ECサイトのCVRが2.2倍に。KARTE Blocksで顧客起点のリーンなマーケティングをさらに強化したTENTIAL

2019年に誕生したウェルネスブランド「TENTIAL(テンシャル)」は、主力ブランドであるリカバリーウェア「BAKUNE」シリーズをはじめとする健康課題を解決する製品を公式ECサイトで販売しています。その背景には、マーケター、エンジニア、カスタマーサクセスが連携し、顧客の声をマーケティング施策や商品開発に素早く活かす体制があります。2022年末にKARTE Blocksを導入し、来訪ユーザーのサイト閲覧行動を動画で再現できるKARTE Liveも併用しながら、ECサイトのUI/UXの改善サイクルを強化。取り組みの強化前と比べてCVRを2.2倍に向上させています。同社のウェルネス事業本部 副本部長の岩松泰平さん、同本部 Sleep事業部 広告運用グループのEC担当 北村志保さんに、TENTIAL伸長の要因、KARTE Blocks導入経緯と活用事例、そして今後の展望を聞きました。

アスリート基準のプロダクトと、マーケティングの高速PDCAで伸長

TENTIALの事業はどのように始まったのでしょうか。

岩松:代表の中西裕太郎が、高校時代にプロサッカー選手を目指していたことが原点にあります。アスリートとして、運動、睡眠、食事の管理を徹底する日々を送っていたのですが、病気が原因で夢は潰えてしまいました。

それからビジネスの世界に入った中西は、夜中まで働くなどして身体に負担がかかるビジネスパーソンの生活リズムに課題を感じます。アスリートとしての知見を生かして、彼らのコンディションを改善したいと思い、TENTIALを立ち上げたんです。

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ウェルネス事業本部 副本部長 岩松泰平さん

創業当初から、商品開発を行っていたのでしょうか?

岩松:最初はアスリートや専門家の知見を発信するメディアを展開していました。そこから、記事ごとの閲覧数などからお客様のニーズが徐々に見え始め、足の悩みを抱えている人が多いことがわかったため、一般的なスニーカーに装着する機能性インソールを開発したのが商品開発の始まりです。

そうした背景もあり、TENTIALの商品開発のプライオリティは「機能性の高さ」にあります。例えば、リカバリーウェア「BAKUNE」は一般医療機器として届出をしていますし、他のプロダクトも認証試験を通過させようとしています。

また、数多くのアスリートとリレーションがあり、販売前の商品テストに協力してもらっています。評価が芳しくないものは改善し、アスリートが満足できるクオリティの商品のみを販売するようにしています。

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機能性の高さを強みとする商品を開発し、どのように事業を成長させてきたのでしょうか。

岩松:私たちはマーケティング活動においてスピードを重要視しています。例えば、同じ10万円の広告予算を使うとして、いち早くお客様からの反響が検証できれば効率的により多くの集客が可能ですし、逆の視点から言えば、最適化されていない期間でロスする広告予算も減らすことに繋がります。施策検証の完了速度を向上させることで、アドバンテージが生まれると考えています。

ハイスピードのPDCAサイクルを実現したのが”内製化”です。具体的には、マーケティング、エンジニアリング、カスタマーサポートをインハウスで対応できるよう組織化し、ユーザーインタビューで収集したお客様の声を即座にあらゆる顧客接点へ反映する体制を作りました。

この体制により、事業初期では広告のクリエイティブを起案してから2時間ほどで出稿するほどのスピード感が生まれていました。自社に撮影スポットを作り、撮影から出稿まで社内で完結させたんです。現在は、クオリティと精度をさらに高めるべく社内のチェック体制も強化したので、さすがに2時間で出すことはありませんが、やろうと思えばできると思います(笑)。

ECサイトの運用や改善も自社内で行ってきたのでしょうか?

