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「現場個客中心主義」とは?変わる企業と顧客の関係性。日本最初のCDO 長瀬次英|KARTE CX Conference 2019

「現場個客中心主義」とは?変わる企業と顧客の関係性。日本最初のCDO 長瀬次英|KARTE CX Conference 2019

15th Dec, 2019

「企業やブランドのメッセージを伝えるには、顧客一人ひとり、つまり”個客”に合わせた伝え方が重要です。そのためには、既存の顧客を知ることから始めなければいけません」

2019年11月11日に開催された「KARTE CX Conference 2019」のオープニングスピーチにて、長瀬次英氏はこう語りました。

ユニリーバでブランド開発責任者を経て、インスタグラム日本事業責任者や日本ロレアル、LDH JAPANのCDOなどを歴任。現在は、様々な企業のCEOや顧問などを務めながらも自身の会社でCEOを担うPENCIL&PAPER.COM㈱とVisionarySolutions㈱を設立した長瀬氏が語ったのは、「顧客一人ひとりに向き合う必要性」。

この記事では、「KARTEでできること」を「ユーザーの体験価値」に落とし込むための思考を学べるカンファレンス、その始まりに語られた、これからのマーケティングに必要な思考法をお伝えします。

マス・マーケティングは「悪」なのか?

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長瀬氏は、マス・マーケティングという従来のマーケティングにおける常套手段に起きている変化から語り始めました。

「マス・マーケティングは、悪と捉えられる流れが生まれています。なぜ、悪とされるのか。それは、顧客との向き合い方に生じている変化に対応できていないからです。以前、ユニリーバにいたときは、コンセプトをつくり、キービジュアルをつくり、TVCMや雑誌広告等に展開していました。今、そんな広告展開を見かけることも減ってきました。デジタルの登場と共に広告のあり方も変化してきています」

広告が変化している背景には、デジタルの登場が挙げられます。ですが、デジタルにおける広告も問題がある、と長瀬氏は語ります。

「デジタルにおける広告はワークしなくなっています。企業はデジタルにおいて、インフルエンサーを起用するなど、広告を展開してきました。ですが、最近は広告が顧客にあまり届かなくなっています。この背景には、顧客の行動の変化もありますが、それ以上に広告の問題があると考えています。

アドフラウド、プライバシー、ブランドセーフティ、ビューアビリティ...様々な問題がデジタル広告にはあり、広告の伝えたいメッセージが伝わっていません。マス・マーケティングでも伝わらず、デジタル広告でも伝わらない。企業は顧客にメッセージを伝えるのがどんどん難しくなっています」

メッセージを伝える前に顧客との関係を築く

広告によるメッセージコントロールが難しくなっている今の時代において、重要なことはなにか。「ベストな伝え方を時代の変化に合わせて考えないといけない」と長瀬氏は語ります。

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「そもそも、今の時代における広告の役割とは何でしょうか。メッセージを伝える役割でしょうか。顧客に広告で正しくメッセージを伝えるためには時間がかかります。マス・マーケティングではCMで興味喚起して、LPで詳細を語っていましたが、それでも十分に伝わっていなかったと思います。

広告とは、『個を知るきっかけ』であり、『個が知るきっかけ』です。広告はメッセージを伝えるための手段ではありません。さらに言うなら、メッセージを伝える前の接点、関係づくりが重要になっています。

人間関係で考えても、いきなり伝えたいメッセージを伝えることはないですよね。まず、少しずつ関係を構築しないといけない。顧客との接点において何を伝えていくか、何回繰り返すのか。これが顧客接点を考えることであり、カスタマージャーニーを知ることになります」

人間関係のように企業と顧客のコミュニケーションを考える。そうすると、自然と顧客との接点でどのようなやりとりをするかを考えることにもつながり、カスタマージャーニーを考えることにもなります。「ただ、カスタマージャーニーにも課題はある」と長瀬氏は続けます。

「カスタマージャーニーは、新しい手法ではありません。これまでにも企業はカスタマージャーニーを作成し、顧客接点に合わせてビジネスをしてきました。広告が以前のように機能しなくなり、伝えたいメッセージが伝わらない状況になったことで、カスタマージャーニーも顧客を知る目的で作成するのは重要じゃなくなりました。むしろ、カスタマージャーニーによって顧客を知ったような気になってしまうという弊害が生まれています」

顧客から個客へのシフト

従来のカスタマージャーニーの考え方では顧客を正しく知れないというのであれば、どうすれば顧客を知り、関係を築いていけるのでしょうか。長瀬氏は顧客の今に焦点を当てるアプローチについて言及します。

