Event Report

コメ兵の「n1分析」の極意は?分析対象を絞り、いかに顧客理解を深めたのかをふかぼりしました!──ふかぼり!マーケティングvol.1レポート

n1分析をテーマに開催した「ふかぼり!マーケティング」。株式会社コメ兵 営業企画統括部 マーケティング部 部長兼営業システム部 部長の諏訪弘樹さんをトークセッションのゲストにお迎えし、コメ兵のn1分析の実践に関してお話しいただきました。

プレイドが主催する、マーケティングの課題解決につながるテーマを取り上げて「ふかぼりから新しい気づきを得る」をコンセプトにしたイベント「ふかぼり!マーケティング」。記念すべき初回はn1分析をテーマに開催しました!イベントの概要はこちらです。

今回、トークセッションのゲストにお迎えしたのは、株式会社コメ兵 営業企画統括部 マーケティング部 部長兼営業システム部 部長の諏訪弘樹さん。聞き手は、株式会社プレイド 執行役員 Marketing Dept. Headの阪 茉紘がつとめました。

コメ兵のn1分析の実践に関してお話しいただいたトークセッションや、参加者のみなさんにn1分析を疑似体験していただくケーススタディを中心とした第1部、交流会を行う第2部の2部制で実施したイベントの様子をレポートします!

n1分析の対象を絞り込み、オンライン行動分析にて理解を深める

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多種多様な業界から参加者が集まった「ふかぼり!マーケティング」。まずは、近くに座った方との自己紹介タイムからスタートしました。みなさん、すぐに打ち解けてあちこちで盛り上がってから、名残惜しそうな雰囲気も感じつつ、トークセッションへと移りました。

トークセッション中も、参加者のみなさんが各自気になったタイミングで質問を投稿できるよう投稿場所をインターネット上に用意。二次元コードを読み取ってアクセスしてもらい、会場も巻き込みながらトークを進めていきます。

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コメ兵は、国内ブランドリユースNo1のコメ兵ホールディングスの主軸企業であり、リユースショップである「KOMEHYO」を実店舗とオンラインで展開し、宝石や時計、バッグ、衣服などブランド品の買取・販売を行っています。そんなコメ兵では、オフラインとオンラインをシームレスにつないで顧客とコミュニケーションをとり、「EC関与売上高」は右肩上がりで成長していると諏訪さんはいいます。

諏訪「同社で取り扱う商品は単価の高いものも多く、オンライン完結の購買だけでなく、オンラインで閲覧したうえで最寄りの店舗に取り寄せて実物を確認し、接客を受けてから購入したいという方もいらっしゃいます。こうしたお取り寄せによる売り上げも、EC関与売上高に含まれます」

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オフラインとオンラインをハイブリッドしてサービスを展開しているコメ兵。同社は、n1分析を行うことで顧客の行動パターンを特定し、店舗スタッフも巻き込んでCX(顧客体験)改善に全社的に取り組むなど、n1分析を事業改善につなげてきました。n1分析に取り組もうと意思決定した背景はなんだったのでしょうか。

諏訪「以前は、オフラインとオンラインで部署が分かれていて、データの統合ができていませんでした。数年かけてデータの統合を進め、マーケティング部を立ち上げて、オフラインとオンラインを統合してお客様に向き合うようになりました。

とはいえ、マーケティング部ができてから、まだ日が浅く、お客様の理解が十分とは言えません。その状態で販促を実施して成果が出たとしても、なにが効果につながったのかの振り返りができない状況でした。お客様の理解を深めることは必要不可欠。それがn1分析に取り組もうと意思決定した背景です」

n1分析を実施するにあたり、分析する対象をどういった軸で決めるかが最初の壁だったと諏訪さんは言います。

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(株式会社コメ兵 営業企画統括部 マーケティング部 部長兼営業システム部 部長の諏訪弘樹さん)

諏訪「ビジネス的にインパクトが大きいところにn1分析をかけないと、労力に見合ったリターンが得られません。まず、インパクトがある軸を絞り込みました。その結果、絞り込まれたのが、顧客、カテゴリ、ブランド、チャネルの4つの軸です。

