KARTE STAR 2026 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社JTBパブリッシング

KARTE Friendsのチャレンジを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR」の受賞企業が2026年も決定いたしました。KARTE STAR 2026の「GOLD STAR」を受賞したのは、株式会社JTBパブリッシングの皆さまです。

同社は、「るるぶ」ブランドで長年培ってきた豊富なコンテンツを軸に、KARTEを導入してデジタル領域での顧客接点拡大と、顧客データを活かした新たなマネタイズ手段の実現を目指しました。

今回の取材では、KARTEの活用に携わったデジタルマーケティングチームと「るるぶ+」運用チームのみなさまに、取り組みの内容や生まれた変化についてお話を伺いました。

KARTE STARは、顧客の体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)に取り組むKARTE活用企業(KARTE Friends)のチャレンジを表彰する年に一度のアワードです。KARTEとともにチャレンジを続け、輝きを放つKARTE Friendsに進呈する賞であることから「KARTE STAR」と命名しています。

KARTE STARの詳細に関しては下記のプレスリリースをご覧ください。

プレイド、KARTE活用企業のチャレンジを表彰する「KARTE STAR 2026」を発表

今回のJTBパブリッシング様の「GOLD STAR」選出において特に高く評価されたのは、KARTEを活用した「デジタル領域での顧客接点の拡大」と、そこから得られるデータを基にした「広告・販促モデルの転換」を同時に成し遂げた点です。

サイト内での体験最適化による着実な成長に加え、ユーザーの興味関心や行動の文脈を可視化することで、広告主やアフィリエイトパートナーに対してデータに基づいたより精度の高いマッチングを実現。

従来の掲載型広告に留まらず、ユーザー理解を軸に据えた提案によってメディアとしての付加価値を高め、事業成長を加速させたプロセスが大きなポイントとなりました。

データで価値を出す──「るるぶ」のデジタル部門が歩んだ道のり

この度は「GOLD STAR」受賞、誠におめでとうございます。まずは、KARTE STARへ応募されたきっかけからお聞かせいただけますか。

伊藤:弊社は長らく出版事業が主軸で、私たちが所属するデジタル部門は後発でした。利益構成比も出版が大きい中で、デジタルでどのように価値を出していくかを模索する過程でKARTEを導入しました。

KARTE STARは、自分たちがどのような活動を行い、KARTEでどんな成果を出しているのかを社内外に知っていただく良い機会だと考えたのです。もし受賞できれば、私たちの取り組みの価値を証明できるのではないかと。

この1年で「るるぶ+」の具体的な事業結果も出てきました。メディアという事業ジャンルでKARTEをここまで活用している事例はまだ多くないと伺っていますので、KARTE活用の新たな可能性を示すことにも価値があるのではないかと考え、昨年に続いて応募させていただきました。

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株式会社JTBパブリッシング 伊藤 洋輔氏

KARTEは、どのような経緯で導入されたのでしょうか?

阿部:以前から「るるぶ」の公式アプリは存在していましたが、アプリ上のデータをどう活用していくかという点が明確に定まっていませんでした。私が現職に着任するにあたり、サービスを刷新して、理想とするCXをしっかりと再設計し、ユーザーデータを利活用していくという構想をサービスの土台として持っていました。

私の前部署であるJTBのWeb販売事業部ではKARTEの導入実績があることを知っていましたし、JTBグループ全体のマネタイズに貢献するという視点からも、KARTEを用いた体験向上が不可欠だと考えていました。

そこで、「るるぶ+」のリリース後にはKARTEの活用を本格化させることを前提に、サービス設計の段階からPLAID ALPHAに伴走してもらい、基礎となる部分から一緒にサービスを構築していきました。

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※KARTEの導入背景についての詳細はこちらの記事でも紹介しています。

旅の定番「るるぶ」はデジタルでどう進化したか。KARTEを活用した「るるぶ+」のグロース戦略と実践

顧客データの蓄積がもたらした収益の多角化という事業の変化

エントリーでは、行動データに基づく収益モデルの立ち上げについて言及されていました。具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?

沖本:KARTE導入1年目は、将来のマネタイズ実現に向けたCDP(顧客データ基盤)構築のフェーズでした。サイト内回遊やログインを促す施策を数多く実行しましたが、売上のような定量的な成果として語れるものはまだ少なかったです。

2年目に入り、KARTE Datahubへのデータ蓄積が進む中で、誰でも簡単にデータを可視化できるダッシュボードを構築できたことが大きな転機となりました。たとえば、細分化したグループ別の月間アクティブユーザー数や、施策ごとのクリック率・ユーザー属性を一覧できる仕組みを整えたことで、お客様の興味関心や施策の効果検証がリアルタイムで行えるようになったのです。

基盤が整備されたことで、マネタイズに向けた取り組みも進んだのですね。

伊藤:そうですね。これまでメディアの収益源は、スポンサード記事と旅行商品への送客によるアフィリエイトが中心でした。しかしKARTEの導入によって、ポップアップ広告やユーザーアンケートといった新たな収益の入口を増やすことができました。

