Event Report

エンタメアプリ、アパレルECの“元マーケ未経験”の担当者が語る、初心者からKARTEを使いこなし、サイトやアプリを改善するヒント|KARTE Friends Meetup vol.24

2022年1月に開催したKARTE Friends Meetup Vol.24 テーマは「デジタルマーケティング未経験からの挑戦」。「何から始めたらいいかわからない状態でした」と、KARTE活用当初を振り返る株式会社アルファポリスの宮嶋宣暁さん、株式会社ストライプインターナショナルの吉川千奏さん。試行錯誤の末、今ではのKARTEを使いこなすお二人に大切なヒントやマインドセットをそれぞれの経験を交えてお話を伺いました。

「何から始めたらいいかわからない状態でした」と、活用当初を振り返るのは、株式会社アルファポリスの宮嶋宣暁さん、株式会社ストライプインターナショナルの吉川千奏さん。二人の共通点は「マーケティング未経験」からKARTEを使い始めたこと。それぞれ試行錯誤を重ねた結果、今ではKARTEを使いこなして顧客理解を深め、サイトやアプリの改善を回しています。

2022年1月に開催したKARTE Friends Meetup Vol.24のテーマは「デジタルマーケティング未経験からの挑戦」。未経験からKARTEを活用するKARTE Friendsや、これから新人を育てていくFriendsに役立つヒントや大切なマインドセットを、宮嶋さんと吉川さんの経験とともに共有してもらいました!

とにかく触って、試す!活用までに乗り越えた3つの壁

最初に登壇したのは宮嶋宣暁さん。アルファポリスに新卒入社し、同社の運営する「アルファポリス」でWebディレクターを務めています。

「アルファポリス」は、ユーザー投稿による小説や漫画を楽しめるエンターテイメントメディア。投稿作品を閲覧できる「ビューアアプリ」や小説を執筆・管理できる「小説投稿アプリ」などを展開しています。

より多くのユーザーに、魅力的な作品や便利な機能を伝え、サービスを楽しんでもらいたい。そんな思いから2020年にKARTEを導入。Webディレクター3名で「KARTEチーム」を結成、ユーザー行動の分析、ポップアップなどを使ったアプリでのコミュニケーションに取り組んでいました。

参考記事:自分が顧客だったらどう感じるか。小説や漫画をより楽しんでもらうために、大切にしている考え―――アルファポリス様導入インタビュー

そんなKARTEチームに2021年4月に加わり、「ビューアアプリ」の改善を担当することになった宮嶋さん。活用にあたって直面した3つの壁と乗り越え方を紹介してくれました。

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1.「本当にその施策をやるべきか?」判断できない→ 仮説を裏づける実際の動きを確認

一つ目は「本当にその施策をやるべきか判断できない」というもの。施策のアイデアは、KARTEチーム以外のメンバーからも沢山挙がるものの、対応できるリソースは限られています。どの施策を行うべきか、あるいは優先すべきかの判断が最初は難しかったそう。

そこで宮嶋さんは、KARTEでユーザーの動きを見て、その施策を喜ぶユーザーが本当にいるのか、データで可能な限り確かめていきました。

KARTEの「ユーザーリスト(特定の期間に特定の行動をしたユーザーを探すことのできる機能)」を使った具体例を紹介してくださいました。

宮嶋さん「例えばアルファポリスでは、投稿された小説を原作とした漫画作品、いわゆるコミカライズ作品が連載されることがあります。その際に、コミカライズ作品を読んだ読者に、原作小説を合わせて案内すれば、より作品を楽しんでもらえるのでは。そんな施策のアイデアがありました。

実際に案内をして喜ぶユーザーがいるのかを確かめるため、ユーザーリストで『コミカライズ作品を読了した後、原作小説をレンタルしたユーザー』と『コミカライズ作品と原作小説を同時にレンタルしたユーザー』の行動を見ていくと、いずれもサービスへの課金率やリテンション率が高くなっていました。

もちろん、元から利用するモチベーションの高いユーザーが、どちらもレンタルしている可能性もあります。ですが、どちらも読むことが、よりアルファポリスを楽しむことに一定つながるだろうと判断し、コミカライズ作品の原作小説を案内するポップアップを表示。その結果、どちらも読んでくださるユーザーが増え、表示前に比べて、コンバージョン率も22.9%ほど増加しました」(2021年11〜12月)

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2.ユーザーがどんな接客を求めているかわからない → 仮説と効果検証を繰り返して解決!