このなかから軸を顧客に定め、n1分析を進めてきました。当社では顧客ランクを7つに分けて設定していて、ランクの高いロイヤルユーザーが存在します。このロイヤルユーザーは全体の数%ですが、4割の売り上げにつながっています。n1分析はロイヤルユーザーの方々に対して実施しました」

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「こうした絞り込みはどのように進めたのでしょうか?」という会場からの質問に対し、「ファクトをそろえ、議論の土台を整理したうえでコミュニケーションを進めていきました」と諏訪さん。それでも合意形成には時間がかかり、3〜4ヶ月の期間をかけて、n1分析の対象をロイヤルユーザーに絞り込んだといいます。

ロイヤルユーザーに絞り込む過程では、KARTE Datahubに設定してあるランクのデータから、もっとも高いランクの顧客をセグメンテーション。当時は、高いランクの顧客が、どんな商品を、いくらの値段で購入しているかといった購買結果のデータはあっても、オンラインでどのような行動をしているかのデータはなかったそうです。

諏訪「毎日、夜9時に一斉に新入荷の商品の販売をスタートするので、そのタイミングにもっともトラフィックが集中しています。よく商品を購入してくださるお客様は、オンラインでもこの時間にWebサイトにアクセスするだろうという仮説は事前に立てられていましたが、行動はあまり把握できていない状態でした」

こうした繰り返し行動を把握するためにも、KARTEでライトに実施できるオンライン行動分析を実施しました。

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「実際にオンライン行動の様子を見てみると、驚くほどの速度で閲覧している瞬間もありましたよね」と、阪は分析時に抱いた印象も交えながら、実際の行動を観察することの大切さに触れます。

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(プレイド 執行役員 Marketing Dept. Headの阪 茉紘)

主な分析対象であるロイヤルユーザーに加えて、少しライトなユーザーに対してもオンライン行動分析を実施。それぞれの違いを知ることで、どうしたらロイヤルユーザーへの態度変容が起こるのかなどを考えるヒントにしていきました。

以下の図は、KARTEで取得した行動データを時系列に可視化したユーザーストーリー画面のイメージです。実際のユーザーの行動データから、具体的な行動の流れを確認し、その背景にある顧客の課題やニーズを探っていきました。

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たとえば、ロイヤルユーザーはほしいと考えているブランドの新着ページをお気に入りページから閲覧し、商品の取り寄せを行ってます。それに対して、よりライトなユーザーは、ブランド名とアイテムで繰り返し検索していることがわかります。

諏訪「オンライン行動分析では、特徴的な行動パターンを抽出してユーザーを分析していきました。この分析で、実際の行動の様子や繰り返している行動はなにかなどをチェックし、どんな気持ちで行動しているのかを考えていきました」

実際のn1分析内容を簡易的に再現したワークショップを体験

諏訪さんからの話題提供のあと、参加者のみなさんにはコメ兵さんが実際に体験したワークショップを追体験する、簡易版ワークショップを実施していただきました。

ワークショップでは、2つのユーザーを想定し、それぞれのユーザーのオンライン行動を再現した動画をチェックしたうえで、ワークシートに沿って「着目した行動」「観察から気づいたことはなにか」「施策案」の3つを順番に検討していきました。

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まずは、個人ワークで検討した内容をポストイットに記載し、グループワークで意見交換しながら、各グループの施策案をまとめていきます。

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コメ兵さんで実施した際は週に1度、1回あたり2時間の長さで実施していたワークショップ。今回は簡易版だったので、10分という短い時間での実施となりましたが、どのグループも議論が盛り上がっていたようです。

10分というわずかな時間でもさまざまな意見が出てくるこのワークショップ。実際にn1分析を実施したら、さらに膨大な顧客に関する情報が集まることになります。どのようにここから情報を整理し、価値ある示唆を見出せば良いのでしょうか。

阪は参考例として、ユーザーインタビューなどで得た情報を分析し、本質的なニーズや体験価値を導き出すための手法「KA法(本質的価値抽出法)」を共有しました。

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ロイヤルユーザーの心がときめくまでのステップをモデル化

ワークショップを体験したあとは、再度諏訪さんからn1分析を通じて発見したことを共有いただく時間となりました。阪からの「n1分析を通じて、なにかメンバーの変化を感じた部分はありましたか?」という質問に対して、諏訪さんはこう回答します。

