Event Report

KARTE Messageで“ユーザーに必要な情報だけ”を届ける。ネクイノのカスタマーサクセスによる継続率改善の取り組み | KARTE Friends Meetup in KANSAI vol.1

2023年6月6日「KARTE Friends Meetup in KANSAI」を大阪にて開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、関西でのオフラインミートアップは数年ぶり。関西のKARTE Friendsが久しぶりに集い、交流する場となりました。

今回のミートアップでは、株式会社ネクイノの西本晃巳さん、堀野莉紗子さんが登壇。同社におけるKARTEやKARTE Messageの導入背景、カスタマーサクセス領域での活用、施策事例が共有されました。

柔軟なセグメント配信で、ユーザーの課題解決を促進

株式会社ネクイノは、「世界中の医療空間と体験をサイテイギRe▷Designする」を理念に掲げ、婦人科領域に特化したオンライン診療プラットフォーム「スマルナ」を運営しています。

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スマルナでは、ユーザーがスマートフォンアプリからピルの相談を行い、診察や処方を受けることができます。処方されたピルが毎月決まった日付に届く定期便、助産師や薬剤師に相談できる「スマルナ医療相談室」など複数のサービスを展開しています。

そんなスマルナが2019年にKARTEを導入した背景について、同社マーケティングチームの西本さんは「行動分析をもとにコミュニケーションを図り、ユーザーの課題を解決したかった」と語ります。

なかでも、アプリインストールから決済のプロセスでつまずいているユーザー、途中解約して再契約に至っていないユーザーに向けて施策を行いたいと考えていました。

そのためにKARTEを選んだ決め手は、大きく2つあると西本さんは話します。

西本さん「施策の結果などがわかりやすく画面に可視化されるため、仮説を立てやすく、PDCAを素早く回しやすい点に惹かれました。
もう一つの決め手になったのは、柔軟なセグメント設定が可能な点です。
スマルナのユーザーには、おおまかに分けて『新規ユーザー』『定期便を利用するユーザー』などがいます。それぞれサービスを使う目的が大きく異なるため、配信内容をしっかり出し分けたい、必要な情報を必要なタイミングで届けたいと考えていました」

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2022年12月からは、メールやアプリのプッシュ通知など、サイト外のコミュニケーション施策の実行を支援する「KARTE Message」を導入しました。KARTE Messageでは、KARTEで計測したデータや外部から連携したデータをもとに、SQLレスでターゲットリストを作成。内容や頻度、属性や行動に沿ったメールやプッシュ通知の設定を簡単に行えます。

参考記事:KARTE Message(β版)をご紹介します

西本さんは、KARTE Messageの導入によって、セグメントごとのメール配信に必要なデータ抽出・連携を効率化したいと考えていました。

西本さん「もともとKARTEと他社のメール配信ツールを使って、顧客情報の管理やメール配信を行っていました。なので、二つのツールのデータをもとに配信を行いたい場合は、少し複雑な連携が必要だったんです。

ですが、KARTE Messageなら、複数のツールのデータもKARTE Datahub(KARTEの行動データと自社のデータを統合して施策などに利用できる)に格納して、簡単にメール配信施策などに活用できます。これまで連携にかかっていた手間を減らせそうだと感じました。

また、ネクイノではKARTE Messageに先んじてKARTE Datahubを導入していました。そのため、KARTE Datahubの中に分析や施策配信に用いるクエリが貯まっていたんです。これらを、KARTE Messageで配信するユーザーのセグメント設定にも利用し、簡単にリストを作成できる点も大きな魅力でした」

さらに西本さんは、施策の成果を確認するレポートページの使い勝手の良さにも言及。「1ページに見やすく効果がまとめられていて、レポートページからCSVデータもダウンロードできる。社内への共有や分析の観点でも便利そうだと感じた」と語ります。

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少人数チームでも、活用開始から5ヶ月間で約70個の施策を実施

続いて、株式会社ネクイノのカスタマーエンゲージメント本部カスタマー戦略本部にてKARTEを活用する堀野さんが、同部署におけるKARTEやKARTE Messageの活用法、施策事例を紹介します。

