顧客と向き合うために、施策の成果は正しく計測すべき。ココナラが実践する3つのポイント|KARTE Friends Meetup vol.20
2019年10月23日、「スキルマーケット」として人気を集めるCtoCプラットフォーム「ココナラ」を運営する株式会社ココナラの中村憲佑さんに登壇いただき、KARTE Friends Meetupを開催しました。今回お話しいただいたのは、KARTEを通して「顧客と向き合う」方法。
顧客がサービスに対してどのような「価値」を感じているかを正しく把握することで、顧客に寄り添ったサービスに育てていく──。
2019年10月23日、「スキルマーケット」として人気を集めるCtoCプラットフォーム「ココナラ」を運営する株式会社ココナラの中村憲佑さんに登壇いただき、KARTE Friends Meetupを開催しました。
今回お話しいただいたのは、KARTEを通して「顧客と向き合う」方法。徹底したデータ分析によってCXを追求するココナラの姿勢には、マーケティング施策を考える上での学びが詰まっています。
記事の最後には登壇時の資料を公開しているので、ミートアップに参加していない方もぜひ参考にしてみてください。
「顧客と向き合う」とは、顧客が感じている「価値」を掘り下げること
参照:ココナラ
中村さんは、とあるイベントで代表取締役である南章行のスピーチを聞いて惚れ込んだことがきっかけでココナラに入社。そして、入社から5年目の現在はCRMチームと分析チームを兼務しながらマーケティンググループのリーダーを務めています。
今回中村さんが掲げたテーマは、「顧客と向き合う」。
中村さん 「ユーザーさんが価値を感じなければ、サービスは利用されなくなります。その価値とは、ユーザーさんがサービスを利用することで受けている便益と、利用するために支払っている費用の差です。
なぜ、ユーザーさんがその便益を必要としていて、サービスを通じてどのように享受しているのか。同様に、なぜ費用をかけていて、どのように費用を負担しているのか。これらを理解しなければ、サービスが価値を提供し続けることは難しいでしょう。
この便益と費用に関するWhyとHowを掘り下げて、ユーザーさんのニーズや感情と向き合うことで、サービスを成長させるヒントを得られるのではないでしょうか」
中村さんが提示した「顧客と向き合う」方法は、「ログを追う」「質問する」「反応をみる」の3つ。今回のミートアップで中村さんが取り上げたのは「反応をみる」の中でも「施策の反応から顧客と向き合う」方法です。
施策に対する純粋なフィードバックを得ることで、顧客と向き合う
中村さんが施策の反応を活用する上で意識しているのは、以下の3つのポイント。
①外部影響の排除
②KGIファースト
③インサイトの深掘り
中村さんはプレゼンテーションの中で、それぞれのポイントについて語りました。
①外部影響の排除
週1回ペースで、ココナラのサービス紹介を目的に配信しているメールマガジンでは、毎週内容やデザインを変えてテストを実施し、数値を分析していました。あるとき、分析結果が大きく変動することに気づいたそうです。
中村さん 「当初は『なんで突然こんなに数字が動くのだろう?』と原因がわかりませんでした。分析結果を注意深く見てみると、季節や他の施策、メディア掲載などの影響だとわかりました。外部影響が関係しているとなると、毎週A/Bテストしていても、一週間前のデータとの比較ができません」
中村さんは、毎週のメルマガの効果を正しく分析するためには、外部要因が同じ状況でA/Bテストする必要があると考えました。季節やメディアの露出を止めることはできないので、週毎の比較ではなく、同じ配信タイミングでメルマガの内容やデザインをテストする方法に変更。
さらに、メルマガ配信対象者を直近一ヶ月の購入回数を基準に分類し、同じ対象の中でA/Bテストを実施。タイミング、セグメントなどの条件をなるべく揃えてテストができるよう工夫しています。
中村さん 「外部要因による数字の変動は顧客と向き合う上でノイズになるので、できるだけ排除したほうがいいことがわかりました。ただし、全ての施策にここまで手間をかけるのは難しい場合も多い。ココナラでは、重要な施策には手間をかけて、ノイズの少ない状態で結果を分析するようにしています」
②KGIファースト
次に中村さんが紹介したポイントが「KGIファースト」。これは、「本来の目的を達成しているか」で施策を評価する考え方です。
