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オフライン施策を絡めて受注率を最大化する仕組みとは?BtoBマーケティングのCXを高めるコミュニケーション設計

オフライン施策を絡めて受注率を最大化する仕組みとは?BtoBマーケティングのCXを高めるコミュニケーション設計

27th Apr, 2020

酒居 潤平

酒居 潤平

さかい じゅんぺい

株式会社ユーザベース 執行役員

慶應義塾大学経済学部を卒業後、三菱東京UFJ銀行(現 三菱UFJ銀行)入行。その後、起業、Sansan株式会社勤務を経て、2017年に株式会社FORCASへ参画。マーケティング&インサイドセールスマネージャーとして部門の立ち上げに従事。2019年よりマーケティング&ブランディングマネージャーを担当。ABMの実践に取り組む。2020年1月より株式会社ユーザベースへ転籍し、執行役員(B2B SaaS事業マーケティング&ブランディング担当)に就任。
高柳 慶太郎

高柳 慶太郎

たかやなぎ・けいたろう

株式会社プレイド 取締役

2005年に新卒で楽天株式会社入社。広告営業、アドネットワーク事業の立ち上げなどを経験。2008年にアジャイルメディア・ネットワーク株式会社に入社し、アンバサダーマーケティング事業の立ち上げ、取締役副社長COOとして東証マザーズへのIPOなどを経験後、2018年12月に退任。株式会社プレイドには2011年の会社設立時から社外取締役として参画し、2019年1月から現職。現在はビジネスサイド全般を管掌している

2020年1月22日、株式会社FORCASの酒居氏をお招きし、セミナーを開催しました。テーマは、「BtoBマーケティングにおけるコミュニケーション設計」です。

ABM(Account Based Marketing)を支援するBtoBマーケティングツール「FORCAS」を提供する株式会社FORCASは、自社のマーケティングにおいてもABMを実践。ターゲット企業(アカウント)を明確にすることで顧客の解像度を高め、マーケティング、セールスにおける最適なコミュニケーション設計に務めています。

今回ご登壇いただいたのは、FORCASのマーケティングを担う酒居氏です。受注企業の6割強がオフライン施策を経由しているというFORCAS。「セミナーは最強のナーチャリング手法」と語るほど、商談化、受注に貢献するオフライン施策の秘訣をお話しいただきました。

プレイドからは取締役の高柳が登壇。あらゆるデータを統合し、顧客のタイミングに合わせたセールスを可能にするために、弊社がどのようにKARTEを活用しているかをご紹介しました。

すべては、明確なターゲットリストから始まる。ABM×オフラインマーケティング事例

FORCASのマーケティング&ブランディングマネージャー 酒居潤平氏からは、FORCASが実践するABMと、その中でのオフラインマーケティング施策についてお話しいただきました。

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ABM(Account Based Marketing)とは、自社の製品やサービスに価値を感じてくれる企業(アカウント)を特定し、その企業についてのデータを収集。理解を徹底的に深めることで最適なアプローチを実施していくマーケティング手法です。

酒居氏 「今までBtoBマーケティングで一般的だったのは、リードを集めて案件を創出、受注する『リードベースドマーケティング』です。しかし、この手法ではリード数ばかりが重視され、リードが集まった割には売り上げが伸びないという状況が生じるケースもありました。そこで登場したのがABMです」

ABMでは、最初にターゲットとすべき顧客群を特定します。FORCASでは、Tier1、Tier2、Tier3の3段階を設定。Tier1が最優先ターゲット企業、Tier2が重要ターゲット企業、Tier3はターゲットになりうる企業です。優先度が高い顧客ほど個別に手間をかけて対応し、優先度が下がるに従って1対多の手法をとっていきます。

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FORCASに価値を感じているLTVの高い既存顧客の特徴をベースに、優先すべき企業を定義。具体的な企業をターゲットアカウントとして設定していく。

酒居氏 「『ターゲットアカウントを決めたら、アウトバウンドコールしていけばいい』と思われがちですが、それは非効率。ターゲットとのコンタクトの有無を確認した上で、オンライン・オフラインを組み合わせて最適なマーケティング手法をとっていくことで、良いCXを実現し、LTVが高いであろう顧客との契約に繋げられます」

FORCAS社の場合、すでにコンタクトがあるターゲットアカウントにはハウスリストを掘り起こしてアプローチ、他部門やグループ会社などでコンタクトがある場合は社内での顧客紹介を打診していきます。どちらにも当てはまらないターゲットに対しては、コンタクト獲得のための施策を実施します。