二つ目の壁は、ポップアップやプッシュ通知などの接客を、どのようなタイミング、見た目で設定すればいいのかわからない、というもの。

宮嶋さんが採ったのは「様々な仮説を立て、効果検証を何度も行う」という、シンプルかつ着実な方法。伝える内容は同じでも、テキストや見せ方の違うパターンを複数試し、一歩ずつ「ユーザーが求めているものは何か?」を探っていきました。

テストでは「数字や印象的な言葉が入っているからクリックされるだろう」と設定したポップアップの文言より、それらの言葉がないほうが成果が上がるなど、予想と違うものも多かったそう。「当たり前ですが、自分がいいと思ったものと、ユーザーにとって何が最適かは違うのだと、検証を通して痛感しています」と語ります。

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3.KARTEでどこまでできるのかわからない → KARTEをとにかく触って学び、知識を蓄積!

最後に挙げた壁は「KARTEは機能が豊富だからこそ、逆に何ができるかわからず、困ってしまった」こと。宮嶋さんは次の4つの点を意識しながら「KARTEをとにかく触り、学習」していきました。

イベントとセグメントのルールを理解する
レポートをさまざまな条件を設定して見てみる
ユーザーについて気になったことを都度KARTEで調べてみる
ポップアップのカスタマイズ機能を使ってみる

特に「イベントやセグメントはKARTEにとって基本かつ、特徴的な仕組み。最初に理解しておいたことで活用がスムーズに進んだ」と言います。

上司であり、KARTEチームのリーダーである舛賀計彦さんも「宮嶋は3ヶ月ほどでPDCAを回せるレベルに成長してくれました。KARTEは直感的な操作性など、初級者にも最適なツールだと感じます」とコメント。「さらにKARTEを使いこなして、ユーザーの行動にまつわるデータを見て改善を繰り返し、よりよいサービスを展開していければと思います」と、宮嶋さんは今後に向けて意気込みを語ってくださいました。

ECも“お客様目線”が大事。KARTEで店舗経験を活かせた

続いて登壇したのは、ファッションブランド「earth music&ecology」などを展開する株式会社ストライプインターナショナル デジタルトランスフォーメーション部 デジタルマーケティングチーム アソシエイトの吉川千奏さん。

吉川さんは、2017年に新卒入社し、店舗勤務を経て、デジタルマーケティングチームへ異動。異動後「PDCAを回す力をつけたい」「サイトの仕組みを知りたい」という相談をしたところ、先輩から「だったらKARTEの運用にトライしてみるといいかも」と勧められたそう。

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最初は何もわからない状態だったものの、チームメンバーに質問してメモしたり、調べたりしてキャッチアップ。KARTEを活用して、運営するECサイト「STRIPE CLUB」の改善に尽力しています。

冒頭では効果のあった施策について紹介してくださいました。

素早くお客様にお得な情報を伝えるためのポップアップ

ストライプインターナショナルでは、実店舗とEC共通で、新規会員に登録した後、すぐに使える10%OFFクーポンを発行しているそうですが、サイトでは積極的に案内をしておらず、クーポンを利用できるのだと、ユーザーが気付きづらい状態でした。

そこで吉川さんは、サイトのトップにクーポンについて案内するポップアップを表示。1ヶ月の会員獲得数は、表示しない場合の13から、表示した場合の312に増加し、リフトアップ率は65.5%に。サイトでの新規会員が増えるなどの成果につながりました。(2021年9月)

