顧客の課題発見から施策まで部署内で自走可能に。内製化を実現したみずほ証券のRightSupport by KARTE活用

みずほ証券株式会社 ダイレクトチャネル事業部は「RightSupport by KARTE」を導入以降、チーム横断して顧客対応やサービス改善の速度が向上。本記事では、導入背景から活用法と成果、今後の展望を伺いました。

みずほ証券株式会社 ダイレクトチャネル事業部は、非対面チャネル営業としてオンライントレードサービスとコールセンターの二本柱でチームを分けて運営しています。顧客体験を改善するため、役割が異なる2つのチームを横断した取り組みを開始しました。

同社では、「RightSupport by KARTE」を導入以降、2つのチームが目線を合わせて顧客対応やサービス改善が素早く行えるようになったといいます。

本記事では、みずほ証券株式会社 ダイレクトチャネル事業部 東京第二コンタクトセンター 次長の押川真吾さん、同事業部 ヴァイスプレジデントの門村和信さんにRightSupport by KARTEの導入背景から活用方法と成果、そして今後の展望を伺いました。

お問い合わせしなくてもよい課題の自己解決を促すために

──貴社のミッションや事業内容を教えてください。

門村: 私たちの所属しているリテールビジネスでは「必要なときに必要な形でお客様の人生や事業活動に伴走し、〈 みずほ〉でしか得られない価値体験を提供していくこと」を目指しています。そのため、個人および法人のお客様それぞれに対し、専門的かつ高度な金融サービスを提供しています。

弊社は、多様化するお客様のニーズにお応えするため、業界トップの店舗ネットワーク、コールセンター、そしてオンライントレードサービス「みずほ証券ネット倶楽部」の3つのチャネルをご用意しています。

私たちの部署では、非対面でのお客様のサポートを実施していまして、押川がコンタクトセンターに所属しデジタルチャネル担当をしており、私がオンライントレードサービスを管轄するネット運営管理チームに所属しています。

──顧客をサポートする上で、どのような課題が存在していたのでしょうか。

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ダイレクトチャネル事業部 ヴァイスプレジデント 門村和信氏

門村: ネット運営管理チームでは、パソコンやスマートフォンを利用したオンライントレードや、LINE、メールなどのコミュニケーションツールを用いたタイムリーな投資情報の提供を行っています。こうしたサービスを提供する中でお客様に疑問が生じた際、自己解決できるのが望ましい。そのため、様々なニーズに備えてFAQなど自己解決のためのコンテンツを用意してきました。

ただ、網羅的に紹介しようとすると、どうしてもコンテンツの量も多くなってしまい、必要な情報にたどり着けないという課題が生じます。また、取り扱う商品・サービスの性質上、どうしても難しい説明になってしまう面もありました。

既存のコンテンツだけで自己解決を促すことに限界があるというだけでなく、コンテンツを閲覧いただけたとしても、その後お客様が問題を解決できたかどうかを確認できない、という点も課題となっていたのです。

押川: もちろん、すべての問題を自己解決できるわけではないので、コンタクトセンターへのお問い合わせが必要なこともあります。ただ、FAQページに書いてあることに近い内容をお問い合わせいただくことも頻繁に発生していました。

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分析から施策配信までを内製化できるように

──そうした課題感がある中、RightSupport by KARTEを導入した経緯はどのようなものだったのでしょうか。

押川: セミナーでRightSupportを活用した事例を聞き、弊社の顧客サポートにおける課題の改善に活用できるのではと、検討を開始しました。

当時、コンタクトセンターでは音声ボットに加え、チャットボットを入れるタイミングでもありました。お客様の自己解決を促進するためのチャネルを強化している時期に、RightSupportも合わせて導入することになったわけです。

──導入の決め手となったのはどのような点だったのでしょうか?

