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「店舗の価値」を問い直してKARTE GATHERを開発。CXの可能性をプロダクトで表現するプレイドR&Dチーム

「店舗の価値」を問い直してKARTE GATHERを開発。CXの可能性をプロダクトで表現するプレイドR&Dチーム

26th Oct, 2020

株式会社プレイドは2020年8月、オンライン接客用デバイス「KARTE GATHER」を発表しました。おもちゃ型のかわいらしいデバイスが、実店舗スタッフとオンラインのお客様とをシームレスにつなぎ、新しい接客体験を生み出します。

このKARTE GATHERを創り出したのは、プレイドのVP of R&D・秋山剛。2017年に発表したECをVRで可視化するプロダクト『K∀RT3 GARDEN(カルテガーデン)』の開発者でもあり、独自のアイデアと手法で、プレイドの価値感を世に伝え続けています。

プレイドのR&Dの秋山、飛永由夏の二人に、KARTE GATHER開発のきっかけや、制作のエピソード、R&Dの今後の展望などを聞きました。

プレイドが目指す未来はもっと高いところにある──。“存在意義”の可視化に挑む

今回は二人にお話を伺いたいと思いますが、まずはR&Dチームについて教えてください。

秋山:R&Dは「プレイドが目指す未来」や「存在意義」のようなものを可視化していく組織だと考えています。私が入社した2017年4月頃のプレイドはまだ社員数40人ほどでしたが、CXプラットフォーム「KARTE」でサイトに訪れる顧客一人ひとりの行動データを解析していました。Webのアクセスログだけではない、あらゆる行動のデータに基づいて「人を知る」という点に、非常に可能性を感じていました。

現在、ありがたいことに多くの企業様でKARTEが利用されるようになりました。一方で、目先の定量的な数字に捕らわれてしまうと、時にメンバーの目線が下がっていってしまいます。なのでR&Dとしては、目線をぐっと上げて、まだマーケットの理解がないような未知の部分を表現するようにしています。「プレイドの可能性、存在意義ってもっと高いところにあるよね」と。どうしても仕事の抽象度が高くなるので、理解されにくい時もあります。

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飛永:私もKARTEが解析するデータに興味があって入社しています。元々画像処理エンジニアで、コンピュータビジョンというカメラやセンサーを使って人や物を認識する技術を学んでいて、今はデータをどのように表現できるかを考えています。KARTEの解析する膨大なデータももっと上手に使いたい。データは今、一般的には数字として表現されているんですけど、技術を組み合わせていろいろな形にしたいと思っています。

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では次に、二人が所属するR&Dについても教えてください。

秋山:接客や、その接客によるユーザーの行動変容や顧客満足って、まだまだ定量化しきれていない部分があります。しかし、プレイドは、あらゆる行動データをもとに「人を知る」「本当のコミュニケーションをもたらす」という未来に挑戦しています。数字を単なるマーケティングの手段にするのではなく、もっと人と向き合えるようにする。「人対人」のコミュニケーションができるようにしていく、と。

先ほど入社経緯でもお話ししたように、我々もそこに非常に可能性を感じています。R&Dはそうした「プレイドが目指す未来」や「存在意義」のようなものを既存の事業とは違う形で可視化していく組織だと考えています。

「店舗の価値って何だろう」K∀RT3 GARDENの成功で感じた違和感

R&Dの代表的なプロダクトといえば、Webに訪れたお客様をVRで視覚化するK∀RT3 GARDENがあります。このK∀RT3 GARDENを開発した理由は何ですか?

秋山:K∀RT3 GARDENは、Webのユーザーを「その場にいる人」として感じられるようにと作ったものですが、発表当時の2017年は、KARTEの価値や存在意義がまだまだ認知されておらず、一般的な「Web接客ツール」として見られていたと思います。

しかし、私が感じていたKARTEやプレイドの価値はそんなレベルではなかったし、もちろん社内の人間もそう感じていたはずです。代表の倉橋はじめ、言葉を尽くして価値を伝えようとしていました。私は言葉とは違ったアプローチでその価値を表現しようと思ったのが、K∀RT3 GARDENを作った理由です。

VR技術を使ったのは、接客による顧客の満足、行動変容という定量化しにくいものを、人の五感を使って感じ取ってもらいたかったから。本当は立体空間の中で商取引もできるようにしたかったんですが、ユーザー全員がヘッドマウントディスプレイを持っている必要があったので、それは諦めました(笑)。

K∀RT3 GARDENの反響はどう感じましたか?

