用語解説

顧客との関係性をマネジメントする「CRM」とは?知っておきたい活用法と注意点

CRMの概念が登場してから約20年。顧客との関係性が事業の安定や成長に大きく影響するいま、企業はCRMにどのように取り組むべきでしょうか。

顧客の情報を管理することで長期的な関係を築き、事業を成長させるマネジメント手法に「CRM=Customer Relationship Management(顧客関係管理)」があります。

CRMの概念が登場してから約20年。様々な批判や議論を経て、いま再び語り直されることが増えてきました。顧客との関係性が事業の安定や成長に大きく影響するようになった現在、企業はCRMにどのように取り組んでいけば良いのでしょうか。

顧客との関係をマネジメントする「CRM」

CRMは、顧客との長期的な関係性を築くことで「LTV=Life Time Value(顧客あたりの生涯売上げ)」の最大化を目指す概念です。

見込み顧客からリピーターにいたるまで全ての顧客情報や行動を分析し、それぞれの顧客に合わせたアプローチを行うことで、収益の向上をはかります。。

本来CRMは、顧客管理を行う概念を指す言葉でしたが、 しだいにCRMを支援するシステムやプラットフォームそのものを表すようになりました。

CRMが普及した背景は顧客中心主義の浸透

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CRMが誕生して以来、その役割は時代とともに変化してきました。CRMは、どのような変遷をたどってきたのでしょうか。

経済成長の鈍化やニーズの多様化による顧客中心主義の浸透

CRMは1990年代のアメリカで誕生しました。市場が成熟し消費者のニーズが多様化したことにより、不特定多数の人に対して同じマーケティング手法でアプローチすることが困難になったからです。

同時期の日本では、バブルが崩壊し、経済成長は行き詰まりをみせていました。新規顧客獲得のコストは上昇し、企業にとって既存顧客との関係を長期的に維持することがより重要になりました。

そんななか、CRMの概念を広めるきっかけとなったのが、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)による「CRM−顧客はそこにいる」という書籍です。コールセンターやインターネットなどの新しいチャネルをベースに、ITを活用して顧客との関係を築き上げていく考え方を提唱しました。

この考え方は世界中で広まり「顧客中心主義」を掲げるCRMに、多くの企業が取り組むようになりました。

なかでも1994年に創業したAmazonは、CRMの概念をいち早く取り入れて成功した企業として知られています。一人ひとりのユーザーに発行するIDにより顧客情報を蓄積。ユーザーの閲覧履歴、購入履歴などから、顧客一人ひとりの嗜好に合わせて商品を提案するレコメンド機能をはじめ、顧客自身も気づかないようなニーズを発見できる購買体験の実現に取り組んでいます。

スマートフォンの普及やCRMシステムの低価格化

「顧客中心主義」と共に広がっていったCRMは、テクノロジーの発展により浸透が加速していきます。

2010年代に入るとスマートフォンが普及し、顧客はいつでも商品の値段や機能性を比較できるようになりました。同時に他社商品への乗り換えリスクも高まり、企業は顧客からの信頼を高めるような関係作りが求められるようになりました。

さらにCRMを支援するシステムの導入コストが下がったことで、CRMを活用したマーケティングは急速に広がっていきました。

システム主導から活用へ

しかしCRMが広まるにつれ、その手法や効果に対する疑問の声も強まってきました。

当初はデータを活用し顧客のニーズを捉えたコミュニケーションを行うことで、LTV(顧客あたりの生涯売上げ)の最大化を目指したCRMですが、実際にはシステム主導のコミュニケーションが行われるようになっていたからです。

顧客データに基づいて「優良顧客に対してはディスカウントセールのDMを送る」「一定期間利用のない顧客を抽出しクーポンつきのDMを送る」といった画一的なアプローチは、顧客視点でのコミュニケーションが抜け落ち顧客の感情を損ねてしまう可能性もありました。

このような反省をふまえ、マーケティングにおけるCRMの位置づけも見直されるようになりました。現在は顧客の購買プロセスを包括的に捉え、より良い顧客体験を提供することを目指すCXM(顧客体験マネジメント)という概念も登場し、顧客の感情や行動にフォーカスするマーケティングへとシフトしつつあります。

システムを導入すれば顧客体験の向上や関係性の維持ができるわけではありません。システムはあくまで1つのツールとしてとらえ、それを利用してどのようにマーケティングを展開するのか考えることが最も重要です。

CRMの基本的な3つのメリット

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時代とともにその役割も変化してきたCRMですが、現在も多くの企業がCRMを活用しマーケティングに取り組んでいます。CRMの導入によって具体的にどのようなことが可能になるのでしょうか。