「インスタグラムで仕事をしていたときは、様々な顧客の行動を分析して、マーケティング施策を考えていました。過去のデータを分析するよりも、リアルタイムで顧客のことを把握して戦略を考えられるようになりました。カスタマージャーニーを作成して、企業が想像した顧客に向けてビジネスするのではなく、今の顧客に合わせたマーケティングが可能になりました。

それでも、個人のことはわかりません。どれだけ顧客のいいねやコメント、滞在時間から趣味嗜好を分析しても、完璧なレコメンデーションはできません。人はその瞬間の感情や取得した情報で判断します。過去の行動だけ分析しても、行動を予測する確率は上がるかもしれませんが、一人ひとりの顧客のことは完璧にはわからないのです。

どれだけ、コミュニケーション手段がパーソナライズされたとしても、個人のことがわからなければ、その人が本当にほしい情報を届けるのは難しい。だから、企業は個人のことをもっと知らなければいけません」

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顧客から個客の時代へ。一人ひとりの顧客、「個客」を知ることができれば企業は顧客との関係をより良いものにしていくことができる、と長瀬氏は語ります。

「エンタテイメントでもファッションブランドでもコスメでも、日々どう個客とコミュニケーションするかを考えています。一人ひとりの今現在の興味関心を知った上で、ストーリーを伝えられると企業からのメッセージングとしては理想的です。複数の個客と向き合うことができれば、ビジネスの手法はがらりと変わります。ただ、これはオンラインだけではできません。では、どう設計するか、何が中心になるのか。それは『場』だと考えています」

現場個客中心主義の時代へ

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一人ひとりの顧客と向き合うためになぜ場が重要になるのでしょうか。企業が顧客とコミュニケーションをする際に発生している「顧客を知ること」と「メッセージを伝えること」の双方にアプローチできるからだと、長瀬氏は語ります。

「自社のサービスに興味があるかわからない顧客に広告を出して来店誘導するよりも、すでに来店している人たちと話して、分析をしたほうが確実にうまくいきます。場に来ている顧客にアンケートをしたり、直接好きなインフルエンサーを聞けば、デジタルでの施策もより精度の高いものになります。場で顧客から直接取得できる情報は、Googleや、Facebook、Instagramなどのプラットフォームが取得できないデータを蓄積していけます。個客の時代では、モノゴトの価値は直に聴くべきなのです。

また、場で直接話せば、伝えられることも増えます。例えば、今日のイベントでも、この場の空気感や、私がみなさんの表情を伺いながら話す内容を変えていることも含めて伝わっていきますよね。付加価値は直に伝えたほうがいい。企業が顧客と直接コミュニケーションするD2Cが盛り上がっている背景には、こうした理由もあると考えています。そして、『会って話す』というのが、究極のD2C活動なのです」

Amazonやアリババといったグローバル展開しているECプラットフォームも、場を増やしています。場への注目が高まっていることから、長瀬氏は場のブランディングを数多く手がけいる柴田陽子事務所に参画したのもその一つの理由だそうです。

デジタル化が進み、オンラインでの取り組みが増えている今だからこそ、場が重要になっている。場を通じて顧客と直接話すことが当たり前になっていった先に、長瀬氏は一人ひとりの顧客を本当に大事にする時代が来る、と語ります。

「企業と顧客の関係は、人間関係とほとんど同じです。人間関係も直接会って話したり、何度も会ったほうが深まっていきますよね。私は、場の重要性はこれからさらに増していき、場を持たないビジネスは弱くなると考えています。

『現場個客中心主義』と表現するような、場を重視して、個客と向き合う時代が到来しています。『この人は自分のことを知ってくれているから安心だ』と個客に思ってもらえるように、企業は関係を築いていかなければいけません。そして、そのデータはお金を払って買えるようなものではなく、直に触れ合っているからこそ引き出せるものです」

一人ひとりの顧客に向き合う大切さ、向き合うための場の必要性について語られた長瀬氏のセッション。同セッション内では、マーケティングオートメーションやAIといった技術は、個客と向き合うためにこそ必要だと語られました。

CXプラットフォームのKARTEも、一人ひとりの顧客と向き合うためのプロダクトです。「KARTE CX Conference 2019」では、KARTEが大切にしたい前提を長瀬氏からのセッションで共有した上で、「KARTEでできること」の最新事例が次々紹介されていきました。その様子は追ってお届けします。

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