サイトもメールも、顧客データ起点でより良い体験を探求。「Teachme Biz」のKARTE活用による進化の軌跡

株式会社スタディストは、「リーンオペレーション」の実現を支援する企業として、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を中心に複数のソリューションを提供しています。新規開拓を目的にしたマーケティングとカスタマーマーケティングにおいてKARTEを活用しています。

株式会社スタディストは、「リーンオペレーション」の実現を支援する企業として、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を中心に複数のソリューションを提供しています。

同社は2021年にカスタマーサクセスにおけるテックタッチの推進のためにKARTEを導入。その後、サービスサイトにも活用範囲を広げ、KARTE BlocksKARTE Messageも導入。新規開拓を目的にしたマーケティングとカスタマーマーケティングで成果をあげ、KARTE STAR 2025にてKARTE STAR BRONZEを受賞しています。

今回、同社のマーケティング本部にて新規開拓を目的にしたマーケティングに取り組む朝倉 みなみさんと、カスタマーマーケティングに取り組む藤中 貴司さんのお2人に、KARTEの導入背景や活用方法、今後の展望などについて伺いました。

顧客データを活用したコミュニケーションを実現するためにKARTEを導入

まずはTeachme Bizについて教えてください。

朝倉:Teachme Bizは、スタディストが提供する企業向けのマニュアル作成・共有システムです。2013年からサービス提供を開始し、2023年には10周年を迎えました。弊社が掲げる「リーンオペレーション」を支援するソリューションとして、マニュアルを簡単に作成・共有できるプラットフォームとなっています。

藤中: Teachme Bizの特徴的な点は、マニュアルの「作成者」と「閲覧者」という複数の利用者タイプが存在することです。さらに、サービス全体の「運用推進者」という役割も加わるため、各利用者に合わせた適切な情報提供が必要な複雑な構造となっています。これにより、利用者の役割に応じた最適なコミュニケーションが求められます。

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Teachme Biz サービスサイト

KARTEを導入する前はどのような課題を抱えていたのでしょうか?

藤中:以前は、メール、Web接客、コンテンツ作成、ユーザーデータ分析など、用途ごとに活用していたツールがバラバラで、実行したいことが実現できない環境になっていました。そこでコミュニケーションの施策とデータ管理を統合的に行うためのツールの導入検討をはじめました。KARTE Datahubに主要な顧客データを集約し、それをもとにKARTEを活用してメールやサイト内でのバナーやガイドなどの案内ができることに魅力を感じ、導入を決定しました。

また、Teachme Bizの顧客数の増加に伴いカスタマーサクセス担当の業務量も比例して増加していたというのが当時の状況でした。Teachme Bizの運用を立ち上げるために、いわゆるハイタッチでのサポートに依存していた状況もあったので、人を介在せずに効率的なサポートを提供するテックタッチでのサポートの必要性が高まっていたことも影響しています。

朝倉:その後、Teachme Bizの導入を検討される方が訪問するサービスサイトでもKARTEを利用したいという話が出てきました。KARTE導入以前にも、サイト内でのコンテンツの出し分けのために、他のツールを使用していました。しかし、操作が複雑で使いこなすことが難しく、サイトの細かい編集や調整が思うように行えていませんでした。

サイトを訪問するお客様に対しても、画一的なコンテンツ提供では魅力的だと感じてもらえず、行動データに基づいた適切なコンテンツ提供をどう行うかが課題でした。既にカスタマーマーケティングでもKARTEを利用していたため、全社で利用したほうがコスト面でもナレッジ面でも有利だと考え、新規開拓を目的にしたマーケティングでもKARTEを利用することになり、その後、KARTE Blocksも導入しました。

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マーケティング本部 コーポレートマーケティング部 コミュニケーション・プランニンググループ 朝倉 みなみ氏

マーケティング部門の担当としてKARTEの活用を推進するにあたり、始めはどのような印象を持たれましたか?

朝倉:ちょうど私の入社タイミングでKARTEを導入することになったので、オンボーディングから携わりました。いろいろなことが実現できる可能性を感じて前向きに取り組みながらも、機能が多岐にわたるため、どのように活用すればいいのかは迷っていました。この課題は、プレイドのカスタマーサクセス担当の方との密なコミュニケーションによって徐々に解消していきました。

チームとしてのミッションと現状との差を洗い出し、その差を埋めるという課題は明確にありました。そのため、定期的なミーティングや相談を通じて、KARTEの使い方を習得しながら、課題を解決するためにどう活用していくかを考え、徐々に施策を実行できるようになっていきました。

藤中:カスタマーマーケティングの分野では、前任者がTeachme Bizを活用してKARTEのマニュアルを作成していたので、まずはそれを参照しながら基本的な施策を実行するところから始めていきました。マニュアルに沿って作業する上で、困ったことはなかったですね。

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マーケティング本部 ソリューションマーケティング部 カスタマーマーケティンググループ コミュニティーマネージャー 藤中 貴司氏

顧客が求める情報を届けるために導線改善やセグメントを活用

今まで取り組んだ中で、印象的な施策はありますか?

