プレイドメンバー自身が考える「KARTEの価値」とは? カスタマーサクセス担当者が実践する、データでお客様の体験価値を最大化する方法

顧客の体験を向上するため、特にSaaS系BtoBの部門では、CS(カスタマーサクセス)のチームを設ける企業が増えています。プレイドでもKARTEの管理画面にKARTEを導入し、CSで活用しています。プレイドメンバーにKARTEがカスタマーサクセスにどう活用されているか、そしてKARTEの価値をお話しいただきました。

冨里晋平とみさと・しんぺい
Customer Experience Designer
新卒でデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(株)に入社。インフラエンジニアを経てアドサーバのセールスエンジニアを担当。2015年に(株)ビズリーチに転職し、マーケティング、転職サービスのサービス設計やKARTEやMarketoを活用した顧客体験の企画を担当。2020年2月、プレイドに入社しカスタマーサクセスを担当。現在はオンボーディングのプログラム開発や、ブランディングの戦略立案に携わる。
宮野智世みやの・ともよ
Customer Experience Designer
2018年プレイドに入社。KARTEのカスタマーサクセスおよび、KARTE Friendsと呼ばれるKARTEユーザーコミュニティ運営を担当し、一貫して顧客に寄り添ったCXの拡大を推進している。
脇本桃子わきもと・ももこ
Customer Experience Designer
2019年プレイド入社。人材業界、toB SaaS、ECを中心としたカスタマーサクセスに従事した後、セールスに異動。営業と並行して、BtoBのSaaSのお客様に向けて、個社に合わせた運用方法や活用案も提案しながら、CX向上の支援に取り組む。

顧客の体験を向上するため、特にSaaS系BtoBの部門では、CS(カスタマーサクセス)のチームを設ける企業が増えています。顧客一人ひとりに寄り添いたいと考える一方、クライアント数の増加や接客が必要なチャネルの多様化によって、密なコミュニケーションと手厚いサポートの実現に苦戦している企業も少なくないのではないでしょうか。

プレイドでは、お客様が利用するKARTEの管理画面にKARTEを導入しています。2020年10月6日に実施したオンラインセミナー「データによってカスタマーサクセス担当者の活動をいかに最大化するか」では、私たちがKARTEを活用しながら、顧客の体験価値を最大化するために実施している工夫について紹介しました。

今回、日を改めてセミナーの内容を振り返る座談会を実施。KARTEは何ができ、どのような点が魅力なのかといった「KARTEの価値」を、セミナーに登壇したCSを担当する冨里晋平、宮野智世、脇本桃子にCX Clip編集部が聞きました。

CSの最大の課題。コミュニケーション不足から生じる、顧客とのすれ違い

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改めて、カスタマーサクセスチームの役割を教えてください。

冨里:私たちの願いは、お客様が自社の顧客体験を向上させ、事業に成功していただくことです。それを達成するための手段として、KARTEを活用していただきたいなと。

宮野:ただKARTEを利用してもらうことが、プレイドのゴールではありません。大事なのは、KARTEを活用した結果、お客様のその先のエンドユーザーの体験が良くなっているか。最大限の効果を発揮してもらうために、お客様の状況を把握して、適切な活用のステップを歩む手助けをするのが、CSチームの使命です。

冨里:多くの企業様のCS部門と、役割や使命は同じですよね。私たちCSチームでは、ひとりが10社以上を担当することもありますが、限られたリソースの中で「お客様の状況を把握し、適切な活用のステップを歩む手助けする」ために、私たち自身がKARTEを活用しているということです。

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Customer Experience Designer 冨里

脇本:一人ひとりのお客様と密なコミュニケーションを取りたいというのは、私たちに限らず、CSにおける最も大きな課題です。コミュニケーションが十分に取れなければ、適切なタイミングでフォローに入ることは難しくなりますし、お客様の困りごとや要望を把握できず、「気づけば解約の危機が迫っていた」なんてことも起こり得ます。

宮野:また、お客様の声に耳を傾けないと、売り込み目的の一方的な営業に陥りやすいですよね。「より便利にサービスを利用してほしい」という思いから新機能や新プロダクトを開発しても、お客様は既存の機能を使いこなすのに精一杯で、利用してもらえないこともあります。

