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“ソニーらしさ”の解釈は顧客に委ねる。ブランドプロフィットセンターとしてのGinza Sony Parkはなぜ実験を続けるのか?#exp_liveout

“ソニーらしさ”の解釈は顧客に委ねる。ブランドプロフィットセンターとしてのGinza Sony Parkはなぜ実験を続けるのか?#exp_liveout

16th Dec, 2020

2018年8月に銀座のソニービルの跡地に開園した「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」。開園以来、公園での休憩やライブ、イベントを通じて「ソニーらしい」と感じられる体験を訪れる人へ提供しています。

「Ginza Sony Parkにとって、余白はとても重要です。パークではその余白を利用して、顧客の解釈からソニーのブランドをつくりだそうとしています」

そう語るのはソニー企業株式会社 代表取締役社長・チーフブランディングオフィサー 永野 大輔氏。「変わり続ける都会の実験的な公園」であるGinza Sony Parkの目的は、来場する人々とのブランドコミュニケーションを実験することにあるといいます。

「余白」がブランドに与える影響とはどのようなものなのでしょうか。2020年9月29日に開催された「Experience LIVE OUT」のセッションで永野氏と、モデレーターを務めたモリジュンヤ氏が語った内容を紹介していきます。

「ブランドプロフィットセンター」として、実験を続けるGinza Sony Park

ソニーは、なぜ銀座に「公園」をつくったのでしょうか。一見、意外に見える行動の背景には、会社としての歴史の継承やブランドの「らしさ」を表現するという意図があったといいます。

永野氏「1966年ソニービル設立当時のコンセプトは、『街に開かれた施設』でした。ソニービルの中でも数寄屋橋交差点に面した10坪の三角のスペースを、創業者の1人である盛田は『銀座の庭』と呼んでいました。ソニービルの建替を考える上で、変えるものと変えずに継承すべきものはなにかを考えました。

建物は変わりますが、銀座・数寄屋橋交差点の一角にあるという場所性は変わらない。時代や会社の変化に合わせて変えていく部分もありつつ、ソニービルのコンセプトやソニーが大事にしている『人がやらないことをやる』という部分は、ぶらさず表現しようと決めました」

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結果、ビルを公園にしてしまうという大胆なアイデアを実現したソニー。数多くの人々が訪れ、メディアにも取り上げられるなど、大きな反響を呼びました。ただ、公園にしたことで、場所を貸すことで得られたはずの利益が得られなくなってしまいます。「大胆な挑戦をする上で、社内ではどのように話をしていったのですか?」というモリ氏からの質問を受け、永野氏はこう語ります。

永野氏「私たちのなかで、Ginza Sony Parkはブランドプロフィットセンターという位置付けにあります。コストセンターでもなく、プロフィットセンターでもない。Ginza Sony Parkという実験的な公園で様々なアクティビティをすることによって、人々との接点が生まれ、メディアなどにも取り上げてもらえて、ソニーのブランド価値が上がる。ブランド価値が上がることは、会社に利益をもたらしていることになりますよね」

永野氏は、Ginza Sony Park自体を商品やサービスとして捉えていると語ります。ウォークマンやプレイステーション、AIBOなどと同じく、ソニーのブランドを体現したものとしてGinza Sony Parkも捉えられるといいます。

永野氏「2018年8月のオープン以来、650万人の方がパークに来てくださっています。それはつまり650万人の方がソニーの製品を使っていることと、同等のコミュニケーションができていると捉えています。Ginza Sony Parkがブランドプロフィットセンターという役割を担っていると合意できているからこそ、実験場として挑戦しやすいようになっています」

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Photo: Ginza Sony Park Project

コントロールはしない。「余白」を重視したブランディング

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企業側がブランドコミュニケーションを意図した場であっても、訪れる人々にとってはあくまで公園です。公園では様々な人がそれぞれの目的で訪れ、自由に過ごしています。万人に同じ体験をしてもらうことは難しい環境ですが、Ginza Sony Parkではどのようにブランディングを行っているのかについて、モリ氏から質問が投げかけられました。

永野氏「Ginza Sony Parkは、公園なので、公園らしく来た人に使い方を委ねる形が良いと思っています。これだとブランドに寄与しているかどうか気になりますよね。実は、開園以来実施しているアンケートの結果が面白いんですよ。

この場所のことをどう思ったかという質問に対して、最も数が多い回答が『ソニーらしい』なんです。Ginza Sony Parkは、ソニー製品が展示されたショールームではありません。ソニー製品を販売しているストアでもない。でも、このパークを自由に使っていただいていた結果、ソニーらしいという感想をいただけています」