岩松:はい。ECサイトは自社開発のCMSを組み込んで運用しており、誰でも商品ページを作ったり、コンテンツ更新をできる状態になっています。カートシステムも内製で開発しているので、決済時の顧客体験も社内で改善できる体制となっています。

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ブランディングとマーケティングを棲み分け、ブランド毀損を防ぎつつ集客を最大化

TENTIALのマーケティングはどのような体制で実施しているのでしょうか。

岩松:TENTIALは「SLEEP」「FOOT」「WORK」という3つのカテゴリーで事業を展開しています。私はSleep事業部の部長として、広告運用グループ、CRMグループ、事業企画グループの3チームを管掌しています。

北村:私は、同じくSleep事業部で、広告運用グループに所属しています。広告運用グループは「新規顧客の集客」を担っていますが、私自身はECサイトのCVR最大化がミッションで、KARTE Blocksの運用を含むECサイトの改善を担当しています。

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ウェルネス事業本部 Sleep事業部 広告運用グループ EC担当 北村志保さん

ブランディングにも注力している印象がありますが、ブランディングとマーケティングの棲み分けはどのようになっているのでしょう。

北村:会社全体のブランド作りからECサイトにおける細かなトンマナまで、経営戦略本部にあるブランドマネジメント部という部門が見ています。広告運用グループ側で制作したクリエイティブはブランドマネジメント部にチェックしてもらいますが、商品詳細ページの運用およびUI改善については基本的にマーケティング視点でスピーディに判断・実行しています。

岩松:集客の成果を出すためにブランドを毀損させるようなことはしない、というカルチャーが徹底されているので、チェック回数を減らしつつ、PDCAのスピードを早めることができております。

一度ダメでも粘る。KARTE Live × KARTE BlocksでCVR2.2倍を達成

KARTE Blocksを用いたECサイトの改善プロセスを教えてください。

北村:KARTE BlocksとKARTE Liveを合わせて使い、仮説出しから検証まで一気通貫して行っています。まずはGoogle アナリティクスで全体としてお客様の離脱が多くCVR低下につながっている可能性がある箇所を発見することで課題を洗い出し、KARTE Liveによってお客様1人1人の行動をモニタリングし、課題箇所をさらに細かく分析します。また、ユーザーインタビューでもお客様の困りごとを収集し、それらを集約して「課題の仮説」を立てます。

それをもとに、KARTE Blocksを用いてA/Bテストで仮説を検証。結果が良かった施策をページに実装したり、UIの新機能として追加することで、効率的にPDCAを回すことができ、開発工数を抑えられています

ECサイトの改善において、北村さんが心がけていることはありますか?

北村:「一度ダメでも粘る」ことです。検証結果が悪かったから終わりではなく、その結果を元に仮説を立て直し、様々な観点から検証していくことで、勝ちパターンの発見を意識しています。確信を持って立てた仮説なので、絶対にものにしたいのと、もし結果が悪く出た場合も、そこから得られる新たな発見と仮説を大切にしたいと考えています。

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素敵です。粘ったことで成果が出た施策があればぜひ教えてください。

北村:商品詳細ページの最下部にあったカートをKARTE Blocksで上部に移動し、CVRを改善した施策があります。KARTE Liveによって、商品詳細の内容を読み飛ばして下部のカートエリアを見てから、商品詳細に戻っているお客様が多いことを発見したため、上部に持ってくれば購入導線がスムーズになりCVRが上がるという仮説があったんです。

一度目の検証では、実際にカートエリアを上部に移動させてみました。すると予想外にCVRは2.5%ほど下がってしまったんです。KARTE Liveも活用しながら原因を深掘りしていくと、「カートエリアの商品画像だけでは商品の良さが伝わらない」「カートエリア下の商品詳細が気づかれていない」という仮説が生まれました。

そこで二度目の検証では、カートエリアのすぐそばに商品詳細まで飛べるアンカーリンクを設置すると、CVRを14%改善できたんです。お客様が商品詳細とカートエリアのどちらもすぐに見られ、「欲しいと思ったらすぐに買える」導線を作ることが大切だと判明しました。結果を見たエンジニアチームからは「本実装して常設にしよう」という声もあがっています。

