用語解説

ダイレクトメールの効果的な活用方法とは?デジタル時代にも重要なDMを紹介

企業が顧客に直接メッセージを伝えられるダイレクトメール(DM)。 昔からのアナログなメディアであるDMが、デジタルの時代に再注目されています。

企業が顧客に直接メッセージを伝えられるダイレクトメール(DM)は、昔から数多くの企業が導入しているマーケティング手段の一つです。

郵便やFAXを使うアナログなメディアであったダイレクトメール(DM)は、デジタルの時代に再注目されています。今回は、このデジタルの時代におけるダイレクトメール(DM)について解説していきます。

ダイレクトメール(DM)とは?

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ダイレクトメールはDMと略され、「DMマーケティングエキスパート」認定資格公式テキストである『新DMの教科書』によれば、「個々人宛に商品案内やカタログ送付する方法による宣伝(販促)手段」というのが一般的な定義とされています。

さらにダイレクトメール(DM)は、住所に従って特定個人の住所宛に届ける「宛名ありDM」と「無記名DM」に分けられます。はがきや封書、冊子など形態は様々で、サンプルやクーポンを同封するなど、行動喚起する目的にも活用されています。

ダイレクトマーケティングの手法としてのDM

ダイレクトメール(DM)は、「ダイレクトマーケティング」において用いられるメディアの1つです。1961年、ダイレクトマーケティングの父と呼ばれるレスター・ワンダーマンが効率的な販売方法として世界で初めて「ダイレクトマーケティング」を提唱しました。従来の広告の目的である「伝える」よりも、「レスポンス(反応)の獲得」に主眼を置いた手法だと言われています。

また、ダイヤモンド社から2003年に出版されたフィリップ・コトラー著『マーケティング原理 第9版』の中で、ダイレクトマーケティングは「慎重に選ばれた個人あるいは法人から直接反応を獲得し、リレーションシップを構築していくマーケティングの方法」と紹介されています。

こうしたダイレクトマーケティングの一部であるダイレクトメール(DM)も、ダイレクトマーケティングの考え方とセットで知っておく必要があります。

ダイレクトメール(DM)の特徴

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ダイレクトメール(DM)は、他のメディアとはどこが異なるのでしょうか。デジタル技術が社会に浸透していく中でアナログメディアであるダイレクトメール(DM)の特徴は改めて注目すべきものです。『新DMの教科書』では、以下の3つの特徴が挙げられています。

  1. モノであること
  2. 情報量の多さ
  3. One to One

1.モノであること

デジタルメディアとは異なり、DMは実際のモノであるため手で触れたり、実体験したりできます。デジタルメディアでは提供が難しい体験を提供できるのがダイレクトメール(DM)の利点です。

2.情報量の多さ

ダイレクトメール(DM)は、印刷物やサンプルなど多くの情報量を伝えられることで、ストーリーやブランドの世界観を伝え、顧客の態度変容に働きかけられます。ストーリーや世界観が重視される中で、多くの情報を届けられることは、ダイレクトメール(DM)の魅力の一つです。

3.One to One

ダイレクトメール(DM)は、顧客に合わせて最適なメッセージを届ける「One to One」なメディアでもあります。近年は、デジタル化が進んで顧客データの分析も進み、ダイレクトメール(DM)のパーソナライズ化もよりやりやすくなっています。デジタルによって可能なパーソナライズと、アナログなダイレクトメール(DM)を組み合わせることで、より個に合わせたメッセージを届けられます。

関連:
パーソナライズドマーケティングとは?一人ひとりの顧客に合わせたマーケティング手法

ダイレクトメール(DM)は行動を喚起する

日本ダイレクトメール協会が実施している「DMメディア実態調査(2015〜2016年)」によると、一週間での世帯ごとのダイレクトメール(DM)受取通数は6通前後、自分宛てダイレクトメール(DM)の開封閲覧率は8割以上、自分宛ダイレクトメール(DM)に対する「行動喚起率」は19%以上になっているそうです。こうした行動喚起率の高さやコンバージョン力の強さもダイレクトメール(DM)の特徴です。

ただ、ダイレクトメール(DM)は、デジタルメディアと比較するとコストがかかります。その点も考慮した上で、ダイレクトメール(DM)を実行するか否かを検討していく必要があります。

ダイレクトメール(DM)施策を考える際のポイント

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ダイレクトメール(DM)の特徴を踏まえた上で、マーケティング活動においてダイレクトメール(DM)を活用する方法を調べていきましょう。

