基幹システムが大きく複雑でも“小さく試す”はできる。老舗通販ニッセンの5年にわたるKARTE運用の軌跡と展望

1970年に創業し、衣料品やインテリア雑貨のカタログ通販事業を手がける株式会社ニッセン。「想像以上のあったらいいなを。期待以上のちょっといいなを。」を掲げ、レディースからキッズ、マタニティ、メンズ、大きいサイズなど多種多様な商品ジャンルを展開してきました。近年は、顧客の購買行動の変化に合わせて、ネット通販事業にも注力しています。2017年には、同社の通販サイト「ニッセンオンライン」にKARTEを導入し、既存の基幹システムができあがっている中でも、施策を“ほぼ毎日”テストできる環境を構築。素早く改善を重ねて、体験の向上、年間数億もの売り上げ効果につなげています。

1970年に創業し、衣料品やインテリア雑貨のカタログ通販事業を手がける株式会社ニッセン。「想像以上のあったらいいなを。期待以上のちょっといいなを。」を掲げ、レディースからキッズ、マタニティ、メンズ、大きいサイズなど多種多様な商品ジャンルを展開してきました。

近年は、顧客の購買行動の変化に合わせて、ネット通販事業にも注力しています。2017年には、同社の通販サイト「ニッセンオンライン」にKARTEを導入し、既存の基幹システムができあがっている中でも、施策を“ほぼ毎日”テストできる環境を構築。素早く改善を重ねて、体験の向上、年間数億もの売り上げ効果につなげています。

2022年10月には、自社のECサイトにKARTEを導入・活用する事業者からは初めて、KARTEのOfficial Partnerに認定。通販事業者を支援するBtoB事業において、KARTEの導入支援・運用サポートの提供を開始しました。これまでに培った経験や知見を活かし、クライアント企業のCX向上、売り上げ改善を支えます。

今回は、同社のCX推進部を統括する中野慎也さん、KARTEの運用を担う上原幸子さん、開発やデータ連携を担う倉持賢秀さん、BtoB事業部でKARTEの導入支援・運用サポートを率いる高岡徹也さんに、これまでの活用の軌跡や新サービスの展望について伺いました。

※Official Partnerは、プレイドが提供するパートナープログラム「 KARTE Partner Accelerate Program 」において運用実績やプロダクト理解などの基準を満たした企業にのみ認定され、機能の先行公開や共同マーケティングの支援など、特別な支援を受けることが可能です。

紙でもWebでも“あなたがあなたらしく暮らせる”を支援

ニッセンでは40年以上にわたり通販事業を展開されてきました。事業を通して、どのような価値を届けたいと思っていますか?

中野:私たちは「想像以上のあったらいいなを。期待以上のちょっといいなを。」をミッションに掲げて、その達成のために「すべてのあなたがあなたらしく暮らせる世の中を実現します」というビジョンを置いています。事業を通して、一人ひとりのお客様がありたい姿になる、自分らしく暮らすためのお手伝いをしたいと考えています。

象徴する取り組みの一つが、ニッセンの多様な商品ラインアップです。カタログ通販のみを提供していた時代から、一般の衣料品店ではあまり手に入りづらい大きめのサイズを展開してきました。最近ではトランスジェンダーの方の悩みに応えるインナーなども種類を増やしています。

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そうした価値を実現し続けるうえで、CX推進部の担う役割を伺えますか。

中野:多様性の時代において、すべてのお客様が、自分らしく、ありたい姿であるために、WEBサイトやアプリにおけるお買い物体験を向上させることが私たちの役割です。

目指しているのは、馴染みの店舗で一対一の丁寧な接客を受けているような体験です。過去の会話や購入した商品から、自分に合った商品を心地よいタイミングで提案してもらえて、気持ちよく楽しく買い物ができる。それをデジタルで実現することが私たちの目指すゴールです。

特に今は、サイトやアプリなど複数の顧客接点を横断して、お客様に最適なコンテンツを最適なタイミングで届けるための施策に注力しています。KARTEなどの活用も、まさにその一環です。

KARTEを導入された理由についても教えてください。

中野:やはり、私たちの実現したい「お客様に合わせた最適な接客」がデジタルで可能になることでした。先ほどお話した「自分らしい」買い物や、ご自身が「こうなりたいな」という姿は、当然ですが一人ずつ違います。KARTEなら、馴染みの店舗のように、お客様とのこれまでのお付き合いを踏まえ、一人ひとりに合わせたコミュニケーションができるのではと考えていました。

上原:具体的な機能を挙げると、まず管理画面の使いやすさが大きかったです。KARTEは、マニュアルを見なくても、直感的に使い方がわかる!と思いました。施策の実装から検証まで、運用もベンダー任せきりではなく、お客様のことを理解している自社のマーケターが日常的に行うことを想定して作られているのだなと、管理画面から伝わってきました。

また、プレイドの担当者である栗山さんの姿勢や熱意も、決め手のひとつでした。KARTEの使い方だけでなく、その背景にあるCXへの思いなどを丁寧に共有してくれました。

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そのほかに決め手となったポイントはありますか?

