」は庶民の日々の食生活を支えたいというサービスのコンセプトと乖離しており、ユーザーの体験向上にはつながらなかったと振り返ります。

大見氏「本来のコンセプトや届けたい体験とかけ離れているなら、手を出すべきではなかったと今は思っています。結果的にリソースを割いて開発した機能も、コアの機能からは外す形になりました。

売り上げやユーザー数などを伸ばし、アプリを事業として成長させるフェーズほど目先の数値に囚われやすい。けれど、核となるコンセプトを見失うと、一時的に数値が伸びたとしても、本来届けたかった体験からは離れていってしまう。成長期こそユーザーに届けたい価値や体験を意識し続けることが重要だと痛感しました」

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Classiもコロナ禍で新たな壁にぶつかっていました。竹部氏は「今もまさに乗り越えようとしているところです」と前置きしつつ語りました。

竹部氏「コロナの影響で、ユーザーの利用方法は、大きく変化しました。その変化をどのように的確に捉え、改善に活かすのか。負荷が一気に増えるなかで、どうシステムをスケールしていくかなど壁はいくつもあります。

それらの壁をPMがどのように乗り越えるのか。鍵になるのは課題の抽象化だと思っています。

例えば、異なるユーザーから異なる声が届いていたとしても、課題をツリー構造で整理していくと、原因は同じかもしれない。そうやって本質的な課題として向き合い、引き上げることで乗り越えていこうと取り組んでいるところです」

“ガチな勝負”の質と量が、PMのスキルを身につける鍵

続いて、PMの職能についても議論が盛り上がりました。PMに求められるスキルセットとはどのようなものなのか、それらを3名がどのように身につけてきたのか、それぞれが見解を語ります。

竹部氏は、PMにはプロダクトの「製品力」と「利用品質」を高めるスキルが必要だと考えているそうです。

竹部氏「『製品力』は、プロダクトを通して実現したいビジョンや解決したい課題設定の精度、PL管理や製品管理の質を指します。『利用品質』は、プロダクトの使いやすさや提供できる体験価値を指します。この両方を高めるのがPMだと捉えています。

私自身は『製品力』にひもづくスキルをリクルート時代に学びました。長期的に製品を通して解決すべき課題は何か、長期的な戦略やロードマップを描く部署に配属されて、外部の環境変化や社内のリソースを踏まえた課題設定を思考するなかで製品力が鍛えられた気がします。

『利用品質』にひもづく力は楽天時代にブログサービスに携わりながら身につけました。利用者の規模も多くUIの変更だけでもユーザーから多様な意見が届く。それらと向き合い対応し続けた経験は今も活きています」

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長期的なビジョンや課題を描く経験、ユーザーと向き合い続けた経験が糧になっているという竹部氏の発言を受け、大見氏も「ガチな勝負の質と量」が血肉になったと言います。

大見氏「特に鍛えられたのはカーシェアサービス『Anyca』に携わったときですね。

エンジニアは当時DeNAのCTOだった川崎修平さんが一人だけで、僕がPMという体制。川崎さんに多方面でサポートしてもらいながら、PMとして挑戦させてもらいました。人のマネジメントが下手すぎて、川崎さんに怒られたこともありましたね。

精神論になってしまいますが、採用やマーケティングも含め、覚悟を持ってプロダクトを背負う経験が、PMとしての土台になっています」

堀田氏はPMに必要なスキル領域として「テクノロジー、ビジネス、UX」の3つを挙げ、自身の経験について語りました。

堀田氏「僕は元エンジニアなので、テクノロジー領域の知識や経験は一定あったと捉えています。そのうえで、前職のGREEでゲーム事業の量をこなすなかで、グリー時代はエンジニアでしたのでビジネスサイドは現職が大きいため意思決定やスピード感が鍛えられました。ビジネス、UX領域の知識や経験は、DELISH KITCHENでユーザーと向き合い、改善を行うなかで積み重ねられている実感があります」

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テクノロジー、ビジネス、UXというスキル領域を挙げた堀田氏に対し、モデレーターの坂本氏は「PMはすべての領域で平均点以上を取れたほうが良いのか、一点特化でも良いのか、どちらだと考えていますか」と問いを投げかけました。

堀田氏が「チームメンバーによって異なります。互いに補完し合えるなら、一点特化型の人が集まってるほうが強いケースもありますね」と答えると、大見氏も大きく頷きます。

大見氏「今はアプリ市場も成熟期に入っていて、マーケティングも一筋縄ではいかない。UIも基礎レベルが上がっている。そうした状況のなかでは、すべて平均点よりも、どこかで100点を取れるメンバーが集ったほうが、ブレイクスルーするアプリは生まれやすいのではと思います」

PMの必須条件は内に宿る顧客への想い

最後に、これからPMを目指す人や、PMとしてキャリアを積んでいる人に向けて、メッセージを送りました。

大見氏は「専門性とキャラ設定」の重要性を挙げます。

大見氏「先ほど述べたとおり、これからブレイクスルーを生むようなアプリを創り出すPMには、明確な強みや専門性、キャラ設定が重要になるはずです。自分はどういうPMになりたいのか、その像の解像度を上げていくこと。そこに近づくために行動できる人が増えていくと良いなと思います」

堀田氏は、強みや専門性を獲得するために「仮説検証を楽しむこと」を提案しました。

堀田氏「強みを身につけていこうとしたときは、実際に手を動かしながら、顧客と向き合い、学習し続けることが何より大切です。壁にぶつかったとしても実験と捉え、トライし続ける。そのプロセスを楽しんでほしいです」

竹部氏は、PMに必要なのはスキルや経歴よりも「自らの内側にある想い」ではないかと語りました。

竹部氏「PMは複数のスキルを含む総合的な職種です。どんな経歴の人でも、堀田さんの言う通り、手を動かすなかで、きっと何かしら強みは見えてくるはずです。

だからこそ、スキルや経歴といった見栄えよりも、もっと内側にあるものが重要なのかもしれないと考えています。

少し精神論になってしまうのですが、顧客に対し心から興味を持っているのか、自分のやりたいことに情熱や信念を持って向き合えているのか。そういった代替できない“想い”のようなものが、PMにとって重要になると思っています」

情熱と信念を持って顧客と向き合い続ける

3人のディスカッションから浮かび上がってきたのは、短期的な数値成果に惑わされず、アプリを通して創りたい顧客体験を追求し続けるPM像でした。そのために、“情熱と信念”を持って顧客と向き合う姿勢が、これからの時代に、アプリのグロースやCXへの取り組みを担うPMには欠かせないと言えそうです。

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