ダイレクトメール(DM)の使用シーンは、販売促進、新規顧客の獲得、Webやコールセンターへの誘導、来店促進、顧客むけアンケートや顧客満足度調査、ロイヤリティの高い顧客にむけたエンゲージメント強化などが挙げられます。

こうした使用シーンにおいて、ダイレクトメール(DM)の施策を考える上では、大きく以下の5つの視点を持つ必要があります。

  • ターゲット
  • クリエイティブ
  • オファー
  • タイミング
  • 効果測定

ターゲット

ダイレクトメール(DM)施策においてターゲット設定が重要です。誰に送るのかを考える上では、デジタルマーケティングが進んでいる今、CRMやDMPなどのマーケティング手法とも関係してきます。顧客データの収集や分析と組み合わせることで、ダイレクトメール(DM)の効果を高めましょう。

参照:
DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは?マーケティング施策を効率化させる基盤

顧客との関係性をマネジメントする「CRM」とは?知っておきたい活用法と注意点

クリエイティブ

ダイレクトメール(DM)は伝えられる情報量が多いという特徴があり、その特徴を活かすためにはコピーライティングやデザインなどのクリエイティブへのこだわりも重要になってきます。

オファー

オファーとはダイレクトメール(DM)につける特典のこと。オファーによってレスポンスの高さに影響も出てくるので、どのようなオファーをつけるのかは施策を考える上で重要です。

タイミング

ターゲットを選定し、クリエイティブにこだわり、オファーをつけたとしても、ダイレクトメール(DM)を送るタイミングが顧客と合っていなくてはレスポンスは下がってしまいます。どのタイミングが顧客にとってベストなのかを考えて送付しましょう。

効果測定

これらのダイレクトメール(DM)施策を打った上で、レスポンスなどを見つつ、PDCAサイクルを回していきます。

ダイレクトメール(DM)の効果を分析する際は、レスポンス1つにかかったコスト「CPR(Cost Per Response)」や、1購買あたりにかかったコスト「CPO(Cost Per Oder)」などをチェックします。

ダイレクトメール(DM)の事例

ダイレクトメール(DM)を活用した事例を、2019年の全日本DM大賞の入賞作品からピックアップして紹介します。

データを活用したパーソナライズ

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参照:https://www.dm-award.jp/winner/

通販大手のディノス・セシールは、同社のECサイトで買い物カートに商品を入れたまま離脱した顧客に対して、1パターンは郵送とメール、もう1パターンはメールで「お買い忘れはありませんか?」という主旨のDMを送付しました。すると、郵送とメールの両方のDMを受け取った顧客は、メールのDMのみを受け取った顧客と比べて約20%購入率が向上する結果となりました。同社はこのお買い忘れのDMだけでなく、「DMが届いた大切なあなた様へ」と表記したり顧客の名前を入れたりと工夫によって開封を促した新商品紹介のためのダイレクトメール(DM)を制作しました。

DMを起点に話題づくり

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参照:https://www.dm-award.jp/winner/

高野山大学は、認知が高くないことを逆手に取って、認知拡大を目的にダイレクトメール(DM)の施策を実施。「神秘すぎる大学・秘密すぎる大学」をコンセプトにオープンキャンパスを「シークレットキャンパス」として開催して、施策の一環としてDMを制作しました。

手元に届いた一見何も書かれていない黒い紙にフラッシュを当てると曼荼羅が出現し、特設サイトへ誘導するというもの。ウェブサイトへのPV数も増加し、SNSでのいいねやリツイート数も増え、認知拡大や情報拡散に成功しました。

LTVを向上させたパーソナライズDM

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参照:https://www.dm-award.jp/winner/

メガネスーパーは、前回購入時から何日後に次の購入率が高くなるかを分析。個別のタイミングでダイレクトメール(DM)を送付しました。タイミング以外にもパーソナライズされたのは、クリエイティブ。接客したスタッフの顔写真が自動的に入る仕組みを作り、挨拶文には自動的に顧客の名前が印字されるダイレクトメール(DM)を送付したそうです。

事前のデータ分析の結果を踏まえて何を訴求するかを設定した点も注目ですが、実際に店舗で商品を顧客にわたす際の接客の感触によって、事前の設定とは異なる訴求が必要だと現場スタッフが判断した際は店舗のPOSシステムでシナリオを変更できるようにしたそうです。店舗での接客とも連動させながらダイレクトメール(DM)を活用した事例です。

一人ひとりの顧客に寄り添ったDM(ダイレクトメール)を

デジタル技術が広まる中で、アナログメディアとしてのダイレクトメール(DM)の注目度は再び高まってきています。クロスメディア的に他のメディアと組み合わせて、一人ひとりの顧客に向けたメッセージを届けていきましょう。

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