さらに、既存の収益モデルも大きく進化しました。これまでは「広告を掲載したら終わり」でしたが、掲載後にもKARTEのポップアップ機能などを使ってA/Bテストを行い、リアルタイムにユーザーの反応を見ながら継続的に改善することで、より広告効果を高められるようになりました。サイト内の回遊を促すことで、スポンサード記事を適切なユーザーに届けることもできるようになり、既存メニューの価値向上にもつながっています。

また、広告主へのレポートも従来のPV・クリック数中心の報告から、「接客クリック前後にユーザーがどんな記事を閲覧していたか」といった行動文脈を可視化したインサイトレポートへと進化しました。

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山田:昨年度から、「KARTEを軸とした新たなマネタイズメニュー」を提案する営業体制をチーム内に構築しました。当初は1人体制でしたが、今年からメンバーも増強し、伊藤がお伝えしたようなポップアップやアンケートなどを活用して得られるメリットを具体的な商材として整理していきました。

新たなマネタイズメニューとして確立した「1to1広告ソリューション」では、ユーザー・閲覧ページ・タイミング・表示内容を掛け合わせ、自由度の高い広告配信を実現することができます。それにより、たとえば、地域ごとに特典が異なるクレジットカードの加入促進において、ユーザーの居住エリアと閲覧ジャンルに応じた最適な広告の出し分けをクライアントに提案することが可能になりました。さらにそのナレッジを全社で共有し、全体の売上を伸ばしていく流れを作っています。

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出版販売やコスト面でも大きな成果があったと伺いました。

沖本:はい。主力である出版販売においても、KARTEを活用したメディア間の連携によって主要ECサイトへの送客を強化し、売上高は前年比140%以上を達成しました。これまでオンラインメディア部門と他部署の連携は十分ではありませんでしたが、KARTE導入を機に初めて部署の垣根を越えた協業体制が整い、セール期間に合わせた短期的な販促施策などもスピーディーに実施できるようになっています。

伊藤:コスト面では、主に3つの貢献がありました。1つ目は、これまで別々のツールで行っていたレコメンドやメールマガジン、行動計測などをKARTEに一元化したことによるコスト圧縮です。関連費用を前年比60%程度まで抑えることができました。2つ目は、広告費の抑制です。サイト内回遊の促進や「KARTE Message」の活用で、広告に頼らないユーザー流入を増やし、売上高に占める広告費率を14.7ポイント改善できました。そして3つ目は、メンバー負担の軽減です。KARTE活用の習熟に伴い、チームメンバーの作業効率が、導入前と比べて格段に向上しました。単なる「残業代の低減」だけでなく、チームメンバーのワークライフバランス良化につながり、各々がプライベートの時間を豊かに過ごせるという最良の成果をもたらしてくれました。

一人ひとりに寄り添う顧客体験の提供にこだわり、試行錯誤を重ねる

収益モデルの変革と並行して、顧客体験価値の向上にも注力されています。特に「るるぶ+」では、どのような工夫をされたのでしょうか?

荒川:「るるぶ+」になる前の旧アプリでもプッシュ通知は送っていましたが、ユーザーの行動データがなかったため、全員に向けて同じ内容が配信されるなどの画一的な対応になっていました。KARTEを利用するようになってからは、記事の閲覧状況やエリアといったデータに基づき、一人ひとりのユーザーに合わせたメッセージを送れるようになりました。

何曜日の何時に送るのが最適か、といった基本的なところからテストを重ね、今では平日は夜20時、休日は朝9時などよく読まれる時間帯の傾向がわかり、開封率も向上しています。初回訪問ユーザーの定着化やロイヤル化に向けた配信も仕組み化していて、開封率が高いことに加えてして再来訪率も20%を超える結果につながっています。

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後列左から 株式会社JTBパブリッシング 荒川 真穂氏 山田 凌也氏 森 涼美氏 村上 絵里花氏 安達 紗季氏

安達:「るるぶトラベル」とのお客様の予約データ連携も大きな変化をもたらしました。これにより、旅行を予約されたお客様に対し、「タビマエ(旅行前)」「タビナカ(旅行中)」「タビアト(旅行後)」の各フェーズで最適な情報を提供できるようになりました。どのようなプッシュ通知を送るべきかについては、チーム内だけでなく他部署からも意見を募ったり、ユーザーインタビューを実施したりして、「お客様にとって一番良いものは何か」を常に突き詰めて内容を決定しています。

さまざまな施策を進める上で、特に重視したことは何でしたか?

:デジタルマーケティングチームとしては、UIとの兼ね合いを非常に重視しました。ポップアップがユーザーのストレスにならないよう、「アフィリエイト訴求のポップアップは1セッションに2回以上表示しない」「全画面表示が許容されるのはどういうケースか」といったルールを細かく定め、設計に反映させています。こうしたルールは、他チームからの客観的な意見や、実際のユーザー行動の想定に基づいて、施策を進めながら継続的にブラッシュアップしてきました。

※KARTEを用いたUI/UXの改善についてはこちらの記事でも紹介しています。

データに基づいた素早いUI/UX改善を実現。「るるぶ+」が目指すOne to Oneのメディア体験

伴走支援でPDCAの回し方を学び、チームの文化として定着

これだけの変革を実現するまでには、大変なこともあったのではないでしょうか?

