KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」受賞インタビュー:エン・ジャパン株式会社

KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」を受賞した、採用支援ツール「engage」や求人サイト「エンゲージ」を運営するエン・ジャパンのチームのみなさんへのインタビューをお届けします。

2023年3月に開催した「KARTE Friends THANKS DAY 2023」では、KARTE活用企業(KARTE Friends)のチャレンジを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR 2023」の授賞式を行いました。

顧客体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)に取り組み、GOLD STAR 2023の「GOLD STAR」を受賞したエン・ジャパン株式会社のデジタルプロダクト開発本部 デジタルマーケティング部で、採用支援ツール「engage」や求人サイト「エンゲージ」を担当するチームのみなさん。

チームメンバーの、近藤日菜さん、金澤愛海さん、柴本海人さん、森鼻咲希さん、佐藤都美さん、渡邊伶さんにどのようにKARTEを活用しているのか、お話を伺いました。

チームでKARTEを活用し、顧客のさまざまな課題を解決

先日の授賞式はおつかれさまでした!受賞を振り返っていかがですか?

近藤:とても楽しかったです!私たちは入社して2〜3年目のメンバーで、入社してからずっとオンラインでの仕事が当たり前でした。THANKS DAYで初めてオフラインで社外の方と交流することができました。初めてにも関わらず、KARTEという共通言語があるおかげで、緊張せずに良い意味で距離を縮めてお話しすることができました。これは他のメンバーも同じだと思います。

社内からの反応はいかがでした?

近藤:別のグループやプロダクトのチームからも「おめでとう!」と連絡をもらえました。KARTEの取り組みの内容を十分に社内でシェアできているわけではなかったので、受賞を機にいろいろと知ってもらいました。弊社には「en soku!」という自社メディアがあり、そこでも私たちの取り組みを紹介してもらえました。

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近藤日菜さん

改めて、現在はどのような体制でKARTEを運用されているかを教えていただけますか?

近藤:6〜7名の体制で運用しています。役割は主に次のように分かれています。

佐藤が中心になってカスタマーサクセス部分でKARTE RightSupportを使用しています。また、森鼻と柴本がKARTE Datahubを使って、さまざまなデータの整理を行っています。私、金澤、渡邊の3名は、KARTEをつかって接客を配信したり、KARTE Blocksを使ってサイトを改善したりするなどの運用を担当しています。

ただ、役割が分かれているといっても、他のプロダクトを使わないわけではありません。カスタマーサクセスのチームでもKARTE Blocksを使って実装することがあります。チーム全体で横断的にプロダクトを活用している状態ですね。

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渡邊伶さん

さまざまな用途でKARTEを使っていただいてますが、「特にこの使い方ができたのが大きい!」と印象に残るものはありますか?

近藤:いろいろありますが、あえて挙げるとするとKARTE Liveを使って、求人企業のサイト内行動を動画で把握したことですね。求人を掲載する企業がサイト内の行動でつまずいているポイントをチェックし、KARTE Datahubに蓄積された顧客データも活用して、顧客の属性やサイト利用度によって、つまずきポイントに違いはないかを調査しました。

KARTE Liveでリアルな顧客の行動を分析する重要性に気づいた後は、毎朝チームで30分、KARTE Liveを閲覧して顧客のつまずきを見つける「KARTE Live分析会」を実施しました。「すぐに離脱してしまう求人企業は、職種カテゴリーの選択で困っている傾向があるね」など、チームミーティングで具体的な議論が増えました。

金澤:「KARTE Live分析会」を始めたきっかけは、自身の経験不足を補おうと、KARTE Liveを使うようになったことです。engageは主に企業の採用担当者が利用するサービスなので、新卒1年目だった私にとっては、顧客のインサイトを理解するのが難しい部分もありました。施策を考える前に、まず顧客理解が必要だと感じたんです。そこで、KARTE Liveを使って毎朝動画を視聴し、求人企業がどこでつまずいているのかを調査しようと考えました。

近藤:「KARTE Live分析会」の開催を重ねて、属性や活用指標ごとに動画をチェックしたことで、初回利用ユーザーに共通する「求人を作成する」というつまずきポイントも発見でき、ロイヤルユーザーを増やす糸口を見つけることができました。現在は別チームにもKARTE Liveの利用方法を展開し、プロダクト全体での行動分析を進められるようになっています。

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金澤愛海さん

KARTE RightSupportでサイト内コミュニケーションを改善し、好循環をつくる

顧客の理解が進む中で、改善できたポイントにはどのようなものがありますか?

