用語解説

顧客と関係を深めるカスタマーエンゲージメント(CE)を構築するには?定義から企業事例まで解説!

CX(顧客体験)向上を目指し、顧客とのエンゲージメントを構築している企業が増えています。今回は、カスタマーエンゲージメント(CE)の定義から、企業事例をご紹介します。

CX(顧客体験)向上を目指し、顧客とのエンゲージメントを構築している企業が増えています。今回は、カスタマーエンゲージメント(CE)の定義から、企業事例をご紹介します。

顧客とのつながりを重視する「エンゲージメント」とは?

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「エンゲージメント」とは、本来は「契約、婚約」などの意味をもつ言葉です。結びつきの強さを表現するこの言葉は、次第にマーケティング分野においても用いられるようになってきました。2006年4月アメリカ広告調査財団(ARF)は、エンゲージメントを「ブランドを取り巻く文脈(コンテクスト)の活用により、ブランドメッセージを強調し、顧客の関心を向けさせること」と、提唱しました。エンゲージメントは、GRP(Gross Rating Point)と呼ばれる「延べ視聴率」に変わる広告指標として、用いられるようになってきたのです。

参照:エンゲージメントに関するARFのプレスリリース

マーケティングにおいてエンゲージメントという言葉が用いられるようになった後も、企業と顧客の関係は変化しています。消費行動の変化、スマートフォンやソーシャルメディアの登場などにより、リーチの広さではなくつながりの強さが重要視されるようになってきました。最近では、「カスタマーエンゲージメント(CE/顧客エンゲージメント)」という言葉が用いられる場面も増えています。これは、顧客とのエンゲージメントを重視すべきという考えが浸透してきたことの表れでもあると考えられます。

カスタマーエンゲージメントは、企業が顧客との関係を深め、長期的な信頼関係を築いていくことです。そして、カスタマーエンゲージメントを構築するには、一人ひとりのあった顧客体験の提供が重要となってきます。

関連記事:「CX(顧客体験)」とは?一人ひとりに合わせた体験価値を生み出すために知るべきこと

エンゲージメントとロイヤルティとの関係性

エンゲージメントと似た言葉に、顧客がブランドや商品などに対して感じる「信頼」や「愛着」のことを指すロイヤルティがあります。この2つの言葉についての解釈は様々になされており、違いがわかりにくい言葉となっています。エンゲージメントが顧客とのつながりを築いていくこと全般を指すとすると、ロイヤルティは繋がりを築いた後に、サービスや商品に対して愛着や信頼を感じてもらうこと。エンゲージメントの中に、ロイヤルティが内包されるとも言えます。

カスタマーエンゲージメント(CE)を高める施策を行なっている企業の事例

では、カスタマーエンゲージメントをマーケティング活動に取り入れるとは、具体的にはどういうことなのでしょうか。次は、エンゲージメントの向上を目指して、マーケティング施策を行なっている企業の事例をご紹介します。

中長期的な顧客ロイヤリティ向上のためCXMサイクルを構築|三井不動産

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オフィスビル、商業施設、ホテル、住宅など関わる全てのサービスにおいて、「顧客志向」を重要視してきた三井不動産。運営する商業施設では、徐々にコミュニティを形成する場、そしてその場にいる人々と体験や時間を共有してシェアする場としての機能も併せ持つようになっています。

そんな中、リアルな場だけでなく、ネットにおいても顧客理解をしたいという想いから、商業施設とシームレスな連携を図るECモール「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール))(以下&mall)」を立ち上げました。

しかし当初は、&mallで短期的な売り上げを上げるためのクーポン配布などしかできていませんでした。そこで、顧客エンゲージメントを築くために、中長期的な顧客ロイヤリティ向上を目指し、CXを意識したCXMサイクルを中心とした改善へとシフトしました。

関連記事:CXMとは?顧客から愛されるサービス作りのために会社全体で取り組むべきこと

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そのCXMサイクルを回すために、&mallでの買い物後に、購入体験やサービスの満足度に対するアンケートを実施。その半年間の結果を&mall事業室メンバーに共有し、顧客視点を意識しながら改善を行っています。

参考:目指したのはお客様の体験価値の可視化。三井不動産とPLAIDが挑むCXMサイクルとは

飛行機の非利用に顧客接点を増やす|日本航空(JAL)

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日本航空(以下、JAL)のブランド戦略では、飛行機の非利用時において、どのように顧客とコミュニケーションをとり、体験の場を提供していくかを重要視しています。

調査の結果データから、何を基準にして航空会社を選ぶかは、同じ条件であれば”なんとなく好き”という感情で選んでいるケースが多くなっていることが判明しました。そこから、いかに飛行機の非利用時に顧客との接点を創出していくかと考えた時に、JALでは、SNSを活用をしています。

まず、公式Facebookをオープンし、今までJALのイメージにあった堅いイメージ変えていくことを目指しました。社員が顔や名前を出して、仕事や提供するサービスへの想をつづった投稿を行ったり、ユーザーに呼びかけるような投稿でコメントを促したり、投票機能を使って読者参加型の投稿企画を実施しています。また、「リアルに会う」ことのインパクトを加味し、公式Facebookページのファン感謝イベントも毎年行なっています。

公式Instagramでは、20代と30代の女性をメインターゲットとし、直接話しかけるというよりも、「旅行に行きたいな」という気分を促すような投稿を心掛けています。

このようなSNSで活発に顧客とコミュニケーションを取っていき、JALに関する投稿を増やしています。そして、顧客からJALに関する投稿の中から社内で共有すべき内容をピックアップし、実際にサービス改善に繋げています。

参考:https://news.mynavi.jp/itsearch/article/marketing/4586

動画を中心とした顧客接点の創出|ワコール

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女性向けインナーウェア業界で、最大手のワコール。購買頻度が数少ない下着。ワコールのことを想起してもらうには、購入タイミング以外での継続的なアクションが重要と考え、早くからコンテンツを活用した顧客との関係性維持に取り組んできました。

Web サイトには、テキストコンテンツだけでなくなく、動画も豊富に用意されています。動画は短めの構成が多く、例えば、下着の正しい洗い方について短めの動画を提示し、より詳しく知りたい方には動画を解説するテキストコンテンツに導くようになっています。

また、この動画コンテンツは、ECサイトや店頭、SNSアカウント、そしてアプリてでも利用されています。なかでも、FacebookやTwitter、YouTubなどのSNSは、顧客と繋がる重要な接点となっています。

参考:https://markezine.jp/article/detail/32386

CX(顧客体験)を意識したカスタマーエンゲージメント(CE)構築を

短期的に、目先のCVだけを追い求めては顧客との良質な関係は構築できません。CX(顧客体験)を意識した施策で、顧客のロイヤリティを高めながら、顧客との強い繋がりを作り、カスタマーエンゲージメント(CE)を構築していきましょう。

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