アプリ分析の基礎知識
今回の記事では、アプリグロースにおける「アプリの分析」について解説します。PDCAを早く回してこそ、アプリのグロースは加速します。まずはアプリ分析の基礎を理解していきましょう。
皆さんのスマートフォンには、何個のアプリが入っていますか?
日本では、平均100個以上のアプリがダウンロードされていると言われています。
LINE、InstagramなどのSNSアプリ、Youtube、TikTokといったエンターテイメントアプリ、PayPayなどのファイナンスアプリ、Amazonや楽天などのショッピングアプリなど、スマホを開くと並ぶアイコンの数々は、もはや生活の一部として欠かせないものになっています。
日本のスマートフォン所持率は2022年時点で85%を超えており、1日のなかでモバイルアプリの利用時間は平均5時間6分を記録し、伸び続けています。
アプリを提供する事業会社にとって、いかにして熾烈な競争を勝ち抜き、お客様に選ばれる存在になるかは、最大の関心事と言えるでしょう。
今回の記事では、アプリグロースにおける「アプリの分析」について解説します。PDCAを早く回してこそ、アプリのグロースは加速します。まずはアプリ分析の基礎を理解していきましょう。
アプリ分析の基本
アプリ分析とは何か
アプリの分析とは、一言でいえばアプリの利用状況を計測し、どんなユーザーがどの画面/機能をどれだけ使っているかを可視化するものです。プロダクト・利用ユーザー・競合・マーケティング施策を分析し、実態が想定と異なる場合は改善のための具体的な施策を検討することができます。
プロダクトの状況を分析
アプリ内の利用状況をアクセスログデータを用いて分析します。MAUや利用頻度、利用時間、閲覧箇所などの数値をモニタリングしたり、ユーザーの離脱を可視化するファネル分析を通して改善ポイントを絞り込むことができます。
利用ユーザーの状況を分析
プロダクトの利用状況に加え、誰がどのような時にどの機能を利用したかといった顧客情報と組み合わせることで、顧客の属性や利用フェーズに合わせた立体的な分析と改善アクションの立案が可能となります。
継続率を分析するリテンションレポートや、ロイヤリティ分析、n1分析等でユーザー行動を把握しましょう。ユーザーアンケートやNPS調査、アプリストアのレビューやSNSの投稿チェックなどもユーザー理解の役に立ちます。
競合の状況を分析
同カテゴリのなかで自社アプリの利用者数を増やすためには、競合と比較した時の自社のポジショニング、優れている点、足りない機能、ユーザー評価などを抑えておきましょう。ASO(アプリストア最適化)を勝ち抜くため、キーワード分析や競合分析、広告分析などが必要になってきます。
マーケティング施策の分析
集客においては、どの流入経路でのダウンロードが一番CPI(Cost Per Install)が良いかを把握しましょう。Adjustなどのツールを利用すれば、広告のアトリビューション分析が可能です。
プッシュ通知の許諾率や反応なども含め、マーケティング施策に必要なデータを整備し、誰でも閲覧可能な環境を作ることが大切です。
アプリ分析の主要ツール
アプリの利用状況のモニタリングは日々行うべきですが、 計測・分析・アクションを自前で開発するのはかなり大変です。エンジニアの工数は主要機能の開発に充て、分析機能を持つプロダクトを導入することをお勧めします。
ここでは、いくつかのアプリ分析ツールを紹介します。
① Firebase
Googleが提供するモバイル・Webアプリケーション向けのプラットフォーム。設計、開発から分析、保守、運用まで、アプリ構築に必要な機能が網羅されています。
② Adjust
日本市場シェアNo.1のMMP(Mobile Measurement Partner:モバイル計測パートナー)。アプリインストール数の計測だけではなく、アプリ内での行動を計測・集計しダッシュボードで可視化します。広告の投資対効果を計測することもできます。
③ Data.ai
800万を超えるアプリと数千のウェブサイトのデータで、市場のインサイトの発見が可能です。ダウンロード数、収益、利用状況、エンゲージメントなど自社アプリと競合のパフォーマンスを比較することができます。モバイルアプリ市場で勝ち抜くための様々なデータを提供しています。
④ KARTE for App
KARTE for Appは、分析から施策実行までをワンストップで提供する国内産のアプリマーケティングツールです。アプリに最適な分析テンプレートが提供されており、n1まで深掘りしてユーザー行動の分析が可能です。分析結果に合わせた細やかなパーソナライズにより、モバイルアプリのエンゲージメント向上が期待できます。
アプリ分析の主要KPI
こちらの図は、アプリにおける基本的なKPIツリーです。
アプリビジネスの場合、最終的に一番左側の 「売上」 という指標をKGIとして掲げることが多いでしょう。その売上の構成要素として、MAU(Monthly Active User)やARPU(Average Revenue Per User:ユーザー1人あたりの平均収益)といったKPIに分解しています。