近藤:採用ページを充実させるための事例のご紹介ですね。データから、採用ページの情報量が充実していると、応募につながりやすいということが分かっていました。KARTE Liveを使って求人を出そうとしているお客様の行動を観察していると、ページをスクロールするものの、何をすべきか分からず離脱してしまうことが多かったのです。そこで「他の企業で成功している事例を示せれば、参考になるのではないか」という仮説を立てました。

成功している事例を記事にして、KARTE RightSupportとZendeskを連携してサポートウィジェットに表示。これにより、求人を出そうとしている企業が成功事例を簡単に見ることができるようになりました。サポートウィジェットの配信後は、毎週1時間、チーム内でユーザーボイスをチェックする振り返りを実施して継続してブラッシュアップし、求人企業のお困りごとの解決に努めました。

成功事例の記事にアクセスしやすくした例。

施策の効果はどうだったのでしょうか?

近藤:定期的にユーザーインタビューを行っていたところ、採用ページが非常に充実しているお客様がいらっしゃいました。お話を伺ってみると、サポートウィジェットに表示された成功事例を参考にして作成し、楽しくなって細部までこだわっていったとのことでした。これは非常に嬉しかったですね。KARTE Liveを見ながら仮説を立て、施策を実行したことがお客様にとって有益だったことから採用ページにも反映された事例です。また、直接お客様から話を聞くことができたというのも喜ばしいことでした。

KARTE Liveの利用もあり顧客理解が進んでいたからこそ、顧客の課題解決に役立てたというわけですね。

金澤:KARTE Liveを使って、求人を初めて作成するお客様の行動を観察していた際、多くの方が求人タイトルの部分に何を入力していいかわからないという問題を抱えていることが分かりました。定量的に各項目の入力率を調べると、求人タイトルの入力率が非常に低いことが明らかでした。

そこで、KARTE Blocksを活用して入力欄の下に「タイトルに入れると閲覧数や応募数が上がる文言」を挿入できるボタンを配置しました。これにより、入力率が大幅に上がり、その文言を含む求人タイトルの数も増えました。結果として、求人作成の件数だけでなく、応募数や応募率も向上しました。

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KARTE Blocksで作成しているボタン例

これもKARTEを使って課題を発見し、施策を実行することで、お客様にとって良い体験が生まれる好循環を生み出せた例だと思います。

「知る」ができたことで、さまざまな施策につながったのですね。佐藤さんもなにか印象に残っていることはありますか?

佐藤:KARTE RightSupportを活用して、問い合わせ数の削減に成功しました。企業のお客様が求人を作成した後に、弊社側で審査という工程があります。そこで不備やNGとなってしまうと、公開できる求人が減り、企業側は求職者との出会いの機会を逸してしまう問題がありました。また、審査を通過するためにどのように修正すれば良いかが分からないお客様からの問い合わせが、多くCSに寄せられていました。

審査で不備があった企業が求人の編集画面でどのような動きをしているかを調べたところ、不備の項目サマリーは確認されているものの、具体的な修正方法が分からずに離脱する行動が多く見られました。そこで、KARTE RightSupportで不備に対応する具体的な解説記事を表示するようにした結果、問い合わせ数が大幅に減少しました。

その他のネガティブな問い合わせ数の減少も含めると、求人企業の自己解決をサポートできただけでなく、マーケターやカスタマーサクセスの対応工数を月間200時間ほど削減できました。

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ログインで困っている際に解決方法を提示するサポートウィジェット

問い合わせが減り、サービス継続率も上がった!エン・ジャパンの「顧客のつまずきを先回りし自己解決を促す」Webサポート事例

KARTE Blocksでデザイン未経験でも素早くサイトを改善可能に

KARTE RightSupportを用いた工数削減の成果はすごいですね。他にもKARTEを活用して成果が出た点はありますか?