朝倉:最も印象的な施策としては、KARTE Blocksを活用したTeachme Bizのトップページ改善があります。サービスサイトを訪問するお客様の関心が高い「機能紹介」の詳細を見るためには、以前はトップページから機能一覧ページへ遷移し、さらに機能一覧ページで画像をクリックすることで拡大画像を表示させる必要がありました。

Teachme Bizの導入を検討している人は、このツールで何ができるかを知りたいのに、その情報を得るのに手間がかかっていました。そこで、KARTE Blocksのカルーセル機能を活用して、画像つきの機能情報をトップページに直接表示しました。同時にカルーセルの直下に資料請求ボタンも配置したところ、ボタンクリック経由の資料請求率が13倍になるという大幅な成果向上につながりました。

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KARTE Blocksを活用した機能の画像と資料ボタンを追加した施策例

ユーザーからの関心が高い機能紹介セクションをカルーセルへの切り替えに改善。サービスサイトからの離脱を防ぎ、資料請求率が1.4倍に向上。(Teachme Biz)

また、アクセス数は多いものの、そこからのトライアルや資料請求が少なかった料金ページにおいても、ページ内にCTAを追加することでトライアルの申し込み率が1.1倍、資料ダウンロード率は2.4倍という改善を実現しました。これはうまくいった施策ですが、うまくいかなかった施策もあります。

たとえば、導入事例コンテンツを閲覧しているお客様に資料請求のボタンを表示する施策です。閲覧数が多い事例コンテンツで資料請求を案内すると資料請求につながると考えたのですが、ほとんどクリックされなかったのです。事例を閲覧しているお客様はこのタイミングでは資料を必要としていないということがわかり、顧客理解を深めた上で、落とし込む必要があると反省しました。

カスタマーマーケティングではどのように活用していますか?

藤中:カスタマーマーケティングチームでは、KARTE Messageを活用したメール配信において細かなセグメント分けを行い、管理者権限の方にのみメールを送るなど、ターゲットを絞った効果的な配信を実現しています。

役職や所在地、契約プランなどSalesforceに登録されたデータをKARTE Datahubで取り込み、マニュアル作成数や活用レベルなどのTeachme Biz上での行動データも組み合わせて、セグメントを作成しています。これにより、画一的なメール配信から脱却し、お客様の状況に応じたメール配信や接客が可能となりました。たとえば、地域限定のオフラインイベントを開催する際には、その地域に所在するお客様のみにメールを配信することで、この情報が不要なお客様にとってノイズになり得る配信を避けています。

他にも、マニュアル作成者向けの活用促進にも取り組んでいます。アカウント発行後30日以内にマニュアル作成がない利用者に対して、異なる文面でA/Bテストを行いました。AIを活用したマニュアル作成のコツ、活用されるマニュアルを作成するために必要なことなど、別々の内容を紹介するメールでA/Bテストを行い、どの内容に興味を持っていただけるか試したのです。結果は興味深いことに「Teachme Bizってそもそも何?ログインしたことあるけど、覚えてない」という基本的な情報提供について触れた「Teachme Bizって何ができるの?を解説した資料のご紹介」というタイトルのメールがクリック率がもっとも高く、サービスの基本的な理解を求めているお客様も多いということが明らかになりました。

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KARTE Messageによるメールの訴求内容でのA/Bテストの施策例

Teachme Bizのアカウントは発行されたものの、Teachme Bizが何なのかをよく理解していないお客様が多いのではないかという新しい課題を見つけることもできたので、施策を実行して良かったと思います。

新機能の認知獲得と活用促進のためにもKARTEを活用

新機能のプロモーションでもKARTEを活用されたと伺っています。

藤中:はい。2024年6月にリリースした「Teachme AI」機能の認知と活用促進のために、さまざまな施策を展開しました。セミナー集客のメールやプロダクトサイト・サービスサイト内でのバナー表示を行い、営業部やCS部との連携強化による商談化の促進を実施しました。今までは人づてで新しい機能ができたということを伝えることが多かったのですが、プロダクトサイトを通して伝えることも可能になり、結果としては新規顧客・既存顧客合わせて多数の受注につなげることができました。

ここでも、メッセージ内容のA/Bテストを行いました。バナーにおいて「マニュアルを短期間で楽に増やすことができます」と「Teachme AIでTeachme Bizの導入推進が加速します」など、複数のメッセージを試し、どのアプローチが効果的かを検証しました。結果、「AI」というキーワードを使ったメッセージの方が反応が良かったことがわかり、「AIのほうが話題性もあり、キャッチーなのかもしれませんね」といった社内での議論も生まれました。この施策で得られた発見は、その後の施策にも活かされています。

