CXを考える

リテンションレートとは?ユーザーを深く理解するために欠かせない指標

アプリやWebサービスを事業として成長させるためには、新規ユーザーを獲得するだけでなく、既存のユーザーに継続的に利用してもらう必要があります。 そのために追うべき指標が「リテンションレート」です。今回は、リテンションレートの概要や重要性、改善方法を解説します。

アプリやWebサービスを事業として成長させるためには、新規ユーザーを獲得するだけでなく、既存のユーザーに継続的に利用してもらう必要があります。
そのために追うべき指標が「リテンションレート」です。今回は、リテンションレートの概要や重要性、改善方法を解説します。

リテンションレートとは?

「リテンション」は、既存顧客との関係を、より長期的かつ強固にするためのマーケティング活動を指す言葉です。リテンションレートは、新規ユーザーのうち、一定期間内にアプリやWebサービスに再訪したユーザーの割合を指し、定着率、継続率とも表現されます。

フリマアプリの「メルカリ」では、ユーザーがメルカリに価値を感じ、継続的に利用してくれているのかを見るため、リテンションレートを最も重要な指標に位置づけ、改善に活かしています

同社のデータサイエンティスト石附氏は、その理由を「ユーザーがアプリに価値を見出したときにのみ向上する」からと説明しています。例えば、アプリのアクティブユーザー数は、プッシュ通知の配信によって一時的に伸びる可能性があります。しかし、過度なプッシュ通知はユーザーにとってネガティブな体験となり、アンインストールにつながるかもしれません。リテンションレートは、ユーザーにとって価値ある体験を届けるために欠かせない指標なのです。

また、リテンションレートは、アプリやWebサービスを事業として成長させるためにも重要です。例えば、ショッピングアプリが広告を出してユーザーが増えたとしても、それと同等のユーザーが退会していれば、会員数は頭打ちになってしまいます。

とくに、近年は音楽や動画、ソフトウェア、住宅、車にいたるまで、定額利用型のサブスクリプションサービスが増えています。こうしたサービスでは、短期的な売上よりも、ユーザーとの長期的な関係構築、リテンションレートの向上がより一層重要になります。

リテンションレートが低くなる要因と改善策は?

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リテンションレートの大切さを確認した上で、リテンションレートの計算の仕方を説明します。

リテンションレートの計算方法

リテンションレートは、一定期間における「継続顧客数÷新規顧客数」で算出できます。例えば、8月1日に新規ユーザーが1,000人増え、90日後に500人のユーザーが継続利用していた場合、90日後のリテンションレートは50%です。

リテンションレートが下がる原因と解決策

リテンションレートを改善するために何が必要なのでしょうか。代表的な要因と、その解決策を説明します。

課題①:ユーザーに価値や使い方が伝わっていない

アプリやWebサービスで何ができるのか、どのような目的を達成でき、どのような価値が得られるのかを伝えられていない場合、ユーザーが離脱する可能性は高くなります。

また、上記を伝えられていても、期待している目的のゴールの到達可能な体験が提示できれいなければ、ユーザーは価値を体感できません。説明をしていても、手順が複雑すぎてユーザーが使いこなせていない場合もリテンションレートは低くなります。

解決策:ユーザーが目的を達成できるよう準備する

ユーザーは、何らかの目的を達成するために、アプリやWebサービスを利用します。例えば、天気アプリであれば毎日の天気を把握する、ECアプリであれば欲しい物を買うなどがあるでしょう。

リテンションレートを高めるには、初回起動時にその目的を達成することや、ベネフィットを伝えることで、利用する価値を感じてもらうことが重要です。

1. 適切なオンボーディングを設計する

目的達成を促すためには、新規ユーザーにアプリやWebサービスの使い方を説明する「オンボーディング」を適切に設計しましょう。

オンボーディングの手法には、画面に四角いスライドを表示し、サービスの魅力や機能を説明する「ウォークスルー」、画面に矢印や吹き出しを表示して操作方法を伝える「コーチマーク」、段階的にアクションを指示し、ユーザーに特定の機能を体験してもらう「チュートリアル」などがあります。

これらを組み合わせ、ユーザーがスムーズに目標達成できるよう導きましょう。過度に長い、あるいはスキップできないオンボーディングは、却ってユーザーのストレスになる場合もあるため注意が必要です。また、スキップさせてしまうことでベネフィットを伝えきれないこともありますので、そのことがきっかけで離脱につながることも留意しましょう。