倉持:導入前の打ち合わせの度に機能がアップデートされている点にも惹かれましたね。二度目にデモを見せていただいた際、ユーザーを行動や属性に応じてグループに分類するセグメント機能が大きくバージョンアップされ、とても使いやすくなっていたので、活用後への期待が高まったのを覚えています。

当初から、数多くの顧客を擁する「ニッセンオンライン」にKARTEを導入されました。影響する顧客が多く、かつ基幹システムとも関わるサイトに導入する不安はなかったですか?

中野:多くのお客様が利用するニッセンオンラインでこそ、より素早く体験を改善したいという思いが勝りました。

当時は、基幹システムや組織構造により、サイトに表示するバナーのABテストにも、開発や社内調整に多大な時間やコストがかかっていたんです。一つの施策に1、2週間が必要になることも珍しくありませんでした。

KARTEで施策実装から検証まで、エンジニアの手を借りずとも完結できるようになれば、より仮説検証のスピードを上げられる。そうした期待が大きかったです。

KARTEがテストツールに。大規模な組織でも小さく試せる

今は、どのような体制でKARTEを運用しているのでしょうか?

上原:主に私がKARTEで蓄積している行動データを活用したコンテンツなどの企画の立案や各々の施策の管理・運用を行っています。KARTEの活用に必要な開発は倉持さん、施策アイデアの立案や振り返りは中野さんをはじめチームメンバーの力を借りながら進めているような形です。

ニッセンオンラインには通常サイズから大きいサイズ、トール、小さいサイズも含めた「レディースファッション」や「キッズ・ベビー・マタニティ」「メンズ」「インテリア・雑貨」など多種多様な商品カテゴリがあり、それぞれにおいて専門のプランナーがサイトコンテンツの企画運営を行っています。

各プランナーから「サイト上でターゲットに合わせたコンテンツや商品をご案内したい」などの要望が私の元に届くので、KARTEのデータを見ながら「サイトでどんな行動をした人に、どのページや場所で、どのようなコンテンツを出すとお客様に届くのか」を考えながら施策を決め、ABテストをして改善を重ねています。

導入理由に挙げていらっしゃったテストのスピードは上がりましたか?

上原:はい。簡単な施策であれば開発を依頼せずとも実装できるようになり、ABテストを含む検証を素早く行えるようになりました。

倉持:基幹システムに触らずに施策を試せるようになったのは、大きな変化でしたよね。

導入以前は、サイトにポップアップを表示するだけでも、基幹システムの顧客データと連携する必要がありました。ですが、KARTEなら必要な顧客データのCSVファイルを取り込み、その顧客にポップアップを表示するよう設定できる。まずはKARTEで検証してみて、成果が出たら本番環境に実装するといった開発プロセスを実現できるようになりました。

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KARTEで試し、本番環境に実装した施策があれば教えてください。

上原:いくつもありますよ。たとえば、行動データを活用したコンテンツとして、トップページではリアルタイムの検索データに合わせた「急上昇ワード」、キャンペーンページでは個人の閲覧データを元におすすめ商品を出す施策などがあります。

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リアルタイムの検索データに合わせた「急上昇ワード」を表示する施策はKARTEで試し、本番環境に実装された

KARTEで簡単にABテストができるという特性を生かして、UI改善のための機能テストも実施しています。スマートフォン用サイトの商品詳細ページにある「お気に入りボタン」も、初めはKARTEで検証しました。社内では「お客様がボタンを押しただけで満足して、注文が減ってしまうのでは」という懸念もあったのですが、ABテストで問題ないことを確かめ、実装にいたりました。

異なる会社のレコメンドエンジンの導入を比較検討していた際も、KARTEでABテストを設定し、結果をベースにどちらのエンジンを採用するか決めました。実際のお客様の反応を簡単に確かめられるので、私たちも意思決定しやすかったですし、ベンダーの方への説明もしやすかったです。本来の使い方とは異なるのかもしれませんが、私たちにとってKARTEはテストツールでもあるんです。

ABテストをしていない日は“もったいない”と感じる

他に、特に成果につながったと感じる施策はありますか?

