「ファッション×テクノロジーの未来とは?」ベイクルーズのウェブ接客とテクノロジーを活用した最新のFashionTech

本記事は、2017年1月16日に渋谷dots.で開催された「Fashion Tech Night #02 Produced by Fashion People」における株式会社ベイクルーズ村田氏とプレイド代表 倉橋のトークセッションの内容を編集したものです。

本記事は、2017年1月16日に渋谷dots.で開催された「Fashion Tech Night #02 Produced by Fashion People +」における株式会社ベイクルーズ村田氏とプレイド代表 倉橋のトークセッションの内容を編集したものです。

登壇者

株式会社ベイクルーズ 取締役 ICT統括 村田 昭彦 氏

明治大学卒業後、オンワード樫山、サイバーエージェントグループ、カフェグローブドットコムを経て、ベイクルーズへ入社。現在は、ICT統括兼EC統括管掌取締役として、自社ECサイト運営などのEC事業のほか、情報システムやデジタルマーケティングを担当。

株式会社プレイド Co-Founder and CEO 倉橋 健太

同志社大学法学部を卒業後、楽天株式会社に新卒入社。楽天市場におけるWebディレクション、マーケティング、モバイル戦略、広告戦略等、多岐にわたる領域を担当し、楽天市場事業の成長に貢献。2011年10月にプレイドを創業。

ベイクルーズグループの紹介

まずは、ベイクルーズ村田氏からベイクルーズグループの紹介。

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ファッションだけでなく、家具やフード、フィットネスまで手がけるベイクルーズグループ

JOURNAL STANDARDやIENA、EDIFICEなど数多くのファッションブランドを展開するベイクルーズグループ。
実はファッションブランドだけではなく、家具やフード、フィットネスといった業態にも多くのブランドを展開し、フード事業だけでも18個のブランドを展開しています。

この日の会場にも、フード事業の一つ「J.S. BURGERS CAFE」のハンバーガーや軽食が用意されていました。ハンバーガーもベイクルーズさんにかかると、こんなにお洒落に!

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ベイクルーズグループのEC売上はファッション業界2位

ベイクルーズグループのECの特徴は、「企業規模の割にEC化率が高い」こと。
売上は、UNIQLOやGUを手がけるファーストリテイリングに次いで業界2位。
他にも有名なアパレル企業がある中で、高い売上を記録しています。

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また、ECの売上の伸びは前年比で50%アップし、2012年から2016年にかけて売上に占めるECの率は、9%から21%へと大幅に増えました。

年々増えているECの割合ですが、ベイクルーズグループとしては実はEC化率自体は目標としていないそう。
お客様に価値を提供するために様々な施策を行っている中で、ECの売上があがっているそうです。

ベイクルーズグループはオムニチャネル化を推進

ベイクルーズグループとしてオムニチャネルを推進するために、Phaseを3つに分けて取り組んでいます。

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Phase1としては、会員の統合と、在庫の統合。
Phase2として、サービスやコミュニケーションの統合。
今はこのステップで、これからPhase3を目指していこうという段階。

オムニチャネルの一例としては、在庫をEC、倉庫、店舗と連動して探すことができるということ。
ECで商品を見ていて、在庫がない時に、倉庫にあるか確認できるだけでなく、実際の店舗にあるかどうかまで確認できて、その店舗の商品をオンラインから購入することができる。
オンラインで購入して、最寄りの店舗に取り寄せるということではなく、実際の店舗にある商品をオンラインから購入できるそうです。

また、ユーザーレビューに関しても、オンラインだけでなく、実際の店舗でのユーザーの声も反映されるようになっているそうです。
オンラインでのレビューはわざわざ書かない人でも、店員さんとの会話の中では「〜〜がいいですよね」とか「着てみると意外に〜」みたいなコメントは自然にすると思うので、そういうコメントがオンラインでも見れると購入の際の参考になりそうです。

トークセッション「ファッション×テクノロジーで挑戦するサービス」

ここからは、プレイド代表 倉橋とのトークセッションです。

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ベイクルーズがKARTEを使い始めたきっかけは?

ベイクルーズ村田氏(以下、村田)
プレイドの2014年7月の資金調達時のTechCrunchの記事を見たのがきっかけで問い合わせをしました。
倉橋さんが爽やかで信頼できそう、こういう外見で悪い人はいないと最初は思いました。

少し冗談も入りましたが、我々の当時の課題はパーソナライズ。
KARTEの話を聞いて、我々の課題を解決できるソリューションだと思いました。
 
プレイド倉橋(以下、倉橋)
KARTEの正式リリースはそこから半年以上先の2015年3月なので、ベイクルーズさんはβテストの時からKARTEを利用していただいていました。
βテストで使っていただいて、多くのありがたいフィードバックをいただきました。
ベイクルーズさんのおかげで今のKARTEがありますね。

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そのようなβテストの段階から使い始めることは不安はなかったか?

