Event Report

ブランドCRMやOMOはどうしてる?オンワード、TENTIAL、リーバイスが語るKARTE活用|アパレルナイト 2024

2024年5月16日に開催した、アパレル業界のKARTE Friends向けのミートアップ「アパレルナイト 成果を最大化するために、今期何してる?」の模様をお届けします。

2023年に大好評をいただいたアパレル業界特化のイベント「KARTE アパレルナイト」を今年も開催しました。今回のアパレルナイトのテーマは「成果を最大化するために、今期何してる?」です。

株式会社オンワードデジタルラボ カスタマーサクセスDiv.システムソリューションSec.の猪狩喜弘さん、株式会社オンワードデジタルラボ デジタルマーケティングDiv.ストラテジーSec.の小泉雄也さん、株式会社TENTIAL ウェルネス事業本部 本部長の岩松泰平さん、リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社(以下リーバイス)E-commerce managerの佐竹良介さんの3社4名がご登壇。KARTEの活用方法や直近のCRMの運用やお客様像の定義、OMO施策、顧客データ管理など幅広いトピックを共有いただきました。

プレイドの川上雄介がモデレーターを担当し、CRMやOMO、顧客データ管理など幅広いトピックが共有されたアパレルナイトの様子をレポートします。

ブランド単位でCRM活動を推進したオンワードデジタルラボ

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まず、各登壇者から2023年度に取り組んだ内容についての共有が行われました。最初に発表したのは、オンワードデジタルラボの猪狩さん、小泉さんのお2人。

オンワードデジタルラボは、オンワードホールディングスがグループのデジタル戦略強化を目的として設立した子会社です。自社サイトの「ONWARD CROSSET(オンワード・クローゼット)」におけるECのシステム管理、数百万人規模の会員がいる「オンワードメンバーズ」の運用支援など、顧客データを分析して新規顧客の獲得やCX(顧客体験)向上に向けて活動しています。

同社におけるKARTE活用は、各ブランドへの集客を目的として「ONWARD CROSSET」内でポップアップを配信する、バナーを表示するといった使い方がメインでしたが、2023年度は取り組みを拡張してきたといいます。

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猪狩さん「KARTE Datahubを活用することで、オフラインデータなど分断されているデータベースを統合し、あらゆるチャネル・タッチポイントで特定のお客様に対して訴求することができると社内に共有する活動を進めました。

その結果、KARTEを活用して特定のお客様に限定した訴求をしたいという要望がブランド側から寄せられる機会が増えました。各ブランドがお客様とコミュニケーションするツールとしてKARTEを活用する機会が増加していったのです。

その延長で、ルーレットやスタンプラリーなどのゲーミフィケーションを取り入れたWebサイトへの来訪や定着を促進する施策も実施しました。

ほかにも、ECサイト運営に活用するバックオフィスツールへのKARTE導入が挙げられます。私たちのグループは、ブランド数も多く、ECサイトの担当者も大勢いるため、そこに向けてのメッセージを配信する機会も多い。一方で、担当者のリテラシーのばらつきがあり、メッセージの量に比例して、不明点に関する問い合わせも増えてしまい、その対応が負担になっていました。

KARTEを導入することで、問い合わせの頻度や内容の分析が可能になりました。得られたデータをもとに、セグメント分けすることで、必要な情報を必要な人たちに届けられるようになり、従業員体験が向上したのです」

2023年度の取り組み全体像について触れた後は、ブランド単位のCRMに関する事例について焦点を当ててご紹介いただきました。

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猪狩さん「ブランドからの離反を防ぐためのクーポン施策を実施しました。離反が予想されるお客様もしくは1年間ご利用がないお客様が、いつ、どのように離反するかをKARTEと会員システムのデータを使って分析。分析結果を踏まえて、お客様たちにバナーでクーポンを訴求するという施策です。

訴求するバナーは、商品が写っていないAパターンと商品が写っているBパターンの2パターンで検証したところ、バナーに商品が含まれていると反応がよいという結果が出ました。離反が予想されるお客様は、ブランド名のみの商品が写っていないバナーでは、どんな商品があるのかを想起しづらかったのではないか、と考えられます。