岩松:北村の粘る姿勢のおかげもあって、ECサイト全体のCVRはKARTE Blocksを活用した改善着手前と比べて約2.2倍に向上し、事業成長に大きく貢献しています。

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他にも、印象的な施策があれば教えてください。

北村:まだ結果は出ていませんが、ユーザーインタビューにより、サイズ感がわからず購入を迷うお客様がいると判明したので、身長と体重をもとにした着用感がわかるコンテンツを掲載しています。

レビュー機能をECサイト内に実装するのは工数がかかるので、バナーや画像のような形のコンテンツとしてKARTE Blocksで表示しているんです。この施策も、結果が出たら新機能として開発してもらおうと考えています。

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インタビュー後日、改善効果が見られたため新機能として実装されたとのことです🎉

広告運用チーム以外にもKARTE Blocksを使用されているチームはありますか

岩松:CRMを担当しているチームも使っています。お客様がクーポンを取得したタイミングで商品画像を表示し、「そのクーポンでこちらの商品を買ってみませんか?」という提案をしているんです。お客様のフェーズや状況に合わせた訴求は様々行われており、KARTE Blocksの施策数も増えています。

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規模が大きくなっても「顧客起点の改善」を素早く実行したい

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KARTE Blocks導入前後での変化を教えてください。

岩松:やはりCVRの改善が顕著に結果として出たことでしょうか。結果的に、広告成果の改善にもつながっています。KARTE Liveとの併用でお客様の行動がよりわかるようになり、KARTE Blocksを使うことで改善施策の質も量も向上したことが大きかったと思います。先程のカート事例のように、A/Bテストの仮説検証により、お客様が求めているものがよりクリアに見えるようになりました。

また、KARTE Blocksを使うと、以前使っていたツールでは叶わなかった「各施策が売上金額にどう貢献しているか」まで数値で見られるのもありがたいですね。商品ごとの販売数で1CVの金額は変わってくるので、そこまで考慮しながらPDCAを回せるようになったのは大きな変化だと思います。

今後、取り組んでいきたい課題や目指す目標を教えてください。

北村:ECサイトの「サイズ選びに迷うお客様がいる」という大きな課題を改善したいですね。ECは試着が叶わないので、どのサイズが自分に合うのかわからず購入を迷ってしまうお客様は多いと考えています。今後も、自分用でもプレゼントとしても、より感覚的にサイズ選びができるようなUI/UXを探求していきたいです。

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岩松:マーケティング全体で言えば、どこまでいっても顧客起点でいたいと考えています。

以前は男性のお客様比率が高かったのですが、テレビ番組で商品を取り上げていただいた時に、男性向けのギフトとして購入する女性のお客様が増えたことがありました。それを見逃さずにギフト機能を強化したことで、女性のお客様が定着してくださったんです。

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トップページからギフトを紹介するバナーを追加設置して誘導強化

今後、顧客数や商品数が増え、規模が大きくなっていっても、同じようにお客様の「買う目的」の変化をタイムリーにキャッチアップし、高速でPDCAを回しながら対応できるマーケティングをしていきたいと思います。

現在のTENTIALは、BAKUNEなど「睡眠」に寄り添うプロダクトが比較的多いのですが、今後も商品ラインナップを増やし、一日の様々なシーンで、常にお客様のコンディションを支えられるブランドになりたいと考えています。顧客起点の商品作りとマーケティングによって、一人でも多くのお客様のポテンシャルを引き出せる未来を作りたいですね。

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※ 記事中の施策の結果数値: 取材・執筆時点の2023年10-11月 株式会社TENTIAL調べ

ユーザーのサイト閲覧行動を動画で再現し、UI/UXの課題を特定。商品詳細ページの高速改修に繋げ、CVRを14%改善。

ユーザーインタビューで見つけたUX課題を検証。 商品着用サイズに関するレビューコンテンツを簡易に設置し、CVRを17%改善。

クーポン獲得画面において新設カルーセルで展開ブランドや商品を訴求。クーポン発行後の利用率とCVR改善に一定の成果。

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