お客様に寄り添い、親切かつ最短ルートで課題解決。LIFULLがKARTEで目指すカスタマーサポート

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」の「住まいのサポートセンター」では、KARTEを用いてサポートの満足度向上と効率化に取り組んでいます。今回は、チャットボット導入時の課題や活用方法、LIFULL HOME'Sが目指す顧客体験について伺いました。

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」や老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」、空き家の再生を軸に新たなライフスタイルを提案する「LIFULL 地方創生」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業展開する株式会社LIFULL(ライフル)。

同社では、主力サービスの「LIFULL HOME’S」で、KARTEを導入いただいています。今回は、その中でも「住まいのサポートセンター」におけるKARTEの活用事例についてお伺いしました。チャットボットなどを活用して、サポートの満足度向上と効率化に取り組んでいます。

今回は、LIFULL HOME’S事業本部 マーケティングコミュニケーション部CRMUゲストリレーションズグループ グループ長 松下陽平様、森永瑛美様に、チャットボット導入時の課題や活用方法、LIFULL HOME’Sが目指す顧客体験について伺いました。

顧客の住まい探しを道案内する「ゲストリレーション」

初めに、所属されているCRMユニットのミッションや役割について教えてください。

松下:前提として、LIFULLでは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージとして掲げています。なかでも「LIFULL HOME’S」は、住まい領域において、あらゆる人が理想の暮らしを実現することを手助けしたい。そのためには、一人ひとりのすまい探しに寄り添う必要があります。

CRMユニットの役割は、多様な住まい探しに、One to Oneで伴走し続けることです。潜在層から顕在層、契約前後のお客様にいたるまで、幅広いステージで寄り添い課題解決のサポートをすることでロイヤリティを向上していきます。

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CRMチームのなかで、お二人はどのような役割を担っているのでしょうか?

松下:「ゲストリレーション」という役割を担っています。「ゲストリレーション」は、もともとホテルやレジャー施設などで用いられてる用語で入り口で案内や相談に乗るような役割を指します。例えば、ディズニーランドの総合案内施設も「ゲストリレーション」と呼ばれているそうです。

「LIFULL HOME’S」でも、サービスを訪れたものの、どこに向かえば良いのかわからないお客様がいらっしゃいます。自己解決できずにつまずいてしまう可能性のある方を、入り口から道案内できないかと考え、ゲストリレーションの役割を新たに定義しました。

入り口のお客様も含めて“あらゆる”お客様をサポートする取り組みなのですね。具体的にどのように取り組まれているのでしょうか?

松下:「住まいの窓口」と「住まい探しのサポートセンター」で、サポートの満足度向上、効率化のための施策を試しています。

「住まいの窓口」は、家探しや家づくりの悩みを専属のアドバイザーが無料で解決するサービスです。同じ運営チームが「LIFULL HOME’S」内の「住まい探しのサポートセンター」も担当しています。

まずはこれらのサービスで、ゲストリレーションの成功体験をつくり、横展開していきたいと考えている段階です。

工数削減と満足度向上のため、有人と機械対応を適切に分担

チャットボットを活用された背景として、どのような課題があったのでしょうか?

森永:あらゆる対応を有人で行っており、いただいた質問や相談にスピーディーにお答えできない状態が起きていたことです。また、電話の窓口は営業時間しかつながらないため、時間外ですと、お客様に営業の開始までお待ちいただくこともありました。

こうした課題を解決するためには、人間が対応すべき部分と、機械が対応すべき部分を分ける必要があると考えていました。まずはチャットボットやサイトで自己解決を後押しし、電話での有人対応が必要な方は有人対応する。的確に分担ができれば、お客様はより素早く回答が得られ、オペレーター側も人間が解決すべき問い合わせに集中できます。

そうした体制を検討していたところ、ちょうどKARTEでチャットボットの機能を切り出して、提供し始めたと聞き、導入を相談したという流れでした。

有人対応とチャットボットを使い分ける活用方法

現在、チャットボットはどのように活用されているのでしょうか?

森永:「LIFULL HOME’S」内の行動からサポートが必要そうなお客様を絞り込み、チャットボットへの導線を表示しています。困りごとをお伺いし、必要に応じて有人対応へ案内する形です。このように条件を設定して、特定のお客様だけに出すことができるのもKARTEのよさの一つだと思います。

その他にKARTEを活用して行っている施策はありますか?