沖本:参加しているメンバーはデジタル系のバックグラウンドがある者ばかりではありません。JavaScriptもCSSも触れたことがない状態からスタートし、KARTEの接客機能を通じて各自が学び、スキルを習得していきました。その中で、数少ない技術面のスペシャリストである清村のサポートは非常に大きかったですね。

清村:最初からすべての施策がうまくいったわけではありませんでした。たとえば、ログインメリットが少なかった「るるぶ&more.」では、ユーザーにアンケートで興味のあるエリアやジャンルを回答してもらい、マイページでおすすめ記事を提示してログインを促す施策を実施したことがありました。しかし、当初はなかなかログインにつながりませんでした。

:KARTEの行動ログを分析すると、登録ページで入力項目の多さに離脱しているユーザーが多いことが見えてきました。どこでユーザーが離脱しているのかを可視化できたのもKARTEの大きなメリットです。この分析結果を基に、ポップアップのデザインや文言を見直し、ログインした先にどんな体験が待っているかをより具体的に伝えるように改善を進めていきました。

エントリーシートではPLAID ALPHAの伴走支援が大きな力になったと述べられています。どのようにチームは変化していきましたか?

荒川:「るるぶ+」はリリース当初、何をすべきかまったく分からない状態でした。まずは一般的なアプリグロースの基礎から教えていただき、課題を出してもらってそれをこなす、という形でPDCAの回し方を学びました。毎週の定例で施策の振り返りスライドを準備し、細かくフィードバックをいただくことで、一つひとつの施策の精度が上がっていきました。現在は伴走期間は終了していますが、当時教わったやり方をチーム内で継続できています。

阿部:良いツールを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。PLAID ALPHAのチームには、各施策のPDCAにおいて、検証をしっかり可視化する「クセ」を、最初の半年で実務レベルのメンバーに徹底的に注入してもらいました。伴走が終わった後もその文化が根付き、当時と同じレベルのアクションを継続できている。これが一番の成果です。さらなるPDCAを展開していくための土台を作っていただけたことに感謝しています。

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株式会社JTBパブリッシング 阿部 誠司氏

受賞の先へ。「るるぶ+」が目指す旅の総合プラットフォーム

今回のGOLD STAR受賞を、チームではどのように受け止めていらっしゃいますか?

:昨年もエントリーしましたが、受賞には至りませんでした。それだけに受賞の難しさは理解していましたので、今回選ばれたことは素直にとても嬉しいですね。

沖本:私たちのKARTEの使い方は、「この商品の売上が上がった」などとすぐに成果が出るようなものではありません。1年目は、目指したい事業改革に本当につながるのかという不安もありました。特別な仕組みを作ったとか、画期的なコードを書いたという意識は全くありません。ただ、描いたビジネスモデルの実現に向かってみんなで丁寧に取り組んできました。その積み重ねが2年目で成果となり、こうして賞をいただけたことで、『自分たちのやってきたことが間違っていなかった』と胸を張れるようになりました。それが今、チームにとって大きな自信になっています。

村上:私は入社2年目ですが、1年目は先輩の施策を複製して実行する「なぞる」ような形が中心でした。しかし今年度は、自分なりに考えて施策を企画したり、後輩から相談された際にも感覚で答えるのではなくて、「まずはポップアップでA/Bテストをしてみよう」とデータに基づいて判断するための提案ができるようになったりと、自身の成長を実感しています。そうした中で社外のアワードでも認めていただけたことが、大変嬉しいです。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

:現在、KARTEに蓄積してきたデータを営業現場でより活用しやすくするための「データ利活用プロジェクト」もプレイドさんと進めています。KARTEを直接使わない営業担当者でも、AIなどを活用して簡単に分かりやすくデータにアクセスできるダッシュボードを構築することで「データの民主化」を目指しています。これにより、データをさらに収益につなげていきたいです。

山口:「るるぶ+」では、これまで国内の宿泊予約が中心でしたが、今後は国内・海外のツアー予約も強化していきます。コンテンツも海外エリアを大幅に拡充しており、予約機能と連携させることで予約数を増やしていきたいですね。お客様に「るるぶ+なら、おでかけや旅行のすべてが完結する」と感じていただけるようなサービスを目指します。

伊藤:KARTEを用いることで、収益をさらに大きくしていけたらと考えています。弊社の収益バランスはまだ出版事業が大きいですが、市場環境を考えると、Webサービスの収益を圧倒的に拡大させなければなりません。それをKARTEと共に成し遂げたい。そして、お客様の解像度をさらに高め、「一人ひとりのお客様」に寄り添った情報を届けるコミュニケーションを、「るるぶ+」だけでなくすべてのメディアで実現していくことを目指していきます。

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