2. ユーザーの目的や期待を事前にヒアリングする

よりユーザーの目的や期待する価値に沿ったオンボーディングを行うには、利用目的や興味関心などをヒアリングするといいでしょう。また、アプリの性質にもよりますが、より価値を高められるなら位置情報などのパーミッション設定を、効果的に許諾してもらうことも重要です。

例えば、フィットネスアプリ「FiNC」は初回起動時に、ユーザーの性別や達成したい目標をチャットボットでヒアリング、それに応じて、適切なオンボーディングを提供しています。

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参考:FiNC TECHBLOG

課題②:前回の利用時に満足できる体験が得られなかった

利用時のネガティブな体験はリテンションレートに大きく影響します。チュートリアルが長い、動作が遅い、クラッシュが多いなどが挙げられます。

また、ユーザーが期待している価値を感じられない場合もあります。例えば、ニュースアプリで興味のあるコンテンツと出会えない、ECサイトで欲しいと思える商品が見つからない場合、継続するモチベーションは下がります。

解決策:利用時に他では代替できない体験を届ける

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動作やクラッシュについてはアプリ自体の改善が必要です。その上で、次回利用時には、ユーザーが必ず目的を達成でき、価値を感じられるようサポートすること、競合のプロダクトに代替できない価値を提供することが重要です。

1. アプリやサービス内での体験を改善する

ユーザーインタビューや行動ログを分析し、ユーザーが離脱するポイントで適切なサポートを提供できれば、継続してアプリを利用する可能性は高まります。

例えば、20代向けのレコメンド型転職サイト「キャリトレ」では、行動分析から「求人をいくつか見ているが、次のアクションにつながらない」や「企業からのスカウトやメッセージの返信に気づかない」といった挫折ポイントを特定、そこに到達したユーザーに対し、次のアクションを案内するポップアップ通知を表示しています。

2. ユーザーが再び利用したくなる魅力的な情報を届ける

ユーザーがアプリやWebサービスを開きたくなる情報を、プッシュ通知や広告、メールを介して届けることも効果的です。例えばECアプリなら、ユーザーにおすすめ商品やセール情報の案内を送るなどが挙げられます。

その際、一人ひとりの利用目的や関心領域、サービス内での行動履歴などを元に、パーソナライズされた情報を届けられると、他のアプリやWebサービスでは代替できない価値を感じてもらいやすくなります。

そのために必要な情報の取得、プッシュ通知やメール配信の許可を得られていない場合は、再び設定を促しても良いでしょう。その際は、ユーザーが不安を感じないよう、設定が必要な理由や、それによって得られるメリットをしっかりと説明することが大切です。

そもそも利用頻度の低い機能を提供している

上記のいずれの要因にも当てはまらない場合、提供している機能の利用頻度が低い可能性があります。例えば、銀行アプリは、入出金の確認や振り込みなどの際に起動されるため、日常的に開く投資アプリと同期間で比較すると、当然リテンションレートは低くなります。その際は、利用頻度の高いユースケースを調査し、機能に盛り込む、あるいは利用頻度の低さを前提に計測期間を設定する必要があります。

リテンションレートを左右するプロダクトの品質設計

顧客満足度の高いアプリ・ウェブサービスを設計するにあたり、参考になるのが「狩野モデル」です。顧客満足度を左右する品質の条件を5つに分類し、その優先順位を定義しています。

  1. 当たり前品質(満たされていて当たり前、満たされないと強く不満)
  2. 一元的品質(満たされていると満足、満たされていないと不満)
  3. 魅力的品質(満たされていると満足、満たされていなくても不満に思わない)
  4. 無関心品質(満たされていてもいなくても、顧客の満足度に影響がない)
  5. 逆品質(満たされていると不満、満たされていないと満足。2の反対。)

まずは優先度の高い「当たり前品質」の改善に着手し、その後にプロダクト固有の魅力を磨くことで顧客満足度をあげ、リテンションレートを改善していきましょう。
狩野モデルについてより詳細を知りたい方は、こちらを参照してください

リテンションレート向上を通してCX(顧客体験)を磨く

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リテンションレートを高めるには、一人ひとりのユーザーが何を求めているのかを考え抜く姿勢が欠かせません。リテンションレート向上のための取り組みを通して、ユーザーへの理解を深め、より良いCX(顧客体験)を作り上げていきましょう。

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