商品を含めたパターンのバナーで、今度は別のタイミングでの訴求における効果を検証しました。こちらも良好な結果となりました。続いて、別の施策でも同様に商品が写っているバナーで反応を検証し、良い結果が得られました。こうしてPDCAを重ねて、より効果的にお客様との適切なコミュニケーションを実施できました」

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株式会社オンワードデジタルラボ カスタマーサクセスDiv.システムソリューションSec 猪狩さん

続いて、顧客に合わせたコミュニケーションを実施する上で、オンワードデジタルラボではどのようにデータに向き合い、セグメンテーションを行っているのかについて、同社のデジタルマーケティングを担当する小泉さんより解説いただきました。

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小泉さん「たとえば、先ほど猪狩から共有した事例であれば、ブランド軸でRFM分析(※)などを行うのですが、その際は『購買行動』の部分を見ています。その他にもお客様に関するデータは、再訪している、メルマガやDMを受け取っているなど多々あり、それらも含めて管理をしています。最近では予測モデルを用いて、お客様の購買行動の予測も行っています。これらのデータたちから使えそうな組み合わせはどれかを議論し、PDCAを回しながら結果が出るパターンを探しています」

※RFM分析:「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」という3つの指標で顧客をグループ分けする分析手法

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株式会社オンワードデジタルラボ デジタルマーケティングDiv.ストラテジーSec.小泉さん

成果に関するデータのみならず、成果につながる手前の行動データや顧客状況のデータも組み合わせて分析するという非常に参考になる取り組みについて共有していただきました。他の登壇者のお2人も、オンワードデジタルラボの取り組みを聞いて、自社の施策を検討する上でのヒントとなったようです。

「KARTE Jam」を活用し、コンバージョン率を大きく伸ばしたリーバイス

続いて今期の取り組み内容を共有したのは、リーバイスの佐竹さんです。デニム・ジーンズの Levi’s ブランドで知られるリーバイスでは、販売員DXを加速するビデオ接客ツール「KARTE Jam」を導入しており、その導入背景や導入後の手応えについて紹介してくださいました。

佐竹さん「当社ではKARTE Jamの運用を開始して、2年ほど経過しました。なぜKARTE Jamを採用したのかというと、リソースが少ない中でもECサイトにおいて店舗と同様の体験を提供する必要があったからです。

リーバイスのお客様には若い方もいらっしゃいますが、シニア層のお客様も少なくありません。そうした方々に対して、ECサイトでどのような体験を提供できるかが課題でした。特に、シニア層のお客様はチャットやメールが苦手な方も多く、電話での問い合わせが主流です。

オンラインとオフラインの顧客体験におけるギャップや、リソースの問題を解決するために、KARTE Jamを導入しました。導入後、いろいろと発見がありましたが、特にオフラインのデータを活用する点が非常に面白いと感じています。

KARTE Jamを運用する上で、週ごとに店頭スタッフとヒアリングを行い、次の改善点を議論するミーティングを行っています。オンライン接客のデータと、店頭からのリアルなフィードバックを結びつけることで、今まで気づかなかった新しい角度からのデータを収集できています」

佐竹さんは「KARTE Jamは従来のビデオ接客ツールとは異なり、これまでリーバイスで蓄積した知見やデータを有効活用できる点が強み」だといい、リーバイスにおいてどのような手応えが得られているのかを語りました。

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佐竹さん「2024年に入って半年以上が経過しましたが、KARTE Jamの接客を受けたお客様のコンバージョン率は26.3%と非常に高い結果となっています。興味深いのは、この接客サービスを受けたお客様の多くがリピートしており、繰り返し利用することでコンバージョン率が向上している点です。また、実際のフィードバックでは、リーバイスの店舗がない地域からのリクエストが多く寄せられています。

