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SmartHRがKARTE Signalsを通じたVBB型広告運用事例を発表

ファーストパーティ・カスタマー・データ活用により広告配信最適化を実現する「KARTE Signals」を提供する株式会社プレイドは、5月18日、「1st Party Data活用戦略 SmartHRが実践するVBB型の広告運用とは」と題したセミナーを開催した。

ファーストパーティ・カスタマー・データ活用により広告配信最適化を実現する「KARTE Signals」を提供する株式会社プレイドは、5月18日、「1st Party Data活用戦略 SmartHRが実践するVBB型の広告運用とは」と題したセミナーを開催した。

本セミナーには、プレイド社に加えて、クラウド人事労務ソフトのSmartHR社が登壇。ファーストパーティデータ活用に関する最新動向や、CPAではなく「Value(価値)」によって広告最適化を行う「Value Based Bidding(バリューベースドビッディング、VBB)」の具体例などについての解説を行った。

この記事は、「ExchangeWire」で2023年6月7日に公開されました。

ファーストパーティデータ活用の課題とは

KARTE Signalsの事業責任者を務める鷹嘴昌弘氏は、サードパーティCookieの利用制限などを受けてファーストパーティデータを活用した広告の最適化が注目されているものの、その実施に際しては様々な課題があると説明。そのうち、プライバシーポリシーの整備については同社で知見を蓄積しており、Eメールアドレスや電話番号を始めとする「個人情報」とクリックIDやCookieに代表される「個人関連情報」を区別した上で、GoogleやFacebookといった各種の広告媒体それぞれに対して各情報を提供するためにどのような文面を用意すべきかについては既に整理されていると伝えた。

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またファーストパーティデータに基づく広告最適化では、自社が保有するオンラインデータとオフラインデータさらにはサードパーティデータなどを統合及び加工した上で広告媒体と連携することになる。しかしながら、その仕組みが複雑であり、専門的かつ属人的な業務になりやすく、異なる部門同士によるデータ連携体制の構築が難しいといった課題が発生し得ると指摘。これらの課題を解決するためのソリューションとして、KARTE Signalsの有効性を紹介した。

ファーストパーティデータ活用のユースケース

KARTE Signalsでは、JavaScriptのタグを挿入することで、自社サイトに集まったデータの取り込み作業を自動化する。またCSV、Google Cloud Storage (GCS)、S3といった手段を通じてオフラインデータとも連携可。独自に発行したIDにこれらのデータを紐づけることで、多層的なユーザー情報を整備することができる。

さらに広告媒体へのデータ送信に際しては、予め用意されたテンプレートを通じて連携。媒体連携に必要なAPIを常時更新している。こうした一連の仕組みを通じて、データの収集・統合・加工・連携に関わる作業の大幅な効率化を実現した。

鷹嘴氏によると、ファーストパーティデータを広告に利用する利点は主に3つある。まずはサードパーティCookieの利用制限により把握できなくなったコンバージョンに関する情報をファーストパーティデータに基づき補完することで、広告の最適化を促進する。次にオーディエンスリストを作成することで、精度の高いリターゲティングや類似拡張配信を実施できるようになる。そして3番目が、例えば「単発買い顧客」よりも「継続購入顧客」をより価値の高いユーザーとして設定し、継続購入顧客をより多く取り込むことを目的とした入札価格の最適化つまりVBBの実現である。鷹嘴氏は、いずれの用途もオンライン広告における普遍的な課題に対応しており、ありとあらゆる業種・業態の事業会社が活用し得るとの考えを示した。

VBBで過去最高の見込み顧客リードの獲得率を実現

株式会社SmartHRのマーケティンググループ リードジェネレーションデジタルユニットに所属する荒木智陽氏は、KARTE Signalsの活用事例についての発表を行った。同社では、従業員数や業種などに関する一定条件を満たした見込み顧客リードや、その中でも商談実施に至ったユーザーの情報に基づき、VBBを実施することを計画。ただし、VBBだけに留まらず、ファーストパーティデータを広告運用に活用する上では、様々な実装ハードルに直面した。

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まず、VBBを実施するには、見込み顧客リードや商談実施に至ったユーザーの情報を大量のデータの中から抽出し、かつそのデータを広告媒体へと送信しなければならない。さらにオーディエンスリストを作成するとなると、日々更新されていく情報を定期的にリストへと反映し、セグメント化した上で、複数の広告媒体へと連携させる作業を要する。またコンバージョン情報を広告媒体へと送り届ける仕組みを構築するにはエンジニアのリソースを確保せねばならず、そのためには作業を行った結果としてどのような成果が見込めるかを示すことが求められるといった新たな手間が発生してしまう。

そこで同社は、MAツール上で「見込み顧客リード」などの種類別にユーザーの区分を行った上で、データウェアハウスへと出力。またCXプラットフォームであるKARTEから取り込んだコンバージョン情報とGoogle Analytics 4のクライアントIDをGoogle広告へと送信することで効率的なVBBの仕組みを確立した。なお、作業を行う上では、SQLを通じて見込み顧客リードや商談実施に至ったユーザー情報を抽出する必要があった。これまで社内研修でのみしかSQLに触れたことがなかった荒木氏は、ChatGPTを活用することで容易にSQLを生成することができたという。

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その結果として、Googleディスプレイネットワーク(GDN)の見込み顧客リードの獲得率(=見込み顧客リードの獲得数÷クリック数)は、同社がインハウスでの広告運用を開始してから過去最高値を達成した。

同社ではほかにも、オーディエンスリスト作成やコンバージョン測定にKARTE及びKARTE Signalsを活用。類似配信においては、媒体CPAが10%改善し、親和性の高い見込み顧客獲得率が9.9%増加、同顧客獲得単価が18.3%低下するなどの成果を出した。

本セミナーのアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。

SmartHRのKARTE Signals活用はこちらからもご覧いただけます。

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