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Photo: Ginza Sony Park Project

Ginza Sony Parkの存在そのものが、ソニーの価値観を体現しており、ソニーらしさを感じられる空間になっている。だからこそ、企業側がコントロールするのではなく、Ginza Sony Parkの体験の仕方をユーザーに委ねることで「らしさ」が伝わっているのではないかと、永野氏は分析します。こうしたブランディングの考え方を「バックグラウンドのブランディング」と永野氏は語ります。

永野氏「今までのブランディングは、私たちの商品はこんなにクールでこんなにかっこいんだと、目に見える価値を訴求するものでした。これをフォアグラウンドのブランディングと呼んでいます。

今は解釈の時代であると言われているように、人それぞれ感じ方や解釈が多様化しています。見え方などではなく、もっと奥深い部分にある想いや考えの部分をユーザーと共有するバックグラウンドのブランディングの可能性を感じています」

「人が集まれない」を好機と捉え、新たな公園の体験を発明する

Ginza Sony Parkは、「実験」を許容する空間として様々な取り組みを行ってきました。これまで様々な人が集まり、活発にイベントを開催されていたGinza Sony Parkにも、新型コロナウイルスの影響で変化が訪れます。

「人が集まれない状況で、どのようにパークの運営に取り組んでいるのですか?」というモリ氏からの質問に対して、永野氏は事態を前向きに捉え、新たな実験をはじめていることについて語りました。

永野氏「これまで毎週金曜日にやっていた『Park Live』という音楽ライブをオンライン配信に切り替えました。パーク地下4階で実施されていた際には、スタンディングで200人、シーティングで100人ほどの観客が最大数でした。しかし、オンライン化してからはおよそ2000人と、以前の約10倍の方が見に来てくれています。また、現地に足を運ぶことができない方もライブに参加できるなど、実験によって様々な発見があります」

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Photo: Ginza Sony Park Project

物理的に集まれないという制限が生まれたからこそ、デジタルで集まるための実験が積極的に行われるようになりました。永野氏はこの状況を、「いずれ取り組まなければならなかったことが、前倒しになりました」と語ります。

永野氏「Ginza Sony Parkは、2021年の秋で一旦閉園を迎え、新たにビルとして生まれ変わる準備期間に入ります。新たにつくるのは、公園を縦に伸ばすようなビルで、公園というコンセプトは変わりません。工事期間中、パークでリアルに集まることはできない状況でも、ソニーを感じてもらうための活動をデジタル中心で続ける必要があります。

当初の計画では、デジタルをどう活用するかの実験が始まるのはもっと先の想定でしたが、コロナ禍によって前倒しになりました。おかげで、工事に入るまでの期間、デジタルも活用した公共空間の作り方の実験ができます」

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「実験場として捉えてきたGinza Sony Parkだからこそ、外部環境の変化にも素早く対応してデジタルを中心とした人とのつながりを生み出すための取り組みをスタートできてるんですね」とモリ氏。結果も出始めているデジタルでの試みですが、まだ課題は多いと永野氏は話します。

永野氏「パークの目的は、ブランドプロフィットセンターとしての役割を果たすこと。そのためには、ブランドコミュニケーションとして成立する必要があります。デジタルの取り組みで人は集まっていますが、いわゆるパークのらしさを出せているかというと、まだ出せていません。

ただ、オンラインライブを実施してみて、わかったこともありました。ファンの方たちは、できるだけアーティストと物理的に近くにいたい。それから、長く傍にいたい。近さと長さ。この2つが、リアルとデジタルを組み合わせた新しい顧客体験を発明するキーワードになりそうだと考えています。

今、実現できていることはアナログからデジタルへの場の拡張。ただシフトするだけではなく、今後は、リアルとデジタルが一緒になったからこそできる体験をつくり出すようなところまでいけないかと考えています。2020年10月からは、パークのシーズン2がはじまっています。出店店舗も大きく入れ替わり、新しいアクティビティも実施していく予定です。ぜひ、ご期待ください」

2021年秋までは、引き続き変わり続ける公園として、実験が続いていくGinza Sony Park。余白を重視し、リアルとデジタルの組み合わせた新しい顧客体験の創出に取り組んでいる事例を共有いただきました。

「ソニーらしさ」を実行せよ。50年間、人がやらないことをやってきたソニーの「今」が実装された銀座ソニーパーク

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