近藤:KARTE Liveを通じて発見した課題をもとに、KARTE Blocksを活用して、求人作成ページのデザインの変更、広告ランディングページのCTAボタン変更、会員登録フォームの入力項目変更などの施策を実行していきました。

KARTE Blocksはノーコードで操作しやすく、金澤も入社してすぐKARTE Blocksを使ってPDCAが回せるようになりました。開発会社に依頼して反映まで30日以上かかっていた実装が1日に短縮され、デザイン経験がない1年目であった金澤でも、毎月30本以上のランディングページ改善をできるようになりました。

金澤:KARTE Blocksを使ってノーコードで実現できる場合も多いのですが、なかにはコーディングの知識やスキルが必要な場面もありました。コーディングやプログラミング言語を全く学んだことはありませんでしたが、1年でHTML、CSS、JavaScriptをある程度理解し、自分でも書けるようになりました。これにより、さらに施策のPDCAを回しやすくなりました。

以前、求人作成フォームで項目を出し分けるような施策を手掛けたことがありました。最初からすべての項目を表示するのではなく、必須項目だけを最初に表示し、入力が進むにつれて任意項目が徐々に現れるように、自分でJavaScriptのコードを書いて実装しました。

通常は、エンジニアに依頼することが多いと思いますが、自分で施策を考案し、実装し、テスト結果をチェックできるので、改善サイクルを素早く回せるという点で非常に良いと感じています。

データを集約し、サイトのパーソナライズ化を可能に

顧客を理解し施策を実行する上で、データも重要なテーマかと思います。貴社ではデータの管理にはどのように取り組んだのでしょうか。

近藤:KARTE Datahubを使って、求人企業と求職者のデータを集約しました。社内の基幹システムやMAツールであるMarketoと接続し、KARTEのイベント発火で取得したサイト内行動データや、マーケティング施策の効果も集約することで、サイト内コミュニケーションのパーソナライズ化を目指しました。

柴本:まずは企業側のデータ連携を進め、求職者側のデータ連携を森鼻が主導して進めていきました。個人情報を除外したファーストパーティーデータと、KARTEを連携し、求職者側でもより使いやすくなりました。

多様な求職者がスムーズに応募できるように。 KARTEで見つけた意外な行動から、顧客のインサイトが見えた(エン・ジャパン様)

森鼻さんは、データを扱うご経験はこれまでもあったのでしょうか?

森鼻:いえ、私が中心となってデータの集計や分析を進めましたが、SQLの知識が少ない新卒1年目だったので大変でした。入社して2カ月後ほどでプロジェクトに入り、そこから少しずつ進めていきました。最も時間がかかったのは、データの接続を設定するところです。社内のエンジニアとコミュニケーションしながら、データを扱う土台を整理していきましたが、時間はかかりました。

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森鼻咲希さん

近藤:森鼻が対応を進めてくれたおかげで、KARTE Datahubの活用ができるようになり、サイト内コミュニケーションが進化しました。求人企業の属性データとウェブ行動データを連携することで、60種類以上のセグメントを作成し、パーソナライズ化が実現できました。例えば、コミュニケーションの目的に応じて、顧客別に画面デザインの出し分けもできるようにもなりました。

どのようなセグメントを作成されているのでしょうか?

近藤:例えば、求人が作成されているか否かというセグメントや、初回作成から30日以内かどうかというセグメントがあります。初回作成から日数が短いほどユーザーの関心が高いため、そのようなユーザーに対して施策を実施したいという背景があります。また、有料問い合わせの有無や、有料利用中のロイヤル顧客かどうかといったセグメントも作成することができ、現在どれくらい利用しているかという点も把握できました。

今後、KARTEを活かして実現していきたいこと

セグメントが分けられると、顧客に合わせたコミュニケーションも、さらにやりやすくなりますね。

近藤:そうですね。KARTEやKARTE Messageを使って、求人企業への応募数を増やす仕組みを構築しています。具体的には、KARTEに蓄積された求人と求職者のデータを活用して、レコメンドロジックを実装し、ウェブサイト・アプリ・メールのあらゆるチャネルで、求人企業と求職者のマッチングを目指したものです。