ターゲット別に、オフライン施策の体験を設計

ターゲットアカウントへのアプローチにあたってFORCASが重視しているのが、オフライン施策です。

酒居氏 「FORCASでマーケティングチームを立ち上げてさまざまな施策に取り組む中で、セミナー参加からの案件化率が非常に高いことに気付き、オフライン施策を強化してきました。今ではマーケティングチーム3名で年間100本のセミナー&イベントを開催。昨年度の受注実績では、契約企業の6割強が、オフライン施策経由でした」

オフライン施策は、セミナーとイベントに大別されます。セミナーはリードナーチャリング、イベントはリードジェネレーションが主目的です。

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セミナーは小規模で開催頻度は高く、主にハウスリストへのメルマガとインサイドセールスによるご案内で集客します。対してイベントは大規模で、開催頻度はセミナーよりも低く、主な集客経路は、SNS(広告含む)です。

「目的ごとにオフライン施策の位置づけを整理し、全体的なCXのフローを設計しておくのが重要」と語る酒居氏。イベントで開拓したコンタクトをどのように商談に結びつけるのか、そのためにマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスがどのように協力するのか、図で解説しました。

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酒居氏 「イベントで獲得したコンタクトは、テーマが近いセミナーでナーチャリングへ。インサイドセールスがセミナーの前後でコミュニケーションを取り、適切なタイミングでフィールドセールスに繋ぎます。イベントやセミナーを点ではなく全体のフローで見ることで、その効果を最大化できると思います」

ここで気になるのは、セミナーやイベントの企画方法です。高い頻度でイベントやセミナーを開催するにあたり、その内容やテーマをどのように考えるのでしょうか。酒居氏は、「ターゲットを深く知れば、自ずと企画が生まれる」と言います。実際のイベントやセミナーを挙げ、ターゲットのフェーズと興味関心を掘り下げることでコンテンツ企画に活かす考え方を解説しました。

事例①リードジェネレーション×HR系SaaS企業

まずはイベントの企画事例です。

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酒居氏 「最優先ターゲットにあたるHR系SaaS企業が集まるイベントを開催しようと思ったときは、ターゲット企業の経営者、メンバーの方がフォローしているTwitterアカウントから興味関心を分析。似たようなSaaS企業が注目されていることがわかったので、それらの企業を集め、オンラインでは聴けない裏話を聞けるイベントを開催しました」

事例②リードナーチャリング×MAツール活用企業

より商談に近い位置づけにあるセミナーも、ターゲットが知りたいことをベースに考えていきます。

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酒居氏 「セミナーは、『体験型セミナー』『ユーザー登壇セミナー』『関心テーマ型セミナー』の3つに分類しているのですが、中でもナーチャリング効果が大きいのがユーザー登壇セミナーです。例えばMAツールをより活用したい、その中でFORCASを導入すべきか迷っている方は、私たちから色々お伝えするより、実際に導入している企業の話を聞くことでニーズが高まります。過去には、MAツールとFORCASを組み合わせてご利用いただいているアドビさんに登壇いただいた例などがあります」

多くの企業が導入前に気になる部分をリアルに語れるのが、既存ユーザーです。カスタマーサクセスやセールスと連携し、既存ユーザーとセミナーを共創することで、見込み顧客のニーズを満たすコンテンツを作れます。

最後に、セミナーの効果を最大化するために外せないことが語られました。

酒居氏 「セミナーのコンテンツ”だけ”でナーチャリングできると思ってはいけません。オフライン施策の重要なメリットは『対面で会える』こと。それによって安心感、信頼感が生まれたり、わざわざ言うほどではない困り事を聴けたりします。

そのメリットを最大化する要がインサイドセールスです。イベント当日にインサイドセールスと顧客が直接話す機会を作ることで、セミナーの中身を含めた全体のCXが高まり、その後の商談化につながっていきます」

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顧客を点ではなく線でとらえ、一貫した体験を届ける

プレイドからは、取締役であり、マーケティング、セールスを含めたビジネスサイド全般を管掌する高柳が登壇。BtoBマーケティングにおいて良い顧客体験を提供するための考え方をこう話します。

高柳 「顧客のことを圧倒的に知り、圧倒的に合わせる。これがCX向上の本質です。その上で、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどがチームや役割を超えて連携し、一人ひとりの顧客を『点ではなく線』で捉え、一貫した体験を設計しなければなりません」

KARTEを使って顧客の動きをリアルタイムで可視化、さらにデータベースなどの他サービスと連携することで、現在の動きと過去の情報を紐付けられます。そうして顧客の解像度を高めた上で、顧客が必要とする情報やサポートを提供する仕組み作りや、ニーズが生まれたタイミングに合わせたセールスコミュニケーションを設計していくことで、BtoBセールス全体における高いCXを実現できるのです。

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KARTEにアクセスして最初に表示される画面。「今」どのような顧客がサイトに来ていて、どのページをみているのかが一覧化。データベースを連携すれば、過去の情報を合わせて確認できる。