ネクイノのカスタマーサクセス戦略本部の目的は、ユーザーがサービスを使いこなし、継続したくなるようサポートすること。KPIには解約率やGMV(一定期間内における提供商品やサービスの売上高の総額)を置いているそうです。

堀野さん「チームでは2023年1月からKARTEとKARTE Messageを使い始めました。KARTEを活用するチームメンバーは、もともとユーザーからの問い合わせ対応を担うカスタマーリエゾンチームや、助産師や薬剤師などで構成された医療相談対応を担うメディカルリエゾンチームなど、顧客と直接関わるチームにおり、ユーザーからの問い合わせを日ごろから直接聞いてきました。なので、ユーザーのためにやりたいことのアイデアは無数にあったんです。

今回KARTEで施策を行うにあたって、カスタマーサポートやメディカルリエゾンのチームメンバーと一緒にユーザーの困りごとを洗い出しました。

そうすると、1時間でものすごい量の付箋が集まりました。今は事業やプロダクトの状況を踏まえて優先度の高いものから実行しています。活用を始めて5ヶ月間でおよそ70個の施策を行いました」

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実際にどのような施策を行ってきたのでしょうか。一つ目に紹介したのは解約率を改善する施策です。

スマルナでは、かねてからピルの定期便サービスの自動解約率(ピルの処方日より18日以内に決済が行われず、解約されたユーザーの割合)の高さが課題として挙がっていました。
なかでも初回処方のユーザーのキャンセルが多くなっていたそうです。
そこで、堀野さんは「初回処方のユーザーの大半が自動解約する理由」について二つの仮説を立て、KARTEで施策を実行しました。

堀野さん「まず、『初めて使うから、決済の方法がわからないのではないか』という仮説がありました。そこで、決済画面に定期便のプラン選択にまつわる説明を表示する施策や、FAQを案内する施策などを試しました」

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もう一つの仮説は『決済ができていないことに、そもそも気づいていないのではないか』というもの。スマルナでは、医師からオンラインで診察を受けて処方が確定し、決済を行います。ですが、診察を受けた段階で処方も決済も終わったと勘違いしてしまう人もいるのではないかと考えました。

堀野さん「もともと自動解約になる当日には、カスタマーサポートが手動で『解約されてしまうかもしれません』といったメールを送っていたんです。そこに加えて、初回決済の翌日と自動解約の1週間前にリマインドメールを配信する施策を行いました」

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これら二つの施策を行った結果、1ヶ月で自動解約率は18%ほど減少、二つの施策の相乗効果を感じていると言います。

また、KARTEで施策を行う様子を見たサポートチームが、これまで手動で行っていたメール配信をKARTE Messageで自動化するなど、他部署の業務効率化にも間接的に寄与しました。

次に堀野さんが紹介したのは、継続率改善のための施策です。

堀野さん「スマルナでは一度の診療で1年分のピルを処方することも可能です。その場合、毎月必要な分を定期便で受け取り、12ヶ月が経つと満了となり、再度診療が必要になります。

2022年6月に定期便のサービスを開始したため、初期から使っているユーザーは、2023年6月以降に満了を迎えます。実際にどのくらい継続してくれるのだろうか?という不安があったのに加え、再度診察が必要と知らないユーザーから『薬が届かない』といった問い合わせも届いていました」

チームは、ユーザーが継続しない理由について、解約率改善の施策と同様に二つの仮説を立て、施策を実施しました。

一つ目は「継続したくなるような動機がない」という仮説。西本さんの所属するマーケティングチームと連携し、キャンペーンの訴求やクーポンの告知などを実施しました。一つのキャンペーンの訴求でも9個前後のセグメントを用意し、メールやポップアップで訴求を行ったそうです。
「登録期間ごとにセグメントを分けて『お客様の登録時にはなかったお得なプランがあります』といった形で、お客様が『自分ごと』と感じやすいような訴求内容を意識し、配信しました」と堀野さん。

