若者に人気の日本酒「久保田」で知られる創業200年を迎える酒蔵、朝日酒造のECで購入体験を高めるWebサポートとは─RightSupport by KARTE導入事例
日本酒「久保田」などのブランドを有し、2030年に創業200年を迎える酒蔵の朝日酒造。朝日酒造 営業本部国内事業部 直販営業課 課長の酒井鉄平さんに、RightSupport by KARTEの導入経緯や導入後の変化、今後の展望について伺いました。
日本酒「久保田」などのブランドを有し、2030年に創業200年を迎える酒蔵の朝日酒造は2020年に自社のECサイト「朝日酒造オンラインショップ」を開設し、今日に至るまでオンラインにおける新たな販売チャネルを着実に育ててきました。
2024年、その自社ECサイトにRightSupport by KARTE(以下、RightSupport)が導入されました。現在、半年ほどの期間で100以上の施策が実施され、顧客の購入促進に寄与しています。
今回は、朝日酒造 営業本部国内事業部 直販営業課 課長の酒井鉄平さんに、RightSupportの導入経緯や導入後の変化、今後の展望について伺いました。
時代や顧客ニーズの変化に対応するため、自社ECサイトを開設
朝日酒造営業本部国内事業部直販営業課課長・酒井鉄平さん
——朝日酒造では2020年3月に自社のECサイトをリリースされましたね。どのような目的があったのでしょうか?
目的は大きく3つありました。まず1つ目は「新しい販路の確保」です。これまで主な取引先であった個人の酒販店様が減少するなか、お客様から「日本酒を買いたいのだけど、どこで販売していますか?」といった問い合わせが増えていました。加えて、当時はCOVID-19の影響もありオンラインでの販売チャネルに対応する必要も出てきたため、お客様のニーズに応えしっかりと商品を届けていきたいと考えていました。
2つ目は「ロイヤルティの高いファンの獲得」です。新しい販路の確保という観点では、ECモールに出店する形もあり得ました。ですが、お客様一人ひとりとの充実したコミュニケーション接点を設けて、ファンとのつながりを大事にすることに重点を置くのであれば自社のECサイトをコミュニケーションのハブになるように育てていくのがよいのではないかと判断しました。
3つ目は「若年層へのリーチの拡大」です。弊社では2019年より主力商品である「久保田」のブランドリニューアルを実施しました。その後、新商品の発売や商品のリニューアルを順次進めています。若い人たちに久保田の存在を認知してもらい、お酒を買う際の選択肢に入れていただくために、従来のブランドの発想にとらわれない商品展開にチャレンジしています。若い年代の方々に魅力的な情報や商品を届け、好きになってもらうためには、やはり自社ECサイトは販売チャネルとして不可欠だろうと考えました。
「アウトドアで日本酒を楽しむ。」という新しいカテゴリーの創出を目指しスノーピークとコラボして開発された「久保田 雪峰」
――ECサイトを開設してから、反響はいかがでしたか?
くしくもコロナ禍の巣ごもり需要の影響もあってか、開設当初はこちらの発送が追いつかないほどの注文をいただきました。それから現在に至るまで、ECサイトでの売り上げは順調に伸びています。
はじめは取り扱う商品の種類も絞っていたのですが、反響の大きさから「出せるものはどんどんECサイトで売っていこう」と方針が切り替わり、今では主力の「久保田」全17種のほか、飲み比べセットなど、さまざまなパッケージで商品を展開しています。先に行っていたブランド刷新の甲斐もあり、若い方々への広がりも一定の成果をおさめています。
――ECサイトをつくるという挑戦からは手応えが得られたのですね。
はい。私たちは久保田をはじめとした自社の商品の質に誇りを持っています。ただ、どんなにいい商品を作っても、売り場がないとお客様の目につかないし、買っていただくことも叶いません。これから個人の酒販店様が減り続けるであろう状況下で、自社ECサイトでの販売やブランディングの強化は、会社として特に注力するべきチャレンジのひとつと位置付けています。
お客様に適した情報導線設計と購入促進が喫緊の課題、導入の決め手は「とっつきやすさ」
——順調にECサイトでの売上が成長しているなかで、RightSupportを導入いただきました。導入にあたり、どのような課題感があったのでしょうか?
初期から良い反応はいただいていたものの、やはり最大の課題はCVRの向上、つまり離脱防止と購入促進でした。特に大きなネックだと感じていたのが、サイトを訪れるお客様の離脱増加です。商品を見ていただいたり、会員登録をしても最終的に購入に至らないケースが多くありました。
「日本酒」というジャンルの特徴にもつながりますが、商品に関する情報や説明が多く、お客様にとって情報過多になってしまったり、注文導線がすぐに見つけられない状態になっていたのだと思います。しかしながら、良い購入体験を生み出すためには、お客様が本当に必要だと思っている情報を、的確に過不足なく伝える必要があります。そもそもどの日本酒が良いのか、ギフトの際にはどのような手続きが必要なのか、など。
そのための手段として、例えば、ウェブチャットを導入したとしても、対応する人的リソースは足りないし、ツールを活用するうえで一定のITリテラシーが求められてしまうとなると使いこなせないかもしれない。かといってECサイトを改修するには知見もリソースも足りない……などの懸念が積み重なっていたのですがいろいろと検討していくなかで、Webサポートツールの存在を知りました。
――Webサポートツールも複数の種類が存在するなかで、RightSupportを選んでいただいた決め手は?