ジーンズなどの商品は実際に試着しなければサイズ感や洗濯後の縮み具合などがわからないため、店舗がない地域のお客様にとっては課題が多い。かといって、そうした問題は、ECサイトでは解決できません。KARTE Jamがその課題を解決するための役割を担っています。

最近では、女性のお客様から『ビデオ接客は女性のスタッフに対応してほしい』といったリクエストが寄せられることもありました。たしかに、店舗の女性向けフロアで、女性スタッフに接客してもらいたいというお客様がいることは理解できます。このように、オンラインでもお客様のニーズを拾い上げ、データと接客を一貫してつなげるサービスは非常にメリットがあると感じます」

店舗とオンラインでの顧客体験は異なる部分もありますが、顧客が求めているものとしては共通点も多いはず。データを踏まえて、より顧客のニーズに寄り添った接客を実現するKARTE Jamはリーバイスの接客の方法を変化させているようでした。

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リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社 E-commerce manager 佐竹さん

佐竹さん「今後の目標は、店舗での接客サービスと同等以上の体験をオンラインでも実現していくこと。データを活用し、お客様に合わせたカウンセリングやリアルタイムの在庫情報の連携を強化し、購入時にお客様がスムーズに案内を受けられる仕組みを作っていきたいと考えています。

そのためには、トレーニングや人材育成が必要となっています。たとえば、原宿のフラッグシップストアでは、20人ほどのスタッフが常勤していますが、実際にKARTE Jamを使いこなせるスタッフは5名ほど。今後、対応可能なスタッフや店舗を増やしていかなければなりません。

引き続き、KARTE Jamを活用してテクノロジーと人材を融合させることで生産性を向上させ、エンゲージメントやLTV(顧客生涯価値)を高めていくことを目指していきたいと思います」

リーバイスからは、店頭だけでもオンラインだけでも対応しきれない部分を、オンラインと人の力をうまく組み合わせることで補っているユニークな事例を共有してくださいました。

店頭とECサイトは互いの利益が衝突することもありますが、OMO(Online Merges with Offline)を進める中で、リーバイスのような相互作用が生まれていることは、OMOを推進するうえでの大きなヒントとなりそうです。

リーバイスの取り組み事例を受けて、猪狩さんも店舗とECサイトの良い相互作用が生まれた事例を共有してくださいました。

猪狩さん「オンワードでは、店頭で試着してから購入できる『クリックアンドトライ』というサービスがあります。『ONWARD CROSSET』で商品を選んで自分の好きな店舗にその商品を取り寄せたり、店舗に在庫があれば取り置きすることができるだけでなく、試着をして気に入れば、そのまま店舗で購入できるというサービスです。このサービスは、店舗にとっても売上につながるため、当初はスモールスタートでしたが、反響が大きく、直近では400店舗に迫る数で対象店舗、ブランドを増やしています。

また、『クリックアンドトライ』の対象店舗が増える中で、店舗スタッフから『どのようなお客様が来店するのかを来店前に知りたい』という要望が挙がるようになりました。そこで、これまでにお客様が購入した商品やお気に入り登録した商品の情報を店舗スタッフが使用しているタブレット端末やPDA端末に共有する仕組みを作れないか検討しています」

定量・定性のファクトをもとに理想とするお客様像の共通認識をつくったTENTIAL

最後に活用事例を紹介していただいたのは、TENTIALの岩松さんです。TENTIALは、リカバリーウェア「BAKUNE」など、日常から身体を整える商品を開発、販売するウェルネス関連事業を展開しています。岩松さんは、まずTENTIALがKARTEを導入した背景から共有してくださいました。

岩松さん「KARTEを導入する前は、各担当者の中で仮説がどんどん増え、人によって意見が異なることが多くなってきました。そのため、実態を正しく把握したいという課題がありました。

特に重要だったのが定量的なファクトの把握です。定性的なインタビューは頻繁に行っていましたが、インタビュー対象者がばらばらで、対象者によって意見が異なることも多く、理想のお客様像がどんどん増えていく、という課題がありました。そのため、共通認識を持てる定量的なファクトの把握を目指して、KARTEを導入したという経緯があります」

