実店舗とECサイトのデータを統合し、お客様一人ひとりと信頼関係を結ぶ。ストライプインターナショナルがKARTE で目指すもの

株式会社ストライプインターナショナルが運営する通販サイト「STRIPE CLUB」。KARTE導入の経緯や活用方法をお聞きしました。

株式会社ストライプインターナショナルは、同社が展開するファッションブランドを取り扱う通販サイト「STRIPE CLUB」を運営しています。STRIPE CLUBではKARTEを2018年からご利用いただいています。

今回は、デジタルトランスフォーメーション本部の榎本一樹様と隅藏美咲様、CRM推進室兼データプラットフォーム部スペシャリスト海野友博様、グローバルファッションEC本部ストクラ部アシスタントマネージャー遠藤千絵様に、KARTE導入の経緯や活用方法をお聞きしました。

※肩書きは、インタビュー当時

お客様とスタッフの垣根を超えた関係を築きたい

resize DSC 6721 1440

デジタルトランスフォーメーション本部データプラットフォーム部部長榎本一樹様

ーーまず、貴社の事業についてお聞かせください。

榎本:私たちの事業領域は「ライフスタイル&テクノロジー」です。アパレルブランドである「earth music&ecology」、「AMERICAN HOLIC」や、ライフスタイルブランド「koé」など約30ブランドを国内外で展開しています。

会社の経営理念として「セカンドファミリー」があります。仕事上の関係よりも親密で、信頼し合える、家族の次に大切な関係を社員同士、関係各社、お客様へも広げ続けることを大切にしているんです。

海野:セカンドファミリーを体現する取り組みの一つとして、2016年からは「ローカリングプロジェクト」をはじめています。社員が地域のお客様と触れ合うイベントを企画するプロジェクトで、2017年度には5つのエリアで実施しました。ローカリングプロジェクトを通じて、お客様とスタッフの垣根を超えた関係を築こうとしています。

resize DSC 7030 1440

CRM推進室兼データプラットフォーム部スペシャリスト海野友博様

隅藏:理念に関しては、「ストライプTV」という動画によるインナーコミュニケーションツールの中で、代表の石川から月1回全スタッフに向けて、メッセージが発信されます。そのときにも「お客様一人ひとりを大切にしてください」と毎回共有いただいています。大切にするには一人ひとりのことを知る必要がある。スタッフそれぞれがお客様を知る姿勢を持ち、関係を築こうとすることで、セカンドファミリーを体現し続けられるのではないかと考えています。

社内のエンジニアリソース不足を補うために

ーーKARTE導入までの経緯をお聞かせください。

榎本:私の前職の同僚がプレイドで働いており、KARTEのことは以前から知っておりました。その縁もあり、一度お話を伺いました。そこで弊社が実現したいことに取り組めるツールだと感じたんです。

当時、自社ECサイト「STRIPE CLUB」に訪れたお客様の行動を把握し、サイト改善につなげたいと考えていました。しかし、当時の社内のエンジニア比率が0.2%と改善に必要な技術を持つ人が限られていたんです。開発のパートナー企業もいましたが、改善したい課題の発見から改善までをスピーディーに行うのには限界がある。

KARTEであれば、開発の知識に長けていなくても、気軽にサイトを改善できると考えたんです。また気軽にできることで、改善におけるノウハウも蓄積しやすくなり、適切なアップデートができるとも思いました。

導入当時はまだリリースされていなかったKARTE Datahubの話を聞いたことも導入を後押ししました。現時点で利点があるだけでなく、将来的にも利点があるというのは大きかったですね。導入するにあたっては特に苦労もなく、スムーズに導入できました。

「なにかを改善したい」気持ちに余計なブレーキがかからなくなった

ーー現在はどのような体制でKARTEを運用されていますか?

隅藏:主な担当は私たち4名です。所属するチームは異なりますが、それぞれKARTEを運用しています。

resize DSC 6861 1440

デジタルトランスフォーメーション本部データプラットフォーム部アシスタントマネージャー隅藏美咲様

ーーみなさん部署が異なる中で、どのようにKARTEの運用をされているのでしょうか?