二つ目は「そもそも継続するために新たな診察が必要と認知されていない」という仮説です。ユーザーの契約後の日数に合わせて、メールやポップアップ、プッシュ通知などのチャネルでリマインドを行いました。

堀野さん「二つの仮説にもとづき施策を実行した結果、KPIである継続率も目標数値を達成し、スマルナを始めてから最大の売上を記録することができました。
特にメールの配信は一見地味な作業なのですが、少しずつ効果が出ている実感があり、改善のモチベーションになります。一つひとつのメールと丁寧に向き合うことが、KPIの達成に大きく寄与したのではないかと思っています」

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KARTE Messageで“ユーザーに必要な情報だけ”を届ける

施策の成果を踏まえて、堀野さんがKARTEを導入することによって得られた効果を語ってくれました。

堀野さん「まず、工数を削減できただけではなく、開発との連携も円滑になり、施策のPDCAを素早く回せるようになりました。

KARTEでは、複雑ではない施策であれば開発の工数をかけず、担当者のみで実装できます。さらに、日ごろから自分たちで施策を実装しているからこそ、開発との連携が必要になったときも、より的確に要望を上げられるようになりました。自分たちのできる範囲で施策を試し、その内容をもとに依頼をするといったやり方も可能になったのは大きな変化です。

二つ目に、セグメントごとに配信内容やチャネルを細やかに出し分けられるようになりました。具体的には薬の種類や契約期間、継続中・解約済みといったステータスなど、細かくセグメントを分けて、分析や施策を行っています」

堀野さんは、ユーザーの状態や行動に合わせて必要な情報のみをメールで配信することで、より“自分ごと”として興味を持ち、受け取ってもらいやすくなった実感があると話します。一斉送信で送った場合は開封率が38%だったメールの内容も、セグメントを絞って送ると開封率が66%に上がった例もあるそう。

堀野さん「今までは一つのメールに自分たちが伝えたい内容を沢山盛り込んでいました。『スマルナ医療相談室』のURLも載せたいし、診療のURLも知ってほしい、SNSのアカウントも3つ配置して……といった形です。

ですが、診療に関心のあるユーザーには『診察室へ進む』、相談をしたいユーザーには『相談室へ進む』のURLを案内するだけでいいかもしれない。そうやって必要な情報に絞っていったことでクリック率も高まりました」

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少人数チームでありながら、KARTEやKARTE Messageを使って工数を抑えつつ、顧客に合わせたコミュニケーション施策を実現。ユーザーの課題解決や成果につなげているネクイノのカスタマーサクセスチーム。

今後は、LINEでの配信施策や「Journey(複数の施策が連動した体験全体を俯瞰しながら、各施策を設計・実装、検証できる機能)」を使った施策なども試していきたいと言います。「サービスの利用や継続への関心が強いユーザーを把握し、コミュニケーションを図りながら決済率をさらに伸ばしていきたい」と西本さんは語りました。

堀野さんは「お客様の行動をもっと深掘りして分析し、施策につなげたい」と展望を共有。「ぜひKARTE Friendsのみなさまと話して、色々なアイデアをもらえたら」と発表を締めくくってくれました。

関西のKARTE Friends同士で、飲み物片手に交流!

発表の後は、プレイドのカスタマーエンジニア 和田がKARTE Messageの簡単なデモを実施。SQLを書かずにノーコードでメールの配信ユーザーを絞り込む方法を実際の画面とともに説明しました。

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デモの後は名刺交換タイムを経て、懇親会の時間!乾杯を合図に、ビールや軽食を取りながら、参加者同士で交流を行いました。

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数年ぶりの開催ということもあって最初は落ち着いた雰囲気だった会場も、懇親会が進むにつれて和気藹々とした雰囲気に。それぞれのKARTE活用の取り組みや施策についてざっくばらんに情報交換を行う姿がみられました。

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会場では、参加してくださったKARTE Friendsにお土産も用意しました

今後もプレイドでは、KARTE Friends同士がKARTEの活用法や施策、そして、よりよい体験を実現するための情報やヒントを得られる機会をつくっていきます。ぜひ次回の開催も楽しみにしていてください!

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