定量的なデータを含めて、顧客の実態把握を目指してKARTEを導入した後、TENTIALではどのように顧客の理解を深めていったのでしょうか。岩松さんは、大きく2つの施策について語ります。

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株式会社TENTIAL 事業本部 副本部長 岩松さん

岩松さん「メンバーを集めて『KARTE Live鑑賞会』を実施しました。KARTE Liveでは、お客様がECサイト上でどのような行動をしているかをリアルタイムで見ることができ、これが非常に役立ちました。

まず、『ECサイトで商品が買いにくい』といった課題をどれだけ解像度高く把握できるかが重要でした。そのため、CRM担当者、広告担当者、テックチームなど、さまざまな役割の人々を一緒に集め、KARTE Liveでお客様の行動をリアルタイムに見ながら議論しました。

例えば、『なぜ入力を始めたのにページを離脱してしまったのか』『カートに入れた後に購入をやめたのはなぜか』『クーポンを入力する欄があるがクーポンがないので購入をやめたのか』など、さまざまな行動を分析しました。

次に、理想のお客様像を定義しました。この理想像は、ブランドが成長する中でどんどんアップデートされていくべきもの。にも関わらず、ブランド側が考える理想のお客様像と、実際のお客様像がずれていると感じていたのです。

TENTIALでは『24時間コンディショニング』というコンセプトを重視しており、リカバリーウェアが良いと思ったお客様に日中用ウェアやサンダルも購入してもらいたいというイメージを持っていました。実際には、睡眠関連の商品を購入したお客様は他の商品に関心を持つことなく、同じ睡眠関連に留まり続ける傾向が強く表れていました。このギャップをデータに基づいて調整していくアプローチを取りました」

KARTEの導入によって、定性・定量のファクトを把握できる環境を作ったあと、KARTE Live鑑賞会や理想のお客様の定義づくりなどの施策を通じて、お客様に対する共通認識をつくっていったTENTIAL。こうした積み重ねにより、社内にもある変化が生じたそうです。

岩松さん「以前は『この施策を行ったらこういう結果が出るのではないか』という仮説をもとに施策を進め、その結果を検証していました。しかし、お客様の姿がより具体的に見えてきたことで、お客様を起点にした思考へと変化しました。

例えば、パジャマを購入したお客様に対しては、『洗い替えが必要になるタイミング』や『疲労回復を実感するタイミング』を考慮して、適切なコミュニケーションや商品の提案を行うようになりました。これにより、施策の効果検証をより効率的に進められるようになったのです。

こうしたアプローチは、私自身が考案したものではなく、メンバーが頑張って取り組んでくれた結果で、非常に感謝しています。理想のお客様像が明確になると、実際の施策に落とし込み、それを検証していきやすくなるという実感が得られました。

現在は、これらの施策をダッシュボードにまとめ、進捗を視覚化しながらPDCAを回すスピードを上げる活動を行っています。こうした共通認識を持つことで、KARTEをうまく活用できているのではないかと感じています」

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急成長を目指し続けるなかでも、強い企業文化によってファクトに立ち返り続けてきたTENTIAL。施策レベルで評価せず、顧客体験を重視して何のためにやる施策なのかを常に考えるカルチャーが成果につながる原動力となっているようです。

TENTIALの事例を受け、リーバイスではどのようにお客様に対する解像度をあげ、きめ細やかさやぬくもりを大切にしているのか、リーバイス佐竹さんが思いを明かしました。

佐竹さん「先ほど、リーバイスのお客様のセグメントが非常に幅広いという説明をしました。そのため、正直なところ、特定のゾーンに対してアクションを起こすというのは難しい状況です。実際、以前プレイドさんと一緒にn1分析のようなことを行い、『リーバイスのお客様はこういう人たちだ』と定義しようとしましたが、あまりにさまざまなタイプのお客様がいらっしゃるため、データとして成り立たず、その試みは頓挫しました。

そうした背景もあり、私たちは現在、定量データに基づいた接客を、チューニングしながら進めている状況です。TENTIALさんのチーム内での共有方法は素晴らしいと感じたので、すぐにでもプレイドさんに相談して、私たちも取り入れていきたいと思います。