秋山:正直なところ、K∀RT3 GARDENは分かる人にだけ分かってもらえば、と思っていました。そういった意味ではACM(Association for Computing Machinery)のDigital LibraryにK∀RT3 GARDENに関する論文が収蔵されたのはよかったです。

「物を買う」という一つの行動の中でも、人は無意識にさまざまな行動を取ります。しかし、Webのアクセスログでは、その人が何のために来店して、なぜページ遷移したのかといった理由や背景が抜け落ちてしまいます。私はそれを“復元”したかったのです。

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K∀RT3 GARDENは、アパレルブランド『JAM HOME MADE』さんが店舗に導入していただきました。

秋山:JAM HOME MADEさんでは、K∀RT3 GARDENのVR画面を店舗の壁三面に映し出しました。店舗に訪れたお客様と、その瞬間にオンラインに訪れているお客様とが“一堂に会している”という、新しい体験が作れたと思います。JAM HOME MADEさんの社内でも「お客様をオンライン・オフライン問わず大切にする」という共通認識が醸成され、接客にも好影響が生まれたそうで、とても喜んでいただきました。

参考:「リアルもウェブも一人の客としてみるべきことに変わりはない」JAM HOME MADEが新店舗で体現した想い

オンラインとオフラインのお客様が同じ空間で“見られる”というのは、とても新鮮な体験ですよね。この事例から何か気づいたことはありましたか?

秋山:改めて店舗の価値を考えるようになりましたね。店舗のEC化はますます進んでいますし、販売の場ではなくショールームとしての側面も生まれています。たしかに画像やテキストなどのデータだけでも買い物は成り立ちます。

しかし、五感を使ってさまざまに感じ取るような情報やそのコミュニケーション自体が、オフラインの価値であり店舗の価値なのではないか。オンライン化の先にある未来に、そうした買い物の体験がなくなってしまうのではないかと考え、店舗の価値を可視化する方法はないだろうかと強く思いました。

「人」にしかできないことがある。店舗と店舗スタッフの価値に光を当てるKARTE GATHER

「店舗の価値の可視化」というアイデアが、KARTE GATHERとして形になるまでについても教えてください。

秋山:ある企業の新店舗設計の相談に乗っていて、店舗への価値付けとして、店舗を中心としたコミュニティを作れる場所にしたらどうかという提案をしていました。このコンセプトをどう実現するか悩んでいたとき、別の打ち合わせで「デバイス」という単語が出てきて、「これだ!」と。

人形のようなデバイスを介して、オンラインのお客様とオフラインである店舗や店舗スタッフがつながる。それが実現できたら、実際に店舗を訪れ、五感を使ってさまざまな情報を感じ取るような本来の店舗の価値に近いものをオンラインでも表現でき、プレイドとしても新しいアプローチが開拓できると思ったんです。

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そして生まれたのが、KARTE GATHER。具体的にはどのようなことができるのでしょうか?

秋山:ECなどWebサイトへ来店したお客様が店舗スタッフと話したいときに、画面に表示されている接続ボタンを押します。そうすると実際に店舗のスタッフにつながり、デバイスに搭載されたカメラを通して店員との会話や商品の確認ができるようになるんです。

と、こうした機能だけで言えば、スマートフォンでも十分実現できるんです。しかし、このキャラクター型の形状に意味があります。もし仮に、店舗スタッフがスマホ使ってオンラインのお客様と話していたとして、その姿を店内の他のお客様が見たら「ちゃんと働いているの?」と思うかもしれない。もしくはスタッフだと認識されない。KARTE GATHERを使う時の店舗スタッフの「見られ方」は意識しました。そして、デバイスの向こうにはオンラインのお客様がいる。だから人格を有するキャラクター型にしようと。

「GATHER」という名前も特徴的に感じます。ここにはどのような思いがあるのですか?

秋山:コミュニティですね。「小集団で集まる」というイメージです。このデバイスをハブにして、店舗スタッフと、オンラインのお客様、オフラインのお客様が一緒になれる。そんな空間やコミュニティ、世界観を実現したいという思いを込めています。

現状、「接客」という行為にネガティブな印象を抱くお客様も少なからずいると思います。おそらく、お客様と店舗スタッフの「期待のズレ」があるのではないかと。お互いが手探りで、読み合いながら対話をしている。そうではなくて、もっとフラットな関係で、本音で話し合えた方がお互いにとって価値があるはず。KARTE GATHERを起点に、フラットなコミュニケーションを生み出せたら、「店舗」の新しい価値にできるのではないかと考えています。

KARTE GATHERは、ちょうど飛永さんが入社した頃に開発されていたと思います。飛永さんはKARTE GATHERに対してどう関わっていますか?

