Event Report

他社の成功事例を上手に取り入れるために必要なこととは?ECサイト「ジュピターショップチャンネル」の事例|KARTE Friends Meetup vol.21

・登壇者:ジュピターショップチャンネル株式会社 オムニコンテンツ企画開発本部の宮内繁さん・カゴ落ち施策に悩み、半信半疑で異なる業態のECサイトの事例を試してみると、CVRが10%程度改善・KARTEを有効活用するためには、テスト実施のハードルを上げすぎないのが重要

2019年11月21日、KARTE Friends Meetup vol.21を開催しました。今回、ゲストとして登壇してくださったのは、ジュピターショップチャンネル株式会社 オムニコンテンツ企画開発本部の宮内繁さん。

ジュピターショップチャンネル株式会社は、CSやBS、地上波などで視聴可能な「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販会社です。テレビ番組と連動して、世界中から集めた厳選商品を販売されています。
KARTE導入から1年に満たないながらも様々な施策を実行し、着実にCX(顧客体験)向上につなげている同社。その試行錯誤のプロセスには、KARTE活用に限らずWebサイトの企画立案に生かせるヒントが多くありました。ぜひ、当日の発表を自社の参考にしてみてください。

他業種の事例が思いがけない効果につながった

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ショップチャンネルより

ジュピターショップチャンネルでは、Webサイトの利便性向上やスマートフォン向けアプリの開発にも注力しており、2019年1月からKARTEを導入いただいています。社内で担当者としてKARTEを運用する宮内さんは、大切にしていることをこう語ります。

宮内さん「KARTEを有効活用するためには、テスト実施のハードルを上げすぎないのが重要です。『これは成果が出なそう』と思うような施策であっても、やってみたら効果がでるということはよくあります。とりあえず試して、顧客からの反応を元に判断する。この考えを持っていると、社内の意見も取り入れやすいですし、他社事例なども柔軟に応用できます」

他社の事例が効果につながったのが、カゴ落ち防止施策。カゴ落ちとは、顧客が買い物カゴに商品を入れたにも関わらず購入に至らずに離脱してしまうこと。カゴ落ち率は売上の増減に直結する部分であり、ECサイトにとって非常に重要な改善項目となります。

宮内さん「KARTEを使ってサイト内メッセージを表示することで、カゴ落ちを減らそうと試みました。そこで、顧客が商品をカゴに入れてからサイトを離脱するまでのプロセスを徹底的に分析。カゴ落ち防止に効果がありそうなメッセージ内容、表示タイミング、表示箇所、そして表示回数を洗い出し、それらを組み合わせてテスト内容を決め、思いついたテストパターンをどんどん試していきました」

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「しかし、残念ながらどのテストもほぼ効果はありませんでした」と宮内さんは語ります。推定工数と想定成果のバランスを考慮して、テスト終了の決断をしたそうです。テストは終了したものの、カゴ落ち防止施策でできることは本当にないのか。そう考えていた宮内さんがたまたま見かけたのが、他社のファッションECサイトにおけるカゴ落ち防止の事例でした。

宮内さん「事例を知ったファッションECサイトの場合、カゴ落ちしそうになった顧客に対して合わせ買いを訴求したパターンが、最もカゴ落ち率が低かったそうなんです。具体的には、『お買い忘れはありませんか?』というメッセージとともに、いくつかの商品カテゴリを表示するという内容。
正直、違う業態の事例が自分たちにも当てはまるのか半信半疑でした」

「ものは試し」と、ジュピターショップチャンネルでもテストを実施してみたところ、意外な結果につながったそうです。

宮内さん「なんと、すべてのターゲットセグメントでカゴ落ち率が減少し、CVRが10%程度改善したんです。自社には当てはまらないだろうと決めつけて、他社や他業種の事例を参考にテストをしていなければ、この成果にはたどりつけませんでした。とにかく試してみるのが大切だなと実感しましたね」

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試行錯誤のハードルを下げるチームづくり

KARTE導入から1年に満たないにも関わらず、他社事例を参考にした施策を含め、数多くのテストを実施しているジュピターショップチャンネル。施策立案から実施までをスムーズに進めるためには、チームを横断した協力体制が欠かせないそうです。

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宮内さん「弊社の場合、Webサイトの管理・運営を担う部署の中にある3つのグループが協力してKARTEを運用しています。サービス企画グループが施策を立案し、デザイナーのグループとエンジニアのグループが形にする、という体制です。KARTE運用にいくつかのグループやチームが携わる場合、メインの担当以外の人たちにも当事者意識を持ってもらえる工夫が効果を発揮します」

宮内さんは、グループを横断してKARTEを運用するためのコツとして、「誰にとっても意図が分かりやすく、意見を言いやすい施策から着手する」ことを挙げました。

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宮内さん「導入してすぐに、KARTEのシナリオに入っているバナーをそのまま使って、サイトの同時閲覧者数を表示するという定番の施策を打ちました。するとエンジニアグループのメンバーから『パソコン上の警告メッセージの色と似ていて、顧客が戸惑うのではないか』と指摘があって。A/Bテストで数値の変化を確認した上で、色を差し替えました。

誰が見ても分かる施策から始めて、グループを超えて気軽に指摘をもらいやすい状況をつくったんです。自分の意見が聞き入れられ、迅速にテスト、反映されることが社内に伝わり、『KARTEを使ってサイトのCXを改善していく意識』を共通化するきっかけになりました」

職種を問わず、わかりやすい施策を実施し意見を求めることで、メインの運用者以外もサイト改善に関わりやすい雰囲気を作っていく。KARTE導入初期ではなくても真似できる取り組みなのではないでしょうか。最後に宮内さんは登壇内容を振り返り、改めて顧客のニーズを知ろうとする姿勢の大切さを強調しました。

宮内さん「自社サイトのデータ分析を元にするにせよ、他社事例を参考にするにせよ、立案した施策はあくまで仮説であり想像の範囲のもの。施策が顧客のニーズにマッチしているのか、テストで確認するのが何より重要です。

そして、テスト結果から判断できるようにするためには、『一定の根拠がある施策であれば気軽にテストしよう』と言える空気や協力体制づくりが欠かせません。KARTEを活用しやすいチームをつくり、様々なテストをしていくことで、心地よい顧客体験を生み出せると考えています」

KARTE活用に欠かせないのは、トライのハードルを下げること。ジュピターショップチャンネルの事例のように、可能性があまり見込めなくてもまずはテストをしてみる。このような試行錯誤の過程で、少しずつKARTEを使いこなすコツが見えてくるはずです。

他社事例からKARTEを使いこなすヒントを得る――グループワーク

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セッションの後は、グループディスカッションを実施。宮内さんの提案により、今回は主に企画立案のプロセスをテーマとして、現状や成功事例、課題を共有する時間となりました。

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グループワークを終えた後はプレイド社員からの新機能の紹介。最後は懇親会を行い、話しきれなかった課題や事例の共有で引き続き盛り上がっていました。

宮内さんがカゴ落ち防止施策を考える上で他社事例がヒントになったように、他社事例を学び、自社の状況に当てはめながらテストしてみることで、よりKARTEを活用しやすくなるでしょう。

今後もKARTE Friends同士がナレッジ共有できる場を用意していきますので、運用に困っている方はぜひご参加ください。

登壇資料

ジュピターショップチャンネル様に資料の公開にご協力いただきました。当日参加できなかった方、当日の復習をしたい方はぜひご覧ください!

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