現状、KARTE担当のような役割のメンバーがリーバイスにもいるのですが、その担当者が他の担当者に十分に情報を共有できているわけではありません。どうしても属人的になってしまい、その担当者しか知らない情報があるという状況です。これを、ECサイトの部門だけでなく、リテール部門やマーケティング部署など、社内でデータの共有化を進めていければ、会社全体としてお客様の理解が深まり、より効果的な取り組みができるのではないかと思います」

各社、成果のために検討・実施しているOMO施策は?

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各登壇者からの話題提供が終わったあとは、Q&A・パネルディスカッションの時間に。来場者から集まった質問に対して、各登壇者から回答をいただきました。最初に選ばれたのは「OMOの施策の中で、効果があったものや検討しているものを教えてください」という質問です。

猪狩さん「先ほどお伝えした『クリックアンドトライ』というサービスは好評ですね。他にもこれから色々と施策を検討している状況です。たとえば、『ONWARD CROSSET』で使えるポイントをプレゼントして、お買い物に使っていただくという施策がこれまでにありました。今後はKARTEなどを活用して、特定のお客様に『このポイントは店舗でも使えますよ』と伝える施策を行おうとしています。

この施策は、『ONWARD CROSSET』でお買い物をしているお客様に店舗もご利用いただくことを目的としています。それによりLTV(顧客生涯価値)が上がることは、これまでの分析からもわかっているのですが、それを再度確認するための検証となるのではないかと思います」

有効だった施策を応用して他の目的にも転用し、検証を進めていこうとしているオンワードデジタルラボさん。続けてリーバイスさんからは、ライブコマースの可能性について言及がありました。

佐竹さん「現在リーバイスの日本市場ではライブコマースが非常にホットな話題になっています。最初にライブコマースを始めたときは、通常あまり売れていない商品をライブで紹介して売上を上げようとするものでした。お店とECを通じて売上を向上させるツールとして活用していたのですが、最初の段階では売上やライブビュー数が200~300程度で、期待よりも少なかったんです。ライブコマースの運営会社からは『実はアーカイブからの売上が重要なんです』と説明を受けましたが、正直、それだけでは納得がいきませんでした。

そこで、昨年の4月に限定商品を使ってライブコマースを試してみることにしました。すると、同時接続で1万人が視聴し、開始直後にすべての商品が完売しました。ところが、その後の30分間は購入できなかったというコメントが増え、ライブコマースが非常に厳しい状況になりました。それでも、翌日には予想以上に多くのお客様が店頭に来店してくださいました。

この経験から、商品の紹介方法や在庫のコントロールを調整すれば、店頭への送客に効果があると感じました。最近では、リーバイスでは毎月のようにコラボレーションや限定商品を販売していますが、ECでの先行販売と店舗での販売を組み合わせることで、売上が増加しました。当初はアーカイブ再生の効果を疑問視していましたが、今ではこの施策がビジネスのキードライバーとなりつつあります。

Seeライブコマースの配信日には多くのトラフィックが集まりますが、今後は、KARTEなどのツールを使って、顧客分析をしながらさらに効果を高めていきたいと考えています。転売の問題もあるため、KARTEを使って細かくデータを分析し、より良い顧客体験を提供できるようにしたいと思っています」

意外にもライブコマースが非常に反響が大きく、さらなる展開を模索しているというリーバイスさん。続けて、オンラインを中心に展開しているTENTIALさんからも、OMOという観点での取り組みについてお話しいただきました。

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岩松さん「ようやくここ1、2年で直営店の店舗数も増えてきて、今年はいろいろと検証を進めようとしています。直営店を展開している中で、最初に直面した課題は、オンラインではさまざまなキャンペーンが実施されている一方で、直営店では同様のキャンペーンが行われていないことでした。たとえば、オンラインでクーポンを見つけて購入しようと思ったけれど、悩んだ末に店舗に行ったらそのクーポンが使えない、といった問題が発生していました。そこで、マーケティング施策を直営店とECで統一することにしました(※一部対象外)。

