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事故時の安心だけでなく、事故のない世界を共創する。保険業界の常識を覆すイーデザイン損保の目指すCX

事故時の安心だけでなく、事故のない世界を共創する。保険業界の常識を覆すイーデザイン損保の目指すCX

13th Sep, 2022

2022年7月に開催された「KARTE CX Conference 2022」。「顧客ロイヤルティ向上を阻む壁の越え方」をテーマに掲げ、顧客の体験向上から企業の組織変革、データ活用に向き合う方々が、実践や考えを共有しました。

「お客さまとの『共創』を実現するための徹底したCX向上とビジネス変革」と題したセッションでは、イーデザイン損害保険株式会社 CX推進部 部長の竹内隆氏が登壇。

同社は「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する」というミッションを掲げ、策定から約1年半で新たな自動車保険「&e(アンディー)」をリリースしました。従来のような事故時の補償に加えて、IoTセンサーを活用した安全運転のサポートサービスの導入や、顧客や企業、自治体と「事故のない世界」を共創する仕組みを推進しています。

本セッションでは、どのようにイーデザイン損保が自社の価値を再定義し、サービスづくりや組織再編に取り組んだのかを紹介しました。

類似商品を売り続ける限界を感じ、経営方針を転換

イーデザイン損保は東京海上グループのネット損保として2009年に設立。個人顧客に対して自動車保険をネット販売することに特化しています。また、同社グループ内における「InsurTech(インシュアテック)」企業として、テクノロジーを活用し、先駆的にサービス展開をしていく役割を担っています。

ミッションの刷新と、それを体現したIoTセンサーを活用した新自動車保険「&e」の販売など、新たな施策を次々と手がけるイーデザイン損保。取り組みの背景には、商品の内容や価格優位性を訴求するマーケティングでは、他社との差別化が難しいという課題がありました。

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イーデザイン損害保険株式会社 CX推進部 部長 竹内 隆氏

竹内氏「約4兆円ある自動車保険マーケットの内訳を見てみると、インターネットや電話などを通じ、お客さまが保険会社と直接契約を結ぶダイレクト自動車保険の売上は右肩上がりで成長し、全体の約1割ほどを占めています。

これは様々な保険会社がテレビCMなどでプロモーションをしてきた、マスマーケティングの賜物です。私たちもランキングや価格の安さ、割引率などを訴求し、認知を獲得してきました。例えば、『ダイレクト保険ランキング1位』『無事故割引』『お得な保険料』などです。

しかし、お客さまにとっては他社とどう違うのかがわからない。なぜなら、他社も同じようなメッセージで保険を販売しているからです」

この課題を解決すべく、イーデザイン損保では、自分たちの目指すビジョンや顧客に提供すべき価値を再定義します。

竹内氏「全社横断で組織のあり方を考える『ありたい姿プロジェクト』を立ち上げました。このプロジェクトを通じて、我々はお客さまにとってどうありたいのか、提供したい価値とはどんなものか、世の中をどうしたいのか、をとことん考え抜きました。このような活動がきっかけで生まれたのがミッション・ビジョン・アクション・バリューです。社内ではそれぞれの頭文字をとってMVAVと呼んでいます。MVAVを核に、サービスの展開や組織の改善を行ってきました。

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ミッションでは『事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。』を掲げています。

自動車保険会社らしくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに私たちは、お客さまが事故にあった際、早くもとの生活に戻すお手伝いをしてきました。しかし、誰だって自動車保険を使わなければいけないような事故にはあいたくないし、起こしたくないはず。その気持ちに、保険会社として、私たちはしっかり応えていく使命があると思ったんです。

『共創』という言葉を使っているのは、ミッション達成のためには、お客さまはもちろん、企業や自治体などと一緒に取り組まなければならないと考えているからです」

MVAVに、ミッション・ビジョン・バリューだけでなく、アクションも加えたのは、社員一人ひとりの主体的な行動が、目指したい世界の実現に不可欠と考えているからだそう。

竹内氏「アクションについては『私が変わる、私が変える』をテーマに設定しています。社員一人ひとりが会社の代表としてお客さまに寄り添っていこうという意志を込めました」

MVAVを体現する新しい自動車保険「&e」

事故時に補償を提供するだけではなく、「事故のない世界」を目指すミッション・ドリブンな保険会社としてのスタートを切ったイーデザイン損保。MVAVを体現した保険商品が、2021年11月にローンチされた自動車保険「&e」です。

「&e」という名前には、同社が顧客と築きたい関係が表現されています。

竹内氏「イーデザインの象徴である『e』に加え、お客さまに寄り添い、一緒に事故のない世界をつくっていきたいという思いで『&』をつけました。呼び方も『アンド イー』ではなく『アンディー』と、人名のようにすることで、お客さまに親しみを持って呼んでいただければと思っています」

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「&e」は、事故時のサポートや補償だけでなく、手のひらサイズのIoTセンサーを活用した安全運転プログラムを提供。センサーを車に設置してスマートフォンアプリと連携させると、急ブレーキや急加速などを検知。運転傾向を分析し、アプリを通してドライバーにレポートを共有、運転の振り返りを促します。

サービスの体験をより良いものにするにあたって、イーデザイン損保ではMVAVの最後のVであるバリューを指針としています。バリューは「究極の安心・安全」と「究極の先回り」「究極の快適性」「究極のFor Me」という4つの究極から成ります。

竹内氏「直近では、自動車保険の見積もり画面が煩雑だったため、保険証券の写真から情報を読み取り、自動入力が可能になる改修を実施。より快適に使えるようにしました。

また、Webサイトでのお客様の行動を動画で確認できる『KARTE Live』も活用しています。お客さまが操作でつまずいた際、弊社のオペレーターが実際の画面を確かめられるので、素早く状況を把握し、サポートできるようになりました。もちろん事前に同意を得られたお客さまの動画のみを確認しています。