その時々で「お客様が何を必要としているのか」を見極めないと、間違った提案につながりやすく、お客様からの信頼を失う危険性も高まります。

多角的に顧客の情報を集め、参照しやすいように一元化

お客様の状況を把握し、適切なタイミングでサポートするため、社内でどのようにKARTEを活用しているのでしょう。

脇本:プレイドでは、お客様のKARTEの管理画面にKARTEを導入しています。各お客様のKARTEのご利用状況や行動に関するあらゆる情報が集まるので、それをリアルタイムで把握し、CSチーム内で協力してフォローしていきます。また、私は現在セールス担当ですが、KARTEから収集した情報をもとに、営業時のコミュニケーションに活かすこともあります。

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Customer Experience Designer 脇本

冨里:お客様の情報を集める上で重要なのは、多様なチャネルから取得したお客様のあらゆる情報を、参照しやすいように一元化することです。プレイドの場合、お客様の情報を収集するチャネルは、オンラインとオフラインに分かれます。お客様が管理画面にログインする頻度や数、施策の設定数、サポートサイトで新機能の内容をチェックしたり、チャットでお問い合わせしたり、こうしたオンラインの情報はKARTEに集約。一方、商談や会議、プレイド主催のセミナー参加など、オフラインの情報は「Salesforce」に集約しています。

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宮野:KARTEに集約したオンラインの情報、Salesforceに集約したオフラインの情報は、KARTE Datahubに一元化しています。データ分析プラットフォームのLookerでダッシュボード化することで、特に重要な指標となるデータを参照しやすくしています。ログイン頻度や施策数、サポートサイトのPVといったオンラインでの情報に合わせて、商談や打ち合わせなどオフラインの場で得られた情報、進捗などが見えるようになっています。

お客様との打ち合わせ前には、必ず確認するようにしています。例えば、契約していただいたけれど、まだ施策が打てていなかったり、以前に比べて極端に施策の数が減っていたりすれば、何がネックになっているのかをヒアリングできますし、課題に適した改善策を用意することができます。

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Customer Experience Designer 宮野

脇本:KARTEのデータは「人」単位で把握できるので、お客様の会社で「誰が」利用しているかまで知れます。私たちが打ち合わせで顔を合わせるご担当者の方以外でKARTEを触っている人がいるならば、社内に頼れて相談できる人がいる、チームでご活用いただいていると考えられます。

逆に、ご担当者一人だけが触っている状況が続き、ログイン数が減っていくようであれば、エンドユーザーの体験をよくするためにKARTEを最大限活用できていない可能性が想定できるので、活用できていない理由や現状のヒアリングをして適切なサポートをできるよう動くことができます。

お客様の状況がリアルタイムで届き、適切なタイミングでフォローが可能

先ほど、お客様の情報をリアルタイムで把握すると話していましたよね。情報を一元化しても、お客様の数が多いほど、一人ひとりの状況を即座に把握するのは難しい気がします。その辺り、何か工夫してますか?

冨里:重要度の高い情報は、業務中、目につきやすい場所に届くように仕組み化しています。私たちの社内コミュニケーションには、チャットツールの「Slack」を使っていますが、KARTEはSlackとも連携できます。お客様がKARTE上で特定の行動を起こしたときに、自動的にSlackに通知が飛ぶように設定しているんです。

例えば、KARTE上で特定の機能をダウンロードしたとき、施策を編集しているときや、公開作業を行っているときなどですね。さらに満足度を測る定期的なアンケートの結果も、担当者にメンション付きでお知らせされます。高評価のときはユーザーインタビューのお声がけをしたり、低評価であれば担当者がヒアリングして、機能改善につなげたりします。

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脇本:「新機能をダウンロードしていただいた後、使われていない」「お客様の画面にエラーが出ているが、そのままになっている」といった通知も届きます。お客様の管理画面での実際の操作を動画で確認できる「KARTE Live」にアクセスすると、お客様がどの画面で戸惑っているのか、困っているのかを詳細に把握できるので、スピーディーに最適解を提案しやすくなるんです。