①顧客情報の一元管理が可能に

CRMを導入した企業が得られる最大のメリットは、膨大な顧客情報を管理し可視化できることです。

営業担当やカスタマーサポートなど、部署ごとに分散していた顧客情報も一括管理し、複数人で同時にアクセスすることが可能になります。「見込顧客」「既存顧客」「優良顧客」など階層ごとに管理し、顧客それぞれの状況をひと目で把握することができます。

顧客の状況をリアルタイムで把握できることで、施策や戦略の立案も行いやすくなるでしょう。

②業務の効率化によるPDCAサイクルの加速

顧客情報を詳細に分析できるCRMは、戦略的なマーケティング活動をサポートします。担当者にかかる負担が軽減され、業務の効率化が期待できるでしょう。

また、実施したキャンペーンなどの反応率や購買率なども分析ができるので、数字に基づいたPDCAを早いサイクルで回す事ができます。

③顧客ニーズに合った体験の提供

CRMとPOSシステムや販売管理システムなどを連携することで、より質の高い情報が取得できます。詳細なデータを取り込むことで顧客の嗜好やニーズに合った顧客体験を提供することが可能になります。

さらにAIやIoTを活用した次世代型のCRMでは、従来のCRMが見落としていた顧客の感情も高い精度で把握できるようになり、より質の高いマーケティングに期待が高まっています。今後は、顧客がもつコミュニティやネットワークといった情報などをCRMに統合していく動きも活発化していくでしょう。

CRMを導入するステップと注意点

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マーケティング活動の手助けをしてくれるCRMですが、導入にあたっては気を付けたいポイントがいくつかあります。

導入目的を明確にする

目的を明確にしないままシステムを導入しても効果的に運用することはできません。何のために導入してどのような課題点を解決するのか、しっかりと把握しておくことが重要です。

組織の体制を整える

CRMを導入し活用するためには各チーム間での連携が必要になります。営業、マーケティング、カスタマーサポートの顧客情報管理システムとの連携といった環境面の体制構築はもちろん、部門の垣根を超えてCRMの目的意思を共有することで導入後の運用をスムーズに行えるようにしましょう。

目的に合わせてCRMシステムの選定をする

CRMツールは多くの企業から販売されており、価格や機能も様々です。解決したい経営課題や自社の予算に合わせて選択しましょう。

代表的なCRMツール3選

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最後に、代表的なCRMツールをご紹介します。

世界No.1のCRMプラットフォーム|Salesforce Sales Cloud

導入実績15万社以上、国内外で圧倒的なシェアを誇るSalesforceが提供するCRMプラットフォームです。カスタマイズ性に優れ、見込みや商談、売上の管理などの営業活動を包括的にサポートします。

操作性が高く、Office製品との連携が容易|Microsoft Dynamics 365

Microsoftが提供するCRMツールで、OutlookやOffice365などのMicrosoft製品と容易に連携ができ、さまざまな履歴を手間なく残すことができます。操作性や拡張性の高さが評価されています。

コストパフォーマンスが高い中小企業向けCRM|Zoho CRM

中小企業、ベンチャー企業向けのクラウド型CRMツールです。CRMツールとして必要な基本機能を網羅していながら、コストパフォーマンスが良く、高いカスタマイズ性も備えています。

KARTEとの連携でより良い顧客体験の提供が可能に

弊社が提供する顧客体験プラットフォーム「KARTE」は、Salesforce Sales CloudといったCRMツールとのデータ相互連携が可能です。

CRMツールと連携することで、CRMにある取引先やリードといった顧客情報をKARTEにインポートしたり、その逆に、KARTEで取得した顧客の行動情報をCRMツールに統合することも可能です。

連携したデータはKARTE上で、ユーザーデータの一部として利用したり、アクションの一部として活用することができます。

あらゆる面から顧客を捉えることで一人ひとりに合ったきめ細やかな体験を提供することが可能になるでしょう。

KARTEと連携可能なプラグイン一覧はこちら

人に寄り添ったCRMの実現を

CRMの本質は、一人ひとりの顧客との継続的な関係性をマネジメントし、顧客の期待やニーズに応えることで、最大の成果を得ることです。

顧客や市場の動向を分析するだけではなく「顧客を中心とした経営」の実現に向けて、部署の垣根を超えた取り組みが求められます。

ツールやデータを活用する力はもちろん、顧客視点でコミュニケーションを行う姿勢を忘れずに、事業の成長を目指しましょう。

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