諏訪「今回のn1分析に参加したメンバーは普段の担当範囲を超えて、それぞれアイデアを出してくれました。一人ひとりが普段の業務では出していないだけで、それぞれお客様に対する仮説を持っていることに気付けました。n1分析を実施していなければ、出てこなかっただろうアイデアや意見もあったと思います。メンバーの意見や考えを知ることができたという点でも貴重な機会でした」

続けて、「ほかには、n1分析を通じてどのようなことを発見しましたか?」という阪からの質問に対し、「実は実施する前は、どんな価値につながるのか疑問に感じる部分もあった」と諏訪さんは語ります。

諏訪「実施してみて得られた大きな成果は、お客様の気持ちを紐解いていて、ロイヤルユーザーやライトユーザーの方の気持ちの変化をモデル化できたこと。どうやったら他のお客様にもこのモデルのように体験いただけるかを考えやすくなりました。
このモデルは、ロイヤルユーザーとライトユーザーにどんな気持ちの違いがあるのかを表したものでもあります。たとえば、ロイヤルユーザーは、特定の商品を探しに来ているというより、掘り出しものを見つけたいと思ってWebサイトにアクセスし、掘り出し物に出会うという心ときめく体験をしたいと考えているのではないかと考えています。

一方、ライトユーザーは掘り出し物を見つけるためというより、特定のほしいものがあり、それを探すためにWebサイトを訪れて検索などの行動をしているのではないかと考えられます。

下の図のハートマークのついている部分が、お客様の気持ちが動いたところです。私たちとしては、ここ部分への導線がスムーズになるように改善しながら、ハートマークの部分をきちんと価値化できるようにしていけたらと考えています」

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また、n1分析を通じて顧客ランクも見直したと諏訪さんは続けます。購買や買い取りなどの実績だけでなく、ブランドに対する愛着度でランク付けを行い、どう楽しんでいるかもふまえてマッピングし、新たなランクとしたそうです。

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最後に、阪から「n1分析はどんなターニングポイントでしたか?」と問いかけると、諏訪さんはこう答えてくださいました。

諏訪「n1分析を通じて、お客様の解像度が上がったと思います。解像度が上がると、お客様に対する仮説がたくさん出てきます。それに伴って、施策のアイデアも多く生まれてくる。

実は、n1分析後に、店舗でも同じようなモデルの体験が起きているのかを確かめるために、全国の店舗スタッフに集まってもらい、同じようなワークショップを実施したんです。

そうすることで、オンラインでのお客様の体験を知らないオフラインのメンバーのお客様に対する解像度が変わり、店舗での企画も数が増えるなどの変化が生まれています」

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コメ兵のKARTE活用事例については、こちらの記事でも詳細に紹介しています。関心のある方はぜひこちらもチェックしてみてください。

コメ兵らしいCXの発見は“顧客理解”から。独自の体験価値を問い、施策に落とし込むプロセスとは?

n1分析を通じて顧客を知るだけでなく、さまざまな効果につなげる

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トークセッションやワークショップのあとには、KARTEを使ったn1分析機能やユーザータイプ分析機能について紹介しました。ユーザータイプ分析機能を活用し、ユーザーをグループとして分析して仮説をつくる、n1分析で仮説を検証するといった使い方も可能です。

n1分析は、顧客を知るための手法のひとつ。ですが、うまく活かすことができれば、コメ兵さんのように、さまざまな効果や成果につながっていきます。ぜひ、KARTE Friendsのみなさんとも一緒にn1分析の実践も重ねていけたらと思います。

トークセッションやワークショップ、プレイドからのお知らせを終えたあとは交流会タイム。ワークショップなどを通じて、場があたたまっていたこともあってか、交流会も賑やかな様子でした。

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記念すべき初開催となった「ふかぼり!マーケティング」、無事盛況のうちに終了できました。今後もマーケティングの課題解決につながるテーマを取り上げて「ふかぼりから新しい気づきを得る」ために、開催していけたらと考えています。お楽しみに!

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