村田
最初にKARTEの管理画面見せてもらった時に、UIがよくて、安心しました。
UIをちゃんと作っている、UIにこだわっているサービスだと分かったので、大丈夫だと思いました。

また、こういったスタートアップの場合には、どこから資金調達をしているか、出資している会社なども見て判断することもあります。
プレイドの場合は、その点でも大丈夫だと思いました。

データドリブンのビジネスにKARTEはフィットしていた

村田
事前の予想と使ってみてのギャップはそれほどなかったですね。
データを見て、物事の判断をするデータドリブンのビジネスを指向しているので、KARTEはフィットしていました。

KARTEでは、簡単にアクションのA/Bテストを設定できるので、それでいつもテストしていますね。
同じ条件のお客様の中で、接客するユーザーと接客しないユーザーとに分ける。

そうすると、接客による違いが分かってくるので、お客様のインサイトを探ることができます。

例えば、お気に入りページに、お気に入りをした商品の値下げがあった時に通知する機能がありますが、その機能自体をお知らせするというのをKARTEで出しています。

お知らせを出すユーザー、出さないユーザーとでやると、出したほうが明らかに良い数字が出る。
ユーザーが通知機能をオンにしてくれますし、お気に入りに入れた商品を買ってくれます。

もちろん接客するほうが効果出るわけではないときもありますが、それも数字で見ることができるので、数字を元に次のアクションにもつながります。

KARTEは管理画面を使うのに、ユーザーにそこまで高いリテラシーを必要としていないサービスだと思います。
また、当初はβテストの段階ということもあり手厚いフォローもあったので、使いこなせすのに苦労はありませんでした。

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従来は見えなかったディープで面白いデータが見えてくる

倉橋
KARTEでは、個客軸であらゆるデータを取得しているので、個客に紐付いた面白いデータを持てるようになります。

例えば、サイト内での検索ワードやどのサイズのチェックボックスにチェックを入れたか、なども取得できます。
今までですと、「サイト全体でよく検索されているワード」や「よくチェックを入れられているサイズ」などサイト全体の傾向しか分かってこなかったものが、「この人はこういったワードで検索して、その後にこのサイズの服にチェックを入れている。いつもはこのサイズだけど、今回はこのサイズなので、ひょっとしたらプレゼントかな?そうするとプレゼント用の小物の特集も案内しよう。」みたいな発想もできるようになるわけです。

このような通常の会員データベースでは保持していないディープなデータを、個客に紐付いて持つことができるので、KARTEを利用することで、従来は見えなかったディープで面白いデータが見えてくるようになります。

そういった個客に紐付いたデータはビジネスの全バリューチェーンに有用で、活用できると考えています。
ウェブ上での接客だけでなく、例えば商品開発に利用していただいたり、幅広く活用してもらえるようにしていきたいと考えています。

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今後KARTEに期待するのは、最適な個客体験の統合

村田
KARTEに期待することは、ツール毎に分断されない最適な個客体験の統合ですね。

例えばコミュニケーションツールだけでも、メール、LINE、Facebookなど、それぞれのツールでデータソースがバラバラで同じユーザーなのに違うユーザーとして見てしまうことになってしまう。
これはコミュニケーションツールだけでなく広告もそうですよね。

ユーザーからすれば、自分とベイクルーズ、もしくはJOURNAL STANDARDなどのブランドとの1対1の関係であって、それが店舗なのかウェブなのか、LINEなのか、広告なのか、どこで接触してもブランド体験は継続します。
どの場であっても、ブランドとユーザーとの接点であり、広告とウェブでバラバラのことを言っている、違う提案をするみたいなことがあると、ブランドとの関係性は構築されません。

ツール毎に分断された関係性というのはブランド側の都合ですが、今までの技術では個客を統合して捉えるのは難しかった。
そこを統合する役目をKARTEには期待しています。

今後FashionTechはどうなるか?

倉橋
インターネットになったことで、人が見えなくなっています。
リアルの店舗だと当たり前に見えていたものが、見えなくなっているのです。

そこをリアルの世界と同じように人の顔が見えてくるように、可視化をより進めたいと考えています。
今後は、お客様の顔の見えるビジネスが前提になってくると考えています。

お客様の顔が見える時と、見えない時の違いは明白なので、近い将来にみんながそこに気づくようになると思います。
 
村田
我々の強みはやはりオフラインにもリアルの店舗があること。
その利点を活かしたサービスを持って、お客様と接点を持つ必要があると考えています。

そのために、現在進めているオムニチャネル化をより推進していきたいと考えています。

また、FashionTechということでいうと、ECという狭い意味だけでなく、多くの分野でテクノロジーを活用しないと価値を提供できなくなっていくと考えています。

その時には自社でテクノロジーを開発、活用できる体制は必要だと考えています。
ライフスタイルやファッションに興味があり、テクノロジーにも興味ある方はぜひ一緒に働いて欲しいです。

(ベイクルーズグループでは、エンジニア、ディレクター、デジタルマーケターなど各職種で採用募集中です。詳しくはベイクルーズの採用ホームページをご覧ください。)

また、KARTEを開発するプレイドも、仲間を募集しています。
プレイドの採用情報はこちらの採用ページをご覧ください。

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