冨里:以前「新機能の利用開始」の通知が届いたので、実際に設定画面をみていると一部設定が間違っていることを見つけたことがありました。そこで、そのお客様に「新機能を使ってくださってありがとうございます。ここの設定を間違えているようなので、以下のように変更してみてください」とすぐに提案しました。無事に設定は完了し、お客様から「本当に助かりました」と感謝していただけました。

一人ひとりに付きっきりでサポートすることは現実的には難しいですが、Slackと連携することで、お客様からの重要なサインを見逃すことなく、リアルタイムでフォローできます。

個人プレーより、ワンチームでカスタマーサクセスを目指す

お客様の状況を把握したのち、どのように改善につなげていくかが重要ですよね。「CSチーム内で協力してフォローする」という話もありましたが、具体的にはどのように?

脇本:Slackに届いたお客様の情報は、担当者だけでなく、チームメンバー全員が可視化できるようにしています。ネガティブな情報に関する通知が届けば、そのスレッドにメンバーが集まり、「どう改善していくべきか?」とディスカッションするんです。

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宮野:担当者ひとりだけが頑張るのではなく、プレイドのCSチームがひとつとなって「お客様の体験をより良くするには?」と考える姿勢や体制が築けているのかなと思いますね。

自分の担当以外のお客様とのやり取りを見て、「そこで困っているなら、こんな解決方法があるよ」「こっちの提案をしたほうがいいのでは」といったアドバイスを送ることもありますし、その逆もあります。

冨里:エンジニアやデザイナーにも、お客様のKARTEの利用状況が通知されるSlackに入ってもらっていて。プロダクトの改善につながる意見があれば、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHub上にリスト化し、開発メンバーと議論できます。優先度の高いものから改善してもらっています。

「その場凌ぎ」の対応で終わらせず、次にも活かしていけるよう、開発メンバーとのやり取りもGitHub上に集約することで、ナレッジの蓄積と共有を進めています。

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私たち自身がヘビーユーザー。CSチームが考える「KARTEの価値」

最後に、セミナーもふまえて、CSチームとして感じているKARTEの価値を聞かせてください。

宮野:今回は「プレイド自身がKARTEをどう使ってるか」というテーマでもあったと思いますが、多くのお客様が関心を持っていいただいてたと知れたことは大きな収穫でした。私たちが想定していた倍以上の方に参加していただいたんです。また、セミナーのあとに、参加者から「そんなにKARTEを使い込んでいるんですね!」と驚かれました。

脇本:KARTEでできることや、自分たちがKARTEをどう活用してるのかを改めて言語化できました。「KARTEってWeb上でポップアップを出せるサービスでしょ?」と言われることもありますが、ポップアップを出すことだけが目的なら、KARTEを使う必要はないと思っています。今、お客様は何に困っていて、どこに好印象を抱いているのか。一人ひとりの状況を的確に捉え、必要な接客をスピーディーに提供できるのが、KARTEの良さだと再確認できました。

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冨里:トライアンドエラーを繰り返して、学びを蓄積できる点も、KARTEの良いところですよね。開発工数がかからない分、仮説を立てたら、すぐに検証できる。KARTEの開発側である私たちも、何度も失敗を経験しています。

以前、「未契約なのにKARTEのログイン画面を訪れる方」が一定数いると気づき、未契約のお客様のログイン画面上に「実際にKARTEを触ってみませんか?」と、デモ体験を訴求するポップアップを出しました。「サービスへの関心度が高いはずだから、新規獲得につながりやすいだろう」と予想したのですが、結果、問い合わせはほぼありませんでした。

ポップアップを出す場所が適切じゃなかったのか、あるいは目立たなかったのか……。たとえ望んでいた結果ではなかったとしても、やってみて初めて気づくこと、新たな仮説が生まれるケースがたくさんある。KARTEはその後押しをしてくれます。

宮野:これから積極的にプレイド自身のことを発信するなかで、「ただ単にプロダクトを作ってるだけではなく、一番KARTEを活用している」ことを伝え、お客様にもより安心して、私たちを頼っていただけたら嬉しいです。

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