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最近では、行動履歴をもとに問い合わせ前のお客さまを先回りしてサポートできる『KARTE RightSupport』も使い始めました。画面遷移が進まない場合に、画面上で困りごとを聞き、関連するFAQを表示しています」

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データを活用し、「事故のない世界」を共創する

イーデザイン損保が「&e」を通じて目指すのは「事故のない世界」の共創です。その実現のために『Safe Drive With』というプロジェクトを立ち上げ、顧客や企業、自治体とともに取り組みを進めてきました。

竹内氏「『Safe Drive With』は、お客さまの運転データに加えて、地域バスやタクシーの走行データ、街や行政が持つ危険エリアのデータ、企業がサービスごとに取得しているデータを活用した『事故のない世界』をつくるプロジェクトです。

『Safe Drive With おやこ』では、親子で歩きながら通学時の危険箇所をマッピングしていく『もしかもマップ』を展開。2022年6月時点で57,002件の危険箇所を把握できています。

『Safe Drive With エーザイ』では、エーザイさまの脳の健康度を測定するアプリ『のうKNOW』を活用し、脳の健康度と安全運転に関するレポートを作成。他にも、運転中の生体情報、特に脈拍の変化などが運転に与える影響を検証する『Safe Drive With Apple Watch』などにも取り組んでいます。

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『Safe Drive With』以外にも、データを活用した安全な街づくりを支援する寄付プログラム『+まち(ぷらまち)』や、人工知能で移動手段を識別し、それに応じたマイルを付与するアプリ『ノルク』なども展開しています。

竹内氏「『ノルク』で付与されるマイルは、パートナー企業の商品やサービスと交換可能です。本当に車が必要なシーン以外での利用を減らすことで、渋滞などの交通課題を緩和し、事故発生のリスクを下げる目的で開発しました。

こうしたプロジェクトを通じ、今後もお客さまと『事故のない世界』を共創する関係を築いていきたいと思っています」

顧客の声を中心に、CX中心の組織へ再編

MVAVを体現しているのはサービスだけではありません。イーデザイン損保では、事故のない世界を共創するというミッションを、顧客目線に立って推進するために、、CXの向上を核とした組織再編にも取り組みました。

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竹内氏「組織再編では、CX推進部とビジネスアナリティクス部の二つの部を発足しました。CX推進部は、全社横断でCXの強化にあたる部署です。

今までのCX改善活動は、事故対応やお客さまサポート、ロードサービス、プロモーションなど、それぞれのお客さま接点に関わる部署ごとに実施していたため、一貫した質の体験を提供できていませんでした。

現在は、『CX=お客さまとイーデザイン損保との接点や一連の流れの中で得られる体験』と定義し、全社で共通認識をつくりながら、CX向上に取り組んでいます。CXのデザインを専門にしている方を新たに採用し、その方を中心に推進しています。

具体的な施策としては、各部署の代表が集まり、カスタマージャーニーマップを作成するワークショップを開催しています。お客さまとのタッチポイントを洗い出し、施策を考え、アクションの優先順位をつけるなどしています。

また、KARTEを使い『&e』のUXやUIを改善する『KARTE部』も発足しました。 会社全体で、究極のお客さま体験を企画実行するために、マーケティングの担当からコールセンターの担当など、部署横断でチームをつくっています」

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日常的にCXを考える文化づくりにも力をいれているという竹内氏。HR部内に文化浸透を担うカルチャー&エンゲージメントチームの設置、社長が少人数単位でミッション・ビジョン・バリューについて発信する機会もつくっています。

情報のオープン化にも尽力。営業戦略会議など役員や部長が中心の会議に、誰でも参加できるようにしました。

さらに、顧客からもらったお褒めの言葉を役員や部長が毎月選定し、メッセージ付きで全社に共有したり、アンケートでネガティブな回答を寄せた顧客に、役員や部長が電話をかけ、要望のヒアリングや対話をしたりといった取り組みも始めました。

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CX推進部とともに発足したビジネスアナリティクス部は、「定量と定性の両面からお客さまをより深く知るための部署」と位置づけられています。最近ではNPS®調査ツールを導入したそうです。

竹内氏「契約前の見積もり時、契約時、契約後の安全運転プログラム利用時や事故対応時など、各タッチポイントで調査を実施したところ、NPS®の向上と保険の更新率に相関関係があることがわかったんです。これまでは保険の更新率ばかりを重視していましたが、NPS®向上にも注力していこうと考えています」

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NPS®で得た声をもとに開発されたサービスも続々と誕生しています。専任担当者が事故対応を実施するサービス「私のタントウシャ」や、顧客ごとの契約内容や状況に合わせた金額などを案内する「パーソナライズド動画」。いずれも高い満足度を得ているそうです。

CX中心の組織づくりは、1日にしてならず

「事故のない世界」を顧客と共創していくと決め、邁進しているイーデザイン損保。竹内氏は、今後もCX中心としたサービスや組織づくりを徹底していくと意気込みます。

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竹内氏「『CXは1日にしてならず』。本当に地道な活動だと思います。いかに我慢強く、お客さまや社員に浸透させていくかが重要です。特に社員一人ひとりが主体的にCX活動に取り組めるよう、社内でもいろいろな施策を試行錯誤しています。

また、カンファレンスのテーマでもある『ロイヤルティの向上』のために、今後は定量情報に加えて、コンタクトセンターへの問い合わせ内容やチャットの履歴などの定性情報にも目を向け、改善に生かしていきたいです。

まだまだ道半ばですが、これからも必死にCX向上に取り組んでいきたいと思います」

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