森永:「LIFULL HOME’S」内でよくある質問を表示しています。これは過去の相談実績から、より多くのお客様が抱える悩みをまとめたものです。必要な情報が掲載されたページや、問い合わせのチャネルへ案内をするシナリオを用意しています。

いずれの施策も、必ずしもすべてチャットボットで完結しようとするのではなく、柔軟に電話やLINE、有人のチャットなどに切り替えます。

例えば、電話やチャットは、どちらかというと「その場で解決する」コミュニケーションに向いていて、LINEは長期的かつ双方向でのコミュニケーションに向いていると感じます。

そのため住宅の住み替えなど、お客様の検討期間が長い場合などはLINEでやりとりすることも多いです。

リソース削減に成功。親切かつ最短ルートの課題解決へ

チャットボットの活用を始めて、期待していたような成果は得られましたか?

森永:はい。より効率的にお客様に対応できるようになり、お待たせしてしまうような場面も大幅に減りました。数値的な成果では、有人対応に割いていたリソースが二人分近く減りましたね。あくまで体感ですが、問い合わせの量も、毎月2割ほど継続的に減っている印象です。

毎月成果が出ているのですね!特に効果的だった改善施策などはありますか?

森永:一つは、チャットボットのアイコンを変更した施策ですね。導入当初はデフォルトのチャットアイコンを使っていたのですが、弊社のPCサイトのデザインの中に溶け込んでしまい気づきづらかったのか、あまりクリックされておらず。

「住まい探しのサポートセンター」で困りごとが解決できる点が明確に伝わるよう、「お困りですか?」といった文言を載せたバナーに変更しました。

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その結果、お客様に気づいてもらえるようになり、アイコンのクリック率は6.69%から13.18%に向上しました。
(調査期間:2020年7月と8月での比較、調査対象:期間内サイトに来訪したユーザー)

施策の詳細チャットのアイコンをお客様に価値が伝わりやすい内容に変更し、クリック率が向上

加えて、現在注力しているのはチャットボットのシナリオ改善です。もともとは、お問い合わせの多い項目を中心にいくつかの質問を設定し、表示していました。しかし、意外にも、「その他のお問い合わせの方はこちらから」のクリックが、その他の選択肢よりも2、3倍多いと気づいたんです。
(調査期間:2020年8〜9月、対象ユーザー:期間内サイトに来訪したユーザー)

お客様が必要としている情報を的確に用意できていなかったのではと考え、チャットボットを活用し始めてからの問い合わせ内容を分析しました。分析にもとづき、一度もクリックされていない選択肢は削除したり、クリック順に上から並べ直したりしています。

施策の詳細チャットボットの選択肢を調整、お客様に手間をかけずにお問い合わせいただけるようになった

チャットボットのクリック数や各選択肢のシナリオなどはどのように分析されているのでしょうか?

森永:KARTEのユーザーダッシュボードで数値を取得し、それをExcelでチャート図にしています。今用意している質問は5つほどあるので、そこからさらに質問が続くなかで、お客様がどのように反応されているか。各質問のクリック数や閲覧数、遷移数などを流れのなかで見ていきます。

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実際につくられているチャート図

なるほど!どの段階でどのようにお客様が行動されたのか、より把握しやすそうですね。その他に取り組まれている改善策があれば教えてください。

森永:チャットボットを表示しているページに、よくある質問をまとめたFAQページを設置していて、内容は常に拡充しています。チャットボットよりもFAQページは利用率が低いと思うのですが、今後はより活用してもらいたいと考えています。

思いもしなかった選択肢と出会える、感動の体験を届けたい

今後KARTEのチャットボットをどのように活用していきたいか、展望を教えてください。

松下:サイトの行動から困っている、困るであろうユーザーを把握し、情報提供をしたり、必要に応じて有人対応につなげたりといった施策も行っていきたいですね。サイト上でコミュニケーションをとりお客様ニーズへの理解を深めることで、より最適なサイト接客を行えるのではと考えています。

最後に、「LIFULL HOME’S」として、これから提供していきたい体験などがあれば教えてください。

松下:ゆくゆくは顕在化している課題の解決だけでなく、さらに一歩踏み込んで、新しい選択肢を提案するようなサイト接客も見据えています。

例えば、多くのお客様が抱える悩みに「資金にゆとりがないから、中古マンションしか買えない」というものがあります。そんな時に「意外と注文住宅もいけますよ」といった形で、別の選択肢を提案できるかもしれない。あるいは「新築で理想的な間取りの住宅が見つからず困っている」お客様には、中古リノベーションという選択肢もあります。

理想の住まいを実現するために、思いもしなかった選択肢と出会える。お客様にとって、「課題が解決できた」とか「役に立った」だけでなく、「ここまで自分の住まい探しに寄り添ってくれるのか!」と感動してもらえる体験を届けたい。頭ではなく心で満足できるサイトと言い換えられるかもしれません。そのために、今はまだまだスタート地点に立ったばかりです。
※現在はチャットボットの新規のお申し込みは停止しております。詳細に関しましてはお問い合わせフォームからご連絡ください。

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