榎本:私と隅藏が所属するデジタルトランスフォーメーション本部は、社内の各事業部を横断しながら、デジタル化を推進しています。新しいデジタル技術やツールを活用できるように仕組み化してサポートするイメージです。KARTEの運用においても、私たちがKARTEを使って施策を行うというよりは、各部署がKARTEを活用できる状態になるようサポートをしています。

海野:CRM推進室は、DMPに蓄積されているオンラインとオフラインの両チャネルのデータを見ながら、お客様のLTV向上につながる施策を実施しています。KARTEの運用においては、ECサイトなどオンラインにおけるお客様の行動データ、実店舗での購買履歴などを合わせたデータを各部署へ共有したり、データから施策の検討・実施を行なっています。

遠藤:私はSTRIPE CLUB全体でどのような施策が行われているかの管理をしていて、その一部としてKARTE施策の検討・実施を担っています。

resize DSC 7154 1440

グローバルファッションEC本部ストクラ部アシスタントマネージャー遠藤千絵様

ーー部署が違うことでの難しさはありませんか?

隅藏:難しさはないですね。KARTEの運用メンバーは有志で集まっているので、やらされている感は一切なく、それぞれ役割を分担しながら主体的に動けています。

2019年6月からは、私たちだけではなく各部署から有志のメンバーを募って、それぞれの部でKARTEを使った施策のPDCAが回るようにサポートするチームも立ち上げました。2週間に1回ほど定例会議を開いて、KARTEの新機能を共有したり、これまでの施策の振り返りを行なっているんです。

ーーKARTEを導入したことで生まれた組織の変化があれば聞かせてください。

榎本:KARTEを導入する前は、「ECサイトの施策を改善したいけれど、時間がかかるからそのままでもいいか」という雰囲気がありました。KARTEの導入後、試しに実行してみて、振り返る習慣がついたんです。メンバーの「なにかを改善したい」という気持ちに余計なブレーキがかからなくなりました。また、KARTEを使った試行錯誤の結果を共有するようになってから、違う部署とコミュニケーションする機会が生まれ、それぞれの組織理解が深まり、会社全体で横のつながりが強くなったように感じています。

新規ブランド立ち上げのフェーズに合わせた施策を実施

ーーKARTEを活用して、特に手応えのあった施策を教えてください。

隅藏:2019年3月に立ち上げた新規ブランドの一連の施策には、手応えがありました。まずブランドを認知してもらうために、ターゲット層を狭めず、ブランド自体やキャンペーンの告知をSTRIPE CLUBのトップページにバナーで配信したんです。次にバナー配信で得られたデータ、どのような特性のお客様が購入に至っているのかを調べ、訪問ページやクリック状況、購買情報などの行動データを追っていきました。

すると、バナーのクリエイティブではブランド自体を訴求するものではなく、アイテムを訴求した方が購入率が高くなる傾向があるとわかったんです。そのデータをもとに新規ブランドのボトムスを訴求する施策を実施。すると、最初の施策と比べ、購入率が2.4倍に上がりました。お客様の動きを継続的に見つつ、施策のPDCAを回せるKARTEだからこそ、実現できたことだと思います。

resize stripe

ブランド認知用に配信したバナーのクリエイティブ例

resize stripe2

アイテムを訴求したバナーのクリエイティブ例

海野:あとは、「earth music&ecology」の20周年の施策です。

ブランドが立ち上った当時にearth music&ecologyのファンになってくれた方は、20代でした。ブランドの立ち上がりから20年が経過し、初期からのファンの方々の年齢も40代になりました。earth music&ecologyの支持層である20代・30代から、20年前からブランドを支えてくださっている現在40代の方まで、それぞれの関わり方でブランドを愛用し続けて欲しいとメッセージを込めて年代の違う俳優を3名起用したTVCMを放映したんです。

TVCMでは、放映したものがどの程度、お客様に影響を与えたのかは可視化しづらい。そこで、それぞれの俳優ごとにバナー広告を作り、世代ごとにセグメントを分けてSTRIPE CLUBで配信したんです。すると、どのバナーがどの世代から支持され、効果があるかのデータを得られました。たとえば、どの世代においてもCTRが高い俳優が判明したんです。これらの結果は、次のTVCMを戦略を考えるための参考データとなりました。

ーーKARTEで得られたデータを、ECサイトのみならず活用できているのですね。施策を検討する上で大切にしていることはありますか?