門村: 決め手は大きく2つです。ひとつは、分析から施策までを一気通貫で対応できること。他にも様々なツールがありますが、分析は分析、施策は施策と分かれています。それぞれのツールを使いこなすことはハードルが高く、非効率になっています。「ここにペインがある」という分析に留まってしまい、改善点や具体ニーズまでがなかなか見えなかったり、サポートを出すという行為には繋げられない。RightSupportは施策から分析までわかりやすい画面で対応できる。これは非常に魅力的でした。

もうひとつは、部署での自走化が見込める点です。先程も申し上げた通り、以前はページの修正をするのに別の部署に依頼するなど、自部署内で作業を完結できず、時間とコストがかかっていました。RightSupportはノーコードで使えるので、自分たちの部署だけで、すぐに修正が完結できるのであれば、導入しない理由はなく、上層部も含めて社内のRightSupportに対する期待値は非常に高い状態でしたね。

──実際に導入してみていかがでしたか?

門村: 最初に簡単な使い方のレクチャーを受けて、すぐに自分でウィジェットを出してみました。その施策を通じて、お客様の困りごとに対して解決策を促すことができ、簡単さと実行までのスピード感に驚きましたね。

顧客のニーズをデータから正しく理解。施策をスムーズに配信し、問い合わせを適切に削減

──現在、RightSupport by KARTEをどのように活用されていますか?

門村: 使い方は大きく二通りです。ひとつは、お客様のニーズを想定して、弊社側から適切なタイミングでサポートウィジェットを配信して、自己解決を促す使い方。もうひとつは、ウェブチャットなどノンボイスでのサポートへの入口としてウィジェットを表示する使い方です。

以前は、お客様が各ページで求めていることは私たちの想定でしかありませんでした。RightSupportの導入後、お客様の行動をすぐに分析できるようになったので、まずサポートウィジェットを表示してみて、実際にニーズがあるかどうかを検証するというPDCAを回せるようになりました。

──RightSupport by KARTE導入後に生まれた成果にはどのようなものがありますか?

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ダイレクトチャネル事業部 東京第二コンタクトセンター 次長 押川真吾氏

門村: 以前は、Webサイト上でお客様にご案内する情報を変更するためには、固定バナーの修正が必要で、この作業に時間がかかっていました。今はRightSupportを使ってウィジェットでお客様にご案内が可能です。この作業は簡単かつ、短時間で完了できるようになりました。

押川: 着実に自己解決の促進もできている手応えがあります。例えば、パスワードがわからない場合、今まではとりあえず電話するお客様が少なくありませんでした。今は、パスワードがわからなくなって調べていると想定されるお客様に対して、解決方法を提示するウィジェットを出せるようになりました。「2種類のコードがあって、1個は覚えている」「入力を間違えて、ロックがかかってしまった」など、パスワードにおける困りごとに応じて、電話をしなくても解決できるように適切な解決策をご案内できるようになったのです。

また、口座開設におけるお問い合わせも減少しました。口座開設ステップの特定項目の入力方法でつまずき、お問い合わせをいただくケースが立て続けに発生したのですが、ウィジェットで入力方法を提示することでピタッとお問い合わせが止まりました。Webサイトの改修をすることなく、これらの対応ができるようになったのは大きな成果ですね。

押川: 自己解決の促進だけでなく、ノンボイスへの誘導もやりやすくなりましたね。以前Webサイト上にチャットボットを導入したのですが、導入からしばらくの間は全く使われなかったんです。これはなんとかしなくては、とサイト上に固定バナーを設置して少し利用されるようになりましたが、それでも想定より利用は伸びなかったので、RightSupportのウィジェット内にチャットへのリンクを表示するようにしたら、大きく利用頻度が向上しました。
加えて、弊社が導入しているチャットボット「MOBI BOT(モビボット)」、有人チャットシステム「MOBI AGENT(モビエージェント)」と、RightSupport by KARTEとの連携により、ノンボイスでのサポートも効率化できています。