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専門知識がなくてもテンプレートからアクションを選択し、簡単な設定を行うだけで、外部サービスと連携可能。

こういったKARTEの機能を活用した弊社のBtoBマーケティングにおける取り組み例が4つ紹介されました。

事例①見込み顧客がサイトに訪問したらSlackで通知

プレイドが社内のコミュニケーションツールとして利用しているSlackとKARTEを連携し、見込み顧客がサイトに訪問したら自動で通知されるようにしています。

高柳 「一例ですが、ホワイトペーパーがダウンロードされたらこのような通知が来ます。フォーム入力された情報に加え、下線部分のURLをクリックすれば、過去のサイト閲覧状況も見られる。特に、弊社のオウンドメディアのどの記事を閲覧しているかなどを見ると、その顧客の興味領域がわかります。インサイドセールスはこれらの情報から顧客が知りたいことの仮説を立てた上で、商談化に向けたコミュニケーションをとれるんです」

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ホワイトペーパーダウンロード前に「CX(顧客体験)とは?」のコラムを閲覧していることがわかる。こういった閲覧行動から最適なコミュニケーションを想定し、セールスでのアプローチに活かしている。

事例②セールスフォース連携で、基本情報、過去データと紐付け

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セールスフォースとKARTEを連携し、サイトを訪問した見込み顧客の行動データと登録されている顧客情報を即座に照合できるようにしています。Slackの通知でも、セールスフォースの情報を元にした商談状況などが通知されるので、セールスのどの段階にいる顧客がサイト上で何をしたのか、をリアルタイムで把握可能です。

高柳 「データベースと連携することで、蓄積された過去のデータとサイト閲覧の『今』のデータを結びつけられます。こうして、あらゆるデータを駆使して顧客の解像度を高めることが、その人に合わせた体験の提供に繋がります」

事例③閲覧履歴に合わせたコンテンツレコメンド、CTAの出し分け

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顧客の閲覧履歴や行動に合わせてサイトの一部分を変えたり、ポップアップを表示したりすることにもKARTEを活用。自動的に見せ方を最適化できます。

例えば、KARTEのトップページに初めて来訪した顧客には、概要を理解しやすい動画への導線をCTAとして表示。対して2回目以降は、資料請求ボタンや、さらにKARTEを知ってもらえるようなセミナー案内などを表示しています。

高柳 「ほかにも、弊社のオウンドメディアの事例記事にアクセスし、8割以上読み進んででくださった方には、該当の記事に関連するホワイトペーパーのダウンロードを促すCTAを表示するなど、閲覧の体験を損ねず、より最適なコンテンツのレコメンドやコンバージョンに向けた訴求をしています」

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事例④熱量が高い顧客はチャットでサポート

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サイトの閲覧行動ごとにスコアを付与する独自のスコアリングを導入し、顧客の熱量を計測。スコアが一定以上に達しているにも関わらずコンバージョンに至っていない顧客には、アクティブなチャットサポートを実施します。

高柳 「来訪頻度は高いのに資料請求や問い合わせをしていない顧客には、何かボトルネックがあるはず。このようなケースには、問い合わせよりもハードルが低いチャットを用いて"何かお困りですか?いますぐチャットでお答えします"等とアクティブに声がけをしてサポートします」

最後に高柳は、BtoB企業がマーケティング、セールスなどの部署、役割の垣根を超えて連携し、顧客のCX全体を高める意識を持つ重要性を語りました。

高柳 「CXを高めることが、ロイヤリティやLTV向上に繋がるというのは広く知られるようになりました。では、どのようにCXを高めるのか?私は、BtoB、BtoCに限らず、一人の顧客に向き合うことがビジネスの根源だと考えています。

しかし、BtoBマーケティングではどうしてもマーケティングからセールス、セールスからカスタマーサクセスと担当部署が移っていく中で体験が分断され、全体的なCX向上が置き去りにされがちです。そういった状況に陥らないために、プレイドでは、一人の顧客がどんな行動をして、どうやって商談、受注に至ったのかといった人軸のデータをKARTEに集約。部署を超えて顧客と向き合うためのプラットフォームとして活用しています

CXを高めていくためには、各部署がそれぞれの立場で顧客を捉えて体験を最適化していくのではなく、ジャーニー全体のCXに視点を向けられる仕組みを作ることが重要です」

FORCASとKARTE、それぞれアプローチは異なりますが、共通していたのは「顧客を深く知ろうとする」姿勢。CXを点ではなく線で捉え、部署を超えて連携しています。BtoBセールスにCX向上の視点を活かす事例や考え方が参考になれば幸いです。

登壇資料

株式会社FORCAS

こちらからご確認ください。

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