その後、『店舗で購入した後はサイズ感がわかるので、次はECサイトで購入するお客様が多いのではないか』と仮説をたて、そのデータをつなげる作業も行い、最近新たに会員プログラムも開始しました。この会員プログラムでは、お客様が直営店で購入しても、ECサイトで購入しても、同じようにポイントが付与される仕組みになっています。まだ始まったばかりですが、どこで購入しても顧客体験が変わらないような状態を目指して、取り組みを進めています」

オートメーション接客、顧客データ統合、会員プログラム……各社の今後の展望は?

パネルディスカッションの最後に、各登壇者から今後の展望についてお話しいただきました。オンワードデジタルラボさんでは、今期の取り組みをさらに拡大しつつ、KARTEシリーズの複数のプロダクトの活用を検討しているそうです。

猪狩さん「2023年度に始めたブランド単位のCRMを今後さらに拡大していきたいと考えています。現在、メールマーケティングには他社のMAツールを使用していますが、KARTE Messageの導入を検討中です。KARTE Messageを使って、ブランド単位でよりお客様に合わせたコミュニケーションを展開していけないかと考えています。

また、現在KARTE Blocksも使用しているものの、十分に活用できていない状況で、模索しています。「ONWARD CROSSET」は自社の商品だけでなく、他社の商品が出品されているモール型ECサイトです。出品者の会社から『サイト内への集客が難しい』との声があるため、PRが付いた送客バナーをECサイト内に掲載するなどの施策をKARTE Blocksを使ってできないか、など検討しています。

あとは、外注化も推進しようと考えています。これまで私が実装作業まで行っていましたが、今後は私がディレクションを担当し、実装作業は外注パートナーに任せる体制にしたいですね」

さまざまな観点での展望を共有してくださった猪狩さんが強調してお話ししていたのが、社内のナレッジをいかに底上げするかについてでした。

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猪狩さん「ブランド単位のCRMを強化するため、KARTEのナレッジをECサイト担当者に伝えていきたいと考えています。

実際に、各ブランドのECサイト担当者に対して、ナレッジをシェアする会を行いました。多くの担当者がKARTEについて知っている内容は限定的で、KARTEのケイパビリティを一部しか知らないことが多い。そこで、少なくとも図の緑の点線と赤の点線の範囲で、KARTEを活用した施策を考えられるということを伝えました。

今後は、KARTEのツールのケイパビリティに関するナレッジを高め、各ブランドが自立して企画を進められるようになることを目指しています。これは、私が今後一番力を入れたい部分ですね」

まるで自社内でKARTEの価値を広めるエバンジェリストのように意気込みを熱く語ってくださった猪狩さん。小泉さんからはKARTEを使ったデータ活用に関する展望を共有いただきました。

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小泉さん
小泉さん「現在、KARTE DatahubやBigQueryを活用しつつ、他にも複数のCDPを使っています。その中で、マーケティングで頻繁に使用するデータをBigQueryに集約し、整理して使いやすくする取り組みをしています。

KARTE Datahubともダイレクトリンクでつなげて、一緒に管理できる状態を作っています。KARTE以外のデータ、たとえばアンケート結果やローカルデータなどもKARTE Datahubに入れ、店舗のPOSデータやECサイトの注文情報、ECサイトでのアクションデータ、各種マスターデータなど、Google Analytics以外のデータを必要に応じて移行し、新たに統合しています。
データの集約により、顧客IDごとにさまざまな情報が整理され、現在ではざっくり5~6カテゴリに分類して管理し、分析や施策に活用をしています。たとえば、店頭とECの両チャネルでの購買データや、行動データを基に顧客ロイヤリティを分析しています。また、『購買確率が高いお客様にはクーポン配布を控え、もう一押しが必要な方に配布する』ことで費用対効果改善を図る、などの活用も行っています。
今後は、KARTEを活用しながら、更に取得データを拡充したいと考えています。
たとえば体型データ。身長や体重だけでなく肩幅や腰回りのサイズ、身体的な特徴に基づくお客様の悩みといった感性的なデータを取得することで、より精度の高いご案内ができるかもしれません。