中村さん 「施策の効果を考える上で重要なのは、施策の本来の目的を達成しているかどうか。例えば、リピート購入の促進を目的とするメルマガの効果を測定するなら『メルマガによってリピート購入が増加したか』を見ないといけません。しかし、ついわかりやすい開封率やクリック率で評価してしまうケースは多いのではないかと思います」
ここでココナラにおける事例として、未購入者に新規購入を促すクーポンを付与する施策をご紹介いただきました。
この施策では、未購入者に対してクーポンを付与し、その効果を測定しました。こういった場合、クーポン利用率やクーポンを利用した取引の売り上げ、そして費用対効果などで成果を判断してしまいそうですが、中村さんは「それでは成果を正しく測定できていない」と言います。
中村さん 「このクーポンは購入を促すことが目的なので、クーポン利用率ではなく、一定期間内に全体で購入がどれだけ増えたかに着目すべきです。
クーポンの利用率が高くても全体の購入率が低い場合、『クーポンが無くても購入した人が、たまたま付与されたクーポンを使っただけ』と判断できます。逆にクーポン自体の利用率が低めでも全体の購入率が高い場合、『クーポンが無くても買った人と、クーポンが無いと買わなかった人の両方が最大化されたから、全体の購入率が高まった』と考えられるのです」
KARTE導入後はコンバージョンタグを使って本来の目的達成状況を計測できるようになったそう。さらに中村さんが「かなり便利!」と太鼓判を押すKARTE Datahubを使って外部データと連携することで、KGIに対してより適切な効果測定ができています。
③インサイトの深掘り
最後のポイントが「インサイトの深堀り」です。施策の反応を元に改善を重ねる中でやってしまいがちなのが、「施策の目的を最も達成しているテストパターン」を割り出せたら、データだけを見てそのパターンを使い続けてしまうこと。しかし重要なのは、「なぜそのパターンが効果的だったのか」というユーザーのインサイトです。
中村さん 「成果が出たパターンに飛びつくのではなく、成果が出た要因を深ぼって検証しなければなりません。『条件なしで使える300円のクーポンより、3,000円以上購入という条件付きの1,000円クーポンのほうが、全体の新規購入率が高いのはなぜか』、この問いに答えられなければ、次の改善施策に繋げられないからです」
インサイトを深ぼるためのヒントとして中村さんが活用している機能の一つが、KARTEのアンケート機能です。アンケートを取ることでユーザーの意見を気軽に知れるようになったとのことでした。
最後に、「まだ、KARTEを十分に使いこなせているとは思っていません、ぜひ、みなさんの使い方やノウハウを教えてもらえたら嬉しいです」と、中村さんはKARTEを使いこなすことへの意気込みを語って発表を締めくくりました。
成功だけでなく全ての事例が学びになる──グループディスカッション
発表が終わった後はグループディスカッションへ。約20名の参加者に「新規獲得」「継続率」「潜在ニーズの顕在化」の3つから最も興味があるテーマを選んでもらい、最も人数が集まった「継続率」を2つに分けて、合計4グループでディスカッションをスタート。
グループディスカッションのコンセプトは「DOYARI is MANABI」です。一番の学びを「DOYARI(どやり)」と定義。各参加者が所属する組織の施策に関して、成功&失敗した事例を共有したり、共通の悩みを解決するための方法をグループで考えたりした後、グループごとに最も学びになった内容を「MDC=Most Doyari Case」として発表しました。
発表では、KARTEを使った課題解決方法の学びや、顧客体験の改善よりもサービス自体のブラッシュアップが必要だと気づいた話など、各グループから「DOYARI」が共有されました。
今回のグループディスカッションは、「KARTEについて相談できる仲間を増やす場」を目指しました。参加者の事前アンケートで「KARTEを使っている人とのつながりがほしい」「同じ悩みを持っている人と話したい」といった要望を多くいただいたからです。具体的なテーマを設け、参加したいグループを選択してもらうことで、興味関心の近い人同士がグループ内で相談しやすいようにしました。
この場を通して、KARTE活用における相談相手が見つかっていたらうれしいです。
最後に「PLAIDからのお知らせ」として、ココナラ様もご活用くださっている「KARTE for App」の特徴や強みなどの説明をしてから、懇親会を行いました。
より良いCXに向けて参加者同士が互いに高め合えるコミュニティーを目指すべく、今後も定期的にミートアップを開催していく予定です。初めてでも気軽に参加してみてくださいね。