飛永:私はハードウェアの技術面からKARTE GATHERに関わっています。デバイスが熱暴走しないように冷却効率をどう改善しようか、カメラの解像度をもっと上げられないかなど、秋山に確認しながら詰めています。

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店舗のスタッフさんにおすすめしたい、KARTE GATHERの使い方はありますか?

飛永:最近多いSNS発のタレントスタッフさんは、「自分と商品」を良く見せるのが上手ですよね。でも、KARTE GATHERは基本的に商品を見せるもの。商品を軸にしたコミュニケーションが生まれると考えているので、SNSとはまた違った見せ方ができるようになります。この違いを上手に生かして、新たなタレントスタッフになっていく方が増えたらいいですね。それも店舗スタッフさんの個性や能力に由来する新しい価値の在り方なのかもしれません。

一方でKARTE GATHERの弱点はやはり、商品や店舗空間を直接肌で感じられないこと。この“余白”は、まさにスタッフさんのコミュニケーションで補っていただきたいんです。

なるほど。余白を埋めるのは「人」だと。

秋山:私も同じことを思っていて、オフラインとオンラインの境目は、Webやプロダクトのスペックではなく、店舗スタッフさんの“人センサー”に担っていただきたいと考えています。画像、テキストといったデータでは削ぎ落ちてしまうような、商品やブランドの背景、文脈などをKARTE GATHERを介して伝えていってほしいし、伝わってほしい。

みんながいいと言うからでなく、自分の価値観、身体性を踏まえた「納得感」は今後特に大事になると思います。自分の選択に、「自分ならでは」の意味を見出すということ。そこをKARTE GATHERでは補完できれば嬉しいですね。

オフラインかオンラインか。そんな境界をなくして「集まれる」未来を作る

では最後に、R&Dの今後について伺いたいと思います。まずKARTE GATHERに関して、今後改善したい点や期待する点を教えてください。

飛永:デバイスの機能は改善していきたくて、まずはカメラの性能を上げようと考えています。カメラの解像度を上げて、微妙な色味の違いも表現できるようにすれば、展開できる幅が広がるはずです。

秋山:KARTE GATHERを通して、プレイドのオフラインに対する理解が深まったらいいなと思っています。プレイドは全社的に「オンラインとオフラインの境界を溶かす」と言っていますが、まだオンラインのプロダクトしか扱えていません。R&Dがオフラインを開拓することで、境界線をただ溶かすだけでなく、どのように溶かすかも考えて行きたいです。

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R&Dとして、これから取り組みたい課題はありますか?

秋山:これは私のテーマでもあるのですが、もっと非言語のコミュニケーションを流通させたいと考えています。あらゆる言葉や写真などは、人の経験や知識に基づいて再現され、理解されます。だから言葉や写真などはすべて、単なる記号なんです。私はもっと「脱・記号化」していきたい。

例えば「サイパン」という記号を聞いたときに、おそらく多くの人には「旅行」「バカンス」「楽しい」といったプラスの感情が生まれるでしょう。でも実は「サイパンで知人が亡くなったな……」とマイナスの感情を抱く人もいる。同じ記号でも、人によって受け取り方が違うわけです。

人によって捉え方がまったく異なるものを、その差異や多様性を温存したまま流通させるのが難しい。その最たる例がCXです。私が受けて「良い」と感じた接客を飛永が受けても、内容によっては不快に思うかもしれません。この違いを埋めるために言い回しを変えたり、言葉を繋げて補足したりしますが、本当に差異が埋まったのか確認する術がない。CXという言葉は注目を集めていますが、捉え方が千差万別なため、逆にどんどん溝が広がっているかもしれません。

非言語のコミュニケーションとしても解釈できるCX。それを流通させるにはどういった方法が考えられるのでしょうか?

秋山:言葉などの記号を使わずに、非言語の情報や感情、体験などを、非言語のまま伝えられればいい。そうしたら、気づかないうちに広がった溝を埋めて、人と人とがもっと分かり合えるようになるんじゃないかなと思っています。とても抽象度が高く、なかなかハードルの高い課題なので、まだ方法も検討中ですが、今後取り組んでいきたいですね。

本日はありがとうございました!

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