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「RightTouch、モビルスと協業し、「KARTE RightSupport」とチャットボット「MOBI BOT」有人チャット「MOBI AGENT」を連携」 (プレスリリースより抜粋)

問い合わせ前行動を踏まえたサポートシナリオ提示ができていますし、その時の行動や状態などの問い合わせ前データをチャットオペレーターに連携し、一人ひとりのお客様に寄り添ったスムーズなサポートを実現しやすくなりました。

RightSupport by KARTEがコールセンターとオンライントレードサービスのチーム連携を育む

──RightSupport by KARTEによって、体制面での変化はなにかありましたか?

門村: 以前はそれぞれのチームが、それぞれの役割を全うする意識が強く、連携できていたとは言い難い状態でした。ですが、お客様の体験という観点からは、横串で対応できたほうが良いことは間違いありません。RightSupportを活用することで、チーム間の連携がしやすくなりました。

押川: 例えば、お客様からメールやチャットでお問い合わせがあったとき、コールセンターのメンバーはRightSupportにログインして、ページの分析ができるようになっています。コールリーズンと、実際のお客様の行動を踏まえた上で、FAQやウィジェットの改善案をネット運営管理チームのメンバーにフィードバックしています。

チーム間で同じデータを元にコミュニケーションができるようになったことで、以前よりもコールセンター(現場)の声が、Webサイトでの改善に反映され、お客様の困りごとを解消するための改善がスピーディーに行えるようになりました。

門村: 両チームで同じ目線で会話しやすくなりましたね。少しずつ、現場のメンバー同士が直接コミュニケーションをとる機会も増えていて、良い変化が生まれていると感じています。

押川: RightSupportの導入前は、私たちからインターネットチームに声を届けることもなければ、逆に要望をもらうこともなかったので、かなり大きな変化だと思います。

“顧客群ごと”のニーズに向き合い、ストレスなく使えるサービスを目指す

──今後RightSupport by KARTEを使ってやってみたいこと、展望をお伺いできますか。

門村: 今後は会員サイトやスマートフォンのアプリなど、お客様のタッチポイントの全てに導入し、カスタマージャーニーを一貫して改善できる体制にしていきたいと思っています。そうすることで、お客様がストレスなく使えるサービスにしていきたいですね。

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──今後、目指していること、構想していることがあれば、ぜひ教えてください。

門村: 当社のお客様には、Webサイトの操作に慣れておらず、つまずかれる方もいらっしゃいます。そうした方々に向けたサポートは今後も改善していきたい点ですね。

また、金融知識はあるけどインターネットに慣れていない方、あるいはインターネットには慣れているけど金融知識はない方、両方のタイプの方々にとって使いやすいサービスを提供していきたいと思います。

押川: 様々なタッチポイントにRightSupportを導入すれば行動データをさらに蓄積できるようになり、さらなる価値提案なども可能になっていくのではと考えています。

RightSupportは、分析だけではなく、問題解決のためのサポートをこちらから提示できるので、サービスが使いやすくなり、お客様の利用頻度が向上します。お客様が使いたいと思うサービスになっていなければ、利用はされず、データも蓄積されません。

お客様にとって価値あるサービスを提供し、結果としてお客様のデータも蓄積される。このサイクルを回す上で、RightSupportには大事な機能がたくさん詰まっていると思いますね。

門村: 当初は「ペインを探す」という目的でRightSupportで分析を行いました。ところが途中で、探るべきは「ペイン」だと思っていたものが実は「ニーズ」であることに気づいたんです。お客様のペインを解消するのではなく、ニーズを探るために活用しているのだと考えるようになりました。

数多ある分析ツールも、ざっくりとしたペインの発見に留まってしまい、具体的なニーズの特定や改善策にはつながらないケースも少なくありません。その点、お客様のニーズを読み取り、さらにニーズに応えるための働きかけもできるRightSupportは利便性が非常に高いと思います。

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