Event Report

「知りたい情報が見つからない」をなくす。みずほ証券によるRightSupportを活用したチャネル最適化を実現するWebサポート

「第24回コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2023 in 東京」にて語られた、みずほ証券による顧客体験向上のためのWebサポートについてレポート。RightSupport by KARTEを活用し、どのようにチャネル最適化を推進しているのかを紹介しています。

顧客体験の向上を目的に、あらゆる手段でサポート体制を整えたものの「問い合わせが一向に絶えない」という経験をした企業は少なくありません。株式、債券、投資信託などの金融商品を販売するみずほ証券も、同様の課題を抱えていました。

「第24回コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2023 in 東京」では、「みずほ証券が実践するRightSupport by KARTE。顧客体験向上のためのWebサポートとは」と題したセッションを開催。みずほ証券ダイレクトチャネル事業部でヴァイスプレジデントを務める門村和信さん、同事業部の東京第二コンタクトセンター次長の押川真吾さんが登壇しました。

「RightSupport by KARTE(以下、RightSupport)」を提供するRightTouch代表取締役の野村修平がモデレーターを務め、みずほ証券がRightSupportを導入した経緯や、その活用術に迫りました。

900ページのFAQを用意しても、問い合わせは減らなかった

みずほ証券ダイレクトチャネル事業部は、国内リテール営業部門の非対面チャネルを管轄しています。事業部内にはオンライントレードサービス『みずほ証券ネット倶楽部』を管轄するネット運営管理チームと、コール応対機能も備えるコンタクトセンターを運営するチームが存在し、門村さんが前者、押川さんが後者のデジタルチャネルを担当をしています。

みずほ証券は、全国に100店舗以上の営業所を構え、各店舗の営業担当者がお客様に対し、株式、債券、投資信託などの金融商品を対面で販売するビジネスモデルを展開してきました。しかし、ここ数年間で、その体制に大きな変化が起きています。

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門村さん 「みずほ証券では、店舗ネットワーク、コンタクトセンター、オンライントレードサービス『みずほ証券ネット倶楽部』の3つのチャネルから、お客様がその時々のニーズに合ったチャネルを選び、利用していただける体制を目指しています」

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みずほ証券株式会社 ダイレクトチャネル事業部 ヴァイスプレジデント 門村和信さん

みずほ証券のダイレクトチャネル事業部では、お客様への情報提供に関するある課題を抱えていたと言います。

門村さん 「弊社ではさまざまなお客様のさまざまなニーズに対応するため、FAQや操作ガイドなど複数のコンテンツを用意しています。ところが『知りたい情報が見つからない』『見つけても説明内容が難しい』といった声が聞かれ、お客様が求めている情報をしっかりと届けられていないと感じていたんです。

特に、FAQに関しては900以上の項目を用意していますが、コンタクトセンターへの電話は減らず、我々が『提供している情報』と『お客様が知りたい情報』にギャップがあると感じていました」

施策から分析まで一貫して部署内で完結可能に

みずほ証券では、2022年に基幹システムと会員サイトのリニューアルを実施。新しいシステムにログインしてもらう上で、お客様が自らパスワードを再設定する必要が生じたため、対応方法を記した冊子を配布したものの「ログインの仕方がわからない」というお客様からの連絡が絶えなかったそうです。

このとき「お客様の困りごとを正確に把握」し、「解決に向けてお客様をサポートする」仕組みの必要性を感じ、チャットボットやボイスボット(自動音声応対システム)など、さまざまなツールの導入を検討し始めたと門村さんは言います。

そうして、チャットボットやボイスボットなどと共に、RightSupportも導入。その意図を押川さんはこう語ります(導入の経緯などをより詳しく語っていただいたお二人へのインタビュー記事も、ぜひ併せてお読みください)。

押川さん 「分析から施策までを一気通貫で対応できることに魅力を感じ、導入を決めました。同時期にチャットボットを始めとしたさまざまなツールを導入しましたが、大体は分析特化ツール、施策特化ツールとツール自体が分かれています。

それらを有機的に組み合わせて活用しなければ、お客様の体験は向上させられないと感じていました。でもRightSupportがあれば、分析から施策の実行を一元管理できる。そこに大きな魅力がありました」

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みずほ証券株式会社 ダイレクトチャネル事業部 東京第二コンタクトセンター次長 押川真吾さん

さらに、「RightSupportの導入によって、顧客体験の向上に向けた施策の実行を、部署内で完結できるようになることも期待していた」と門村さんが重ねます。

門村さん 「以前はページの修正を別の部署に依頼するなど、自部署内で作業を完結させられず、時間とコストがかかっていました。

RightSupportはノーコードで施策が作れ、修正も簡単にできるので、部署内で作業を完結させられるのではないかと思ったのです。そういった面も踏まえて、導入しない手はないと思っていましたし、上層部も含めてRightSupportに対する期待値は非常に高い状態でした」

コンタクトセンターとネット運営管理チーム連動で仮説を構築し、より適切なサポートを実現

現在、みずほ証券ダイレクト事業部では、Google Analyticsで行動履歴を統計的に把握し、RightSupportでn1分析を実施。それらのデータを元に、さまざまな施策を講じていると言います。その内の一つが、「ウィジェット(アプリケーションの一部機能をホーム画面などに小さく表示する機能)」を用いたWebサポートです。