上原:お誕生日のお祝いクーポンをプレゼントする施策は、シンプルながら効果を感じています。お客様によりお得に買い物をしていただけますし、その結果として、売り上げなどの数値にも貢献しています。

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お誕生日をお祝いするクーポンをプレゼントする施策

今は「KARTE Datahub(KARTEの行動データと自社のデータを統合して施策などに活用できるプロダクト)」も積極的に使っています。たとえば、ニッセンの購買データもKARTEではリアルタイムで活用できるので、データにもとづいて「今売れた商品紹介」というコンテンツを表示しています。他にも、顧客の獲得したポイント数に合わせた案内など、リアルタイム性があり、かつ一人ひとりに合わせた内容をベースに、さらにKARTEでABテストを繰り返し、表示する対象者やタイミングを探索しているところです。

最近力を入れているのは、離脱防止のためのメール施策です。商品を閲覧してページから離脱したお客様に、さきほどご覧になった商品が「今ならポイントアップ」「この商品と合わせてまとめ買いすると○%OFF」といったキャンペーンとあわせて案内するメールをお送りしています。一部のお客様に実験的に試してみたら、開封率やクリック率なども高く、配信数を増やしているんです。

いずれの施策も実装して翌日には数値をみて、成果を確認できる。フィードバックをすぐ得られるのが楽しくて、モチベーション高く取り組めるようになりました。

モチベーションなど含め、導入前後で個人やチームに変化はありましたか?

中野:ABテストをしていない日がもったいない、と思うようになりました。KARTEを導入してからは、午前中に上原さんとミーティングをして前日の結果を振り返り、お昼には施策を改善したり、新たに実装したりする。それくらいのスピードで運用を進めているので、導入前なら当たり前だった改善サイクルを「遅い」と感じます。

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倉持:企画側も開発側も、「やってみよう」とひらめいたことを簡単に試すことができるようになりましたよね。

たとえば商品購入数のランキングを表示するにも、以前ならどの商品データをどのようなクエリで集計するのかなど、事前に細かく仕様を決めておく必要がありました。

ですが、KARTE Datahubでは、クエリテンプレートを使うことで、ランキング用のクエリを一から書かずとも、すぐに集計結果を確認できます。その内容を確かめながら、最終的な集計方法や仕様を開発側と調整し、本番データに流し込めばいい。気軽にトライしてみて、少しずつブラッシュアップしてくことができるんです。

中野:施策の成果を社内に共有していたら、社内からの積極的な質問も増えました。別の部門からも「これKARTEならできますか?」と聞かれることがよくあります。

倉持:先ほど「KARTEをテストツールとして使っている」という話がありましたが、KARTEは少しずつ私たちのインフラになりつつあるのかもしれませんね。

現場で活用した経験を生かし、企業のCX向上を支援

まさにKARTEを使いこなしていますね。そして貴社では今後、KARTEの導入支援・運用代行サービスを行うと伺いました。改めてBtoBでの支援について、ニッセンのBtoB事業についても詳しく聞かせてください。

高岡:BtoB事業部では、ニッセンが通販事業で培ったノウハウやインフラを活かして、同じく通販事業を手掛ける企業を支援しています。紙・TV・WEBプロモーション、コールセンター、物流など多種多様なサポートを提供してきました。

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KARTEの導入支援・運用代行サービスを行うに至った理由は?

高岡:ニッセンオンラインが、KARTEを使って体験向上や売上などの成果につなげていると知り、BtoB事業のクライアント企業にも役立つはずだと思ったからです。

日頃クライアント企業と話していると、サイトの体験に限らず顧客の体験向上に取り組みたいが、何から手をつけたらいいかわからない、あるいは施策を立案するリソースや時間がないと困っている方がたくさんいらっしゃいます。

今3人から話があった通り、まさにニッセンもそんな“困った”状況でKARTEを導入し、試行錯誤を重ねてきましたから。きっと同じ悩みを抱える企業の課題解決にも貢献できるはずだと考えました。

最後に、高岡さん、上原さんからそれぞれの事業や取り組みの展望を教えてください。

高岡:ニッセンが試行錯誤して積み重ねたノウハウや知見を反映するだけでなく、クライアント企業が“自社らしさ”を生かしてCX向上に取り組めるよう、尽力していきます。

たとえば「レコメンド機能をKARTEでテストして比較検討する」といった使い方は、ニッセンの現場で試行錯誤したからこそ発見できたものだと思います。そのように、使う企業や現場が違えば、また新しい使い方が生まれるのだろう、と。私たちの実践知を盛り込みつつ、それぞれの企業の課題や理想像に即したKARTEの使い方を見いだして、各企業の先にいるお客様に寄与できればと考えています。

上原:先ほど倉持さんが話したように、KARTEはニッセンオンラインに欠かせないインフラになりつつあると感じています。

お客様の体験は「購入して終わり」ではありません。購入後の商品到着や着用など、商品を買った“後”にも今後はフォーカスし、施策を実行していく予定です。引き続き、スピーディーに仮説検証を回しながら、お客様が自分らしく買い物を楽しめる体験を実現していきたいです。

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