顧客満足度を高めつつCS業務のコストを削減。NTTドコモの「ぷらら」と「ひかりTV」でのRightSupport by KARTE活用法
株式会社NTTドコモは「ぷらら」と「ひかりTV」のカスタマーサポートにおいて、顧客の自己解決の促進、サポート業務のコスト削減を通じて、顧客満足度を高めるためにRightSupportを導入。導入の背景から、具体的な活用方法、今後の展望を聞きました。
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)の提供するインターネットサービスプロバイダ「ぷらら」と映像配信サービス「ひかりTV」のカスタマーサポートは、顧客の自己解決を促進し、サポート業務の効率化を目指しつつも、顧客満足度を高めようとしています。
2023年、「ぷらら」と「ひかりTV」のWebサイトにてRightSupport by KARTE(以下、RightSupport)を導入。困りごとがある顧客に問い合わせ前の段階から先回りしてFAQを案内し、自己解決を促す施策で手応えを感じているといいます。
今回は、株式会社NTTドコモ 営業本部 OCN部 ND ぷららサービス担当の山下晋平さんと、スマートライフカンパニー 映像サービス部 映像推進 映像プロセス担当の後藤有貴さんから、RightSupportの導入経緯、具体的な活用方法や導入後の変化、今後の展望について伺いました。
問い合わせ件数が多く、要因分析やFAQの改善に手が回らない
——まず、お二人の役割について教えてください。
山下: ドコモが運営するインターネットサービスプロバイダ「ぷらら」のサービス担当をしています。コールセンターの管理・運営と、FAQサイトの運用などお客様対応に関するところが主な業務で、 今回のRightSupprtの導入も担当しました。
株式会社NTTドコモ 営業本部 OCN部 ND ぷららサービス担当 山下晋平氏
後藤: 私は、映像配信サービス「ひかりTV」において、カスタマーセンターの管理やFAQサイトを運用しています。また、お客様同士で困りごとを解決いただく「Q&Aコミュニティ」の運営も担当しています。
——2つのサービスのカスタマーサポートにおいて、どのような課題があったのでしょうか?
後藤: 両サービスにおいて、顧客満足度を向上させると同時にコスト効率も良くすることが重要な課題でした。FAQを見れば自己解決可能な内容であっても問い合わせが発生してしまっていて、改善しようにも問い合わせ内容の傾向を分析できていなかったのです。
例えば、ひかりTVでは2023年7月ごろには電話・メールフォームを合わせて一日800件ほどの問い合わせがありました。詳細は分析しきれていませんが、そのうち3〜4割は自己解決可能な内容でした。お客様が自己解決できる部分はしてもらい、どうしても問い合わせが必要な部分を丁寧にフォローできるような体制や仕組みを作ろうとしてきたんです。
ただ、こうした話は以前から発生しており、解決のためにFAQページやQ&Aコミュニティを運用してきました。しかし、お客様がどの導線を経由して問い合わせに至っているのか、どんな困りごとを持っているのかなどは可視化できていなかった。また、一日の問い合わせ件数が多く、改善に取り組む余力もありませんでした。
スマートライフカンパニー 映像サービス部 映像推進 映像プロセス担当 後藤有貴氏
山下: こうした課題を解決するにはどうしたらいいかを模索するなかで、前任者がRightSupportに出会いました。その後、導入フェーズから私たち2人が引き継ぎ、ひかりTVは2023年7月、ぷららはその2ヶ月後に導入が完了しました。
充実したナレッジやサポートでRightSupportの導入はスムーズに
——どのようなプロセスを経て導入されましたか?
山下: 2023年に入って本格的に検討をスタートし、RightSupportの担当の方と議論しながら進めていきました。会社の特性上セキュリティの審査が厳しく、手続きや申請に時間がかかりましたが、そこも手厚くサポートいただき、無事クリアしました。
後藤: 初期設定も非常にスムーズでした。RightSupportの使い方や施策のポイントを学べるKARTE Academyのナレッジが充実していて、困ることはありませんでした。
山下: 導入している他のツールと比べて、UIもわかりやすく直感的に使い方を理解できたこともあって、ほぼマニュアルは必要なかったくらいです。RightSupportはシナリオ設定も簡単でしたし、テストも簡単に実施できます。担当の方と週一の定例会議が設けられているので、わからないことはすぐに解決できたのもありがたかったですね。新機能が出るたびに、使い方の説明も丁寧にしてもらえたので、ツールの使い方をより深く理解しやすかったです。
後藤: いろいろな使い方を教えていただいたこともあり、実際に使い始める前には「こんな活用ができると良さそう」というWebサポートの構想がおおよそまとまっていました。導入後はそれを一つずつ実施してきたんです。
ウィジェット活用でFAQの閲覧数が増加、ログイン失敗は半減
——導入後、最初に実施したのはどのような施策ですか?