吉川さんは「実店舗のように直接話しかけるのが難しいからこそ、お客様がサイトを訪れて早い段階でメリットを伝える大切さに気づきました」と振り返ります。

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上記の施策を含め「実店舗でお客様の声を聞いてきた強みをKARTEで活かせています」と語る吉川さん。

具体例としてサイトで行っているライブ配信の改善施策を紹介してくださいました。ライブ配信は、ブランドのスタッフやインフルエンサーが登場し、商品やコーディネートを紹介するものです。

吉川さん「より多くの方に配信を楽しんでもらいたくて、当初はサイトを閲覧している方全員に『ライブ配信中』とお知らせするポップアップを出していたんです。ですが、そのポップアップからのアクセス数はあまり伸びなくて…。

ふと『実店舗だったら、いきなりお客様の興味のなさそうな商品を勧めることはないよな』と気づいたんです。なのに、サイトではお客様の顔が見えないこともあって、つい全員に同じ接客をしてしまっていた。

そう気づいてからは、ライブ配信で紹介している商品やブランドのページにのみ、ポップアップを表示することにしました。お客様の見ているブランドのライブ配信を出すことで、興味を持ってもらいやすくなり、ポップアップのクリック率も1.5%から5.5%に向上しました」(2021年11月)

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他にもニットをテーマにライブ配信をした回のクリック率が悪かった際。ライブの配信日は秋であったものの、比較的気温が高かったため「気温の高い日に厚手の商品を紹介しても需要はないかも」と企画担当者にフィードバックしたこともあったそう。

吉川さん「ECでも、実店舗でも、一人ひとりのお客様と向き合う大切さは同じだと思っています。これからも実店舗で接客をしていた頃の経験を活かしながら、KARTEを使って、よりよい施策を実現していきたいです」

アイデアが出ないときは、たった一人の行動に注目する

後半は参加者の皆さんとの質疑応答タイム。「活用を進めるなかで一番悩んだポイントは?」という質問に対して「サイトにおいてどのように接客するべきか迷いました」と吉川さん。

吉川さん「店舗での接客経験をもとにして考えていったのを覚えています。今でもポップアップなどの文言やタイミングは、実際の店舗で、いつ、どのように話しかけていたかを思い出しながら検討しています」

宮嶋さんは「施策数と体験のバランスに悩んでいます」と語ります。

宮嶋さん「知ってほしい作品や機能は無数にあり、いくつも施策のアイデアは浮かびます。ですが、ユーザーにとって、セッション中に何度もポップアップなどが表示される体験は決して心地良いものではないと思います。冒頭に述べた通り『その施策を求めている顧客』になるべく絞って、施策を行うようにしていきたいです」

また「PDCAを回すときに意識しているポイントは?」という質問に対し。宮嶋さんは過去に経験した失敗談を語ってくれました。

宮嶋さん「クリック率にこだわり過ぎて、最終的なゴールである『ユーザーによりサービスを楽しんでもらうこと』から遠ざかってしまった経験がありました。今はその反省を活かし、最終的なゴールに関わる指標を絞って、その数値を重要視するようにしています」

吉川さんは、アイデアが思いつかないときには、「たった一人のお客様の行動」を見るよう意識しているそうです。

吉川さん「KARTEのユーザーストーリー(個別のユーザー動向をセッションごとに確認する機能)で、一人のお客様の数日分の行動を見ています。『このブランドに興味持っているのかな』とか『今、こういう声かけができたら良さそう』といった形で、一人ひとりのお客様について考えると、施策のアイデアが浮かびやすくなるように感じます」

「何から始めたらいいかわからない」状態から、地道に試行錯誤を繰り返し、KARTEを使いこなしている宮嶋さん、吉川さん。お二人のお話からは、具体的なノウハウだけでなく、一人ひとりの顧客がサイトやアプリで「何を感じているのか」を想像し、寄り添おうとする姿勢の大切さが伺えました。

プレイドでは今後も、KARTE Friends同士がナレッジ共有できる場をご用意していきます。運用に困っている方は、ぜひご参加ください。

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