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メッセージ内容のA/Bテスト施策例

他にも、活用した例があれば教えてください。

藤中:Teachme Bizの「運用推進ガイド」というページを作成したのですが、そこへの導線がわかりにくいという課題がありました。そこで、KARTE Blocksを活用して管理者権限を持っているユーザーにだけ、ヘルプセンタートップからのリンクを表示しています。Teachme Bizをこれから活用し始める方や、前任者から引き継いでこれから使い始めるお客様も多くいらっしゃいます。ヘルプセンターのトップ画面に情報を配置することで、「何をしたらいいのか」がお客様にも伝わり、少しでも不安の解消につなげたいというのが狙いでした。

HTMLやCSSの専門知識がなくても、KARTE Blocksを活用して簡単に実装できた点は大変助かりました。こうした施策に加えて、「キックオフミーティング後のメールで運用推進ガイドを案内しています」という声もCSチームからあり、お客様のTeachme Bizの活用促進につながりつつあります。

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運用推進ガイドをヘルプセンタートップに掲載

エンジニアへの依存度が大幅に低下し、施策の実行速度が向上

KARTE Blocksの導入ではどのような変化がありましたか?

朝倉:サイト改善の実行スピードが向上しました。KARTE Blocks導入により、エンジニアや外部パートナーに依頼せずとも、マーケティングチームが自らコンテンツ改善やA/Bテストを実施できるようになりましたね。

以前は、細かくA/Bテストするのは難しかったですし、コードを書く知識も必要でした。でもKARTE Blocksを入れることによって、A/Bテストが施策のデフォルトの選択肢として自然に挙がるようになり、チームの思考法自体が変わりました。最速でも3日程度かかっていたA/Bテストの準備が1時間でできるようになり、サイト改善のスピードが大幅に向上しました。

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顧客理解にも変化はありましたか?

朝倉:はい。KARTEのデータや施策を通じて、お客様の行動パターンや意図についての理解が深まっています。例えば、先ほどお伝えした導入事例ページに資料請求へのリンクを設置しても利用されなかった経験から、事例を読む段階ではすでに商談フェーズに入っているお客様が多いのではないか、という洞察を得ることができました。

また、KARTE Liveを活用した分析で発見したこともあります。料金ページはアクセス数が多かったのですが、施策をいろいろ試してみても、アクセス数の割に効果にはつながりにくい状態でした。KARTE Liveで行動を見てみると、特に何も行動をしていないことがわかりました。アクセスの多いページから改善するのはセオリーではありますが、必ずしもそれが成果につながるわけではないと発見できましたね。

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組織にも何か変化はありましたか?

藤中:KARTEのセグメント機能を活用し、必要な人に必要な情報だけを届けるというアプローチが強化されていると感じます。スタディストには「With the customer」というバリューがあるのですが、顧客中心の文化がさらに醸成されたように感じますね。

また、部門間連携も強化されています。営業やカスタマーサクセス部門からの依頼に対して、データに基づいた会話ができるようになりました。例えば、社内からマニュアル作成経験者全員にメールを送りたいという要望がありました。さすがに全員に送ると邪魔になるのではと考え、実際に6ヶ月以内にログインしたお客様の数を伝え、そのセグメントへのメール送付を提案しました。「本当にこれはお客様のためになるんだっけ?」という問いは以前からありましたが、感覚だけではなくデータをもとにその議論がよりしやすくなったと感じています。

チャネルを連携し、よりパーソナライズされた体験の提供へ

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

朝倉:今後はさらにセグメントを活用していきたいですね。サービスサイトでも、サイトの行動データだけでなく、Salesforceやさまざまなデータを組み合わせて、一人ひとりに合ったアプローチを実現したい。例えば、弊社では人材育成や研修、リーダーシップに関する内容など、多くの人にとって参考になる内容のセミナーを主催しているので、既存顧客の方に見ていただいても有益な内容です。既存顧客の方がサービスサイトを訪問したらそういった内容のセミナーを案内するなど、コミュニケーションを工夫していきたいですね。

藤中:単発のメール配信やバナーの表示で終わらずに、メールを開封した人には特定のバナーを表示するなど、複数のチャネルを連携させた施策を展開したいと考えています。Teachme Bizのアカウントを付与されたユーザーにはまずこのメールを送り、メールを開封したら次にこのメール、メール経由でアクセスした人にはこのバナーを表示する、などといった連携を実現し、よりパーソナライズされた体験を提供したいですね。

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朝倉:社内でのKARTE活用も拡大していきたいと考えており、他部門との連携強化を通じて、KARTE活用の幅を広げていく予定です。これにより、特定のメンバーに依存せず、持続的な成果を生み出せる仕組みをさらに強化していきたいと思います。

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