求人企業と求職者のマッチングにおける問題は、求職者に対する情報の流通不足が挙げられます。そもそも、求人していることが公開されていなかったり、求人は公開されていたとしても情報が限定的であったり。こうした状況のせいで、ベストな職場を見つけられない方が多くいらっしゃいます。本来なら成立するはずのマッチングが阻まれている状況でした。

KARTEの複数プロダクトを活用してこうした課題を解決したことで、求人企業がengageを利用する機会が増加。求人情報の品質も向上し、求人に応募する求職者も増えました。その結果、企業への入社数も増加でき、求人企業と求職者から高い評価をいただきました。

チームでかなりKARTEを使いこなしていただいてますが、それが実現できたのはなにか要因があるのでしょうか?

近藤:大きく3つ要因があると考えています。1つ目は、一人ひとりがKARTEのプロダクトを使っており理解が深まっていたということ。2つ目は、プレイドの担当者の方に「こんなことが実現したいのですが」と目的ベースで相談していたこと。3つめは、月に一回成果を共有する場があり、そこでengage以外のKARTEを導入しているチームから事例を共有してもらっていたことがあると思います。

ありがとうございます。今後、チームではKARTEをつかってどのようなチャレンジをしていこうとしているか伺えますか?

金澤:サービスを大きくしていきたいですね。主にengageを使用している企業は中小企業で、中には人的資本に関する課題を抱えているところが多いと思います。engageを使って、この採用課題の解決ができる企業を増やしていきたいです。

佐藤:カスタマーサクセスの観点から見ても、KARTEの製品を使うことでサービスが向上するという実感が得られました。私たちは、電話の問い合わせを受け付けておらず、メールのみで対応しているため、顧客の顔や感情がわからない場合、コミュニケーションをするのが困難でした。

KARTEを使うことで、顧客の顔がはっきりと見えるようになり、それによってコミュニケーションの方法も変えていけました。私の部署にも新入社員が入ってくるため、一緒にKARTEを使って顧客理解を深めていきたいと考えています。

また、社内でVOC(Voice of Customerの略:顧客の意見や感想のこと)の活用を推進していきたいという流れがあります。問い合わせの内容やKARTE Liveを見ながら、開発側に対して、課題解決のための意見をCSから提案できるような組織にしていきたいですね。

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佐藤都美さん

森鼻:これからは求職者側に立ってKARTEをどんどん活用していくフェーズだと考えています。KARTE Datahubを中心に、データ連携や分析を進めながら、グロースのチームとも協力して、KARTEを活用して求職者側のサービスも大きく成長していけるように取り組んでいきたいと思っています。

個人としては、普段から数値分析に重点を置いていますが、数値分析に重点を置く一方で、KARTEを通じて、より直接的な顧客理解を深めることも重要だと考えています。そうすれば、より具体的な施策の立案や改善策の提案が可能になり、サービス全体の品質向上に寄与できるはずなので。

近藤:これまでは求人企業側の問題解決が中心だったのですが、今後は求職者側の問題解決にも力を入れていこうとしています。求人企業と求職者の双方の問題解決を図ることで、エン・ジャパンが掲げるパーパス「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」を実現していきたいと思っています。

KARTEを活用したプロジェクトは、顧客理解に直結するということを、この1年間で実感しました。今年4月に入社した新卒社員をKARTEを活用するプロジェクトにアサインして、テクニカルスキルとマーケティングスキルを強化していきたいと思っています。また、KARTEを通じて先輩社員とのコミュニケーションを推進したいと考えています。

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7月12日(水)に開催される「KARTE CX Confrrence 2023」において、GOLD STARを授賞した3社の担当者によるパネルディスカッションを実施します。3社の取り組みについて、より深く知りたい方は是非イベントにご参加ください。

KARTE CX Conference 2023 イベントページ

KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社雨風太陽

KARTE STAR の取り組みについてはこちらの動画をご覧ください。

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