後藤: 両サービスともはじめに行ったのは、問い合わせページにWebサポート施策を配信し、FAQへの案内を表示することです。お客様が問い合わせをされる際は、電話でも、メールでも、基本的にこのページを経由することになります。そこでFAQの存在を適切なタイミングと表示方法でお伝えできれば、問い合わせの前に見てくださる方が増えるだろうと考えました。
「ぷらら」問い合わせページ
山下: この施策がちゃんとクリックされていて、改めて困りごとのあるお客様に対して良い訴求ができ、FAQを見てくださっているという手応えが得られました。
——他にはどのような施策を実行されたのでしょうか?
後藤: ひかりTVでは、他に2つの施策を行っています。1つは、マイページへのログインに失敗したお客様に対して、ID・パスワードの確認方法やエラーの解決方法を表示するウィジェットを配信することです。この施策の後、ログイン失敗数を50%以上減らすことができました。FAQの存在を知り、参考にすることによって、ログイン失敗の繰り返しが防げているのだと思います(2023年9月末〜2週間の実施期間 / 削減割合は実施前との比較)
もう1つは、問い合わせフォームを開いたお客様に対して、一律でFAQを表示することです。電話対応でオペレーターにつなぐ前に自動応答が流れるように、フォーム送信前にFAQを見ていただこうという狙いがありました。この施策によって、問い合わせフォーム画面に来訪した方の2-3割が問い合わせに至らなくなりました。この施策でも、FAQによってお客様の自己解決が進んだと考えられます。
山下: ひかりTVが先行してRightSupportを導入したこともあって、ひかりTVでうまくいった施策は、同じように行っています。ぷららはインフラサービスということもあり、メンテナンスのお知らせなど、すぐにお客様にお伝えしたい情報もあります。こうしたタイムリーに伝えたいメッセージをRightSupportのウィジェットで表示しています。
後藤: FAQは私たちが直接変えられるのですが、本体サイトの運営は別部署が担当しているため、これまではタイムリーな変更が難しいのが課題でした。重要度や緊急度の高い情報を、RightSupportを通じて自分たちで即座にお客様に向けてお伝えできるようになったのは大きな変化だと思います。
山下: あとは、Webサポート施策の使い勝手を良くするために、クリエイティブ面でも試行錯誤をしています。お客様に馴染みがあるチャットボットのようなデザインを意識して作ったところ、「私はどこどこに住んでいて、チューナーが映りません」と会話のような書き込みをしてくれる方もでてきたんです。この施策がお客様にとって自然に受け入れられ、困りごとを解決するためのチャネルとして使っていただけているようで嬉しいです。
電話、メール、Webを連携し、サポートチャネルを最適化した案内の実現へ
——導入してみて、なにか変化はありましたか?
山下: 導入から半年ほどで、当初想定していた施策群は実行できました。取り組みの甲斐もあり、日々カスタマーセンターに寄せられる、自己解決できたはずの問い合わせは着実に減ってきています。問い合わせ内容や、問い合わせ前のお客様の行動を可視化して分析し、Webサポートでうまくご案内して、自然な自己解決をさらに促進していくのがこれからの挑戦です。
後藤: カスタマーセンター全体としては、Webの改善にとどまらず、電話やメールで行っているサポートも含めて改善していきたいと思っています。電話、メール、Webで使っている別々のツールを連携させ、お客様の行動データを可視化した上で、困りごとに対してサポートチャネルを最適化したご案内ができるようにしていきたいですね。
——そうした全体の方針のなかで、Webにおいて注力していきたいことはありますか?
後藤: Webに関しては、2024年4月にRightConnect by KARTEを導入します。これによりお客様の問い合わせ前の行動を可視化し、最適なオペレーターのアサインやスムーズな用件把握を可能にし、サポート業務のさらなる効率化と対応品質の向上を実現したいと思います。
※2024年3月に取材を行った時の内容です
山下: 今後、両サービスともにカスタマーセンターのSV(管理者)のようなメンバーがRightSupportを使えるようにする予定です。お客様の困りごとを現場で直接伺っているメンバーが、自らFAQを改善、更新していくといったスムーズな循環を生み出していきたいですね。