「CX向上にはサービス進化が必要だと、KARTEのおかげで気づけた」モノタロウの顧客のための組織再編
株式会社MonotaROのCXプロデュースグループ グループ長の米島 和広氏が登壇したセッションでは、KARTEの活用を通じて、「長期的にサービスを支持していただけるとは?」を考え、CX向上のために組織再編まで含めて実行した軌跡が語られました。
- 米島 和広よねじま・かずひろ
- 株式会社MonotaRO データマーケティング部門 CXプロデュースグループ グループ長
- 2018年 東京でのデータマーケティングチームの立ち上げメンバーとして入社。データを活かした顧客体験向上を担当。MonotaRO 以前は、オイシックス・ラ・大地株式会社にて、新規事業(海外/卸/JV)の立ち上げ・運営に関わり、全社の分析・テクノロジーマーケティングを担当。
企業が、自社が提供するサービスのCX向上のために取り組むべきことは無数にあります。限られたリソースの中で、顧客のためにサービスをアップデートするためには、どのように対応していけばよいのでしょうか。
2020年7月15日に開催した「KARTE CX Conference 2020」の中で、CXの取り組みを紹介する「CX Case Study」。株式会社MonotaROのCXプロデュースグループ グループ長の米島 和広氏が登壇したセッションでは、KARTEの活用を通じて、「長期的にサービスを支持していただけるとは?」を考え、CX向上のために組織再編まで含めて実行した軌跡が語られました。
BtoB向けに事務用品や工具、消耗品などを取り扱うECサイト「モノタロウ」を運営する同社は、KARTEを導入する以前からデータマーケティングに注力。KARTEの導入によって、サービスの価値向上に対して、どう向き合っていったのでしょうか。
KARTEを導入して、チーム全体で顧客と向き合うマインドが変化
「モノタロウにKARTEを導入する際の決め手となったのは、これまで構築してきた自社のデータベースと連携でき、素早く施策を実施できること」だと米島氏は語ります。同氏は、KARTE導入当初から、マーケターやデザイナーと連携してKARTEの活用を推進してきました。
モノタロウでKARTEに関わるスタッフは、KPIや施策の優先順位や継続判断を行うプロデューサー、施策の効果を最大化する企画者、デザイナーと分かれています。導入したばかりの頃はチーム内にはKARTEを使いこなせるか不安な声もあったそうですが、導入した後はどのスタッフでもポジティブな変化が起きたそうです。
米島氏 「施策が思い浮かぶかどうか、ページの動作やレイアウトに影響しないだろうか、といった声もありました。いずれも、杞憂に終わりました。
KARTEのおかげで、開発コストが下がって施策の実施ハードルが下がり、チャレンジしやすくなりました。さらに、多様なお客様のそれぞれの反応の違いを分析するようになった結果、施策の成果を上げやすくなりました」
KARTEによって、モノタロウのチームでは「顧客が興味あることはなにか?」「自分たちが実施してみたいことはなにか?」に向き合い、素早く施策を実施できるようになりました。仮に、施策が良い結果につながらなかったとしても、打ち手の増加によってPDCAが回りやすくなったのです。
米島氏 「KARTEのおかげで、お客様に合わせたコミュニケーションを増やせています。KARTEによって、どのお客様に、どんなタイミングで、どんな表現で伝えるかをコントロールしやすくなり、施策の精度が上がりました。その結果、私たちは何を、どう伝えるかを集中して考えられるようになっています」
顧客に提供する価値を磨くために、サービス進化を目指して組織を再編
KARTEの導入によって、顧客の理解が進み、顧客に合わせたコミュニケーションがやりやすくなってしばらくした後、米島氏は「顧客に合わせたコミュニケーションを行うことだけでは、自分たちのサービスはCXを向上できていると言えるのだろうか?」という疑問を抱いたそうです。
米島氏 「自分たちは、お客様の望むことや困っていることにちゃんと応えられているのか?を考えるようになりました。お客様の望むこと、困っていることに向き合うと、もっと提供しているサービス自体の進化に取り組むべきなのではないか、と考えるようになったのです」
米島氏は、多くの部署と協力し、システム開発や業務変更などの検討を始めました。サービスを進化させるために、KARTEではできないことと、できることを分け、どのようにサービス全体の価値を向上させるかに取り組んでいきました。
米島氏 「私たちのサービスの全体は上のような図で業務が分かれています。KARTEを活用して改善できるのは、緑のグラフの部分。それ以外は、サービス自体を進化させなければいけません。KARTEによってお客様に提供可能になった価値に加えて、サービスの基盤自体を進化させていくことも検討していかなければならないと考えました」
CXの向上のために、KARTEを使ってできることと、KARTEだけではできないこと。どちらに注力するかを考えた結果、両方を推進するためにチームを分割。KARTEを使って素早く対応する「カイゼン」、長い関係構築を担う「エンゲージメント」、他部署も絡めて新たな機能を追加する「エンハンスメント」の3つです。それぞれの担当領域は、下記のような図で表現されました。
米島氏 「開発期間の長さや、開発の複雑さ、顧客の反応の時間軸の違いがあり、これらを一緒に考えようとすると混乱を招きやすくなります。チームを分けることで、それぞれが注力する領域をわかりやすくなるようにしました」
サービスには、顧客が求める基準が存在します。サービス全体で考えたとき、基準を上回っている部分もあれば、基準を下回る部分もある。チームがひとつしかない状態で、この状況に対応しようとすると、基準を下回っているところへの対応に時間をとられてしまう、と米島氏は語ります。
米島氏 「私たちはチームを分け、上のグラフの緑で着色した目指すべきCXの基準に対して下回っている部分をカイゼンチームがKARTEを用いて素早く補うようにしました。赤で着色した基準を上回るための施策を、エンゲージメントとエンハンスメントのチームが取り組んでいます。
分担の狙いは、チームとして事業の進化に素早く貢献しながら、顧客が求めるものを高いレベルで理解し、提供することです。長期的に支持されるサービスであるためには、一時的なコミュニケーションのみでCXを設計するのではなく、長期的な関係構築を目指すことも重要だと考えています」
KARTEを利用するなかで、KARTEを使わない部分のサービスを創る努力が増え、サービスの長期的な価値向上に向けたアクションをとりやすくなった、と語る米島氏。
MonotaROは過去にも、CX Clipの記事に登場してくださっています。同社のKARTEの利用事例が気になる方は、ぜひこちらもご覧ください。