ツールの「とっつきやすさ」は大きかったですね。実際にツールを使用する担当者には、スクリプトやCSSに慣れていない社員もいました。導入するツールが、そういった知識を必要とするものでは使いこなせるかわかりません。導入後の運用を考えると「担当者の誰もが簡単に扱えるツール」というのは重要な点でした。
その点、RightSupportは管理画面に表示される情報が比較的少なく、スッキリとしている印象でした。これなら、技術的な知識がない社員でも抵抗感を抱きにくいんじゃないかなと感じたんです。
問い合わせを起点に課題発見できる「ページ軸レポート]
Webサポート施策を作る「サポートアクション」
また、RightSupportは施策作成〜効果分析の機能が活用しやすく、一回運用の仕組みをつくってしまえば、以下のような形で工数をかけずにいろいろな応用が効きそうだなと。
・サポートアクション機能を用いてWebサポート施策をリリース
・レポートで施策ごとの効果振り返り
・結果がよかった施策を複製して別の商品の購入促進施策でも展開
ダッシュボードで改善するべき点が表示される機能があることも、ポジティブなポイントでした。
少ないリソースで半年間に100以上のWebサポート施策を実現
――導入後、実際に使ってみての感触はいかがでしょうか?
まだ導入から約半年ですが、すでに100以上のWebサポート施策を開始できました。例えば、お客様ごとに適した日本酒をサジェストする、適正診断のアクションコンテンツです。日本酒を飲むシーンごとやTPOなどを選択していくと要望にマッチする日本酒にたどり着くことが可能です。
診断コンテンツを使っていただいたお客様に関しては、購入率(※)も高くなっています。仮説通り、的確な順序で情報をお伝えすることで一人ひとりに合った日本酒との出会いを創出できたことが効果につながっているのだと思います。
※サイト全体の購入率と比較して施策利用者は6.5pt向上 / 5/24~6/7の2週間で集計
弊社はECサイトにかけられる人的リソースが豊富ではなく、サイトの課題を解決する仮説を持ったとしても十分に検証ができていませんでした。RightSupportのおかげで、限りなく少ない工数で多くの施策を回して仮説検証ができるようになり、とても助かっています。
得られた良さは施策数の増加だけではありません。お客様がECサイトを離脱する前にどのページを閲覧してどこで迷ったのか、などのデータを確認しやすくなりました。検証を重ねて、離脱のパターンがいくつか見えてきたので、今後はより精度の高い施策を打てそうだと感じています。
――限られたリソース内で施策の数が増やせたことの他に、生まれた成果はありますか?
副次的にですが、有人で対処しなければならない問い合わせの件数がかなり減りました。もともと「いつ届きますか?」「送料はいくらですか?」といった回答が明確な問い合わせが多く発生していましたが、RightSupportの分析機能を利用しながら、離脱ページを確認し、仮説を立ててECサイト内のテキストの最適化に取り組んでいきました。その結果、お客様に必要な情報が伝わりやすくなり、自己解決が進んだのではと考えています。
「問い合わせないと分からない」という状況は、お客様が本来不必要な懸念を感じることになりますし確実にCVRに悪影響があったと思うので、問い合わせ件数が減っているというのは事業上でもとても喜ばしい変化ですね。
お客様の「欲しい」に応えるコンシェルジュのような役割を
――今後、RightSupportを使って取り組んでいきたいと考えていることはありますか?
これからRightSupportの担当者さんと、半年間の施策を振り返りつつ、本格的な効果検証に入っていく予定です。少しずつですが良くなっている実感はあるので、来期以降、目に見える形で改善を推し進めていきたいですね。
具体的に取り組もうと考えているのは、人間味のある案内と安心感をもったサポート施策の実行です。例えば有人のチャットサポートなどもその一つですね。単純な問い合わせに対する応答というより、何を買ったらいいのか迷っているお客様に対してアドバイスをする「コンシェルジュ」のような役割を持たせたいなと。
何かが欲しいと思ってECサイトに入ってきたお客様に対して、確実に「これだ!」と思える商品と出会ってもらえる導線をつくっていきたいですね。ただ、前述の通りリソースは逼迫しているので、RightSupportを活用しながら、お客様のニーズや困りごととに合ったサポートの仕組みを作り、人の手を極力かけないやり方も検討していきたいと考えています。
――その他、朝日酒造のECサイトとして目指していることがあれば教えてください。
短期的にはPDCAを回しながら着実に購入促進を実施しつつ、中期的にはECサイトの売り上げを今の倍にしていこうとしています。ただ、私たちがECサイトで扱える商材の数は限られていて「久保田」の価値をより深く届けていくためには、一つひとつの購入や飲用体験にはじまるお客様個々とのつながりを大切にしていかなければなりません。そのために、ECサイト上でもこちらからより人間味のあるようなアプローチをして、お客様にブランドと確かなつながりを感じてもらえるようなプラットフォームに成長させていきたいです。