門村さん 「データ分析を得意とするネット運営管理チームと、現場の声を拾っているコンタクトセンターのメンバーと共にお客様の困りごととその解決策に関する仮説を立てています。そして、困りごとが発生しそうなタイミングを先回りし、FAQの中から適切なものをウィジェットで表示しているんです。さらに、チャットボットと連携することで、FAQで問題解決できない場合も、その場でテキストによる問い合わせができるようにしています。

これまでも、コンタクトセンターのメンバーから『ここで困っているお客様が多い』という声はあがっていました。しかし、『お困りのポイントでどのように動いているのか』、ひいては『なぜ困っているのか』が判然としなかった。

RightSupportを導入したことによって、お客様一人ひとりの動きが可視化でき、『困りごと』の解像度が上がりました。これらを通してお客様の困りごとを解決することはもちろん、顧客体験の向上にも繋げています」

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また、公開買い付けに参加するお客様のサポートにも、ウィジェットが活用されています。

公開買い付けとは、特定の株式を大量に取得したいと考えている企業や個人が、不特定多数の人に対して買付価格や期間などを公告することを通して、保有する株式を売ってくれるように勧誘し、取引所外でそれらの株式を買い付けることを指します。

公開買い付けは取引期間が決まっています。その都度専用サイトを作成したり、お客様属性に応じて表示内容を出し分けたりしていると、対応コストがかかってしまうことから、RightSupportのウィジェットを活用しました。

門村さん 「公開買い付けに関する施策の目的は、必要な情報にスムーズにたどり着いていただくことです。まずは参加するために必要な手続きと、問い合わせ先である電話番号を記載したウィジェットを作成し表示したところ、問い合わせ数はウィジェット導入前の1.6倍に増加しました。

しかし、コールが増加すればするだけ、コンタクトセンターの負担は増えてしまいます。そこで、ウィジェットにチャットボットを組み込み、24時間対応を可能にしたところ、コール数はウィジェット作成前の1.1倍までに抑えることができたのです。

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金融商品の取引では、公開買い付けのような特定のイベントが発生すると、一気に問い合わせ数が増加し、一時的に電話がつながりにくい状態になってしまいます。そういった事態を抑制するためにも、適切に情報を出し分けることが重要だと門村さんは言います。

例えば、「公開買い付けの仕組みはある程度理解しているため、必要最低限の情報だけを求めている」というお客様がいる一方、「公開買い付けのことはまったくわからないが、とりあえず話を聞きたい」という方も存在し、制度への理解度やニーズはさまざまです。「それぞれのお客様に合った情報の出し分け方を模索してきた」と門村さんは振り返ります。

顧客の希望するタイミングに合わせて、最適な窓口やサポートを出し分け

みずほ証券のWebサポート活用はこれだけにとどまりません。

コンタクトセンターは、営業時間や営業日の制約があるため、「案内先」として情報を提示していたとしても、お客様のアクセスタイミングによってはすぐに問い合わせできないことがありました。そこで、緊急性が高い問い合わせが発生し得るページにおいては、時間帯ごとにウィジェットの出し分けを実施していると言います。

門村さん 「会員サイトのログインページにおけるサポートとして、FAQをウィジェットで表示し、時間などによってその内容を出し分けています。以下のスライドをご覧下さい。

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門村さん 「営業時間内では、コンタクトセンターや有人チャットを問い合わせ窓口として表示し、営業時間外には、その時間でも対応可能なチャットボットなどをウィジェット内に表示しています。

実施前は営業時間外の問い合わせニーズが本当にあるのかと疑問に思っていたのですが、実際に手続きされる方もおり、効果的な施策でした。お客様の希望するタイミングにあわせて適切な窓口を案内してサポートチャネルの最適化を行うことで、顧客体験の向上を目指しています」

最後に共有したのが、有人チャットへの導線としての活用です。従来は、固定バナーで有人チャットへの導線を引いていましたが、見落としてしまうお客様も少なくなかったと言います。そこで、ウィジェット内で有人チャットを案内することに。

押川さん 「ウィジェットをタイミングに合わせてポップアップ表示にすることで、お困りのお客様の目に留まるようになり、有人チャット利用率は最大1.7倍に増加しました。さらに、RightTouchさんに一肌脱いでもらい、他社のチャットボットとKARTEの連携を実現していただきました。

そうすることによって、有人チャットのオペレーターは、Web上でのお客様の行動を確認しながら応対できるようになったのです。これによって『ここで困っていませんか?』とお客様の課題に気づき、短時間でその課題を解決できるようになりました」

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みずほ証券は、RightSupportを導入してから約1年でさまざまな施策を展開し、オンラインでのお客様サポート(Webサポート)の内製化を進めチャネル最適化を実現。取り組みを牽引してきたお二人から今後の展望が語られ、セッションは幕を閉じました。

門村さん 「これまでのさまざまな場面でRightSupportを活用してきましたが、まだまだポテンシャルがあり、今後より大きな価値を生み出せそうと感じられるようになりました。今後はより幅広い顧客接点で横断的に施策を実施し、みずほ証券が持つオンラインサービス全体として、より良いカスタマージャーニーを実現していきたいです」

押川さん 「これまでの取り組みの中で、お客様がサービスを使えば使うほどRightSupportを通してデータが得られ、そのデータを元に精度の高い改善活用が進められることを実感しています。

これからもRightSupportを利用してさまざまな施策を実施し、より良い顧客体験を提供できるサポート体制の構築を進めていきたいと考えています」

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