MAUは「新規ユーザー数」とそのうち何人が継続利用してくれるかを表す「継続率」に分解することができます。
また、下部の「ARPU」に関しては、ARPPU(Average Revenue Per Paying User:有料ユーザー1人あたりの平均収益)と「購入率」に分解して表すことができます。
リテンションを月で考えるか、週で考えるか、日毎で考えるかはアプリによって様々です。
また、主要なKPIについても、ゲームアプリにおけるそれと金融アプリでは異なるでしょう。アプリの成熟度もKPIに影響します。ダウンロード数を重視するフェーズとリテンションを重視するフェーズではKPIは異なってくるはずです。
こちらの記事では、様々な捉え方ができるKPIのなかで、どの粒度にフォーカスして改善していけば良いかを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
アプリ分析におけるデータ収集とプライバシー
プライバシー保護の不可逆なトレンド
近年の広告ID連携のオプトアウト化とATT(AppTrackingTransparency)の義務化に伴い、リターゲティング広告配信の減少や、ターゲティング広告精度の低下、計測可能なコンバージョンの減少、分析レポートの偏りが起こっています。
このような背景から、既存のユーザーのエンゲージメント強化や継続率改善が、アプリ運用に際してより重要な指標となってきています。
アプリ分析のマーケティング事例
ここでは、アプリ分析を通してKPIの改善や顧客体験の改善に寄与した「KARTE for App」の活用事例をご紹介します。
事例1:テレビ東京ビジネスオンデマンド アプリ(テレビ東京さま)
背景
- インストール直後の離脱防止施策を検討する中で、どの番組を見れば良いかが分からないまま離脱しているのではと仮説を立てた。
- その仮説の立証のため、インストール直後に人気の番組を訴求したところ、予想に反して未実施グループのほうが課金登録率が高い結果となった。
アクション
- アプリ内メッセージを見たが、課金登録に至らないユーザーの行動を分析。
- その結果、
特定の番組を見るためにダウンロードしたユーザーにとっては、逆にメッセージが邪魔になってしまうのではと考えた。 - そこで、メッセージの表示タイミングをインストール後2回目の起動時とし、クリエイティブもコンパクトにした。
成果
- 未実施グループに比べ 約2.1倍のCVR向上を実現。
詳細はこちら:https://cxclip.karte.io/practice/txbiz-case01/
事例2:「プリゼロ」アプリ(大阪ガスさま)
背景
- アプリを起動後は、チュートリアル→利用規約→プロフィール入力の順に遷移し、その後サインインしたら、トップ画面が表示されるという流れだった。
- マクロな数値を見る限りでは、アプリのインストール数に対してトップ画面にたどりつく人が少ないことから、サインインにつまずいている人が多いと考えた。
アクション
- KARTE for Appのユーザーストーリー画面を確認し、
お客様一人ひとりの動線を観察。どの部分で離脱しているか分析を行った。
成果
- サインインより手前のチュートリアルで脱落している人も一定数いることが分かった。
分析結果をふまえ、ログインまでの動線全体の個々のステップを 縮めたことで、問題なくカレンダーの画面にたどりつくお客様が増えた。
詳細はこちら:https://cxclip.karte.io/interview/osakagas/
アプリ分析を顧客体験の改善に活かそう
ここまで、アプリグロースにおけるアプリ分析の重要性についてお話ししてきました。
アプリのグロースは簡単ではありません。数値をモニタリングしているだけでは改善しませんし、数値の改善がイコール顧客体験の改善に繋がるとも限りません。
あらゆるサービスが充足している時代だからこそ、ユーザーは「機能」でサービスを選ぶのではなく、そこから得られる「体験」にどのような価値があるのか、という点でサービスを選んでいます。
アプリグロースに携わる皆さまも、改めて自社アプリが提供する「コアな価値」、価値を実感するのに「必要な体験」とは何かに立ち返り、アプリ分析を一つの手段として、顧客体験の改善に繋がるアクションに活かしていただけると幸いです。
KARTE for Appは、アプリの分析、顧客行動の把握から施策実行までワンストップで実行することのできるCXプラットフォームです。この記事でご紹介しきれなかった機能も多数ご用意していますので、ご興味いただける方は以下より資料をダウンロードしてください。
https://karte.io/enterprise/ebook-app/
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