小売業が取り組むCX(顧客体験)とは?マルイや中川政七商店の事例と共に解説
CX(顧客体験)を重要視した企業は増えており、小売業でも、その動きは加速しています。今回は、小売業の中から顧客に接する機会が多く、すぐに顧客からの反応が得やすい実店舗でのCX(顧客体験)への取り組みにフォーカスし、様々な企業の事例を紹介します。
CX(顧客体験)を重要視した企業は増えており、小売業でも、その動きは加速しています。今回は、小売業の中から顧客に接する機会が多く、すぐに顧客からの反応が得やすい実店舗でのCX(顧客体験)への取り組みにフォーカスし、様々な企業の事例を紹介します。
実店舗でのCX(顧客体験)向上の取り組み事例
小売業の実店舗では、CX(顧客体験)向上をどのように店舗設計や店舗運営に落とし込んでいるのでしょうか。いくつかの事例を、CX(顧客体験)に特化したメディア「XD(クロスディー)」からご紹介します。
劇場型百貨店への転換 | 阪急デパ地下
CX視点での注目ポイント
モノを売るだけではない、コトを通じたCX(顧客体験)を提供するスペースを店舗全体で作っている
店舗でのCX向上の取り組み
関西最大手の百貨店である阪急うめだ本店では、「劇場型百貨店」のストアコンセプトのもと、臨場感ある“ワクワク”を届ける仕組み作りを行なっています。
巨大な吹き抜け空間、随所に用意されたイベントスペースは、エンターテインメントパークのような高揚感を人々にもたらします。また、食品売場では、阪急うめだ本店にしかない独自価値を提供するオンリーワン戦略をたて、有名ブランドとコラボしたオリジナル商品を開発しています。
ただモノを販売するだけでなく、「利益は生まないけれども楽しい物販スペース」や「情報発信のための空間スペース」のような、コトを通じた新たなCX(顧客体験)を創出する。そこで生まれる話題や情報が、より顧客を惹きつけ、阪急うめだ本店に人が集まる循環となっているのです。
詳しくはこちら行列を生む「阪急デパ地下」の“オンリーワン”戦略──モノからコト時代の、百貨店の存在意義とは | XD(クロスディー)
アフターデジタル時代の店舗作り | 丸井グループ
CX視点での注目ポイント
D2CやSaaSモデルの企業と連携しながら、実店舗での新しい取り組みを行う
店舗でのCX向上の取り組み
丸井グループでは、新たな戦略として掲げる「デジタル・ネイティブ・ストア」の基本思想として、「アフターデジタル時代、店舗とデジタルの主従は逆転する」と捉えています。
「店舗で売る」という従来の枠組みに囚われず、デジタルネイティブ世代の利用が進むブランドとの共創を進め、リアル店舗ならではの体験やコミュニティの場を提供しています。具体的には、D2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションモデルなどのサービスを提供する企業と連携して、新たな店舗作りを進めています。
詳しくはこちら「モノを売らなくてもいい」マルイの真意とは? アフターデジタル時代の「店舗」のあり方 | XD(クロスディー)
リアルにおけるCX(顧客体験)が重要 | 中川政七商店
CX視点での注目ポイント
ビジョンを徹底的に言語化し、均一なCX(顧客体験)を提供
店舗でのCX向上の取り組み
工芸技術を使った生活雑貨を扱う中川政七商店。ビジョンを徹底的に言語化し、スタッフに伝え続けることで、ブランドの構築、消費者の共感へ繋げています。この言語化と共有の結果、顧客に対して、均一なCX(顧客体験)を提供でき、それが中川政七商店「らしさ」となっているのです。
また、商品の品質、ストーリー、ブランドのビジョンを来店した全ての顧客に同じ情報を伝えるのではなく、基本的には店長や店舗スタッフが顧客一人ひとりを覚えて、顧客のフェーズによって変化させています。加えて、リアルにおけるCX(顧客体験)が一番重要で、デジタルは機能や利便性をもとにそれを補完、アップデートするものと捉えています。
詳しくはこちらお客様の心に触れるスタッフは“売り手”でなく“伝え手”だ―― 中川政七商店「らしさ」の先にあるもの | XD(クロスディー)
メディアの役割をもつ八百屋 | 旬八(しゅんぱち)
CX視点での注目ポイント
来店が少ない時間帯に様々なイベントを行い、お客さんと接点を持つ
店舗でのCX向上の取り組み
「新鮮・おいしい・適正価格」をコンセプトに、青果や肉魚(冷凍)、加工品、弁当などを販売している「旬八青果店」。買い物客は、夕方の時間帯が多く、午前中や午後は少ない傾向があります。
そこで、人が少ない時間帯にもお客さんとの接点を持つために、お弁当や惣菜の販売する「旬八キッチン」や、夜帯のイベントを開催。そうすることで、あらゆる時間帯で旬八を利用してしてもらうきっかけを作っていきました。
旬八青果店が目指すのは、生産者と消費者をつなぐ「メディア」のような役割を持つこと。
青果店というコモディティ化された業態のなかで、店舗が媒体になり、消費者にとっては何かを得られる場所、生産者にとっては何かを伝えられる場所を創ろうとしています。
詳しくはこちらサステナブルに良質なモノを届け、伝える。 旬八青果店が目指す「メディアとしての八百屋」とは | XD(クロスディー)
店舗の再定義を行いながらCX(顧客体験)を目指す
今回紹介したどの企業も、リアルでの顧客とのコミュニケーションを重要視しながら、実店舗の再定義を行なっています。スマートフォンなどにより、誰もがいつでも簡単に情報に接触できるなかで、小売業は、店舗でどんな情報を伝えていくかを考えながら、CX(顧客体験)の向上を意識していきましょう。