また、未来の購買行動の予測や、自社以外でのアパレル消費動向など、あらゆる情報を統合・分析して顧客理解の推進と、顧客体験の向上に役立てたいと考えています。

現在、お話ししたデータの7~8割程度は取得・統合済みですが、さらに肉付けを進め、これまで見えていなかったお客様の情報を捉え、それらを社内共有し、顧客データの重要性を啓蒙しながら、今後の活動に活かしたいと思います」

続いて、リーバイスさんからは今後の展望として「オートメーション接客」をいかに実現していくかという点について、スライドを表示しながらお話しいただきました。

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佐竹さん「KARTE Datahubにはさまざまなデータが集約されています。リーバイスでは、それらのデータを多様なアクションや接客に活かしていこうとしています。CRMの改善も進め、お客様をランクなどに分けて、セグメントをしっかり分析し、それを基に短期・中長期の接客を作成し、分析・レポート配信を行っていきます。理想としては、KARTEの担当者を介さずに、各部署のチーム内で、KARTEを理解し、お客様を理解する文化を構築できればと考えています。

オートメーション接客とは、リソース効率型の接客をいかに手間をかけずに実現するかだと言い換えられます。リーバイスではKARTEの専任担当者が不足して属人化が進んでいる現状があります。その担当者に聞かなければ、レポートも接客も作成できないという状況が多く見られます。これが今後の課題であり、いかに自動化を進めるかが、私たちが取り組みたいことです」

最後に、TENTIALさんからの今後の展望については、ローンチからまだ日が浅いものの、同社にとって重要な挑戦についての言及がありました。

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岩松さん「KARTEとは関係のない展望についてになりますが、先ほど少し触れたように、『TENTIAL Club』という会員プログラムがローンチを迎えました。これに注力して、どのように活用していくかが大きなテーマだと考えています。

この会員プログラムに加入すると、お客様にはマイルがたまり、それを使えるといったベネフィットがありますが、TENTIALとしてはコンディショニングを世の中にどう広めていくかが大きな課題です。コンディショニングはアスリートが行うものというイメージが強い中で、この概念をコアなファンの方々からどのように広げていくかをテーマにしています。そのため、この会員プログラムはお客様の実態を知ることから始まり、理想のお客様像に近づいてもらうためのアシスト機能として設計されています。

たとえば、睡眠に関する商品を購入したお客様が、サンダルなど別のシーンで使う商品を購入すると、大きくポイントがもらえる仕組みや、世帯内マーケティングの強化も考えています。たとえば、お客様がパジャマを着ていたら、それを見た家族も商品が欲しくなって購入する、といったお客様の声もありました。そこで、大切な人の誕生日を入力するとポイントがもらえるなど、ブランドの目指す方向性と理想のお客様をうまくつなげられる仕組みに育てていきたいと考えています。

今後も、このプログラムをローンチした後に、お客様の反応をしっかりと把握しながら、アップデートを重ね、さらにプラスの要素を加えていくことを重視していきたいと思っています」

各登壇者のみなさんにかなり突っ込んだ事例のお話まで共有いただいたい今回のアパレルナイト。パネルディスカッションも非常に盛り上がるなか、終了の時間となりました。

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「ナイトピクニック」をテーマにみなさんで交流の時間

パネルディスカッションの後は、参加者のみなさんと登壇者のみなさん、プレイドのメンバーでの交流会です。

今回の交流会のテーマは「ナイトピクニック」。まずは、ドリンクや美味しいご飯を片手に、集まったみなさんと乾杯!

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みなさん、交流会の時間でもパネルディスカッションの熱が冷めやらぬという雰囲気で、あちこちで話が盛り上がっている様子でした。

今後も、アパレル業界のKARTE Friendsとの交流機会もつくっていく予定です。ぜひ次回のアパレルナイトの開催もお楽しみに!

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