遠藤:気軽に施策を行えるからこそ、お客様へ届ける情報が過多になってしまいやすいと思うんです。こちらの伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、お客様が欲しいと思った時にスムーズに情報が得られるかどうかの視点は大切にしています。

毎日できるおみくじでクーポンを配信した接客アクション例

実店舗とECサイトの両方で購入している方のLTVは約4倍

ーー貴社はKARTE Datahubも2018年に導入いただいています。KARTEを導入する際も同機能が後押しになったとのことでしたが、どこに注目いただいたのでしょうか。

榎本:KARTEを導入したことで、オンラインにおける接客の最適化は進みました。ですが、それだけでは十分ではなく、オンラインで得られる情報も含めて、もっとお客様一人ひとりのことを知っていきたいと思っていたんです。

弊社のアパレルブランドは実店舗がお客様との重要なチャネルになっています。そのため、オンラインで得られるお客様のデータだけではなく、オフラインで得られるデータまで蓄積したいという考えを持ち、プライベートDMPも導入していました。

データは集まりつつあったものの、オフラインとオンラインの情報を統合して、マーケティング施策への落とし込みまではできていませんでした。取り組めていたのは実店舗で会員登録してくださったお客様に向けてECサイトのお知らせを一斉送信することのみ。お客様が購入した商品の種類やECサイトの利用の有無など、一人ひとりに合わせて施策を打つことができていなかったんです。これらの課題のソリューションとなるのがKARTE Datahubだと考えました。

ーーKARTE Datahubを導入して得た気づきはありますか?

海野:実店舗の購入履歴をまとめてわかったのですが、ECサイトを訪問するお客様の9割は実店舗購入を経ていたんです。また、実店舗のみで購入している方と、実店舗とECサイトの両方で購入している方のLTVが約4倍も差がありました。

実店舗で購入した方をECサイトへと誘導する施策の重要性を数字で目の当たりにしたのです。ECサイトにおける売り上げは把握できていたのですが、実店舗それぞれの売り上げを確認できる環境はこれまでなかったので、KARTE Datahubを導入して、1ヶ所にデータを集めたことで、得られた気づきでしたね。

resize s F7D443632F2F90262AD55F009ED494F7A49CA6954EDBF08A82CDDC2565A1FF09 1561295303974 image

Datahubを活用して、1ヶ所にデータを統合

現在では、DMPから実店舗購入のみのお客様リストを抽出して、メールマガジンを送付し、ECサイトのご案内をしています。メールに記載しているURLをクリックしてSTRIPE CLUBを訪問したお客様に限定クーポンを表示するようにしたんです。

特定のお客様へ限定クーポンを配信した接客アクション例

実店舗に来て買うイメージでECサイトを使ってもらいたい

resize DSC 7265 1440

ーーKARTEに限らず、サイトを運用していく上で大事にしていることはなんですか?

隅藏:お客様が使いやすいサイトであるかどうかです。STRIPE CLUBは複数のブランドを取り扱っており、メンズもレディースも商品があるので、お客様が買いたい商品にたどり着きやすい状態を作りたいと考えています。

まだ実現はできていないのですが、お客様それぞれが好きなブランドの実店舗に来て購入するイメージでSTRIPE CLUBを使ってもらえるようにしたい。そのためには、サイトに掲載されている商品の見やすさも大事ですし、KARTEの施策を活用して人に接客されている気分を味わってもらえたらと思っています。お客様の購買履歴などのデータを活用して、KARTEでのパーソナルレコメンドを実装できるように進めてもいます。

榎本:ECのサイトと実店舗を連動してお客様への接客を最適化していけたらと思っています。実店舗でトップスを買っているお客様がいたら、そのデータを元に、相性がいいアイテムを提案するなど、継続的な接点を持ちながら、お客様が欲しいと想定されるものを提案できたらと思います。

遠藤:弊社の理念であるセカンドファミリーの達成のためにも、オンラインとオフラインの統合したデータと、実際に触れ合う機会の両方からお客様のことを知って、信頼関係を築いていきたいですね。

ーーありがとうございました!

SHARE